先日、友人の立派な一軒家にお邪魔した時のこと。
友人が言うには、猫ちゃんは最近保護した元野良猫で、家で飼い始めてから一度も外に出していないそう。
友人は猫ちゃんが外を眺めて鳴く姿を見るたび、心が痛むそうです。
うちは完全に室内飼いですので、友人のこの言葉がなければ猫の外飼いについて考えもしなかったと思います。
室内飼いが主流になってきている昨今、外飼いにはどんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
そして、敷地内の庭での外飼いであれば、外飼いのデメリットをカバーすることができるのでしょうか。
猫にとって一番幸せな生活様式とはどんなものなのか、考えるきっかけになるはず。
外へ出たがる猫にお困りの方、庭での外飼いを考えている方へ向けて、徹底解説いたします。
外飼いのメリットは?
完全室内飼いのわたしは知り得なかったことですが、外飼いにはいくつかのメリットがありました。
紹介していくにあたり、まず猫の外飼いの定義を説明しておきますね。
拠点は飼い主の家だが、猫が自由に外へ出られる状態。放し飼いとも言う。
飼い主の家の庭、敷地内のみで生活する飼い方。
それでは外飼いのメリットを、ひとつずつご紹介していきますね。
運動不足にならない
生活するのが家の中だけとなると、どうしても行動範囲が狭くなり運動不足になりがちです。
外で自由に動き回れるという点では、自分の行動範囲を広げて生活できるので自然と運動不足にはならないのです。
ストレスが溜まらない
猫は自由気ままな生き物というイメージがあるという方が多いのではないでしょうか。
自分の好きなように自由に動き回れる生活は、ストレスが溜まりやすい猫にとって気楽なものです。
外で思う存分遊んでストレスを解消し、お家でゆっくり眠るのです。
わたしも最近、コロナ禍で不要不急の外出を避けようと家ばかりに閉じこもっているとき、ストレスが溜まってゆううつな気分になる時がありました。
そんな時は、窓を開けて部屋の中に風を入れながら、ヨガをして体を動かしたりしてストレス解消をしていました。
外飼いのデメリットは?
続いて、外飼いのデメリットを紹介していきます。
事故に遭う可能性が高い
当たり前の話かもしれませんが、家の中より外の方が事故に遭う可能性が高いです。
実際、猫の死因の第2位は事故なんです。
1位、感染症
2位、事故
3位、泌尿器疾患
猫は、もし車の前に飛び出してしまっても車の大きな音にびっくりして動けず、とっさに引き返すことができないのです。
そういったことが、猫が交通事故に遭いやすい理由です。
感染症にかかる可能性が高い
猫がかかる感染症の代表格と言って良い、猫エイズや猫パルボウイルス感染症。
こちらは両方とも感染すると命に関わる感染症です。
そして、感染経路は室内よりも外の方がはるかに可能性が高いのです。
猫エイズ・・猫エイズに感染している猫とケンカをして噛まれる
猫パルボウイルス・・猫パルボウイルスに感染している猫の嘔吐物や下痢便に接触、空気感染
感染理由は上記の通りです。
猫に感染症対策としてワクチンを接種するご家庭が増えてきていますが、ワクチンを接種していても感染症にかかる可能性はゼロではないのです。
寄生虫に侵される可能性がある
猫に寄生するダニ、ノミは、家の中にも存在しますが外にもたくさん生息しています。
草や花などの植物や、犬など他の動物に寄生していることもあります。
ノミ、ダニは猫だけでなく、わたしたち人間にもさまざまな症状を引き起こす可能性があるんです。
ノミが引き起こす病気
- 皮膚炎・・ノミに刺された場所がアレルギー反応を起こし、皮膚の炎症や強いかゆみを引き起こす
- 貧血・・大量のノミに吸血されることで起きる
- ノミ刺咬症(しこうしょう)・・いわゆる虫刺されで、激しいかゆみと、ひどい場合水ぶくれができる。
- 猫ひっかき病・・ノミが猫から人へ感染させるバルトネラ菌という菌が原因で、発熱、傷口の化膿、リンパ節の腫れが起こる。
ダニが引き起こす病気
ダニは、たくさんの病原菌を媒介(橋渡しすること)します。
- 皮膚炎・・ダニに刺された場所がアレルギー反応を起こし、皮膚の炎症や強いかゆみを引き起こす
- 貧血・・大量のダニに吸血されることで起きる
- 猫ヘモプラズマ症・・ヘモプラズマという細菌をダニが媒介して感染し、発熱、貧血、元気消失などの症状が現れる
- ライム病・・発熱、食欲不振、皮膚疾患の症状が現れる感染症
- 日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)・・発熱、発疹などが見られる死亡する恐れもある感染症
ご近所とのトラブルの引き金となる可能性がある
わたしは岐阜県在住で、実家も岐阜にあるのですが、わたしが小さい頃は野良猫や放し飼いの猫がとても多かった記憶があります。
岐阜はどちらかというと田舎ですので、近所には畑や田んぼを所有しているお家が多くありました。
近所のおばあちゃん達が、井戸端会議を開いてたまに文句を言っているのを聞いたことがあります。
「うちの畑、また夜の間に猫に荒らされたよ!せっかく野菜が順調に育っとったのに」
「うちもやられた。野良猫なのか、あそこの家の飼い猫か分からんけど、困るねぇ」
近所の中で、猫は厄介者になってしまっていました。
他の家の庭に入り込んで育てている植物を荒らしたり、敷地内で排泄をしてしまったりと、これは現代や都会でも有り得ることです。
猫、またはペットを飼っていないご家庭ももちろんありますので、もし外から帰ってきて庭がめちゃくちゃになっているのを見たら、泥棒が入ったと勘違いし警察沙汰に、なんてことも有り得ます。
そうなれば、ご近所トラブルになることは確実です。
庭で飼うことで外飼いのデメリットをカバーできる?
