「わ゛れ゛わ゛れ゛は゛、う゛ちゅーう゛し゛ん゛た゛ぁぁー」
扇風機の前で涼みながら、毎年夏に、宇宙と交信している息子。
ゆねもそばに来て見ています。
この光景、おバカだなと思いながら笑って、癒されていたわたしです。
ゆねも暑くて涼みに来たのかなと息子にたずねられ、小さいうちはそうだねと返していました。だけど、そろそろ教えてあげてもいいかな。
ですから、人間が扇風機の風で気持ちよく感じて適温だと思っていても、猫にとっては暑くてたまらないといった事もあるんです。
その理由は、猫と人間とでは体温調節の方法が違うから。
猫は「暑いよ」と伝えることが出来ませんし、人間が猫にとっての適温をきちんとわかってあげなければ、猫が暑いと感じていることに気づくことが出来ません。
そういった状況が長時間続けば、熱中症の可能性も出てきますし、命の係わることも考えられ大変危険です。
今回は、猫が扇風機の風で涼しく感じない理由と、一方でゆねのように扇風機に不思議と引き寄せられてしまう猫について、お話ししていこうと思います。
猫は扇風機の風で「涼しい」と感じない
冒頭でも少しお話しした通り、猫は扇風機の風に当たっても「涼しい」と感じません。
その理由は、汗腺にあります。
人間の体温調節の方法
まず人間の体温はこのように下げます。
- 暑いと感じる。
- 汗をかくことで、体内の熱を外に放出しようとする。
- 風に当たり、表面温度(汗)が冷える。
- 1~3を繰り返し、体温を下げていく。
扇風機によって汗が冷やされるから、人間は体を冷やすことができるんだにゃ。
だから、汗は人間の体にとって必要なものなんだにゃ!
汗をこまめに拭きすぎたり、汗をかきたくないからといって水分をあまり取らないと、熱中症の危険性が高まるから要注意にゃー。
その通り!!さすがたろうちゃん♪物知りだね!!
次は、猫の体温の下げ方を見ていきましょう。
猫の体温調節の方法
続いて猫の体温の下げ方です。
猫は肉球と鼻しか汗腺がなく、汗をかきません。
猫は体に汗をかかない分、グルーミングによって表面温度を下げることはできるのですが、扇風機の風が当たる前に乾いてしまいます。
ですから扇風機で、人間のように体全体で涼しさを感じることが難しいのです。
今まで話してきた体温の調節の仕方は人間の場合も含めて、難しい言葉で言うと『気化』って言うにゃ。
気化による熱の移動
例えば、お風呂上がりに濡れたままでいると体が冷えたり、プールから上がって風が吹くと 寒くなったりしたことはありますか。
これらはどれも『気化熱』にあたります。
気化熱とは、液体の物質が気体になるときのエネルギーとして、周囲から吸収する熱のことです。
【気化による熱の移動】
体の表面から液体が蒸発するときの気化熱で、熱が移動することで冷やされます。
猫の方法:グルーミング
ちなみに他にも、猫はこのような『熱の移動』を行い、体温調節をしています。
伝導による熱の移動
人は熱があるかどうか調べるために、おでこに手を当てて熱いかどうか見ますよね。
熱があればもちろん熱く感じますが、もし手が冷たいと熱がなくても熱く感じたりしませんか。
【伝導による熱の移動】
温度の違うものが接触することによって、熱の移動が起こることで生じます。
猫の方法:日陰の冷たい場所に寝そべる、クールマットの上に移動する
対流による熱の移動
冷蔵庫を開けた瞬間のひんやりした感じが、火照った顔や体の熱を奪われますね。
反対に、ドライヤーで髪を乾かすときには、熱く感じますね。
【対流による熱の移動】
体の表面温度と違う温度の気体に接したときに、熱の移動が起きる。
猫の方法:エアコン
放射による熱の移動
目をつぶってても、なんとなく人が近寄ってきても感じることはありませんか。
『人の気配』というのがありますが、それは微妙な人の熱を感じ取ったことによるものでもあります。
【放射による熱の移動】
熱を空気中に放出すること。熱輻射(ねつふくしゃ)とも呼ばれます。
猫の方法:電気ストーブ、こたつ、日向ぼっこをする
『放射』は寒い時に言えることにゃ~
つまり、涼しさを感じるためには、1~3の『熱の移動』をしてこんな風に体温調節するということにゃ!
