皆さんは、2019年の6月に犬や猫に対してマイクロチップ装着を義務付けることなどが盛り込まれた《改正動物愛護法》が成立したのをご存知でしょうか。
我が家のゆねには、マイクロチップはまだ装着していません。
しかし最近、周りの猫友からマイクロチップを装着したという話を聞くことが多くなりました。
マイクロチップの装着には手術が必要で,飼い主さんの中には、猫の体に負担がかかるのではないかと抵抗のあるかたもいると思います。
今回はマイクロチップとはどんなものなのか、過去に起こった災害を基にマイクロチップの重要性や装着することでのメリット、デメリットを紹介していきます。
マイクロチップとはどんなもの?
- 長さ8㎜~12㎜、直径2㎜程度
- 円筒形
- 犬や猫は首の後ろの皮下に注入する
- マイクロチップの耐久年数は30年程
- 電池不要
- アンテナとICを内蔵してある「電子タグ」タイプ
- 世界に1つだけの15桁の固有の数字でデータ管理される
- 「リーダー」と呼ばれる専用の読み取り機を使ってデータを読み込む
- ハムスターなど、小動物にも埋め込み可能
猫と飼い主の情報を登録できる
- IDナンバー
- 埋め込んだ日時
- 猫の名前
- 猫の種類
- 猫の性別
- 毛色
- 去勢避妊手術しているか
- 飼い主の名前
- 飼い主の住所、電話番号
- 獣医さんの情報
- 施設の情報
これらの情報はマイクロチップに登録後、AIPO(動物ID普及推進会議)というところに登録することで全国の獣医師や保健センターでデータが共有されます。
データ登録料の1000円の費用がかかります。
※お住いの自治体によって一部費用を助成してくれる場合があります。
マイクロチップは必ず装着しないといけないの?
「義務」といわれると「必ずしなければ」と受け取ってしまいますよね。
しかし、安心してください。
2019年の改正動物愛護法でマイクロチップ装着が義務づけられるのは、販売業者やブリーダーで、2022年の夏頃までに実際の義務化がスタートする予定です。
今、家族に迎えている猫については「努力義務」とされており、すぐにマイクロチップを装着しないといけないということではありませんので安心してください。
マイクロチップの重要性
マイクロチップの最大のメリットは、愛猫が飼い主さんと離れ離れになってしまったとしても、保護された場合、すぐに身元が判明することです。
まだわたしたちの記憶にも新しい、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震の際にも、迷子や事故などで飼い主と離れ離れになってしまい、飼い主不明のままの犬や猫たちもたくさんいました。
【東日本大震災の場合】
動物救援施設に保護収容されたペットのうち何らかの所有者明示等を装着していたのは犬 699 頭、猫 39 頭でした(ただし、自治体で把握しているもののみ)。
装着頭数 | 飼い主が判明した数 | |
(犬) 首輪のみ(迷子札なし) | 614 | 3 (0.5%) |
(犬) 迷子札 | 4 | 4 (100%) |
(犬) 鑑札、狂犬病予防注射済表※どちらか一方または両方 | 81 | 81 (100%) |
(犬) マイクロチップ | ※ | ※(0%) |
(猫) 首輪のみ(迷子札なし) | 39 | 0 (0%) |
(猫) 迷子札 | 0 | ― |
(猫) マイクロチップ | 0 | ― |
※マイクロチップを装着していたがAIPOに登録されていなかったので、飼い主が判明しなかった。
【参照】
環境省「東日本大震災におけるペットの被災概況」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2508c/01.pdf
【熊本地震の場合】
動物救護施設に保護収容された犬・猫のうち、何らかの所有者明示等を装着していたのは犬 368 頭、猫 13頭でした(ただし、自治体が把握できたもののみ)。
装着頭数 | 飼い主が判明した数 | |
(犬) 首輪のみ(迷子札なし) | 344 | 136(40%) |
(犬) 迷子札 | 1 | 1 (100%) |
(犬) 鑑札、狂犬病予防注射済表※どちらか一方または両方 | 16 | 15 (94%) |
(犬) マイクロチップ | 7 | 6 (86%) |
(猫) 首輪のみ(迷子札なし) | 13 | 3 |
(猫) 迷子札 | 0 | ー |
(猫) マイクロチップ | 0 | ー |
また、熊本県と熊本市が保護収容した、放浪状態のペット数は、両自治体合わせて犬が1094頭、猫が1405頭。
このうち、元の飼い主が見つかった頭数と返還できた頭数は、犬400頭、猫11頭ということもわかっています。
但しどちらの自治体も、保護収容と通常の捕獲との区別はしていませんでした。
【参照】
環境省「熊本地震におけるペットの被災概況 」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3003/01.pdf
わたしも初めて、このデータを見つけてみた時に、悲しい気持ちになるのと同時にマイクロチップの重要性を感じました。
そして、このような災害を通して重要性が改めて見直された結果、マイクロチップは年々普及が進んでいます。
【参照】
動物ID情報データベースシステム
https://www.aipo.jp/Login/Index?ReturnUrl=%2f
マイクロチップ装着のデメリットはある?
