美味しそうに餌を食べる愛猫。毎日元気いっぱいに食べて欲しいですよね。
ある時、昔飼っていた「しゅり」が、餌を食べるのに苦戦していたことがありました。
「ごっくん」と飲み込むときが特に苦しそうだったので、獣医の先生に診察してもらうことにしたんです。
結果は「口内炎」。
「猫の口の中を見たことがありますか。猫は痛みをだいぶ我慢してたのですよ。」という先生の言葉は、今でも忘れられません。
病院でおとなしく点滴を受けている愛猫を見て、痛みを我慢させていたことを申し訳なく思いました。
餌が飲み込めなくなる原因は、口内炎の他にもいろいろあり、中には猫特有の飲み込む仕組みが関係している場合もあります。
時には放っておくと命を落とすほど危険な状態になることもあるので、注意が必要なんです。
皆さんが可愛がっている猫ちゃんの、餌の飲み込みにくさに気がつけるように、わたしが体験して学んだことをお伝えします。
時々、猫の餌の飲み込み具合を確かめてくださいね。
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猫が餌を飲み込む仕組み
食べ物を口から入れて、胃に送り込むまでの一連のことを「嚥下(えんげ)」と言います。人間も猫も、おおまかな嚥下の仕組みは同じです。
ただし、口の中でモグモグと噛んで、飲み込みやすい形にする「準備期」という時期が人間と猫では大きく異なります。
嚥下の流れ | 詳細 |
---|---|
先行期 |
|
☆準備期 | 【人間の場合】
【猫の場合】
|
口腔期 |
|
咽頭期 |
|
食道期 |
|
出典:看護roo! 看護師イラスト集「接食嚥下の5期を表したイラスト」
イラストは人間の顔を横からみた嚥下の一連の流れの図です。
黄色の食べ物が口の中に入ってから、ノドの奥へ移動し、胃に入り込むまで簡単に描いてあります。
猫は食べ物を飲み込みやすいように嚙み砕く準備期(咀嚼期)が短く、餌を丸飲みすることがある。
猫は餌を丸飲みできる
わたしたち人間は、食べ物をよく噛まないと、消化不良を起こしてしまいます。
猫の場合は胃に送るまでの間に、あまりモグモグ噛まずに丸飲みをすると紹介しました。
「餌を噛まずに飲み込んでも、体が受け付けてくれる」という仕組みについて解説しますね。
強い内蔵を持っている
人間は、唾液の中に炭水化物を分解する消化酵素を持っているので、口の中でよく噛むことで胃に負担なく食べ物を消化することができます。
反対に、猫は唾液で炭水化物を分解する力は強くありません。
その代わり、胃の消化液の酸性度が高いので、餌を噛まずに飲み込んでも消化することができるんです。
口の中でモグモグしても、餌を消化しやすいように分解する機能はないけれど、丸飲みしても、しっかり胃で消化できる体を持っているから。
猫が餌を噛まないで飲み込んでも良い理由について、こちらでさらに詳しく紹介しています。
関連記事:猫が餌を噛まないで飲み込む理由を解説!本当に飲み込んで大丈夫?
