先日、友人のオス猫ちゃんが去勢手術を経験したそうなんですが、術後の経過について、すごくヒヤヒヤしたという話を聞きました。
少し血が滲むものの、当事者の猫自身はとても元気そうだったので、様子を見て次の日病院で診てもらったところ、やはり大事には至っておらず一安心。
ただ、術後の夜は心配で全然眠れなかったらしく、次の日ものすごい寝不足になったと言っていました。
友人の話を聞いて感じたことは、去勢手術後の経過について不安を抱えている飼い主さんって、実は多いんじゃないかということ。おそらくどの飼い主さんにとっても、猫の去勢手術は「初めての手術」になる人が多いと思うんです。
今回は、そんな飼い主さんに向けて、友人が体験したヒヤヒヤした「傷口の出血」の話から、去勢手術後に気を付けるべきポイントなどをまとめました。
今まさに去勢手術後で、出血が見られたり傷口の経過が不安だという人はぜひ参考にしてみてください。また、これから去勢手術を受けるという人に向けて、最後に去勢手術の流れやメリット・デメリットをまとめています。
猫の去勢手術後に出血が…!
去勢手術を終えて帰宅後、家で傷口から出血が見られた場合
愛猫が心配なあまり、パニックになってしまうと思いますが、対処としては二通りです。
- 動物病院へ連絡する
- 猫が傷口に触れないように様子を見る
順番に説明していきますね。
1.動物病院へ連絡する
まずは慌てずに、病院へ連絡する前に次のことを確認してください。
- 出血・傷の様子…血の量、傷口の状態 など
- 猫の様子…ぐったりしている、呼吸が荒い など
やはり、傷口の出血は専門医に診てもらうのが一番安心と言えます。電話が繋がったら、確認した猫の様子などをきちんと説明しましょう。
もし夜中などの場合で、係りつけの動物病院と連絡が取れない場合は、夜間診療可能な動物病院もあるので探してみてください。
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これから去勢手術を控えているという飼い主さんは、緊急事態に備え、事前にお医者さんに緊急時の連絡先を聞いておきましょう。また、夜間診察をしている病院も、事前に調べておくと安心ですね。
次のような場合は、迷わずにすぐに係りつけの動物病院へ連絡しましょう。
- 明らかに傷口がぱっくり割れている
- 異常に流血している(血が垂れ流れている)
出血の度合いや猫の体調については個体差があるため、迷った場合は病院に連絡をおすすめします。
2.猫が傷口に触れないように様子を見る
傷口からの出血の原因は主に、「猫が傷口を舐めてしまった」場合によく起きます。これは、体にできた傷は舐めて治そうとする猫の本能だから仕方のないことなんです。
そのため、猫の術後は傷を舐めたり引っ掻いたりしないように、エリザベスカラーが渡されます。
しかし、オス猫の去勢手術の傷跡は医療技術の進歩に伴い、最近ではとても小さい傷のため、猫のストレスにもなるエリザベスカラーはあえて渡さない病院も多いんだそう。
エリザベスカラーが無ければ、傷口を舐めないように飼い主さんが目を光らせて見張るしかありません。しつこくペロペロするようならば、「ダメだよ」と制してあげてください。
傷口に触れないことで、出血が止まる場合もあります。
ただ、猫の去勢後の出血ってとっても心配になりますが、手術前にあらかじめ「出血することもあります」といったお話をされる獣医師さんもいるぐらい、実は去勢手術後の出血はあまり珍しくないケースなんだそう。
一体どういうことか、次の項目で説明します。
猫の去勢手術は傷口が開いたまま?