- 猫の盗難防止にはならない
- 個人情報漏洩の可能性はゼロではない
- 引っ越しした時、登録変更を行わなければいけない
- 拒否反応や破損事故はゼロではない
- マイクロチップ装着費用の負担
健康被害と副作用について
恐らく、飼い主さんの中には、電磁波などによる愛猫への健康被害がないか心配している方もいるのではないでしょうか。
しかし、日本獣医師会によると体内における影響は認められていませんし、レントゲンやCTスキャンも特に影響はないようです。
装着による副作用はあるの?
マイクロチップは壊れたりしない?
異物を体に埋め込むのですから、万が一の怪我も心配になりますね。
デメリットはもちろんありますが、それもしっかりと理解した上でマイクロチップの装着するのか選択する際、参考にしてくださいね。
【参照】
環境省「動物の愛護と適切な管理」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html
マイクロチップの装着費用は?いつから可能?
マイクロチップの装着は猫は生後4週間から可能といわれていますが、個体差がありますので獣医さんに相談してみましょう。
また、飼い主さん自身で器具を購入して装着することはできません。
医療行為にあたりますので、動物病院へ行き、獣医さんが専用のインジェクター(注入器)を使って体内に埋め込みます。
- 動物病院によって異なるが一般的に数千円~1万円程
- 情報登録に別途1000円、掛かる
- お住いの自治体によってはマイクロチップ推進事業として一部助成を行っているところもある。
ペット保険は使える?
マイクロチップ装着にかかる費用は保険から下りることは難しいですが、マイクロチップを装着しているペットは「保険料が安くなる」というメリットがあります。
まとめ
まず初めに、マイクロチップとはなにかを説明しました。
- 長さ8㎜~12㎜、直径2㎜程度
- 円筒形
- 犬や猫は首の後ろの皮下に注入する
- マイクロチップの耐久年数は30年程
- 電池不要
- アンテナとICを内蔵しており「電子タグ」タイプ
- 世界に1つだけの15桁の固有の数字でデータ管理される
- 「リーダー」と呼ばれる専用の読み取り機を使ってデータを読み込む
- ハムスターなどの小動物にも埋め込み可能
耐久年数は約30年で一度装着すれば、半永久的につかうことが出でき、数年ごとに取り換える等はしなくていいので、猫の体に負担がかかることはありません。
また、マイクロチップには次のような情報を登録することができます。
- IDナンバー
- 埋め込んだ日時
- 猫の名前
- 猫の種類
- 猫の性別
- 毛色
- 去勢避妊手術しているか
- 飼い主の名前
- 飼い主の住所、電話番号
- 獣医さんの情報
- 施設の情報
これらの情報はマイクロチップに登録後、AIPO(動物ID普及推進会議)というところに登録することで全国の獣医師や保健センターでデータが共有されます。
最近はペットショップ等で登録することもあるようですが、AIPOと違い、全国でデータ共有されるわけではないので、検索に時間がかかる場合がありますので登録するならAIPOをおすすめします。
マイクロチップの義務化については、わたしたち飼い主に対して、というより販売業者やブリーダーに対しての義務づけで2022年の夏頃までに義務化がスタートする予定だと紹介しました。
現在、飼われている猫ちゃんについては「努力義務」であり、すぐにマイクロチップを装着しなければいけないということではありませんので焦る必要はありません。
ただし、海外へ猫を連れて行く場合、マイクロチップを埋めておかないと持ち込めない国がありますので、注意して下さい。
また、過去に起こった災害を基に表を使ってマイクロチップの重要性を説明しました。
完全室内飼いをしていても突然の災害時に離れ離れになってしまうこともあります。
犬の場合は狂犬病の予防法に基づいて登録義務がありますが、猫はそのような登録義務がないため、いなくなった数が把握できないだけでなく飼い主のもとに帰れる猫は「ほぼゼロ」に近いこともわかりました。
このような災害を通してマイクロチップの重要性が改めて見直され、装着する猫の数も年々増えており、2021年7月1日の時点でマイクロチップに登録するデータベースには628,846件の猫たちが登録されています。
- 猫の盗難防止にはならない
- 個人情報漏洩の可能性はゼロではない
- 引っ越しした時、登録変更を行わなければいけない
- 拒否反応や破損事故はゼロではない
- マイクロチップ装着費用の負担
このデメリットを見ると、一部少し怖く感じますが、日本獣医師会によると体内における健康被害や影響は認められていませんし、レントゲンやCTスキャンも特に影響はないようです。
またマイクロチップの費用は、飼い主側の全額実費にはなりますが、動物病院によって費用額が異なったり、お住いの自治体によっては一部助成をおこなってくれるところもありますので、一度、お問合せしてみるといいでしょう。
わたしも、マイクロチップについて、とても興味があったので今回皆さんと改めて学べて楽しかったですし、お世話になっている動物病院に連絡してみようと思いました。