餌を飲み込めなくなる4つの原因
餌を飲み込めなくなる原因は、大きく3つにわけることができます。
- 飲み込みに関わる体の異常
- 餌の食べ方の問題
- 心の問題
- 加齢による食べる力の低下
①飲み込みに関わる体の異常
嚥下に関わる部位は「口の中」「ノド」「食道」の3つ。
この部位に病気や怪我などの異常があると、餌を飲み込むことが難しくなります。
すると、「ノド」や「食道」に怪我をする事故も起こりやすいんです。
では、部位ごとに詳しく説明していきます。
口の中の異常:歯周病・口内炎
猫はウイルスや歯垢などで、歯周病や口内炎を起こしやすいと言われています。
人間と症状は同じで、口の中にポツポツとただれたような潰瘍(かいよう)ができます。
この潰瘍に餌がぶつかって痛みが強くなり、餌が食べにくくなるんです。
もちろん、舌で餌をノドに送り込むことも難しくなるので、餌の飲み込みにくさの原因になります。
歯周病や口内炎は痛いだけでなく、悪化すると歯が抜けてしまったり、細菌が体中に回って命を脅かすこともある怖い病気です。
こちらにまとめていますので、一度読んでみてくださいね。
関連記事:【注意】猫は歯周病・口内炎が原因で死ぬ?!今日から始めたい予防法
ノドの異常:咽頭炎
咽頭炎(いんとうえん)は、ノドの奥の炎症です。
口内炎や鼻炎から、ノドの奥まで炎症が広がることがありますが、食べてはいけないものを誤って飲むことで、ノドの奥を傷つけてしまいます。
咽頭炎があると、痛くて餌が飲み込めなくなります。
食道の異常:食道炎・食道狭窄・巨大食道症(食道拡張症)
飲み込んだ餌が胃に届くまでの通り道を食道といいます。
食道の筋肉が動くことによって、食べ物が胃に運ばれます。
食道の筋肉が、炎症や麻痺(まひ)で動きにくくなると、餌を飲み込むことができなくなりまってしまうんです。
また、食道が腫れたりできものがある場合にも、通り道が狭くなるので、胃に餌を送ることができなくなります。
代表的な食道の病気については、下の3点を確認してくださいね。
食道炎 | 異物を飲み込み、食道にキズができ炎症を起こしたもの |
食道狭窄(きょうさく) | 食道の炎症後や、食道に腫瘍(しゅよう)ができて通り道が狭くなる症状 |
巨大食道症 | 神経などの障害で、食道が機能低下を起こし、胃に餌を運べなくなる症状 |
②餌の食べ方の問題:早食い
猫は他の動物と比べても、吐きやすいと言われています。
よく吐いてしまう原因の1つが「早食い」。
多頭飼で猫を飼っている飼い主さんは、猫が奪い合うように餌を食べている様子を見たことがないでしょうか。
早食いをすると、口の中の食べ物をすべて飲み込む前に、次々に餌を入れ、細い食道に見合わない量を無理やり飲み込みます。
すると、ノドの奥の食道で、餌が溜まってしまいます。この溜まった餌を吐き出してしまうのです。
人間と猫の食道の通過時間の違い
- 人間:水分→3秒、固形物→8秒
- 猫:固形物→5分(実験用のカプセルを飲ませた結果)
③心の問題:ストレス
猫はとても敏感でストレスを溜めやすいことで知られています。
しかし、その反面、ストレスを飼い主には隠そうとする傾向もあるんですよ。
勢いよく食べているふりをして、餌がノドを通らないことがあります。
④加齢:食べる力の低下
加齢によって体力が落ちてくると、食欲だけでなく、餌を食べる力も低下します。
食べる力とは、噛むために必要な顎の力や、飲み込むのに必要な食道の運動能力のこと。
この力が低下することで、餌を上手く飲み込めないことも多くなってしまうんです。
冒頭でお話ししたように、口内炎が原因で餌を飲み込みにくくなってしまった「しゅり」でしたが、治ってからはそんなトラブルとは無縁でした。
ですが、晩年はやはり飲み込むのに苦労したこともありました。
高齢猫の場合は、食べられないことでどんどん体力が落ちてしまい悪循環になってしまうので、飲み込めているかをしっかり見てあげたいですね。
餌を飲み込めないときのチェックポイントと対応策
猫が餌を飲み込めないとき、何が原因であるか以下の3点をチェックしてみましょう。
また、チェックした上での対応策も紹介します。
- 体に異常はないか
- 早食いをしていないか
- ストレスがないか
順番に解説していきます。
①猫の体をチェック
いつもと餌の飲み込み方が違うなと感じたとき、自分でできる猫の体のチェックをしてみましょう。
確認すべき体の部位は次の3つです。
- 口の中
- ノド
- 食道
