猫同士がくっついて寝ている姿や、一緒に遊んでいるのってものすごく可愛いですよね。
1匹でも十分可愛いのに、2匹だと不思議なことに可愛さ2倍どころか100倍くらいに倍増し、もう可愛さの嵐が巻き起こります。
YoutubeやSNSなどで、何匹もの猫ちゃんたちが仲良くしている投稿を見て、多頭飼いに憧れる方は多いのではないでしょうか。
でも実は、猫同士は一緒にいれば自然と仲良くなるかというと、そうでもないんです。
猫同士が仲良くなるために、もっとも重要となるのは「相性」と「最初の出会い方」です。
これがうまくいかないと、猫は仲良くなるどころか、お互いを敵視してしまい、ケンカをしたり、ストレスを抱えて病気になる可能性も。
今回は猫の性質を知った上で、うまくいきやすい猫の相性や、猫同士が仲良くなるために飼い主さんが出来る「最初の出会い方」をお伝えしていきます。
これから猫をさらに迎えたいと思っている方はもちろん、すでに同居している猫の仲が悪く困っている方にお届けしたい内容です。
猫についてしっかり知り、猫たちに囲まれた素敵な猫ライフを送りましょう。
猫にとっての「仲良し」とは?
こんなふうにSNSで猫たちを見ている方は、「猫同士は仲が良い」と思っているのではないでしょうか。
でも、実は猫は本来単独で生きる動物なので、猫同士だからといって自然に仲良くなるわけではないんです。
特に成猫のオス同士は縄張り意識が強く、お互いを「仲間」ではなく、「ライバル・敵」として認識するのが本来の姿なんです。
そんな猫の野生としての本能を知ることで、猫が他の猫へどういう関わり方をするかがわかってきます。
猫の社会性
動物は、エサの確保のしやすさで集団行動するか単独行動するかが異なります。
猫を含むネコ科の動物は基本的に群れを作らずに、一匹だけでエサを狩って生活します。
そのエサが十分確保出来る広さ、それがすなわちそのネコ動物の「縄張り」です。
生き物の本能として、「縄張りに侵入者がいる=食料が減る=生命の危機」となるため、縄張りは何より重視すべきものなんですね。
猫の縄張り=エサが十分確保できる広さ
自分の縄張りに他の猫がいる=自分の生活がおびやかされる危険性
その縄張り意識は、たとえ自分の子どもであっても成長したら追い出してしまう、とても厳しいものなんです。
しかし、イエネコは人間と数千年も暮らしているので、ここまで厳しい縄張り意識は薄れてきています。
もし新入り猫が来たとしても、「十分エサや自分のスペースが確保されている」という安心感があれば、相手を認めることは出来るようになっています。
仲良くなりやすい相性
実は猫にとって「仲良し」というのは、「お互いに無関心な状態」ということが基本になります。
そうですよね、やっぱり一緒に遊んだりゴハンを並んで食べたり、そういう姿を見たいですよね。
ですが残念ながらそれは人間のエゴなんです。
もちろん条件が揃えば、そういった「人間が思う仲良し行動」を見る可能性は高くなりますが、全ての猫同士が必ずしもそうなるわけではない、ということを覚えておいてください。
- 猫同士の相性
- 猫の年齢や性別による組み合わせ
- 猫の性格
ケンカせずお互い無関心状態になっていれば、もうそれで花マル。相手を同居猫として認めているということなんです。
そこから一緒に寝るなどの仲良し行動をするようになるかどうかは、時間と猫自身にゆだねるしかありません。
無理して「仲良しにさせよう!」と思わないようにしてあげてください。
仲良くなりやすい組み合わせ
以上の猫の性質を踏まえた上で、仲良くなりやすい猫の組み合わせをご紹介します。
まずは血縁関係がある場合。
親子同士 | |
同時に生まれて育った兄弟猫 |
こちらは相性バツグン、ほぼ問題なく、「仲良し行動」も見られる関係性になるでしょう。
ちなみに、血縁関係があるから家族の絆といった不思議なチカラでうまくいく、という意味ではありません(笑)
生後2〜7週齢の子猫は「社会化期」といって、本来この時期に母猫や兄弟猫と触れ合うことでコミュニケーション能力が発達していきます。
そのため、社会化期を一緒に過ごした猫同士は仲間として縄張りを共有出来るということなんです。
