猫って、本当にいろんなものをよく舐めますよね。
うちのゆねも、自分の体を舐めたり、わたしの手を舐めたり、たまに猫用のおもちゃを舐めていたりと、本当によく舐めるんです。
各ご家庭で、いろんなものを舐める猫ちゃんがいるみたいですね。
皆さまきっと微笑ましく見守っているかと思うのですが、実は猫の舐める行為にはいろんな意味があるということをご存知ですか。
自分の体を舐める行為も、飼い主の体を舐める行為も、それぞれに違う意味があるのです。
そうなんです。猫は言葉を話さない分、舐める行為によってわたしたちに何かを訴えているのかもしれないんです。
この記事を読めば、猫の気持ちを見落とすことなくしっかりキャッチし、愛猫とのコミュニケーションが上手く取れさらに仲良くなることができますよ。
猫が自分の体を舐めている場合
まずは、猫が自分の体を舐めている意味を説明していきます。
猫を飼っている方なら、猫が自分の体を舐めている姿を頻繁に目にするのではないでしょうか。
この行動はいわゆる「毛づくろい」。
「グルーミング」とも言います。
「グルーミング」は、毛づくろいの意味でちゃんと伝わるくらい浸透してきた言葉ですね。
ではこのグルーミング、猫はどんな意味を持って行っているのでしょうか。
体を綺麗にしている
猫はとっても綺麗好き。
それは野生の頃からの名残で、自分のにおいで獲物に気づかれないようにするために、舐めることでにおいを消しているのです。
それから、猫に舐められたことがある方は分かると思うのですが、猫の舌はざらざらしています。
これは糸状乳頭(しじょうにゅうとう)という突起のようなものが猫の舌にたくさんあるためです。
この糸状乳頭が、猫の抜け毛や、ついてしまった汚れやほこりなどを絡め取っているのです。
体温調節をしている
猫は肉球以外から汗をかきません。(毛がない品種を除く)
ですので、暑い時、人間のように汗を書いて体を冷やすことができないのです。
そこで、グルーミングをすることによって体の表面から唾液を蒸発させ、気化熱を利用して体温を下げているのです。
逆に寒い時にはグルーミングをして被毛の中に空気を入れ込み、暖かさを逃さないようにします。
冬場でもゆねの被毛はふわふわで暖かいためつい触ってしまうのですが、一生懸命体を舐めて暖めていたんだなと思うととっても愛しいですよね。
リラックスするため
猫はとても敏感で繊細な生き物です。
猫のご飯を入れるお皿が変わったり、掃除機の大きな音を聞いただけでもストレスに感じてしまうことがあります。
不安や緊張、さまざまなことが原因でストレスを感じた時に、猫は体を舐めることで気持ちを落ち着かせているのです。
猫は小さい頃、母猫にたくさん体を舐めてもらいます。
それは体を清潔に保ったり、体温を調節するという意味もあるのですが、子猫は体をマッサージされているような感覚で、とても安心できるのです。
わたしも子供の頃、自分ではまだできないからと母親によく耳かきをしてもらった思い出があります。
本来の意図は耳掃除のはずですが、わたしはとても心地よくて、リラックスしてすぐ眠ってしまっていました。
きっと猫も同じ感覚で、母猫にしてもらった毛づくろいの感覚を覚えていて、自分で行う毛づくろいでもリラックスすることができるのでしょう。
猫同士で舐め合っている場合
複数の猫を飼っているおうちでは、目にすることがあるのではないでしょうか。
猫同士で行うグルーミングを、アログルーミングと言ったりもします。
では、猫同士で舐め合う行動にはどんな意味があるのでしょうか。
親和行動をとっている
猫にとって体を舐めることは、生きていく上でとても大切なことだとご説明しましたよね。
これを猫同士で行うということがあるのですが、実は猫同士の信頼関係がないと行わないんです。
先ほどわたしの耳かきの話をしましたが、信頼関係がないただの通りすがりの人に「耳かきして」だなんてお願いはしませんよね。
それと一緒で、親子やきょうだい、お家で一緒に住んでいる猫など、信頼関係がしっかり築けている猫同士で体を舐め合います。
これを猫の親和行動と言います。
アログルーミングや親和行動について詳しく書いたものがありますので、是非読んでみてくださいね。
飼い主の体を舐める場合
ゆねもよくわたしの手やら足やらを舐めてくるのですが、これにも意味があってのことなんです。
それではひとつずつご紹介していきますね。
愛情表現をしている
先ほど猫同士の親和行動についてご紹介しましたが、実はわたしたち飼い主にも親和行動をとってくれているのです。
猫と言葉を交わすことはできないけれど、猫は舐めることで愛情表現をしてくれているんですね。
わたしたちも愛情を返してあげるという意味で、猫の体を撫でてあげたり、優しくマッサージしてあげるとさらに信頼関係が深まりますよ。
頭や首、あごなどを優しく撫でてマッサージしてあげましょう。
普段自分で毛づくろいできないところを撫でてもらうと、猫の体の血流が促進され健康を維持することもできますよ。
においを消している
猫はにおいにとても敏感。
飼い主のあなたが外から家に帰ってきた時、いつもと違うにおいがすると不安に思ってしまいます。
ゆねはわたしの帰宅後にやたらと舐めてくるのですが、きっと外で染み付いたいろんなにおいが嫌で必死に舐めているんですね。
かまってほしいと伝えている
ゆねは夜、わたしが寝ている時に限って顔を舐めてくるんです。
皆さんも寝ている時に猫のざらざらした舌で起こされた経験、ありませんか。
猫の活動時間が夕暮れから明け方までなので仕方ないのですが、「暇だよ遊んで〜かまって〜」と飼い主を舐めて訴えているんです。
心配している
