類は友を呼ぶと言いますが、わたしの友人は愛猫家が多いんです。
先日、時代の流れに乗ってオンライン飲み会をしていた時に、話題になったのが『子猫が水を飲まないこと』です。
ちょうど離乳食を終えるか終わらないかの猫ちゃんを飼っている友人がこの問題に直面していて、みんなで経験談をシェアしたり、知恵を出し合いました。
赤ちゃんの時はミルクや離乳食で水分が摂れるので良いのですが、離乳食を終えてしまうと食事だけの水分では脱水症状になってしまうことも。
そして、脱水症状続くと厄介な病気に繋がってしまいます。
猫は他の動物と比べると、あまりお水を飲みません。
子猫のうちにお水を飲むように習慣付けてあげると、成猫になってから体調の変化にいち早く気づいてあげられるというメリットもあるんです。
詳しくは後ほどご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
飲んだことがないから、飲まない?
今までは母猫のおっぱい、ミルク、離乳食で水分を摂っていたので、子猫は水を飲む必要がありませんでした。
そう、水を飲んだことがないから、飲まないのです。
わたしたちも、やったことがないことはできませんよね。
例えば、みんな当たり前のように使えるストローも、教えてあげなければ使えるようにはなりません。
わたしは、上の子が小さい時にストローで水やお茶を飲ませようとしましたが、最初はストローを舐めたり噛んだりするだけでなかなか飲んでくれませんでした。
目の前で実際にストローを使って飲んでいるところを見せたり、吸う仕草を大袈裟にしてみたりとあれこれやったのは良い思い出です。
子猫も多頭飼いしていると、母猫や先輩猫の行動を見て覚えることがありますが、1匹だけで飼っていると他を見て学ぶという環境はないんですよね。
となると、飼い主が工夫をしなければなりません。
やったことがないことを教えるのは大変ですが、まずはあなたの猫ちゃんは今すぐお水を飲む必要があるのか一緒に確認しましょう。
どれくらい水分を取っていれば大丈夫?
人間も赤ちゃんは体の水分量が多いですが、それは猫も同じです。
成猫の体の水分量は50~60%なのに対して、子猫はなんと60~80%です。だから、必要な水分摂取量も多いんです。
目安としては体重100gに対して13~22ml。
子猫のうちは、ちゃんと成長しているかどうか体重を測ることが多いと思います。簡単に計算できますので、愛猫ちゃんに必要な水分量の目安にしてくださいね。
これは飲み水だけではなく、食事から取る水分も含めた量です。
運動量や食事内容によって必要な水分量には個体差が出るので、あくまでも目安ですが具体的な量がわかると安心ですね。
注意したい脱水症状
猫は体の水分量が10%失われると脱水症状になってしまいます。
子猫は下痢や嘔吐が多く、水分不足になりやすいので特に注意が必要です。
先ほどお話したように、幼いうちは食事で水分がしっかり摂れているので、おしっこがしっかり出ていて元気なら問題ないのですが、ドライフードがメインになってくると心配になりますよね。
簡単に脱水症状かどうか調べる方法があります。
- 首の後ろや背中の皮膚をつまみ、なかなか戻らない
- 口の中をみて、よだれがネバネバしている
水を飲ませ始めるタイミング
歯が生え始めててきて離乳食を始める頃が、子猫に水を飲ませ始めるタイミングです。
食事をミルクメインであげている生後4週間頃までは食事で水分をしっかり摂れているので、お水を飲ませる必要はないんですよ。
始めのうちは上手く飲むことができず、与えた水が減っていないことがあるかもしれません。
ですが、飲んでいる様子が無くても、そのまま放置は危険です。一日に何度か新しい水に交換するようにしましょう。
子猫はお腹を壊しやすいので注意してにゃ。
興味を持ってすんなり飲んでくれるようになったらラッキーです。
離乳食を始めたばかりの頃は、離乳食に水分がたくさん含まれていますし、ミルクも併用しているので水分は十分摂れています。
ですから、まだお水を飲まなくても心配しなくて大丈夫。
離乳食をやめるはっきりとしたタイミングはありませんが、大体生後8週目頃には歯が生え揃うので、離乳食から普通の食事に切り替えるのに良い時期です。
