みなさんは抜け毛の対策に「お風呂がいい」というのを聞いたことがありますか。
わたしたち人間も、お風呂に入るとサッパリしてとても気持ちいいですよね。
ですが、猫にとって水に濡れるというのは本能的に嫌なことのため、お風呂が苦手な猫がほとんどです。
お風呂は抜け毛対策、特に換毛期の対策として有効と言われてはいますが、最適な手段というわけではなく、また必須でもないんですよ。
ですから、猫ちゃんがお風呂に入ってくれないからと言って、抜け毛対策が不十分だなんてことは全くありません。
お風呂が無理でも、ブラッシングと濡れタオルを使うことで、しっかり抜け毛対策は出来るんです。
今回は、お風呂が猫には必須ではない理由や、お風呂以外での抜け毛対策のご紹介をしていきます。
私が実践してるお風呂の裏技もこっそり公開しちゃいますので、是非試してみてください。
抜け毛対策にお風呂は絶対必要ではない
お風呂の目的というのは色々ありますよね。
わたしたち人間でも、ただ日々の汚れを落とすためだったり、はたまたダイエットや冷え性改善など美容効果を目的としていたり。
猫のお風呂も、目的が何かを明確にすることで、その猫にお風呂が必要なのかそうでないのかを知ることができます。
まずは抜け毛対策を目的としたお風呂がなぜ必須ではないのか、その理由を見ていきましょう。
猫にお風呂が必須ではない理由
わたしたち日本人だと、「お風呂は入って当たり前」という感じがあるし、「入らないと不潔で病気になる」なんて感覚もありますよね。
また、例えばサイは体温調節のために水浴びをするなど、野生の本能として入浴する動物もいます。
猫はというと、猫の祖先が砂漠に生息していたため、元々お風呂に入らなくても健康上問題ない身体の作りになっています。
お風呂に入る代わりに、毛づくろい(グルーミング)という方法で、自分の皮膚や毛の健康を守っているのです。
しかし本来は必要ではなくても、人間と一緒に生活するようになり、人間からの視点でお風呂が必要になる場合も出てきました。
- 人間にとって気になる匂いがする
- 毛がよごれて汚く見える
- 病気や高齢の猫のケア
人間と暮らす以上、ケアとしてお風呂が必要になる猫もいますが、本来は不要であるということなんですね。
また、抜け毛対策としては、他にも対策方法はありますし、お風呂に必ずしも入れないといけないというわけではない、ということです。
お風呂に入れると良い点
先程は猫にとって本来お風呂が必須ではないということをお話しましたが、人間側からみると、得られるメリットはたくさんあります。
このように良い事はたくさんあるのですが、それぞれ相反する点もあるので、一緒に覚えておいてください。
では猫にとってはメリットがあるか、というと、実はあまりありません。
あるとしたら
- 皮膚病の猫に対しての治療
- ノミ・ダニを駆除する方法の一つ
- お風呂好きな猫には入るのが嬉しい
といったところですね。
お風呂に入れることのデメリット
お風呂に入れたい飼い主さんにはちょっと辛いかもしれませんが、猫をお風呂に入れることのデメリットも知っておきましょう。
- お風呂が嫌いな猫にはかなりのストレスになる
- 猫の性質を正しく知らないと、逆に健康に悪影響
濡れることが嫌いなのは、本能なのでどうしようもないし、また猫は嫌なことをされた、と感じたことはずっと覚えていると言われています。
これからお風呂デビューなら徐々に慣らしていくことが出来ますが、すでに嫌な記憶が刻まれている猫にとってはかなりストレスになるでしょう。
また、猫にとっての適温や怖く感じる音など、猫の性質を理解しないままお風呂に入れると、かえって体を冷やしたり、健康にマイナスになってしまうことも。
お風呂に入れた方がいい猫
抜け毛対策のためというよりは、普段生活する上でお風呂を必要とする猫もいます。
- 長毛種…自分の毛づくろい(セルフグルーミング)では限界があり、もつれやすいため
- 白猫…汚れが目立つため。短毛種の白猫で完全室内飼い、汚れも特に気にならないなら必要なし
- 太っちょ猫…身体が大きくなり自分の舌が届かない部分が出てきてしまうため
- 高齢の猫…加齢により身体がかたくなり、グルーミングが行き届かないため。
- その他…尿スプレーをしたり、排泄が下手で毛に匂いがついてしまう猫
とはいえ、こういった猫でもやっぱりお風呂が苦手な場合もありますよね。
うまくグルーミング出来ない猫の場合は、毛が固まってしまうこともあるので、そんな時の対処法はこちらをご覧くださいね。
お風呂にチャレンジ
ここまで読んで、「やっぱりお風呂に入れたい」「うちは難しいから今はやめとこう」など、それぞれの選択が出来てきたと思います。
ここでは、お風呂にチャレンジしてみよう!という飼い主さんに知っておいてほしいことをお伝えしていきます。