- 気化による熱の移動…グルーミング
- 伝導による熱の移動…クールマットを置く
- 対流による熱の移動…エアコンで室温管理
猫は私たちほど体温調節が得意ではないことがわかりました。
だからこそ、猫が快適に過ごせる気温を保てているか、常に意識したいですよね。
猫の過ごしやすい室温を管理をするには、エアコンを利用するのが室温をキープしやすく便利です。
そして、扇風機は直接猫に当てずに、空気を循環させるように使用しましょう。
- 温度=27~28℃
- 湿度=50~60℃
こう見ると猫にとって、扇風機の風に直接当たりに行く必要って、あまりないんだにゃー。
いやそうは言っても、不思議と扇風機の前にいるのが好きな猫もいるんだにゃー。なんでだと思うにゃ??
猫が扇風機を好む理由
猫によってそれぞれで、扇風機の風が当たるのが嫌な猫もいれば、自ら喜んで当たりに行く猫もいます。
いったいなぜなのか、好きな理由は3つ考えられます。
1.遊んでいる
猫は狩猟本能があり、動くものに敏感で動体視力にも優れています。
そのため、扇風機の羽が回っていると動きに反応してちょっかいを出そうとしたり、じっと見つめたりすると考えられています。
扇風機の隙間に前足を突っ込んでしまいそうな猫は、怪我に十分気をつけるように対策も必要です。
カバーをしたり、羽のないタイプの扇風機への買い換えを検討してみても良いでしょう。
また、ボタンが出たり引っ込んだりするのが面白く遊ぼうとする猫もいるようなので、扇風機を大きいおもちゃと勘違いしているのでしょう。
爪が引っ掛かってしまったり猫がけがをする恐れもありますし、扇風機を壊されてしまう場合もありますので、対策は必要です。
- カバーは、扇風機の大きさに合ったもので、裏側をしっかり覆うものを選ぶ。
- コードカバーを使い、噛まれたり引っかからないようにまとめる。
- 回っている羽に手を出されないように柵を設置する。
- 嚙みちぎられないような紐(結束バンドなど)で、柱にくくりつける。
2.扇風機の台座が温かい
電化製品なので、扇風機の台座部分はほんのり温かくなっています。
床はクーラーの冷気が溜まりやすく、床に寝そべっていることも多い猫にとって、冷えすぎてしまって寒く感じている場合もあります。
猫は寒いのも苦手なんだにゃー。
あ、これさっきの『熱の伝導』ってやつだにゃ!?
猫は、温かい扇風機の台座の上に乗り、一度冷えた体を温めていることがあります。
また、少し高さがあるためか、枕のように使っている猫もいますね。
不思議なのですが、高さがなくても猫は、マットの上や紙の上でも何かしらの上に乗りたがる傾向があるんです。
電化製品つながりでこのような記事もあるので、よかったら見てみて下さいね。
3.振動が猫の喉笛に似ている
扇風機の振動から来る『音』。
「グルグルグル…」「ゴロゴロゴロ…」猫の喉笛の音に似ていると思いませんか。
生まれたばかりの子猫は目も耳も未発達で、一生懸命に母猫の匂いや声による振動を頼りにします。
扇風機の音がこの母猫の声の振動に似ているために、心が落ち着くのだと言われています。
でも今まで扇風機で涼しそうにしていると思っていたから、勘違いだったとは少しショック…。うちの猫も暑く感じていた時があったのかな。
夏は熱中症の危険性もあるので、注意しましょう。
熱中症について
年々平均気温は高くなり、人間も熱中症で倒れている方が多くいらっしゃいます。
日中の熱い時間帯だけでなく、夜も熱帯夜の日が続いていますので、注意が必要です。
事実、クーラーが苦手なために扇風機だけで夜寝て、朝起きた時にはもう亡くなっているといった件も決して少なくありません。
体温調節が苦手な猫は、さらに気をつけてあげる必要がありますね。
- 温度=27~28℃
- 湿度=50~60℃
エアコンでこの状態をキープできるように、室温は管理するようにしましょう。
猫の熱中症になる条件
気温が30℃以上、または超えていなくても湿度が高いと熱中症の可能性があります。
猫の先祖であるリビアヤマネコはもともと砂漠やサバンナで暮らし、乾燥した地域で暮らしていたために、湿気に弱いのです。
湿度が高い日は、エアコンのドライ設定で運転すると良いでしょう。
暑さに弱いのはどんな猫?