次に解説するそれぞれの項目に該当するものがあれば、病院を受診しましょう。
口の中をチェック
餌を飲み込めなくなる口の中の代表的な病気は「口内炎」です。
猫が餌を飲み込みにくそうにしているときは、下の3点をチェックしてみてください。
- よだれが出ていないか
- 口の中が赤くなっていないか
- 口がくさくないか
ノドのチェック
のどの病気の代表的なものは「咽頭炎」です。
口の中をチェックして問題がなければ、ノドのチェックをしてみましょう。
- 鳴き声が変わっていないか
- 咳が出ていないか
- ノドのリンパが腫れていないか
- 息苦しそうでないか
- 吐こうとするが何もでない
食道のチェック
食道の病気の代表的なものは「巨大食道症」です。
食道が広がってしまうことで食道の動きが鈍くなり、食べ物を胃に送ることができなくなる病気。食べたものをすぐに吐き出してしまうため、体重の減少が見られたり、誤嚥をすると呼吸困難を起こすこともある。
聞き慣れない病名ですが、チェック事項を確認し、該当したら早めの受診することをおすすめします。吐出(としゅつ)と呼ばれる症状が一番のチェックポイントです。
- 吐出:未消化の餌を吐き出していないか
- よだれが出ていないか
②餌の食べ方をチェック
餌の早食いは、肥満や消化不良の原因にもなるので、予防しておきたい猫の行動です。
早食いによって、食道に餌が溜まり、飲み込めなくなって吐き出してしまいます。
見分けるポイントは、「早食い猫は食後のゲップが多くなる」です。
いっぺんに胃に食べ物が入ってしまうので、ゲップがでやすくなるんです。
餌を飲み込めずに吐き出し、ゲップがよく出る猫であれば、早食い傾向であると考えていいでしょう。
早食い防止の食器や、遊びながら少しずつ餌をたべることができるおもちゃを使ってみることをおすすめします。
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③ストレスがないかチェック
猫が餌を飲み込めないとき、体のチェックをしても異常がなく、早食いでもないときは、ストレスが原因であることが多いです。
次のチェック事項に当てはまる時は、猫がストレスを感じているかもしれません。
- 部屋の隅に隠れることが多くなった
- 頻繁に鳴いたり、鳴き声が変わった
- おしっこをトイレ以外でしてしまう
- 手足をなめ続ける
猫は、いつもと違う状況で簡単にストレスを感じてしまい体調を崩してしまう動物です。
原因となる状況は次のようなものがあります。
- 引っ越しをした
- 新しい猫や他の動物がきた
- 人間の家族が増えた(赤ちゃんなど)
- 餌を急に変えた
- 長時間~数日の留守番を経験した
- 部屋のお香やアロマオイルを変えた
- 猫の道具(食器やトイレ)を変えた
できるだけストレスを除去して、見守ってみましょう。
また、猫のお気に入りのおもちゃやマットなどで、できるだけ落ち着ける環境を準備してあげることも大切です。
番外編:高齢猫への対応策
飲み込みやすいように工夫をして「食べさせる」ことが大切です。
それは、原因でもお伝えしたように、高齢猫は食べられないことが続くと体力がどんどん低下してしまうから。
- ドライフードをふやかす
- ウェットフードを使う
- 流動食を与える(強制給餌)
一つずつ見ていきましょう。
ドライフードをふやかす
まず試したいのは、それまで食べていたドライフードをふやかして与えるという方法です。
わたしたち人間も、歯が生えたばかりの小さな子や、歯が弱くなってきた年配の方は、やわらかい食事をしますよね。
高齢の猫も同じように、やわらかくしてあげることで食べやすくなるんです。
- お皿にキャットフードを入れ、ひたひたになるくらいまでぬるま湯を注ぐ。
- 10分~15分ほど浸す。
- 指で押してみて軟さと温度を確認する。
猫も食べ慣れているので安心ですし、何か買い足す必要もないので今日のゴハンタイムから取り入れることができますよ。
雑菌の繁殖を防ぐために、ドライフードをふやかす時にはいくつか注意事項があります。合わせて確認しておきましょう。
- 作る時は食べる分だけ。
- 食べ残しは処分する。
子猫の間もフードをふやかしてあげたりしますよね。懐かしい気持ちで「しゅり」のフードをふやかしていたのを覚えています。
高齢猫以外にも体調不良の時に役立つ、正しいキャットフードのふやかし方をこちらでご紹介しています。
関連記事:【猫の餌をふやかす方法】正しいふやかし方を知らないと危険!!
