と報告してくれたのは、半年前に猫を飼い始めたわたしの友人。
この友人のように、掃除中に猫のひげが落ちていることに気付くってたまにあるんです。
わたしは落ちているひげを見ると、幼いころの祖母に言われたことを思い出してドキッとしてしまいます。
「猫のひげは大切なものだから、決して切ってはいけないよ。もし切ってひげがなくなってしまったら、感覚を失ってしまい踊り狂って死んじゃうからね」
それを聞いたわたしは、当時飼っていた「みゅう」のひげが落ちているのを発見して「みゅうが踊り狂って死んじゃう」と大泣きしてしまいました。
ハサミを使い始めたわたしが飼い猫にいたずらしないようにと、注意するためのお話でしたが、今でも少しトラウマです。
実際に「踊り狂って死んでしまう」ということはありませんが、もし大量に落ちているのをみつけたらちょっと待ってください。
原因の中には体の不調という場合もあるんですよ。
そのまま放置しておくと祖母の話のように、取り返しのつかないことになってしまうことも。
猫からの大切な体調に関するメッセージを見逃さないために、今回はひげの役割や抜ける原因についてご紹介いたします。
ひげの役割
まずは、ひげの役割についてご説明しますね。
この猫のひげ、猫にはなくてはならないものなんですよ。
それではそんなひげの役割をみてみましょう。
- 獲物との距離を測る
- 空間認識能力
- 平行感覚を保つ
- 猫自身が通れる隙間なのかを測る
- 感情の表現
たしかにこの役割を見てみると、あの猫たちの滑(なめ)らかな動きはひげのおかげなのでしょうと思えてきますよね。
このように猫が生活するうえでとても大切な役割を担っています。
猫のひげは5種類
猫が生活する上で大切なひげは5種類あります。
ひげの名前と特徴
【眉上毛(びじょうもう)】
目の上に生えている長いひげで、目や頭の上の危険を察知する役目。
【頬骨毛(きょうこつもう)】
目の横に少しだけ生えているひげのことで、顔の横の危険を察知する役目。重要な役割はないといわれていて、生えていない猫もいる。
【上唇毛(じょうしんもう)】
鼻の横にあるぷくっとした部分(別名:猫のひげ袋)から生えているひげで、猫のトレードマークのひげ。「体よりも先に危険を察知する」「狭い場所に自分が入ることができるかを測る」「感情表現」などの役割がある。
【口角毛(こうかくもう)】
上唇毛の上に1,2本短く生えているひげで、顔の横の危機を察知する役目。ひげの中で一番抜けやすく、口角毛がない猫もいる。
【下唇毛(かしんもう)】
顎の下に生えている毛で、顎下や喉の危険を察知する役目。
猫にとって、周囲の微妙な空気の変化を見逃さないことが自分の身を守る最大の手段。
すぐに周りの変化に気付くため、360°顔の周りを囲むようにひげが生えているのです。
敵がきたときに素早く警戒態勢をとることや、暗闇でも活動できるのは、顔周りについているひげのおかげなんですよ。
【ひげはまだあった!?】
5種類とご紹介しましたがこれは顔周りのひげだけ数えた場合で、実際は6種類あるんですよ。
前脚を一度見てみください。
小さい突起物(手根球(しゅこんきゅう))の上に、長い毛が2~3本生えています。
このひげも仲間になるんです。
現段階では、どんな役割をしているのかはわかっていませんが、暗闇を歩く時に障害物を察知するために使われているとも言われています。
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を読んでみてくださいね
関連記事:【猫はひげで感情がわかる!】飼い主との距離が縮まる表現方法大公開
ひげが抜ける2つのパターン
ではひげが抜ける原因についてお話していく前に、猫のひげが抜けるには2パターンあることをお話したいと思います。
【ひげの抜け方2パターン】
- 生え替わりである正しい周期に抜けるパターン
- それ以外の時に抜ける注意したい抜け方のパターン
関連記事:【猫の毛の秘密】驚きの本数や被毛の構造についても詳しく解説!