もともと猫は体温調節が苦手な動物ですが、中には特に暑さに弱い猫がいますので、ご紹介しますね。
子猫や老猫
子猫はまだ体が弱く、体温調節が苦手です。
成猫と同じように自力で体温を保てるようになるのは、生後7週齢ごろからで、暑さにも寒さにも気をつけてあげる必要があります。
また、老猫も抵抗力がなくなっていきますし、猫の体温調節となるグルーミングの頻度も衰えるため、熱中症に要注意です。
鼻に特徴のある猫種
始めでもお話ししましたが、猫は肉球や鼻からしか汗をかかないため、体温調節は苦手です。
さらに、鼻が低いと鼻腔が狭く、熱の発散効率が悪いので暑さに弱いと言われています。
【鼻が低い猫種】
ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなど
長毛種の猫
毛が短い『短毛種』よりも、毛が長い『長毛種』の方が暑さを感じやすく、熱中症を引き起こしやすいと言われています。
- 紫外線を受けやすく、皮膚炎になる可能性が高まるため、外に出る可能性がある猫や、窓から外の様子を見るのが好きな猫は注意。
- クッションとなる毛がなくなり、皮膚に直接当たりやすいため、怪我に気をつける必要がある。
体の大きい猫
体の大きい猫や、肥満気味の猫は熱を持ちやすく、放出されにくいとされています。
【体の大きい猫】
メインクーンやノルウェージャンフォレストキャットなど
猫の熱中症の症状
- 元気がなくてぐったりしている
- 脈が速くなる
- 犬のように「ハァハァ」と呼吸をする
- ふらふらとして歩けない
- 下痢や嘔吐がある
- 体がけいれんしている
熱がある場合も判断基準のひとつ。
猫の平熱は38℃前後なのですが、40℃近くあるとなると、熱があると言えます。
ご自宅で熱を測る方法もありますよ。
【直腸温】…正確な体温が測れるが、慣れていない場合は難しく、腸管を傷つけないよう注意が必要。人間用の体温計では先端が硬いため、素人が使用するのは危険。
【耳内温】…耳に差し込むタイプと非接触タイプがあり、猫の負担やリスクが少なく済むが直腸温ほど正確ではない。
猫の熱中症への対処法
熱中症とみられる症状がある時は、濡れたタオルで体を拭いてあげたり、冷えたタオルで包んであげると良いですよ。
その後に、空気を循環させるように扇風機を向けてあげるか、うちわであおいであげると『気化』を効率よく進めてあげることができます。
そして、水分を十分に摂らせましょう。
応急処置をしたとしても、そのままにせず動物病院で診てもらうと安心です。
留守中などの注意点
猫をお留守番させるときには、クーラーを24~26℃に設定してから出かけるようにしましょう。
温かい空気は上に溜まりやすく、冷たい空気は下に溜まりやすいので、空気を循環させるために扇風機を使うと良いです。
キャットタワーやキャットウォークが暑くならないように、扇風機を上向きに設置しましょう。
先ほどもご紹介しましたが、そしていたずら好きの猫にはぜひこのいたずら対策をおすすめしたいです。
- カバーは、扇風機の大きさに合ったもので、裏側をしっかり覆うものを選ぶ。
- コードカバーを使い、噛まれたり引っかからないようにまとめる。
- 回っている羽に手を出されないように柵を設置する。
- 嚙みちぎられないような紐(結束バンドなど)で、柱にくくりつける。
そしてスイッチを勝手に切られないようにするのも忘れずに!!
どうか猫にありかを目撃されないように、そっとリモコンも隠しておきましょう(笑)
まとめ
猫が扇風機で涼しく感じない理由は、人と猫の汗腺の違いにありました。猫の体温調節方法はこちらです。
- 気化による熱の移動…グルーミング
- 伝導による熱の移動…クールマットを置く
- 対流による熱の移動…エアコンで室温管理
そして、猫が扇風機を好きな理由をお話しいたしました。
- 遊んでいるため
- 台座の温かさを感じている
- 扇風機の音が、母猫の喉笛に似ている
また、体温調節が苦手とする猫の中でも、特に暑さに苦手な猫もいて、夏は熱中症の心配があるため、対策と注意点もまとめました。
- 温度は27~28℃、湿度は50~60℃に室温を保てるように管理する
- 扇風機は直接当てるのではなく、空気を循環させるために使用すると良い
- 水分は十分に摂らせること
- いたずら好きの猫は特に、留守番中はしっかりいたずら対策をする
毎日暑い夏、人間も猫も快適な環境で、体に気をつけて過ごしましょうねー!!