生後2〜7週目の「社会化期」に一緒に過ごすと仲間として認識できる。
ちなみにSNSなどで、鳥やハムスターといった、本来なら獲物になってしまいそうな動物と仲良くしている猫を見たことありませんか。
あれは、この社会化期に触れ合っていたため、仲間として認識しているということなんです。
では続いて、血縁関係がなく、先に住んでいた猫(先住猫)と後から加わる猫(新入り猫)の場合。
先住猫×新入り猫 | オススメ度 |
子猫×子猫 | |
成猫メス×成猫メス | |
成猫メス×成猫オス | |
成猫オス×成猫オス | |
高齢猫×子猫 | |
成猫オス(未去勢)×成猫オス(未去勢) |
社会化期を過ぎても、子猫のうちはそこまで縄張り意識が強くないので、うまくいきやすい傾向にあります。
「子猫」というのは生後6ヶ月ごろまでのこと。その先は若猫ともいいますが、立派な成猫です。
去勢・避妊手術をしていないと、縄張り意識など本来の猫の性質がハッキリ残ることが多く、仲良くなるのは結構難しいです。
また、高齢の猫は子猫の活発さにストレスを感じてしまうことがあるので、常に一緒という状態は避けるのがオススメです。
この表はあくまで参考程度です。お互いの性格によっては、とても仲良くなる可能性があったり、その反対もあるということだけ心に留めておいてくださいね。
猫同士が仲良くなる出会い方
猫同士が仲良くなるために最も大切なのは「相性」と「出会い方」、と説明しましたよね。
ここからはその「出会い方」について具体的にご紹介していきますね。
出会い方がうまくいけば、あとはお互いの相性と時間次第です。
最初はじれったいですが、同居猫のケンカが絶えないお家にならないようにふんばりどころ。頑張りましょう。
事前準備
新入り猫を家に迎え入れる前に、環境を整えておきましょう。
必要なのは、2匹が慣れるまでの「全く別々に過ごせる空間や設備」です。
- 普段過ごす部屋
- エサ入れ
- 水入れ
- トイレ
- 寝床になるクッション
これらは2匹が接触することのないよう、別々の物を用意しましょう。
部屋が2つ無くても、ケージやキャリーケースで代用出来るので、ご安心を。
ただ、いきなり姿が見えないように、布で外側から見えないように工夫してください。
先住猫と新入り猫の出会い
最初の出会い方で最悪のパターンは、先住猫と新入り猫をいきなり会わせることです。
これをやってしまうと、先住猫は「敵が来た!」と思ってしまいますし、その後どれだけ時間が経っても仲良くなる可能性は低いです。
それを防ぐためにも、最も慎重にステップを進めていくこちらのやり方をご紹介します。
1.気配の交換
まず、最初の1週間は全く別の空間にいてもらいましょう。
顔を合わせずに過ごしつつ、なにか別の生き物の気配がする、ということに慣れてもらうためです。
猫は敏感なので、物音や聞こえてくる鳴き声、飼い主さんに付いている匂いでもすぐわかります。
様子を見て、ソワソワと落ち着かないなら更に1週間プラスしてこの状態のままにしておきます。
大事なのは「今までと少し違うことがあっても、自分のテリトリーや食事は安全である」という風に先住猫が安心出来るまで急がないことです。
2.匂いの交換
先住猫が新しい猫の存在に慣れて、普段の様子に戻り無関心になったら次の段階に進みましょう。
次はお互いの匂いを交換します。
猫は匂いをかぐことで、相手の情報を知ることができます。
すでに飼い主さんに付いた匂いは感じ取っていますが、もっとしっかり匂いを感じてもらうためです。
猫同士の挨拶が間接的に出来るように、目の上・口の周り・お尻の部分をティッシュなどで軽くこすりつけて、それをお互いの鼻先に持っていきます。
そうしてクンクンと匂いを嗅ぐと、猫は反応を示します。
シャーシャー言う子もいますし、驚いたように固まってしまう子もいます。
これを数日〜数週間、猫が慣れるまで毎日行います。(新しいティッシュにしてね)
※無理に押し付けたりする必要はありません。
3.声の交換
お互いの声が聞こえないくらい離れた部屋で過ごしている場合は、声を聞かせておくのも有効です。
