一般的に猫の寿命は、15年程度と言われています。しかし今では、栄養バランスの取れた食生活や、医療の発達により20年以上生きる長寿猫もいるそうです。
わたしの愛猫「しゅり」も、18歳という寿命まで長い猫人生を全うしてくれました。
飼い主さんにとっては、寿命が延びるのはもちろん嬉しいことですが、なにより元気な状態で長生きしてほしいですよね。
老猫が元気で過ごすためには、愛猫の食生活を守ることがとても大切なのですが、多くの老猫はだんだん食が細くなっていきます。
こんな飼い主さんの悩みはよく耳にします。猫にとって、総合栄養食であるドライフードを食べないことは、健康維持に悪影響を及ぼすため好ましくありません。
ここでは、老猫がドライフードを食べなくなる原因や、取るべき対策について具体的にお伝えしていきます。
うちの猫ちゃんはまだ若いから大丈夫、という飼い主さんも、いつか訪れる愛猫ちゃんの老猫期のために、ぜひ知っておいてくださいね。
老猫とは何歳から?
まず、「老猫」というのは、いったい何歳からを示すのでしょうか。
一般的に猫のライフステージは、子猫期・成猫期・老猫期と分類され、老猫期は7歳からとされています。
ただし、寿命が延びていることからもわかるように、今ではこの分類も少し変わってきています。
7歳になっても成猫期と全く変わらず、元気に走り回ったり、食欲旺盛な猫もたくさんいますから、そのような場合は老猫期と決めつける必要はありません。
7~11歳くらいの間で、愛猫の体調変化をみながら判断しましょう。
亡くなった「しゅり」は、7歳はまだまだ元気な時期で、家族みんな老猫だなんて全く思いませんでした。
ちょっと衰えてきたかな、と思ったのは、それから3年後の10歳くらいだったと記憶していますので、「しゅり」の老猫期は10歳からだったと言えますね。
老猫がドライフードを食べなくなる理由
猫は高齢になるとなぜドライフードを食べなくなるのか。理由をきちんと理解することで、それに応じた対応策が取れます。まずは理由を知りましょう。
固くて食べづらい
老猫は、噛む力やあごの力が弱くなり、歯も衰えてくるため、だんだん固いドライフードを食べづらくなってきます。噛むこと自体がストレスになるので、食べる量が減ってしまうのです。
内臓機能の低下
老猫は、年と共に内臓が弱ってくるため、食べ物を消化する能力も落ちてきます。固いドライフードは消化に時間がかかるので、老猫には負担になってきます。
病気の可能性
これは老猫期に関わらずですが、餌を食べなくなった場合は、病気の可能性もありますので、しっかり確認が必要です。
- 嘔吐や下痢、便秘はないか
- 口内炎や歯周病など口内トラブルはないか
- 鼻づまりなどで嗅覚が低下していないか
気になる症状があれば、病院で診てもらってください。
猫は、味よりも「におい」に敏感なので、病気などで嗅覚が鈍ってしまうと、キャットフードを食べ物として判断しづらくなり、食欲が落ちてしまう場合があるのです。
老猫がドライフードを食べないときの対策
では、ドライフードを食べてもらうための様々な工夫について説明します。わたしの実体験もお伝えするので、よければ参考にしてみてくださいね。
食事の回数を増やす
1回に与える餌の量を減らし、1日3~4回にわけて少量ずつ与える
老猫になって食べる量や食欲が減った、という場合でも、1日のトータル食事量が大きく減っていなければ問題ありません。
老猫は消化機能が低下していますので、一度にたくさんの量を食べられなくなっています。食べられたとしても、その後消化不良で下痢になったり、吐き戻してしまう可能性もあります。
「しゅり」も、15歳を過ぎたころからは、1回の食事量はかなり少なくなりました。食べてくれないとどうしても心配で、もっと食べさせるために何か工夫するべきなのか、と悩んだこともありました。
でも、様子を観察していると、食欲はしっかりあるし、時間をおいて食事を与えれば、少量ずつでも食べてくれます。
だんだん、これが「しゅり」の食事のペースなんだ、と理解できるようになりました。心配していた気持ちが、ほっと緩んだのをよく覚えています。
繰り返しになりますが、1日のトータル食事量が減っていなければ大丈夫です。
また、この食事のペースは、子猫期の食事とも似ています。子猫もまだ胃が小さいので、少量の餌を何回かに分けて与えるというやり方をしますよね。
子猫期から一緒に暮らしている飼い主さんは、その頃を思い出しながら対応してみるとよいかもしれませんよ。
ふやかしてみる
ドライフードが固くて食べづらい場合には、ふやかして柔らかくしてみましょう。
- ドライフードを器に入れ、ぬるま湯を半分くらい入れます
- 10分ほど待ちます
- 適度な硬さ、人肌程度の温度になれば出来上がりです
わたしはこのふやかす方法を、本当によく使いました。
「しゅり」は、12歳ころからドライフードへの食いつきにムラが出始めました。普通に食べる日もあれば、ちょっと食べて止めてしまったりと、原因がはっきりしなくて困っていたんです。
お気に入りの味なはずなのにおかしいなあと思い、試しにふやかしてみたところ、いつも以上に食べてくれました。
やっぱり味やにおいの問題ではなくて、固さが原因だったようです。みなさんも試したみたら、案外むしゃむしゃ食べるかもしれませんよ。
ドライフードをふやかす時の注意点は、こちらで詳しく解説しています。是非ご覧ください。
https://www.shiawasegift.com/neko-esa-fuyakasu/
