ぷくぷくしてボテッとしたお腹の猫ってとってもキュートに見えますよね。
実はわたし、一度そのお腹にモフモフ顔をうずめてみたいとひそかに憧れを抱いたりしています。
ですが、人間同様に「肥満」は健康を害する原因の一つ。なんと肥満の猫は生活習慣病にもなるんですよ。
大丈夫、安心してください。断食も激しい運動も必要ないのです。
なぜなら猫のダイエットは、キャットフードを見直すのが基本だから。
今回は肥満で困っている猫と飼い主さんのために、いつものご飯を見直してキャットフードでダイエットするコツを説明していきたいと思います。
猫のダイエットは餌の見直しが基本
猫のダイエットの基本は餌であるキャットフードの見直し。
それができるんですよ。
なぜかというのを、肥満になる原因と合わせてご説明していきたいと思います。
猫の肥満が増えた3つの原因
数十年前と比べて、ふっくらした猫を見かけることが多くなっていませんか。それに特定の観光地以外は、路地を練り歩く猫を見なくなったのではないでしょうか。
猫とともに暮らす人間の生活スタイルが変わり、猫が自由に行き来する空間が極端に少なくなってきています。
そんな環境の中、猫が太りやすくなる原因が増えてきました。
- 避妊・去勢手術を受ける猫が増えた
- 室内飼いが基本となり、運動の機会が減った
- 猫の餌やりのスタイルとして置き餌が増えてきた
去勢・避妊手術をする猫が増えた
望まない繁殖を防ぐため、または生殖器の病気を防ぐために手術を受ける猫が増えています。
メリットの多い去勢・避妊手術ですが、デメリットとしてオス・メス問わず、ホルモンバランスが崩れることも。
手術の後、今まで通りの餌を与えていると、太ることがあるので要注意です。
わたしも先代愛猫である『しゅり』も去勢手術をした後、太らせてしまった経験が。
室内飼いが基本になり、運動の機会が減った
これは人間の運動不足と一緒ですね。
外を自由に動き回れたころと変わって、屋根や木に登ったりするなど、高い場所で遊ぶ機会が減ったことで、消費カロリーも減少しています。
しゅりが太り始めた頃、自宅で運動不足を解消するために、キャットタワーを用意してあげたんです。
しかし、太った体で、キャットタワーに登って遊ぶことは難しかったよう。
猫のダイエットに運動量を増やす対策だけでは、うまくいかないなと実感しました。
猫の餌やりのスタイルとして置き餌が増えてきた
日中は仕事に出かける飼い主さんが多くなり、餌やりの方法として増えてきたのが置き餌スタイル。
わたしの実家も両親が共働きでしたし、わたしと兄も学生で昼間いなかったので、置き餌でキャットフードを与えていました。
食器の中身が少なくなったら足し、常に餌を提供している状態。カロリー計算もなにもしていなかったことが原因だったなと今になり後悔です。
置き餌での食事は、猫はダラダラ好きなだけ餌を食べることが出来るので、過食になりやすいんです。
太る3つの原因は餌の見直しで一気に解決できる
さきほどの猫に肥満が増えてきた3つの原因に共通することがあります。
猫は、「食べ過ぎないように気をつける」、「太ってきたからご飯を遠慮する」と、自らをコントロールすることは出来ません。
また、トレーニングジムで汗を流したり、長時間ウォーキングするなんて到底出来ないですよね。
現代の人間の生活スタイルに合わせた、猫が太りやすくなる原因を変えるために共通していることは、「食事内容を変えること」です。
ホルモンバランスが崩れた猫に対して、以前と変わらない餌を与えると太る可能性があるなら、餌を変えてみるということが必要ですね。
また、運動不足による体重増加に関しても、消費カロリーの高い餌に変えるという方法がありますよ。
そして置き餌に関しては、だらだら食べ続ける猫が、満腹感を得られる餌に変えてみるという手があります。
つまり、猫が太りやすい原因を変える=餌を変えてみるということです。
猫の理想体重・体型と太りすぎの基準
こんな疑問を持った飼い主さんも多いですよね。
ここでは猫の理想的な体重と体型についてご説明していきたいと思います。
猫の理想体重
猫の理想体重は、個体差や種類によって異なりますが、標準的なサイズの目安があります。
【猫の理想体重】
- 生後0週:約100g前後
- 生後1週間:約150~200g
- 生後1カ月:約400~500g
- 生後3カ月:約1.0~1.5kg
- 生後12カ月:約3.0~5.0kg