基本的には、手術というと傷口を縫って完了となりますが、オス猫の去勢手術の場合はほとんどの場合が、”縫って完了”しません。
オス猫の手術法は”オープンメソッド方式”
【オープンメソッド方式とは】
術後、傷口を縫わずに自然治癒によって皮膚をくっつける方法
オープンメソッド方式の反対で”クローズドメソッド方式”というのがありますが、こちらは皮膚を糸で縫う方法を指します。実は、オス猫の去勢手術はどちらの方法をとっても、治癒期間は変わらないことが実証済みです。
また、特にオス猫は陰嚢(いんのう)を糸で縫うことによって、猫がストレスに感じて余計に舐めたり引っ掻いたりする場合も。抜糸の時も、体への負担になりやすいです。
こういった危険や負担をできるだけ無くすためにも、自然治癒の力で皮膚をくっつけるやり方を取っている動物病院がほとんどだと言われています。
縫っていないということは、傷口が「最初から開いている」のと同じこと。「少量の出血であれば、心配しないでください」といったお話が獣医さんからされるのも、このためだったんです。
なので、傷口が出血しているからといってすぐに緊急事態と捉えるのではなく、獣医さんからの説明をよく思い出してみてください。
また、術後は化膿止めの注射をしてくれている場合がほとんどですので、猫が傷口をそこまでしつこく舐めなければ大丈夫。傷口は約一週間かけて、くっついていきます。
手術方法は動物病院によって異なります。手術前に、どんな方法で去勢手術を行うのか確認し、術後の注意点も必ず聞くようにしましょう。そして、忘れないようにメモを取ることをおすすめします。
ちなみに友人の猫も、この傷口を縫わない方式で手術が行われたそうです。術後の説明で、「化膿止めを打ちました」「食欲があれば大丈夫」というお医者さんの説明によって、傷口を心配しつつも、一晩様子を見ようと決めたみたいです。
傷口が開くのを防ぐために
できるだけ傷口が開くのを防ぐためにも、術後に気を付けてほしいポイントをまとめました。
- 激しい運動をさせない
- ストレスを与えないようにする
- お薬が出ている場合はきちんと飲ませる
1.激しい運動をさせない
手術の後は、猫も体力を消費するためぐったりしていることが多いでしょう。そんな状態で、おもちゃなどを使って遊んだり激しい運動を無理にさせてしまうと、傷口が塞がりにくくなったり、出血する可能性が高くなります。
小さなお子さんのいるおうちは、特に気を付けてあげましょう。
2.ストレスを与えないようにする
手術は猫にとって、いつもと違う環境で何が起こっているのか分からず強いストレスになります。
帰宅後は、できるだけストレスがかからないようにそっとしておいてあげましょう。
多頭飼いをしている家は、他の猫が傷口をグルーミング(毛づくろい)してしまう可能性もあるため、傷口が安定するまで生活環境を分けてあげるなど対策が必要です。
特にエリザベスカラーを付けて帰ると、他の猫が驚いて威嚇するという場合も。
3.お薬が出ている場合はきちんと飲ませる
病院によっては、術後に抗生剤が処方されるところもあるため、もらったお薬は病院の説明通りに飲ませるようにしてください。お薬が出ているということは、きちんと飲ませないと傷口の治りが悪くなる危険性も。
抗生剤が処方されない病院もあるため、必ずしも抗生剤がないといけないというわけではありません。心配であれば獣医師にその都度確認すること。
また、ほとんどが、去勢手術の当日は麻酔の影響を考えて、食事は抜いてくださいと言われるところが多いです。食事や水を飲み始めるタイミングも、手術する時間によって変わってくるため、術後の説明をきちんと聞きましょう。
去勢手術は必要なのか?
そもそも、去勢手術は必要なのか、これから猫の去勢手術を考えているという人にとっては大きな悩みどころですよね。そこで、去勢手術について改めてまとめてみました。
去勢手術のメリット・デメリット
オス猫に行われる去勢手術とは、猫の精巣を取り出して望まない繁殖を防ぐという手術です。
最近では去勢手術は猫の「問題行動」を防ぐのにも有効として、おすすめされていますが、「問題行動」とは一体なんなのか。メリット・デメリットについて見ていきます。
メリット
- 猫の「問題行動」を防げる
- 病気の予防になる
- 望まない繁殖を避けられる
【猫の問題行動とは?】
発情期のメス猫に会うと、メス猫のフェロモンに刺激されて大きな声で鳴いたり、あちこちにオシッコをかけたりマーキングを行う。
室内飼いの場合はそもそもメス猫に会うチャンスが少ないことから、性的な欲求不満が蓄積し、ストレスが溜まってしまう原因に。