また、「ふやかすのがちょっと面倒」とか「今日はちょっと時間がなくて」という場合は、ドライフードを砕いてみてもいいかもしれません。
散らばらないよう、ジップロックやビニール袋にドライフードを入れ、すり棒などで上から叩いて砕きましょう
ウェットフードを利用
なかなかドライフードを食べてくれない場合は、柔らかくて食べやすいウェットフードを利用することも効果的です。
ただウェットフードのカロリーは、ドライフードより意外に低いのです。
ウェットフードだけで1日の必要カロリーを満たそうとすると、老猫にとってはかなりの食事量になります。
できれば完全に切り替えるのではなく、ドライフードと併用することが好ましいのですが、こだわりすぎて、食事の量が減ってしまうのは本末転倒です。
あくまでも、しっかり食べて栄養補給をすることが目的ですので、ドライフードが食べられないようであれば、ウェットフードへ切り替えてしまっても問題ありません。
ただし、ウェットフードは、おやつのような位置づけのものも多く、それでは栄養バランスが取れません。必ず、総合栄養食と記載のあるものを選んでくださいね。
わたしも、ウェットフードはかなり活用しました。よく行っていた方法があるのでお教えしますね。
- ウェットフードをレンジで人肌程度に温めて、ドライフードの上からかける
- ドライフードに、猫ちゃんの好物を少しトッピングする
ウェットフードは、温めることでにおいが引き立つので、猫ちゃんの嗅覚を刺激してくれるようです。そのにおいにつられて、一緒にドライフードを食べてくれます。
トッピングは、ウェットフードに限らずですが、市販の猫用ふりかけや、おやつで与えているものなどを利用するとよいです。食いつきがよくなりますよ。
老猫用ドライフードを知ろう
最後に、老猫用ドライフードについて少しだけお話しておきますね。
愛猫が老猫期を迎えたら、必ず老猫用ドライフードに切り替えてください。
成猫用フードは、栄養バランスの取れた総合栄養食ですが、老猫の衰えた内臓で消化するには負担が大きく、また与える量を調整しないと、肥満につながる可能性もあります。
老猫用ドライフードの特徴
老猫は、成猫期に比べて筋力が低下するため、運動量も基礎代謝もぐっと落ちます。必要な1日のエネルギー量は、成猫よりも20%ほど低下するとも言われています。
確かに、若いころは元気に走り回っていた猫ちゃんも、年を取ると寝ている時間がどんどん長くなりますよね。
そのため老猫用フードは、成猫用と比べてカロリー控えめ、低脂肪、低たんぱくな成分で作られています。また不足しがちなビタミン系の栄養素など、老猫の健康維持のために必要な栄養バランスも整えています。
慢性腎臓病になることを防ぐ
老猫になると体調を崩すだけでなく、様々な病気にかかりやすくなります。その中でも気を付けたい病気が「慢性腎臓病」です。
・慢性腎臓病とはどんな病気?
腎臓には、血液中の老廃物をろ過し、尿をつくって体外へ出す、という大切な役目があります。腎臓の機能が低下すると、血液中の老廃物をろ過できないので、毒素が体の中にどんどん溜まって、様々な障害を引き起こします。
老猫の死因の第1位に挙げられ、15歳以上の猫の約80%が慢性腎臓病であると言われるほど、老猫にとって身近な病気です。
この慢性腎臓病の発症を少しでも予防するためには、腎臓に負担をかけない食生活がとても大切です。
腎臓に負担をかける栄養素の代表として「リン」という成分があるのですが、老猫用ドライフードは、この「リン」の量を少なめに調整して作られています。
もちろん、老猫用ドライフードを食べれば必ず防げるというわけではありませんが、老猫期に入ったら、「リン」を制限した食生活に切り替えることが大切、という点は覚えておくとよいでしょう。
どうしても食べられない場合は
いろいろ対策を取ってもやっぱり食べてくれない、という場合もあるでしょう。このような状態は危険なので、迷わず獣医師に相談しましょう。
何か病気の可能性もありますし、食べられないほど衰えているようであれば、流動食を与えたり、ゆくゆくは介護が必要になるかもしれません。
自己判断はせず、獣医師としっかり連携をとって愛猫ちゃんを守ってあげてください。
まとめ
あなたの愛猫も、いつか老猫期を迎えます。今まで食べていたドライフードを食べなくなるかもしれません。そんな時のために、理由や対策について説明してきました。
- 老猫は、噛む力や内臓機能の衰えが原因でドライフードを食べなくなる
- ドライフードを「ふやかす」「砕く」など食べやすくして与えよう
- ドライフードとウェットフードを併用して与えるのも効果的
- 老猫用ドライフードは、老猫の健康維持や病気を予防する栄養素を調整して作られている
- どうしても食べない場合は、必ず獣医師へ相談を
猫も人間も、年を重ねると食が細くなるのは当然のことです。少し食べる量が減ったからと言って過剰に心配する必要はないので安心してくださいね。
でも、食は健康維持の基本中の基本。愛猫の食生活を守ってあげることが、長い人生を一緒に歩んできた飼い主さんの役割でもあります。
わたしは、「しゅり」がしっかり食事を取れるよう、いろいろ調べながら工夫をしてきました。出来る限りのことはしてあげられた、と今では満足しています。
天国にいる「しゅり」もそう受け取ってくれていたら、飼い主としてはこれ以上嬉しいことはありません。
あなたの愛猫が穏やかで楽しい老猫期を過ごせるよう、正しい情報を身につけて、その日に備えてくださいね。