猫の体型判断「ボディコンディションスコア(BCS)」
画像出典:飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~,環境省
では猫の理想体型はどんなものなのでしょう。
年齢や体重のみで、標準か肥満かの判断は迷うことがあります。
そのような場合は、猫の体に触れたり観察することで、標準かどうかを判断する「ボディコンディションスコア」で簡単に判断することができます。
痩せから肥満まで、5段階に細かく観察事項が記載されているので、実用的な肥満度のチェック方法としておすすめ。
肥満であると判断する体重の目安
猫の体重が年齢に対する理想体重より15~20%以上である場合、肥満であると判断します。
しかし、理想体重は、標準的なサイズの猫に適応されますので、猫の種類の理想体重を把握しておくことが大切です。
我が家の猫はスコティッシュフォールドですが、現在8ヵ月の3kgの女の子。
スコティッシュフォールドの標準体重を調べると、3kg〜3.5kg程度で、ちょうどいいということになります。
猫の肥満が原因で発症する病気
でも、猫も太ることで病気になるリスクが上がるというのはご存じでしょうか。
ここでは猫の肥満が引き起こす病気についてご説明していきますね。
心臓・呼吸器の病気
猫が肥満になることで、心臓や呼吸器の病気になるリスクが上がります。
まず、体に貯まった脂肪が胸や気管を圧迫するため呼吸がしにくく、一度の呼吸で十分に酸素を取り込めなくなることで、呼吸回数は速くなってしまうのです。
呼吸をたくさんするために、また太った体の隅々まで酸素や血液をいきわたらせるためには、心臓はたくさん働く必要がでてくるというわけなんですね。
椎間板ヘルニア
人間にもよくみられる椎間板(ついかんばん)ヘルニア。
背骨は椎骨(ついこつ)という骨が連なっているのですが、その椎骨と椎骨の間にある椎間板という組織が正常な位置から飛び出し、神経を圧迫している状態です。
肥満になることで背骨に負担がかかり、椎間板ヘルニアになる猫が増えているんですね。
糖尿病
人間で生活習慣病といえば糖尿病と答えられる方も多いのではないでしょうか。
糖尿病とは、膵臓から分泌される血糖値を、一定に保つ作用を持つインスリンというホルモンが十分に働かず、血糖値を上げてしまう病気のこと。
猫も肥満の場合、インスリンが分泌されているにも関わらず、効きが悪く血糖値が高い状態が続き、糖尿病になってしまうことがあります。
猫が肥満になることでかかりやすくなる病気について3つご紹介しました。
大切な猫にはこんな病気にかかってほしくないですよね。
ダイエットに合うキャットフードの3つのポイント
ポイント1、タンパク質が30%以上のものを選ぶ
タンパク質は、猫の筋肉量の維持に、とても大切な栄養素。
さらに人間は炭水化物がエネルギー源ですが、猫の場合はたんぱく質の消化吸収機能が優れており、エネルギー源としてたんぱく質が使われているんですよ。
ペットフードの栄養基準や、ラベル表示の基準などのガイドラインを設定しているアメリカの団体『AFFCO』。
このAFFCOの基準は世界中で広く使われており、日本のペットフード公正取引協議会でも採用されています。
では、タンパク質の栄養基準を、このAFFCOの基準で見てみましょう。
【猫のたんぱく質最低基準】
子猫:30.0%以上
成猫:26.0%以上
タンパク質量の割合が多いキャットフードを与えると、筋肉量が増え、新陳代謝がよくなります。
ダイエット用にキャットフードを選ぶときもタンパク質は30%以上のものを目安に探してみてくださいね。
ポイント2、適度な脂質が含まれる選ぶ
たしかにダイエット用のキャットフードとして、低カロリーで低脂質ものがあります。
しかし、肉食である猫にとって、消化・吸収しやすく、早くエネルギーに変えられる脂質は大切な栄養素。
猫は脂質の低い餌を食べても満腹感が得らずに、かえって逆効果になる場合も。
ダイエットしたい猫のキャットフードは高タンパク・高脂質のものを選び、満腹感を得られやすい状態にすることが望ましいんですよ。
特にダイエット中の猫にはたんぱく質と脂質のバランスが大事。
【ダイエット中の猫のたんぱく質と脂質の割合】
たんぱく質3:脂質2
つまり、100gあたりのたんぱく質が30%、脂質は20%の割合が理想ということになります。
ポイント3、穀物が少ない、もしくは全く入っていないものを選ぶ