ウェットフードを使う
ふやかしてみたものの、食いつきが悪い。そんな時はウェットフードの出番です。
ウェットフードはドライフードに比べて匂いも強く食欲をそそります。また、水分が多いので食べやすいんです。
一つ注意したいのは、ウェットフードを選ぶ時には「総合栄養食」と書かれたものを選ぶこと。
フードの他に水を飲めば、猫に必要な栄養素を全て取ることができる食事のこと。他には、一般食や間食といったものがある。
シニア向けのウェットフードを選ぶと、高齢猫に不足しがちな栄養素も補えることができるのでおすすめです。
流動食を与える
水分が多くても、固形のものは飲み込みにくそうだというときは流動食を与えることを考えます。
流動食とは、ドロドロの液体状になっている食事のこと。
流動食も、特別なものを用意しなくても比較的簡単に作ることができます。
- いつものドライフードを鍋に入れ、ふやけるまで煮る。
- ふやけたら、すり鉢やミキサーでペースト状になるまですりつぶす。
- 人肌程度にさまして完成。ここでサプリメントなどを混ぜるのもおすすめ。
ウェットフードから作る時は、先にすりつぶしてからお鍋や湯煎をして温めてあげてくださいね。
もちろん市販のものもあります。猫ちゃんの様子に応じて使い分けてみてもよいですね。
ペースト状であれば飲み込める猫ちゃんであれば、お皿に入れたりスプーンに乗せて食べさせることができます。
それも難しいという時は、強制給餌という方法で与えます。
強制給餌とは、その名の通り「強制的に餌を食べさせる」与え方のこと。
【シリンジを使う方法】
- 猫を膝に座らせ、少し上を向かせる。
- 片手でシリンジを持つ。
- 反対の腕で猫を包み込むように抱え、口の端からゆっくりと流し込む。
一度にたくさん入れると誤嚥(ごえん)の原因になってしまうので、少量ずつ飲み込むのを確認してあげてくださいね。
- ドライフードをふやかす
- ウェットフードを使う
- 流動食を与える
実際に餌を飲み込むめないトラブルが起こるタイミングは猫それぞれです。
愛猫ちゃんの変化に気付いてあげられるように、食事風景をそっと見守る習慣をつけておくと良いですね。
病院に行くべき目安
先ほど紹介した飼い主ができる猫の体のチェック事項に当てはまる場合、診察をおすすめします。
確認する部位 | 症状 |
口の中 |
|
ノド |
|
食道 |
|
これらをふまえて、病院に連れていくべき目安を紹介します。
危険な嘔吐を伴っているとき
猫は、他の動物より嘔吐しやすいことがわかっています。
ですが、「いつもの通り吐いているな」と思っても、危険な嘔吐の場合もあるんです。
次の3つが危険な嘔吐の症状です。
- 1日4回以上の嘔吐があるとき
- 連続で3日以上嘔吐が続いたとき
- 嘔吐物に大量の血が混ざっているとき
異物を飲み込んでしまったとき
猫が異物を飲み込んで、餌を飲み込めないことがあります。
特に、ひも状のものを間違って飲み込んだ場合は、腸が腐ってしまうことがあるので、必ず獣医の診察を受けてください。
腸が腐るとどうなるの?
- 腸に異物が入ると、血流が悪くなり腸が腐る
- 腸が腐ると、腸に穴が空く
- 腸の細菌がお腹の中に漏れだして腹膜炎(ふくまくえん)を起こす
- 腹膜炎により、最悪の場合は命を落とす
靴ひもやヘアゴムなど、わたしたちの身近なものを猫が誤飲してしまうというケースはよくあるんです。
関連記事:【猫がゴムを誤飲!】命の危険から守るための対策と対処法を伝授
食欲不振の期間が長すぎるとき
猫は食べムラがあるので、気分が乗らないから食べないのか、体に異常があり飲み込めないから食べないのか判断が難しいですよね。
そんな時は、食べなくなってから経過している時間を確認しましょう。
目安としている時間を超えていれば、食欲不振だと考えられるので病院に連れていくことをおすすめします。
- 1~2ヶ月:8時間以上
- 2~3ヶ月:12時間以上
- 3~4ヶ月:16時間以上
- 1歳以上:24時間以上
まとめ
猫が餌を飲み込めない原因はさまざまあります。
- 飲み込みに関わる体の異常
- 餌の食べ方の問題
- 心の問題
- 加齢による食べる力の低下
餌を飲み込めないときにチェックする項目はこちらです。
- 猫の体をチェックする
- 餌の食べ方をチェックする
- ストレスがないかチェックする
そして、以下のような体調の変化があった時は早めに受診し、餌が飲み込めない原因を治療してもらいましょう。
- 体のチェック事項に該当するものがあったとき
- 危険な嘔吐があるとき
- 異物を飲み込んだとき
- 食欲不振が続くとき
猫の餌の食べ方は、健康のバロメーター。
餌を飲み込めなくなってしまう理由はさまざまです。しっかり観察して、いつまでも猫と幸せに暮らしていきましょうね。
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