ドライフードにすると、食事で摂れる水分が圧倒的に減るので喉が渇いて自然とお水を飲みたがるようになる子が多いです。
普段からどのくらいお水を飲んでいるかを把握しておくと、飲めていない時は脱水を予防するために飲むように促すこともできます。
また、多く飲みすぎている場合は病気のサインである場合も。
普段から水を飲む習慣があれば、体調の変化にいち早く気がついてあげられるようになりますよね。
また、猫がかかりやすい病気(腎不全、膀胱炎、尿結石)などの病気の予防になりますよ。
関連記事:猫のトイレの回数がいつもと違う?!健康を守る5つのチェックポイント
猫にとっても飼い主にとっても、子猫の時期にお水をしっかり飲むように習慣付けることはメリットが多いんです。
週齢 | 栄養の取り方 | 水分の取り方 |
~4週頃 | ミルク | ミルクから |
~7週頃 | ミルク+離乳食 | ミルク・離乳食から |
8週以降 | ドライフード | 飲用水から |
子猫に水を飲んでもらう10の対処法
「水を飲む必要がある時期に突入しているのに、まだ飲ませていなかった!」という人も、脱水症状になっておらず猫ちゃんが元気に過ごしていたなら大丈夫。
これからどんどん大きくなるにつれ、体重や活動量が増えると必要な水分も増えますので、今から対処していきましょうね。
これまでの経験からお伝えしたい、子猫に水を飲ませるための10個の方法はこちら。
- 数カ所に水を用意する
- 飲む方法を工夫する
- カルキ臭を消してあげる
- 好きな飲み方や興味を引く仕掛けを使う
- 水を温める
- 水のそばに温かいものを置く
- 水にミルクを混ぜる
- 口に水を付けてみる
- 口に水を入れてみる
- 餌で水分補給
一つずつ詳しく解説していきますね。
数カ所に水を用意する
お水を飲んだことが無いから、子猫は飲まないので、それであれば興味を持たせる&お水が身近にある状況を当たり前にして環境を整えてみましょう。
猫ちゃんが良く行く場所や、お気に入りの場所を中心にあちこち用意してみましょう。
飲ませる方法を工夫する
飲まない理由はお水を飲んだことがない、体のために飲んだほうが良いと知らないだけではなく他にも様々な理由があります。
- 飲みにくい
- ヒゲに水が当たって嫌
- 器が気に入らない
- 自分の顔が水に映るのが嫌
- 首輪が器にぶつかって嫌
成猫だと一緒に過ごしてきた期間が長いので、好みが分かって対処できることが多いですが、子猫はまだまだ関係を築いている途中ですのでお互い分からないこともありますよね。
よく見て何が原因で飲まないのか、見つけてあげましょう。
- 容器を変える(形、大きさ、色、深さ、ウォーターノズルにしてみる)
- 素材を変える(陶器、ガラス、ステンレス、金属、セラミック、プラスチック)
- 高さを変える(台の上に置く、足付きの水入れ)
- お水を入れる量を変えてみる
など、たくさんの選択肢があります。
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多頭飼いをしている場合は、他の猫が口をつけた水は飲まない、唾液が混じって匂いが嫌だという理由で飲まない場合もありますので、それぞれに専用の容器を用意してあげると良いですよ。
カルキ臭を消してあげる
猫の水は水道水が一番衛生的でおすすめですが、カルキ臭を嫌がる敏感な子もいます。
一度沸騰させて冷ましたお水をあげてみてください。
わざわざ湯冷しを作るとなると、愛猫の為とはいえ、すこし面倒に感じてしまうかもしれませんね。
自分がお茶やコーヒーを淹れるときに、少し多めにお湯を沸かして用意しておくと便利です。
好きな飲み方や興味を引く仕掛けを使う
猫は水を飲む動作が他の動物に比べて苦手です。
人間は水を喉に流し込み、他の動物は水を吸い上げて飲むことができるものもいますが、もともと猫は液体を飲む動作があまり得意ではありません。
猫は舌を後ろに丸めて水を飲むので、一度に飲める量がとても少ないんですよ。
ですから、好きな飲み方もその猫その猫で違います。
というのは冗談ですが(笑)、それぞれ好みがあって面白いですよね。
置いてある水が好きな猫と、蛇口などから流れる水を飲むのが好きな猫が約半々だという説もあります。
しかし、水を流しっぱなしにするわけにはいきませんので、そんな時には給水器を使ってみましょう。