お風呂の手順は簡単にご紹介して、あまり知られていない裏技など、お風呂に入れやすくなるポイントを詳しくお伝えしますね。
必ず覚えておいてほしい猫の特性
人間と同じ感覚でお風呂に入れると、猫にとっては嫌なことだったり、健康にマイナスになってしまうこともあります。
こちらにまとめてみましたので、頭に入れておきましょう。
- 猫用のシャンプーを使う…猫の皮膚に人間のシャンプーを使うと刺激が強すぎるため
- お湯の温度はぬるめ34~37度くらい…猫は汗で体温調節ができない。そのため熱すぎるお湯では熱中症になることも
- シャワーやドライヤーの音を嫌がることが多い…猫の耳は人間の耳よりはるかに高性能で、高音域に敏感なため
- あらかじめ乾かす部屋や風呂内を温めておき、手早く乾かす…濡れた後、気化熱(水が気体に戻るときに奪っていく熱)により、体温が下がってしまうため
今までのお風呂で、猫が嫌がったり、お風呂のあとの様子が変なら、こういったことに理由があるかもしれませんね。
お風呂の準備をしよう
お風呂に入れるために必要なものがありますので、事前に準備しておきましょう。
- 猫用シャンプー
- タオル2-3枚(吸収性の良いもの)
- ペット用バスタブや洗面たらい
タオルは素早く水をふきとるために、こちらのような吸収性の良いものを用意しましょう。毛を乾かすのがより早くなります。
また、ペット用バスタブとして販売されているものでなくても、お家にあるプラスチックの収納ケースなどを使っても大丈夫です。
こちらのバスタブくらいのサイズだと、猫も足が届き安心しますし、飼い主さんもシャンプーがしやすくなりますね。
- スポンジまたは泡立てネット(シャンプーを泡立てるため)
- 小さめの洗面たらいなどの容器(バスタブとは別にシャンプーを泡立てる用)
- ドライヤー(怖がる猫には無理に使わない)
- 手桶(シャワーが苦手な猫のために)
また、猫の方も事前準備をしておきましょう。
- 事前のブラッシング(毛のからまりをほぐし、抜け毛をある程度取っておく)
- 爪を切っておく(飼い主さんのケガ予防)
- 暴れそうならコットンを丸めて耳に入れておく(耳に水が入らないようにする)
続いていよいよお風呂です。
お風呂の手順
お風呂の手順というのは実はけっこうシンプルです。
- 事前のブラッシング
- お湯で濡らす
- シャンプーで洗う
- すすぐ
- タオルドライ
- 乾かす
これだけ見たら「なぁんだ簡単!」って思えるんですが、なかなかうまくいかないのが現実。
シャンプーの具体的な工程や注意点はこちらの記事でまとめていますので、お風呂チャレンジの前に一度目を通してみてください。
猫をお風呂に入れやすくなる裏技
以前知り合いのトリマーさんに教えてもらった、猫をお風呂に入れやすくする裏技によって、すごくお風呂がスムーズになったんです。
猫が濡れる時間を短くするために
- 事前にドライヤーのコンセントいれておく
- タオルは1枚をすぐ手が届くところに、1枚は浴室の外で広げておく
- 浴室と乾かす部屋をあらかじめ暖房やストーブで暖めておく
- 猫を浴室に入れる前に、ペット用バスタブなどにお湯を溜めておく
猫が怖がらないように
- 浴室の換気扇は猫にとって響いて怖いので止めておく
- シャワー音は反響するため猫にはかなり怖い。弱めの水流にし、シャワーヘッドは体の近くにあてる
- シャワーを嫌がるならバスタブに溜めておいたお湯を手桶で静かにかける
- お風呂の間は安心させるため声をかけ続けて、褒めまくる
- シャンプー液を直接猫にかけると、ヒヤッとするので嫌がることも。手で温めるか、事前にお湯で泡立てておく。
ササッと安全にシャンプーできるように
- シャンプーはあらかじめ泡立てておくと毛になじみやすい
- 泡立てるときはスポンジや泡立てネットを使うと早い
- 大きい猫なら泡立てたスポンジでそのまま洗うと、広い範囲をシャンプーできるためオススメ
- ブラッシングが好きな猫なら、泡を全身につけた後、お気に入りのブラシで好きな部位からブラッシングしてあげるとリラックスできる
- 飼い主さんの爪は猫の皮膚を傷つけないように短く切っておく
私が特に効果あると感じたのは、シャワーをやめて手桶でお湯をかける方法です。
トリマーさんいわく、「静かなら意外とおとなしくお湯に入ってくれる子は多いですよ~」とのこと。
うちの愛猫「ゆね」はその方法でうまくいったんですが、どうしてもお風呂は無理な猫がいるのもまた事実ですよね。
ということで、最後にお風呂以外の抜け毛対策をご紹介していきますね。
お風呂以外の抜け毛対策
そんな飼い主さんもご安心ください。
抜け毛対策として有効なのは、
- お風呂に入れる
- ブラッシング
- 濡れタオルで拭く
この3つです。
お風呂以外の抜け毛対策についても知っておきましょう。
ブラッシングで抜け毛対策
