ゴロゴロとまったり中の飼い猫ちゃんが「これでもか?!」というくらい大きなあくびをした時、口の中をのぞいてしまいませんか。
わたしは歯科衛生士をしているからなのか、ついつい見て口の中を見てしまいます。
あなたもぜひ口の中をしっかりチェックしてみてください。愛猫の歯に黒いものがみえたり、茶色や黄ばみ、出血がありませんか。もし、それが見えてしまったら要注意です。
実は猫ちゃんの歯にトラブルが起こっているのかもしれません。
そんなことないんです。実は、人間と同じく猫ちゃんも歯のトラブルが発生します。
そのまま放置してしまうと、歯が抜けてしまったり、手術並みの治療になってしまい痛い思いをさせてしまいます。
かわいい歯のまま、老猫になっても自分の歯でおいしくご飯が食べられる人生を送ってほしいですよね。
未然に歯のトラブルを防ぐにはどうすればいいのか。猫ちゃんの歯について詳しく説明していきます。
猫の歯について
猫の歯って小さくてとってもかわいいですよね。時々みえる鋭い牙もわたしにとってはすてきなチャームポイント。
だけどご存じでしたか。猫の歯のトラブルは様々ありますが、虫歯にはならないんです。
猫が虫歯にならない歯の構造を、説明していきます。
猫が虫歯にならないのはどうして
ネコ科の動物は、肉を引きちぎる事で歯の表面の汚れを飲み込みます。口の中に食べ物が残りにくいように、歯の形状が「ハサミ型」になっているため歯垢が付着しにくく、虫歯にならないと言われていてます。
猫だけではなく、野生動物は虫歯ができません。
自然の食べ物をあまり調理せずにそのまま食べてることにより、歯に食べ残りが付着しにくく歯垢ができる事がないからです。
猫の歯のトラブルの原因
一番の原因は、歯垢・歯石が付きやすい食生活になってしまった事です。
飼い猫は野生の時とは異なり主食がキャットフードになっています。一般的に細かく柔らかいので、肉食だけに比べ食べ物が歯に残りやすく、歯垢・歯石の付着率を上げているのです。
虫歯ではないからと言って、歯垢と歯石をこのまま放置していると、「歯周病」「歯肉炎」「歯槽膿漏」「歯根吸収」「口内炎」と口の中のトラブルにつながってしまいます。
口の中をチェックしてみましょう
チェック項目
歯のトラブルの事を知ってしまうと、飼い猫の歯が今どうなってるか心配ですよね。リラックスしている時を狙ってチェックしてみましょう。
- 歯の色はどうなっていますか
- 歯と歯茎の間はどうなっていますか
必ずチェックしてほしい歯は奥の「臼歯」。歯垢や歯石が一番たまる場所です。
猫の口角をしっかりあげないと確認できないので少し勇気がいりますが、しっかりみてくださいね。
嫌がるようだったら、決して無理はしないでくださいね。
チェックの結果
改めて歯をチェックしてみるといろいろと気づくことがあります。次の表で確認してみましょう。
黒い点や線がある | 歯の表面に食べ物の汚れや色素が付着した状態。歯茎や歯の付け根が黒くなっていたら、重度の歯周病の可能性も。 |
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茶色い・黄ばみがある | 食べ物の汚れがたまってしまい、歯石になってしまった状態。このまま放置していくと、口の中のトラブルに発展します。 |
赤くなっている | 歯茎や歯茎のふちが赤い場合は、口内炎や歯周病になっている可能性あり。
「歯茎以外にも赤くなっている」「赤くなっている所が盛り上がっている」などの症状があれば、口内炎が慢性に進行しているかも。動物病院へ受診へいきましょう。 |
血が出ている | 生後11週齢頃(約3カ月)~25週齢頃(約6カ月月)の猫の場合は永久歯に生え変わる時期なので心配不要。成猫(1歳以上)で歯茎から出血している場合は、重度の歯周病の可能性あり。動物病院に受診へ行きましょう。 |
歯の表面に黒い点や線、茶色い・黄ばみがある状態はそのままにしておくのは厳禁です。普段から予防接種などで動物病院で受診する際には、定期的に一緒に診てもらうようにしてくださいね。
また、このような症状があったら口腔内の病気になっている可能性があります。すぐに、動物病院へ受診へいきましょう。
- 口臭がきつい
- 口の周りがよだれでベトベトになっている
- 食欲が低下している
- 元気はあるか
- 顔や口周りを触られるのを嫌がる
- 顔が急に腫れてきた
- 口をよく触り前脚の先がぬれている
- ぐらぐらしたり、抜けそうな歯がある
口のトラブル予防方法
もし治療で歯石除去するとなった場合、処置中に暴れだす危険性を考慮して、全身麻酔をかけてから行います。腎臓などに負担をかけてしまうため、頻繫に行うことはできません。
愛猫に負担をかけないためにも、予防策を打つことで口腔内のトラブルが回避できます。ポイントは歯に付着している食べ物が歯垢に変わる前と、歯垢が歯石に変わるまでの間。
今回は代表的な予防方法を3つご紹介いたします。
1.歯ブラシをする
一番効果的なのは、毎日歯ブラシをしてあげる事です。さまざまな種類がラインアップしているので、飼い猫に合うお好みの歯ブラシや歯磨き粉を探してみましょう。
2.キャットフードを変えてみる
歯垢・歯石ケアができるキャットフードは、よく噛む事によってブラッシング効果を促しています。そのために、一般のキャットフードに比べると大粒で少し硬いのが特徴です。
3.デンタルケア用のおもちゃ・おやつなどをあげてみる
キャットフードと同じく噛むことによって、ブラッシング効果を促します。また、食事にふりかけるだけのサプリメントなど、お手軽にできるデンタルケアもあります。
飼い猫の好みによって効果は大きく変わってしまうので、他のケア用品と併用するのがおすすめです。
猫の口に触るのって至難の業だけど、「日常的に『しっぽに触れる』『耳に触る』『顔に触る』『口の回りや歯に触る』『肉球を触る』ことを慣らしておくといいよ」と獣医師さんに教えてもらいました。
慣れる事によって、治療やケアをする時にスムーズに行う事ができるようになります。
子猫の時から慣らすのがいいですが、成猫になってからでも続けていたら大丈夫になってきます。
もし、嫌がったら無理をしないで気長に慣らしてみてくださいね。
まとめ
猫の歯のトラブルについてご紹介しました。
- 猫は虫歯になる事はない
- 現在の猫はキャットフードが主食のため、歯垢や歯石がたまりやすい
- 歯垢や歯石が原因で歯周病などの口の中のトラブルになることがある
- 人間も猫も、デンタルケアが大切
- 歯の色が変わっている箇所はないですか
- 歯と歯茎の間が赤く腫れていないですか
- 口臭がきつくないですか
- 口の周りがよだれでベトベトになっていませんか
- 食欲が低下していませんか
- 元気はありますか
- 顔や口周りを触られるのを嫌がりませんか
- 顔が急に腫れてきてませんか
- 口をよく触り前脚の先がぬれていませんか
- ぐらぐらしたり、抜けそうな歯はありませんか
猫の口腔内トラブルは、飼い主さんのケアによって予防することができます。
いつまでもおいしく自分の歯で食事ができるように、少しずつでも日常に猫用デンタルケアを取り入れましょう。