水道のように流れ落ちるもの、中央から湧き出るような仕組みのものなど色々です。
水を温める
冷たい水が苦手なのかもしれません。
ミルクや母乳の温度に合わせてあげると飲む子もいます。
人肌程度(36~38度)にしてあげましょう。
水のそばに温かいものを置く
子猫はお母さんのぬくもりに包まれておっぱいを飲んでいたので、そばに温かいものがあるとリラックスして飲むことも。
哺乳瓶で飲ませていた猫ちゃんも飼い主さんが抱っこ、膝の上、手で支えるなどして飲ませてあげましたよね。
カイロや湯たんぽとタオルや毛布などを組み合わせてフカフカぬくぬくの環境を作って安心させてあげましょう。
ペットボトルはキャップがオレンジ色、飲み口が白色のHOT&COLDと書かれている温冷両用のものが良いですよ。
水にミルクを混ぜる
飲み慣れたミルクをお水に混ぜると、ミルクの匂いにつられて飲むことがあります。
離乳食を終えるまでにミルクを使い切れなかったという方も、多いのではないでしょうか。
まだ残っている場合は、ミルクが無駄にならずに良いですね。
口に水を付けてみる
ティッシュや清潔なハンカチなどに水を染み込ませて口に付けてみると舐めてくれます。
水を口にすることに慣れさせるのが目的です。
ぺろっと舐めて嫌がらなければ、段階を上げて清潔なタオルやおしぼりに水を染み込ませて吸わせてみましょう。
口に水を入れてみる
ミルクを飲ませていた哺乳瓶で、お水を飲ませてみましょう。使い慣れていたものなら飲んでくれる可能性が高いです。
しかし、しばらく哺乳瓶を使っておらず子猫の歯が生えそろっていると、哺乳瓶の乳首を噛み切って誤飲してしまう場合があるので、注意してくださいね。
心配な場合は、スポイト、シリンジ(針なしの注射器)を手に入れて口の中に直接お水を入れてみましょう。
餌で水分補給
水がしっかり飲めるようになるまで、ウエットフードをあげると食事で水分を取ることができます。
いずれ、餌をドライフードだけにしようと思っている人は、ドライフードの量を少しずつ増やして慣らしていきましょう。
もしくは、ドライフードに水分を足してふやかしてからあげてみるのもおすすめ。
ドライフードを食べる練習にもなります。
関連記事:【猫の餌をふやかす方法】正しいふやかし方を知らないと危険!!
水道水がコスパも品質も◎
大切な猫が口にするもの。
水の飲ませ方にばかり注目していましたが、飲ませる水についても正しく知っておきたいですね。
そうなんです。猫の飲み水としては水道水が最適。
水道水を選ぶメリットなどを詳しく紹介します。
猫の飲み水を選ぶ基準
”水”といっても含まれる成分はそれぞれ。
猫の健康を守るために意識すべきポイントは次の2つです。
- 軟水であること
- 雑菌が繁殖しにくいこと
「軟水」と「硬水」は、水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの量によって区別されています。
ミネラルを含む量が少ないのが「軟水」、多いのが「硬水」です。
生きていく上で必要な栄養素の一つであるミネラルですが、実は、猫がミネラルを摂取しすぎると、尿路結石症になってしまう可能性が高まります。
腎臓や膀胱、尿道などの尿路に石ができてしまう病気のこと。激しい痛みを伴い、血尿などの症状が見られます。万が一、石によって尿路が詰まってしまうと死に至ることもあります。
うっかり飲ませてしまったくらいなら大丈夫ですが、常飲するとなると別です。
猫は腎臓系の病気にかかりやすいので、歳を取った時や腎臓が弱い猫に飲ませてしまうと危険なんです。
また、子猫は下痢をしやすいので、衛生面がかなり重要。
雑菌が繁殖しにくいことは欠かせません。
水道水のメリット
まず、日本のほとんどの地域の水道水はミネラル分の少ない軟水です。
また、カルキ臭の部分でもご紹介しましたが、水道水が一番衛生的。さらにはお金もかかりません。
猫にあげるお水は浄水機能の付いた給水器でない限り、置きっぱなしにすることが多いですよね。
すると、ゴミやほこりが入ったり、猫の唾液や餌の食べかすが混ざってしまうことがあり、どうしても雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