実は抜け毛対策として一番効果が高いのが毎日のブラッシングです。
ブラッシングの利点は、
- 一回にかける時間が調整できる
- 猫が嫌がったらすぐやめることができる
- ブラシのタイプが多く、猫に合った種類を選べる
- 猫にかかる負担が少ない
- 皮膚の血行を促進し、免疫力アップにもなる
- 猫にも人間にもリラックス効果がある
といった点があります。
特に、お風呂だと一回濡らしてしまうと毛を乾かすまでやめられないですが、ブラッシングだと中断しても問題はないのが大きなポイントです。
猫種 | 通常期間 | 換毛期 |
長毛種 | 1日1回 | 1日1~2回 |
短毛種 | 3日に1回くらい | 毎日1回 |
確かに忙しい中、時間を確保するのは大変かもしれませんが、ブラッシングの回数が少ないと、毛球症(もうきゅうしょう)という病気になってしまうことも。
猫がグルーミングして飲み込んだ毛は、通常は排泄物と一緒に体の外に出すことが出来るが、ブラッシング不足や換毛期などで飲み込む量が多いと、お腹の中に毛が溜まってしまう。
その毛の塊が胃などの消化器官を傷つけてしまう病気。
1回にかける時間は短く3分くらいでかまいませんので、猫との毎日のくつろぎタイムにブラッシングを取り入れてみてください。
濡れタオルで抜け毛対策
もう一つの抜け毛対策として、濡れタオルで体を拭くという方法があります。
換毛期のブラッシングって、抜け毛が多くて毛がフワフワと空中に舞ってしまいますよね。
そんな時濡れタオルで拭くと、タオルに毛が付いてうまくキャッチしてくれるんです。かなりサッパリしますよ。
抜け毛対策以外にも濡れタオルをおすすめするシチュエーションは、次のような時です。
- お風呂が嫌い・高齢などでシャンプーできない時
- お風呂デビューの前の段階で練習のために
- お風呂ほど毛が濡れないので、寒い時期のお風呂の代わりとして
- ブラッシングでは取れない汚れ(粘着したものや液体等)を拭き取りたい時
濡れタオルで拭く時の手順もご紹介しておきますね。
- 温かい濡れタオルを用意
- 顔回りからスタートして毛並みに沿って全身を優しく拭う
- (ここでブラッシングすると、抜け毛がフワフワせずまとまる)
- 終わったら乾いた別のタオルで濡れた皮膚を乾かす
三番目のブラッシングは省いても大丈夫です。もしやるなら毛が湿っていることを忘れず手早くやるのがポイント。
また、濡れタオルの作り方は2つあり、熱めのお湯にタオルを浸してきつく絞るか、または水で濡らしてからレンジであたためるという方法です。
熱くなりすぎたときは、おしぼりが熱い時みたいに、タオルを広げてパタパタして体温より少し温かいくらいになるようにしてください。
また、拭いている間に冷めてしまうので、最初に2枚一緒に温めておいて、1枚はポリ袋から出さず、冷めたら交換するのがオススメです。
毛が湿った状態のままだと体が冷えてしまいますので、最後は必ず乾いたタオルで全身を拭いてあげることを忘れないようにしてくださいね。
まとめ
抜け毛対策としてよくあげられるお風呂について、おさらいしてみましょう。
- 猫は本来お風呂に入らなくても大丈夫
- 人間と生活する上でお風呂が必要になった
- お風呂が難しくても、ブラッシングや濡れタオルでも十分
このように、猫にとってお風呂は必須ではないものの、お風呂に入れることで次のような効果があります。
- 抜け毛が一気に洗い流せるため、一時的ではあるがサッパリする
- 猫の毛に付着する猫アレルギー物質が減らせる(効果は2日ほど)
- 長毛種や高齢の猫など、毛づくろいが行き届かない猫の手助けになる
- 人間にとって気になる匂いや汚れが改善する
頻繁にお風呂にいれると、うるおいとなる皮脂を必要以上に落としてしまうため、多くても月に一回にしておきましょう。
そして、お風呂に入れるなら必ず覚えておいてほしい、猫の性質がこちら。
- 猫の皮膚に人間のシャンプーは強すぎるため、猫用シャンプーを使うこと
- 猫は汗での体温調節ができないため、お湯は34~37度くらいにすること
- 猫は聴覚が鋭く、ドライヤーやシャワーの音を嫌がることが多い
- 毛についた水分が蒸発する時に体温を奪っていくため、濡れたままでは体が冷えてしまう
また、お風呂が難しい場合は無理せず、こちらの方法で抜け毛対策をしてみてください。
- ブラッシング…毛の長さによるが理想は1日1回、換毛期は回数を増やす。最も効果が高く、負担も少ない
- 濡れタオルで拭く…抜け毛が湿ってタオルに付くため、サッパリと毛を落とせる。お風呂代わりとしても有効
お家の猫ちゃんに向いている抜け毛対策を選んで、飼い主さんにも猫ちゃんにもストレスが少ないことが一番です。
抜け毛が無くなることはありませんし、またどんなベテラン飼い主さんでも悩まされる問題です。