ICレコーダーなどで新入り猫の声を録音しておき、先住猫が暮らしている場所で流しておきます。
こちらも1週間ほど様子を見ておきましょう。
臆病な性格やストレスを感じやすい猫ちゃんには、次の段階に入る前にワンクッション入れるという意味で、声の交換を行っておくと安心です。
4.接触なしの対面
ついにお互いが見える状態で出会います。
ただし、ここでは直接触れ合うことがないような状況にしておきます。
鼻と耳を慣れさせたように、目でも慣れてもらうということですね。
まずは接触しないでお互いを認識出来るように、
- ドアの隙間からのぞかせる
- ケージに毛布をかけた状態で先住猫のいるスペースに連れてくる
という方法をとりましょう。
SNSで例えるなら、相手のプロフィール情報をSNSで眺めているようなものです。
次にメールやメッセージを送って反応を見てから、直接会うという感じです。
5.接触ありの対面
いよいよ2匹が出会うときがやってきました。
ここまでの段階で、きちんと相手の存在に慣れさせていたら、鼻を擦り付ける挨拶やお尻の匂いを嗅ぐといった挨拶が行われることでしょう。
しかし正直なところ、やはり実際会ってみるまでは相性はわかりません。
すんなり仲良くなれる子は仲良くなれるし、相手に威嚇したり、逃げてしまう子もいます。
最初はひょんなことでケンカになることもあるので、飼い主さんがちゃんと見ていてあげてください。
猫のケンカを止める際、叩いたりするのはNG。猫は叩かれたこととケンカの因果関係がわからず、叩かれたことだけに対してショックを受けます。ですので、近くで大きな音を立てるなど、猫の注意をそらす方法が有効です。
紹介してきた1〜4の工程を、1つのステップにつき1週間〜数週間、先住猫が慣れるまでは次のステップに進まず行います。
うまくいかない場合
すでに同居させている猫同士のケンカが絶えないという話は結構多いです。
実は、出会い方がうまく行かなかった場合、その後猫の仲が改善される可能性はかなり低いです。
1年以上同居しているのにケンカが絶えないということなら、その猫同士が今後仲良くなることはかなり難しいので、ここは思考を切り替えましょう。
「2匹で仲良くしてほしい」から、「1匹ずつそれぞれが幸せを感じて過ごせるようにする」という考えにします。
つまり、同じ空間で過ごすことがケンカ=ストレスになっているなら、別々に過ごせるようにほぼ隔離するということです。
出会い方のステップ1のように、別々に生活できるように、トイレや寝場所などを分けます。
わたしたち飼い主が考えるべきことは、「仲良い猫の姿を見たい」ではなく、「その猫がどうやったら幸せに楽しく過ごせるか」なんです。
まとめ
最後に今回お話したことを一緒におさらいしてみましょう。
まずは、猫の性質から猫の社会性を知ることができました。
- 猫は単独行動する動物のため、同じ猫でも本来はライバル・敵である
- 縄張りというのはエサが十分確保できるだけの広さのこと
- 現代の猫はそこまで縄張り意識が強いわけではないが、成長具合や性別によって強弱は変わる
こういった性質があるため、猫が仲良くなるかどうかは
- 自分の縄張りがちゃんと確保できているという安心感さえあれば、他の猫が同じ空間にいることは許容できる
- 猫にとっての「仲良し」=お互い無関心
- 一緒に寝たり毛づくろいしあったりという行動が見られるかどうかは猫同士の相性次第
- 仲良くなれるかどうかは「相性」と「出会い方」がもっとも重要
【仲良くなりやすいおすすめの組み合わせ】
先住猫×新入り猫 | オススメ度 |
子猫×子猫 | |
成猫メス×成猫メス | |
成猫メス×成猫オス | |
成猫オス×成猫オス | |
高齢猫×子猫 | |
成猫オス(未去勢)×成猫オス(未去勢) |
※血縁関係がある親子・兄弟猫同士はほぼうまくいきます。
出会い方が大切ということも分かりましたね。
- STEP1 存在の交換
- STEP2 匂いの交換
- STEP3 声の交換
- STEP4 接触なしの対面
- STEP5 接触ありの対面
以上をしっかり踏まえ、愛猫たちがよりよい生活を送れるよう飼い主としてサポートしてあげましょう。