正しい周期でひげが抜けるのは問題ない
猫が生活する上でとても大切な役割を持っているひげは、体毛みたいに簡単には抜けることはありません。
しかし、ひげも新しいものに生え替わります。
つまり『ひげは自然に抜けるもの』ということですね。
ひげ1本の生え変わる周期は半年と言われていて、1カ月で1~2本抜けるのは許容範囲といえます。
この生え替わりのときに、ひげがなくなってしまうと大変なことになってしまいます。
ひげがないという期間ができないように、新しいひげが生えてから古いひげが抜けるような仕組みになっています。
生え変わりの時は新旧のひげが混在して、立派になったと見えるんですよ。
【猫のひげの生え替わり】
- 猫のひげは半年周期で入れ替わる
- 月1~2本は許容範囲
- ひげの不足がないように、新しいひげが生えてから抜け落ちる
ぼうちゃんの言うとおりで、猫の歯の生え替わりも新旧が混在します。
こちらの記事で紹介しているので、興味があるという方はお読みください。
関連記事:猫の歯の生え変わり時期の症状3つ以外にも!お悩み全部まとめました
https://www.shiawasegift.com/neko-ha-haekawari/
注意したいひげの抜け方
ひげが抜けるのは自然なことと説明しましたが、それも抜けるサイクルに当てはまっているものの場合。
ではここで猫のひげの異常な抜け方について説明していきたいと思います。
もし、次のようなひげの抜け方をしていたら注意をしてください。
【注意が必要なひげの抜け方】
- 抜けるスパンが短すぎる
- 1回に抜ける量が多い
- 左右のひげの量が違う
このような抜け方をしていた場合、次のような原因が考えられます。
【自然なサイクル以外でひげが抜ける3つの原因】
- ケガ
- ストレス
- 病気
それではひとつずつご説明していきますね。
【原因1】ケガ
ケガをすることで、ひげが抜けてしまうことがあるんですよ。こちらの表にまとめましたので、ご覧ください。
原 因 | ケンカをする・じゃれ合う |
---|---|
対処方法 |
|
外へお出かけをする猫や多頭飼いの猫の場合、ケンカやじゃれ合いをするので、ひげが抜けたり折れたりしてしまうことがあります。
中には1匹でもよくケガをして、ひげが抜けたり折れたりしてしまう猫もいるんですよ。
一番考えられる原因は、家具にぶつかったりしている可能性です。
『たろうちゃんのお友達談』
たろうちゃんのお友達猫の飼い主さんによると、1歳だった時によくひげが折れていたので病気を疑って検査をしてもらったようなのですが、悪いところはみつからなかったんです。
獣医師さんより「家で行動を見察してみてください」と言われて改めて行動をみてみることに。
観察を始めて分かったのですが、高い所に飛び乗るときにジャンプの高さが足りずに顔をぶつけていたとのこと。
ひげが折れたのはこれが原因だったんです。
でも異常がなく、獣医師さんに「飛び乗ることに対して経験不足で距離が測れていない」または「運動が苦手な猫」と診断をもらったと言っていました。
家具の配置などを工夫をして対策しましたが、2歳になった今でも10回に1回はジャンプを失敗してずり落ちているとのことですよ。
ケガの場合は、原因を追究して改善してあげることが大切になってきます。
【原因2】ストレス
猫はストレスを抱えやすい動物。ストレスがひげが抜ける原因となることも。
原 因 | 「新しい猫が家にきた」「引っ越しをした」など環境の変化・身体的に嫌なことがあるなど |
---|---|
対処方法 | 環境の変化や飼い主さんとのスキンシップなどストレスの原因がないかを考えて、早急に取り除いてあげます |
ストレスをためてしまうと、白血球の数が少なくなり免疫力が低下していまい、他の病気を引き起こしてしまう可能性もでてきます。
ストレスフリーの生活を目指してあげるのが、一番のお薬ですよ。
『猫友体験談』
数年前、猫友から新しい猫を迎えたと同時に、先住猫のひげが大量に抜けてしまったという話を聞いたことがありました。
猫ちゃんの見た目は「立派なひげが、落ち着いた気がする」と感じる程度で、猫友はひげが大量に抜けていると気がつかなかったと言っていました。
気付いたのは掃除中で、大小10本以上のひげを発見して「おかしい」と思って、病院へ連れていったんです。
血液検査をすると白血球数が少なく、先生から言われた結果は「ストレス」。
その後新しい猫との生活の見直しをし、今では立派なひげを生やしています。
ですが、これがきっかけで新しい猫ちゃんとの関係も良好になり、ますます猫たちを大切にしてあげなきゃという意識も持てたと話してました
猫友がこのときに感じたこととして、
- こまめに部屋を掃除をすること
- 掃除したゴミにひげが混じっていないか、確認すること
- 日ごろの体調管理と一緒にひげの観察もしておく
- 人間が気にしないことでも、ストレスになる可能性があるとわかっておく
の4つが、早く発見するために必要じゃないかなと言っていました。
関連記事:先住猫の威嚇はいつまで続くの?期間が長引く理由と相性を徹底解説
おすすめのお皿もたくさんあるから、一度みてほしいんだにゃ
関連記事:猫が食べやすいお皿!【おすすめ11選】食事トラブルも解決!