また、病気の予防については猫免疫不全ウィルス感染症・前立腺の病気・精巣腫瘍などを避けることができます。
猫の感染症は、他の猫とケンカをした際に噛まれた傷口から感染するケースが多いと言われています。去勢することで、ホルモンバランスが変わり性格が穏やかになることから、猫同士のケンカを防ごうという狙いで、去勢手術を受けさせる人も多いんだとか。
そして何よりも、望まない繁殖が避けられる。子猫が増えても、責任を持って育ててくれる飼い主さんに出会えなければ、猫にとって幸せなこととは言えません。
デメリット
- 全身麻酔というリスク
- 太りやすくなる
- 繁殖できなくなる
手術時間はおよそ20分~30分ほどですが、全身麻酔を使って行います。麻酔の技術も日々進歩しているため、麻酔による事故はほとんどありませんが、それでも小さな身体の猫にとっては大きな負担に。
気になる場合は、係りつけの病院で納得のいくまで質問をしてみてください。そうすると、手術前の不安が少しでも軽減されますよ。
また、去勢手術を行うと猫は太りやすくなると言われています。
【去勢手術後に太りやすくなる理由】
精巣がなくなり、ホルモンバランスが変化すること・代謝が落ちることにより太りやすくなってしまう。
わたしの友人もこのように、去勢後の猫の肥満に悩んでいたんですが、去勢後に適したキャットフードの量を考えなおしてあげることで改善したようです。
そして、子猫がほしいという飼い主さんにとっては最大のデメリットとなるのが「繁殖できなくなる」ではないでしょうか。
去勢をしてしまうと、もちろんもう二度と赤ちゃん猫を授かることはできません。子猫を望んでいるのであれば、去勢するタイミングなどについては計画的に考えてあげましょう。
去勢手術をするタイミング
オス猫の場合は一般的に、生後6か月~7か月くらいで性成熟すると言われているため、生後6か月頃から去勢手術が可能です。また、手術を受けるにあたり体重は2kg以上が望ましいでしょう。
去勢手術を行える条件
- 生後6か月から
- 体重2kg以上
生後6か月を過ぎると、猫の性成熟も終わり体重も安定してきますが、反対に生後6か月未満での去勢手術は危険です。
猫の体がまだ未熟な状態で去勢手術を行ってしまうと、猫の成長を妨げたり、手術時に麻酔の負担に体が耐えられなくなってしまうことも。
去勢手術の流れ
去勢手術の流れを、わたしの友人から聞いた話をもとにご紹介します。
手術前 | ・身体検査(問診・触診など) ・手術の詳しい説明 |
手術前日 | ・手術前日は基本的に絶食 ※手術を受ける時間によって、絶食を始める時間などは変わるため獣医さんの指示通りにしましょう。 |
手術当日 病院 | ・病院へ行く ※猫用のネットに入れて病院へ連れていくと、怖がって逃げ出すのを防げますよ。 ・術前検査を受ける(当日の体調など) ・手術を受ける(手術時間目安:20分~30分) ・麻酔からの覚醒に問題なければ当日帰宅 |
手術当日 帰宅後 | ・水や食事は獣医さんの指示に従う ・ストレスを与えずに安静にさせる |
手術当日~一週間 | ・水・食事のペースが元に戻る ・傷がふさがる |
※横スクロール可
細かい部分などは、動物病院によって多少異なりますが、おおよその流れは表の通りです。これから去勢手術を考えている飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
また、表の中でご紹介した「猫用のネット」というのが、こちら。
通院以外にも、爪切りの時やシャンプーの時など、猫が暴れてしまいがちな時に使えるので、「元気いっぱいすぎて、たまに大変だな」という飼い主さんには一つあると便利なアイテムです。
こんな可愛い柄のネットも売ってますよ。
まとめ
猫の去勢手術後に出血がある場合
- 動物病院へ連絡する
- 猫が傷口に触れないように様子を見る
そして、次のような症状が見られる場合は迷わずに動物病院へ連絡してください。
- 明らかに傷口がぱっくり割れている
- 異常に流血している(血が垂れ流れている)
術後、傷口が開くのを防ぐために気を付けるポイント3つ
- 激しい運動をさせない
- ストレスを与えないようにする
- お薬が出ている場合はきちんと飲ませる
猫が生後6か月を過ぎ、体重が2kg超えると去勢手術を受けることが可能です。去勢手術をこれから考えているという飼い主さんは、それまでに本文に記載のメリット・デメリットをきちんと知った上で、猫ちゃんにとってどうしてあげるべきか考えてみてください。
この記事が、去勢手術や手術後の経過について、猫ちゃんと飼い主さんの不安を少しでも軽くできる記事になれば嬉しいです。