猫は気まぐれ、クールなイメージを持つ方も多いと思いますが、信頼した相手には舐めることで愛情を存分に現すなど、実はとても愛情深い生き物。
大好きな飼い主さんが暗い表情をしていたり、体調が悪そうにしていると、猫はすぐに気づきます。
そして、「大丈夫?元気出して」と舐めてくるんです。
- じっと見つめる
- あとをついて回る、すり寄ってくる
- くっついて寝転ぶ
猫が人間の表情や仕草を読み取って心配してくれるなんて、より一層愛情が増しますよね。
本当に、実の子供のように思ってしまいます。
物を舐めている場合
猫は好奇心旺盛な生き物ですので、家の中にあるいろんな物を見ると「これはなんだろう?」と噛んでみたり舐めてみたりします。
ちょっと舐めている程度なら興味本位で舐めている可能性が高いのですが、特定の物をずっと舐めているのを見ると、不思議に思いますよね。
例えば、
- 床、壁
- カーペット
- 毛布、クッション
などです。
このような物をずっと舐めている場合、どんな意味があるのでしょうか。
食べかすが落ちている
床やカーペットなどを執拗に舐めている場合、キャットフードの残りかすなどが落ちている可能性があります。
猫はとてもこだわりが強い生き物で、気に入ったご飯を一生食べ続けることができます。
その大好きなご飯が少しでも落ちていたりすると、そのにおいがなくなるまで舐め続けることもあるのです。
ですが、床にはエサ以外のほこりや小さなゴミが残っている場合もありますので、猫が一緒に食べてしまわないようにしっかり掃除をしてあげましょうね。
ミネラル不足
食べかすが落ちているわけでもないのに床を執拗に舐めている場合、ミネラル不足の可能性も考えられます。
ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛など、一度は聞いたことがあるであろう五大栄養素のひとつ。骨や血液中の赤血球などを構成し、体の機能を維持する働きを助ける。体内で作り出すことは不可能で、食べ物から摂取する必要がある。
はっきりとした根拠は分かっていないのですが、ミネラルのうちの一種ナトリウムは、食塩に多く含まれています。
夏、わたしたち人間が汗をかく時期、猫がよく肌を舐めてくることはありませんか。
汗は塩分が含まれていますので、そこからミネラルを補給しようとしているのだそうです。
そういった行動と同じ感覚で、床を舐めていると考えられています。
- 貧血
- 抜け毛
- (成長期の場合)発育の低下
- 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
- 筋肉のけいれん
ミネラルはキャットフードで補うほかありませんので、床を頻繁に舐めていてミネラル不足かもと思った場合、猫の食生活を見直してみてもいいですね。
ストレス
猫はとてもストレスを感じやすい生き物。
不安を感じたりびっくりしたりしてストレスを感じたとき、自分の体を舐めて心を落ち着かせようとすることは頻繁にあるのですが、代わりに床や壁などを舐める場合があります。
あまりに強いストレスを感じると床や壁をずっと舐め続けたり、自分の体を舐めすぎて皮膚炎を起こす可能性もあります。
これをウールサッキングといって、毛布やクッション、その他段ボールなどさまざまなものを舐めたりしゃぶったり、噛んだりする行動を延々と続けるようになる猫もいます。
その行動をしているうちに謝って物を食べてしまったりすることもありますので、放っておいていい状態ではありません。
この状態は常同障害(じょうどうしょうがい)と言えます。
不安障害のひとつ。強いストレスを継続的に感じていると、ストレス解消のために意味のない行動をずっと続ける。
猫の場合、ウールサッキング(特定のものを舐め続けたり、しゃぶり続けたりする)や、必要以上にグルーミングをずっと続けることが症状として挙げられる。
このような行動が見られた場合、病院に行って薬をもらうのも手ですが、根本の原因を突き止めなければ解決とは言えません。
室内飼いの猫ちゃんであればお家の中にストレスの原因があることがほとんどですので、原因を突き止めストレスをなくしてあげましょう。
まとめ
可愛らしい心情から、ちょっと心配になるような猫の舐める意味をご紹介しました。
それでは、まとめに入ります。
- 体を綺麗にしている
- 体温を調節している
- 自分をリラックスさせるため
猫が自分の体を舐める行動は毛づくろいのため。グルーミングとも言います。
- 信頼関係にある飼い主に愛情表現をしている
- いつもと違うにおいを消している
- かまってほしい、遊んでほしいアピール
- 飼い主の体調などを気遣い、心配している
わたしたちを舐めているのは、とても可愛らしい猫の気持ちからだったのですね。
猫同士の毛づくろいはアログルーミングと言い、親和行動(信頼関係にある猫同士の愛情表現)に当たる。
猫同士で舐め合っているのを見たら、仲良しなんだなと思って微笑ましく見守ることができますね。
- エサの食べかすが落ちていたり、匂いが残っていたりする
- ミネラルが不足しているので、補おうとしている
- ストレス
食べかすが落ちている場合きちんと掃除をしたり、ミネラル不足の場合はキャットフードの見直しが必要です。
最後のストレスは、ウールサッキング(執拗に舐め続けたりしゃぶり続けたりする不安障害)になってしまう可能性がありますので、猫のストレスとなっている原因を探し取り除く必要があります。
何気なく見ていた猫の舐める行動には、様々な意味があったことに驚いた方も多いのではないでしょうか。
猫の気持ちを知れば、気持ちを汲んだ行動がわたしたちにできますよね。
大切な猫ちゃんともっと仲良くなれるよう、願っております。