水道水は塩素で消毒されているので、雑菌の繁殖を抑えることができるんですよ。
塩素が気になる方もいらっしゃると思いますが、日本の水道水に含まれる塩素濃度はWHOの基準値を大幅に下回っているので、健康を害する濃度ではありません。
水道水のトリハロメタン(発がん性物質)を気にする方も同じくWHOの基準を下回っているので問題無いとされています。
旅行や帰省で遠出するときにお水を持ち歩くなら、水道水が一番安心・安全です。
また、お住まいの地域によって水道料金は変わりますが、コンビニなどで2ℓのお水を1本買うお値段で東京都だと約300本も買うことができるので、圧倒的にお値段も安いです。
子猫のうちから薬を飲んでいる子は少ないと思いますが、持病があって薬を飲んでいる猫ちゃんは飲み水も気をつけてあげる必要があります。詳しくは、獣医さんに相談してみてくださいね。
ミネラルウォーターの注意点
お住まいの地域によっては、わたしたち人間用の飲用水として、ミネラルウォーターや浄水器、ウォーターサーバーを使う方も多いですよね。
大切なのは軟水かどうかですから、ミネラルウォーターでも軟水であれば問題ない場合が多いです。
日本で市販されているペットボトルの水の多くは軟水なのですが、一度開封してしまうと雑菌が繁殖しやすくなるという危険があります。
水道水より安全基準項目が少ないので、管理に注意が必要なんです。
一部の地域(沖縄全土、千葉県木更津市、埼玉県熊谷市)では、水道水が硬水なので、その地域にお住まいの方は、軟水のミネラルウォーターを猫にあげた方が安心です。
個体差もありますので、心配な方は獣医さんに相談しましょう。
浄水器・ウォーターサーバーの注意点
先ほども書きましたが、日本の水道水はほとんどが軟水。浄水器を付けて飲用している方も多いのではないでしょうか。
主要メーカーのウォーターサーバー用の水も軟水が多いので、ほとんどの場合与えても問題ありません。
浄水器を通すことで塩素が除去されていたり、ウォーターサーバーの場合はそもそも塩素が含まれていません。
そのため、頻繁に交換をしないと雑菌が繁殖する心配があります。
ウォーターサーバーの水はさらに注意が必要です。
味をよくするために、ミネラルを添加している場合がありますので、猫に与える場合は成分を確認してくださいね。
番外編:災害時に役立つウォーターサーバー
『子猫が水を飲まない』と少しずれてしまいますが、自然災害の多い昨今です。
非常時に備えて準備している人も多いと思いますが、ペットを飼っている家庭ではペットのことも考えなければなりません。
人間も食べ慣れた日持ちするものを用意しておくと良いと言われていますが、猫ちゃんの好きなドライフードや猫缶・おやつを用意しておくといざというときに役立ちます。
災害時は身の安全が確保できたら、次は飲み水の確保です。
停電時は水道が止まってしまうことがありますよね。
そんな時もボトルを配達してもらうウォーターサーバーの場合は、電気を使わなくても水を出せるものがありますし、無くなる前に常に新しいものが配達されるので、水の備蓄の役割も果たします。
月日が流れると、忘れてしまいがちですが、もしもの備えは何でもない時からしておきましょうね。
まとめ
子猫が水を飲まないのは、なんとびっくり、飲んだことがないからでした。
離乳食を始める頃に水を飲む練習を始めましょう。
- 数カ所に水を用意する
- 飲む方法を工夫する
- カルキ臭を消してあげる
- 好きな飲み方や興味を引く仕掛けを使う
- 水を温める
- 水のそばに温かいものを置く
- 水にミルクを混ぜる
- 口に水を付けてみる
- 口に水を入れてみる
- 餌で水分補給
また、飲ませる水の管理方法や品質についてもご紹介しました。
人間にとってメリットのあるミネラルウォーターでも、猫には良いものだとは限らないということは、うっかりしてしまいそうな部分なので注意が必要ですね。
今は大変でも、子猫のうちにお水を飲む習慣をつけてあげると、健康管理に大いに役立ちます。
成長した時に体調変化に飼い主がいち早く気が付ける、猫がかかりやすい病気の予防になると知ったら、頑張ってみようと思えますよね。
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