確かに、家の敷地内であれば自動車が突っ込んでこない限り事故はありませんし、ご近所に迷惑をかけることもないと思うかもしれませんね。
結論からお伝えしますと、庭で飼うことで外飼いのデメリットをカバーすることはできません。
猫のジャンプ力は大体1m30cm〜1m50cm。
猫は体高(四つ足がついた状態で立った時の、地面から背中までの高さ)の5倍のジャンプ力がありますので、猫によっては2mを超える猫もいます。
庭の塀なんて軽々越えることができてしまいます。
それに、猫は狭いところを通ることが得意ですので、人間から見て「こんな狭いところは通れないだろう」と思ってもいとも簡単に通れてしまうのです。
庭にある細い隙間から、簡単に外へ出ることができてしまいます。
つまり、脱走するリスクが非常に高いということ。
脱走してしまっては外飼いのデメリットをカバーどころか、先ほどお伝えしたデメリットがすべて身に起こる可能性があります。
それどころか、脱走してしまった猫が戻ってこない可能性だってあるんです。
猫には帰巣本能(きそうほんのう。慣れ親しんだ家に帰ること)がありますが、
- 方向がわからなくなってしまった
- 車の多い大通りを越えてしまい、戻れなくなった
- 他の猫や犬などに追いかけられ、遠くに来てしまった
などの様々な原因で帰れなくなってしまう可能性があります。
実際に、迷い猫の数は非常に多いのです。
2019年度、保健所や動物愛護センターに引き取られた所有者不明(迷い猫含む)の猫は4万2939匹。
出典:環境省ホームページ
脱走してしまえば元も子もありません。
外飼いのデメリットと、脱走するリスクを考えて、もう一度考えてみていただきたいです。
外に出たがる場合はどうすればいい?
先ほど少し紹介しましたが、猫ちゃんがどうしても外に出たがる場合は、
- おもちゃなどで遊んであげる
- 窓から外の景色を見せる
- 窓を開けて外の空気を入れる
などの対処法を試してみてください。
飼い主さんと遊ぶことでストレス発散したり、空気が入れ替わることによって気分転換できて、猫ちゃんが「やっぱりお家が一番好き!」と感じてくれれば、外に出たがることがなくなることがあります。
猫が外に出たがっても、根気よく出さないことで、出たがることがなくなる可能性もあります。
という方に、こんな方法もあることを紹介したいのが、庭のリノベーションです。
出典:平成建設ブログ
建設会社に相談し、猫が脱走しないように庭をリノベーションする方法もあります。
決して簡単な方法ではないですが、猫が自由に、そして安全に暮らせますね。
まとめ
それではまとめに入ります。
- 運動不足にならない
- ストレスが溜まらない
- 事故に遭う可能性がある
- 感染症にかかる可能性がある
- 寄生虫に侵される可能性がある
- ご近所とのトラブルの引き金となる可能性がある
外飼いにはこのようなメリット、デメリットがあり、猫の安全を守るためどちらを選ぶべきか慎重に考える必要があります。
庭での外飼い=外飼いのデメリットを無くせるというのは間違い。
庭での外飼いは脱走の可能性が非常に高く、容易にやるべきではありません。
ただし、庭のリノベーションをし、猫の脱走を防止した場合であれば外飼いのデメリットはカバーできると言えます。
自分で施工するのは難しいため、建設会社などに相談するのが良いでしょう。
わたしは庭をリノベーションするにはお金もかかるし、何よりゆねが家の中の生活を気に入ってくれていると感じているのでこのまま室内飼いを続けます。
しかし、ご家庭の猫ちゃんにより様々だと思いますので、何を一番に優先するのか、じっくり考えてみてくださいね。