【原因3】病気の可能性
ストレスを改善するために対策をしても、ひげが大量に抜けているなら「猫ざそう(猫ニキビ)」や「猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)」の病気にかかっているかもしれません。
猫ざそう(猫ニキビ)
原 因 | 食べカスや水分などが皮膚に残り炎症をおこしている。ニキビダニ症(毛包虫症)が寄生している場合もある |
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対処法 | タオルなど、きれいに拭いてあげる。症状が中度になった場合は、動物病院で薬をもらう |
一度飼い猫の顎の下や口角・唇をチェックしてみてください。
黒くポツポツしたものがあったら、「猫ざそう」です。
皮膚に食べカスや水分が残ってしまったため、炎症を起こしてる状態になっています。
猫って自分で顔も洗うから気にしてなかったけど、ちゃんと見てあげる必要があるのね。
程度によりますが、ひげが抜けてしまっている場合や赤くただれていたり、悪化しているなとかんじた時には動物病院を受診するようにしましょう。
重症度 | 症状 | 対処法 |
軽度 |
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タオルなどで拭くようにして、清潔を保ってあげる |
中度 |
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動物病院を受診する |
重度 |
|
動物病院を受診する |
猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
原 因 | 猫エイズが陽性である、あるいは陽性の可能性がある猫とケンカをすることや、唾液や排泄物などの接触で感染 対処法 |
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対処方法 | 【発症前】ワクチン接種をうける
【発症後】明確な治療法がないため、対処法・免疫力をあげる・症状を和らげることを行っていく。 |
特に外へお出かけする猫が、頻繁にひげが抜ける時は猫エイズにかかっている可能性を疑います。
【猫エイズとは】
感染により発症し免疫力が低下することによって、抵抗力がなくなり、口内炎・下痢などさまざまな症状がでる病気のこと。
免疫力が低下していくなかで、皮膚炎などの病気が併発してしまったときに、ひげが抜けてしまいます。
猫エイズが発症してしまうと、根本的な治療法はなく「下痢になったら、下痢に対する処置をする」といった対症療法になってしまいます。
「感染」から「急性期」「無症状キャリア期」へと進み「エイズ発症期発症」というようになっていくから進行していくんだにゃ
【猫のひげが抜ける4つ理由】
- 正しい生え替わりの周期だった
- ケガをした
- ストレス
- 病気の可能性(猫ざそう・猫エイズ)
次は抜ける以外のひげ問題について説明していきたいと思います。
抜ける以外のひげ問題
猫のひげが抜ける原因として、自然なサイクルでも抜けることや、異常な抜け方の場合はストレスや病気が挙げられることはわかりましたね。
飼い主さん達の猫のひげ問題は抜ける以外にもあるんです。
ちょっと寄り道して説明しますね。
問題その1、猫のひげが切れる
猫のひげが切れることもじつはよくあること。
猫のひげが切れるには原因が3つあります。
【ひげが切れる3つの原因】
- 自然に切れた
- 他の猫に噛まれた
- ケンカ
猫のひげも人の髪の毛のように、生活している中で自然に切れてしまうことがあります。
これは多頭飼いの場合ではよく見られます。
母猫が子猫の場合、子猫が遠くに行かないように、センサーであるひげを切ってしまうんです。
他にもグルーミングしてあげている時なんかに、やり過ぎてしまったり、目の前に動くものがあるとついついじゃれたりすることで、ひげが切れてしまうことがあります。
ケンカの場合も同じように他の猫と接触することで切れてしまうことがあるんですね。
問題その2、ひげに枝毛が出来る
次はひげに枝毛が出来てしまう場合です。
枝毛とは・・
毛がダメージを受けたときに起こり、縦方向に裂けて枝分かれしたようになってしまった状態。
まずは写真をご覧ください。
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出展:Instagram
このようにひげに枝毛がみられるんです。
猫のひげが枝毛になる原因は次の2つが考えられますよ。
【枝毛の原因】
- 顔の毛づくろい
- 顔をすりすり
わたしたちの髪の毛もダメージを与えていると枝毛になりますよね。
猫のひげも同じです。
猫はとってもきれい好き。自分で毛づくろいをしてお顔もきれいにします。
それに飼い主に自分の匂いを付けたり、甘えたりするときに顔をすりすりしますよね。
このときにひげに負担をかけてしまい枝毛が出来てしまうんです。
興味のあるかたは愛猫のひげをチェックです♪
まとめ
今回は猫のひげが抜けてしまったときの原因について、ご紹介しました。
【ひげの役割】
- 獲物との距離を測る
- 空間認識能力
- 平行感覚を保つ
- 猫自身が通れる隙間なのかを測る
- 感情の表現
【猫のひげについてのまとめ】
- ひげは5種類
- ひげの生え変わる周期は「半年に1回」
- 生え替わる際は新旧が混在する
そんな猫にとってなくてはならないひげが抜ける理由はこちらでした。
【猫のひげが抜ける理由】
- 正しい生え替わりの周期だった
- ケガをした
- ストレス
- 病気の可能性(猫ざそう・猫エイズ)
猫にとって「第3の目」ともいえる大切なひげが抜けてしまわないように、飼い主さんがストレスや病気などいち早く気づいてあげたいですね。
大切にとっておくのもいいですね