猫は本来、肉食の動物で、あまり穀物を食べることはありません。
米やトウモロコシである穀物は多く取り過ぎると脂肪を溜め込む原因となります。
そのため、ダイエットが必要な猫の場合は、穀物は控える方が望ましいですね。
また、最近では、全く穀物が入っていない「グレインフリー」のキャットフードも販売されています。
猫は炭水化物が全く必要ないという訳ではありません。しかし、脂肪蓄積を防止するために、穀物が少ないキャットフードを選ぶことが大切です。
【ダイエットに合うキャットフードの3つのポイント】
- 新陳代謝を上げるため、タンパク質は30%以上のものを選ぶ
- 満腹感を得られるため、適度に脂質が含まれているものを選ぶ
- 脂肪の蓄積を防ぐため、穀物不使用『グレインフリー』または少ないものを選ぶ
そしてタンパク質と脂質の割合は3:2が理想
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ダイエット用キャットフードへの移行4つの手順
今までのキャットフードから、ダイエット用のキャットフードへ切り替えをするとき、どのようなことに注意すればよいか、紹介していきます。
必要なカロリー量とキャットフードの量を計算
ダイエットを行うときの、一日のカロリー量の計算を紹介します。
- 安静時に必要とするエネルギー量(RER):30×猫の体重+70
- 1日に必要なエネルギー要求量(DER):(RER)×(猫の状況数値)
- 1日の摂取カロリー:体重×(70~80kcal)
- 1日の食事の適正量:(DER)÷(キャットフードの100gあたりのkcal)×100
*猫の状況数値:肥満傾向(1.0)、減量中(0.8)
ダイエット期の猫では、②のDERと比較して、③で出た摂取カロリーの方が多いと判断される場合、今まで通りのキャットフードの量を減らすより、ダイエット用のキャットフードに切り替えることをおすすめします。
- 30×㎏+70=(PER)
30×6+70=250kcal - PER×状況数値=(DER)
250×0.8=200kcal - ㎏×75(70~80なので間をとって75)=(摂取カロリー)
6×75=450kcal - DER÷100g当たりのkcal×100=(一日の食事の適正量)
200÷400×100=50g
*ダイエット期の体重6kgの猫の一日の食事の適正量は「50g」
*100gあたり400kcalのキャットフードを用いることを想定した計算
時間をかけてキャットフードを変更
それまで体に慣れ親しんだキャットフードから別のキャットフードへの切り替えは猫の体に負担がかかる場合も。
1週間から10日間ぐらいかけて、今までのキャットフードに少量ずつ混ぜて、徐々に新しいキャットフードの割合を増やしていくのがベストですよ。
ダイエット用のキャットフードに完全に切り替えることが出来るまで、焦らずに見守っていきましょう。
食事の時間を決めて、見守る
ダイエット用のキャットフードに切り替えるとき、可能であれば「朝・昼・晩」もしくは「朝・晩・就寝前」という風に、時間を決めて与えることをおすすめ。
今まで、置き餌でキャットフードを与えている飼い主さんにとって、時間を決めて餌を与えることは、大変だと思います。
しかし、ダイエット用のキャットフードへ切り替えるとき、猫の体調の変化や猫自体が新しいキャットフードにどんな反応を示すか観察することも大切。
迷わず食べてくれるのか、食いつきは普段と同じであるか、今までのキャットフードのみを選んで食べていないかなどを観察していく必要があるんです。
切り替え直後は食べてくれなくても様子を見る
キャットフード移行し始めると、急に食べなくなる「ハンガーストライキ」という状態に陥ることがあります。
しかし、ここで昔のキャットフードに戻すと、「嫌いなものを食べなければ好きなご飯を出してくれる」と、猫が学習してしまう原因に。
せっかく猫の健康を思ってダイエット用のキャットフードにしたいのに、これじゃ意味がなくなってしまいます。
ここは、飼い主さんも我慢の見せ所ですよ。
嘔吐や下痢症状が出てきた猫の場合には、獣医に相談するようにしましょう。
嘔吐や下痢といった症状がみられる場合、キャットフードとの相性が悪いだけでなく、アレルギー反応の場合があります。
どのようなキャットフードに移行している最中であるか、相談してみてくださいね。
【ダイエット用キャットフードへの移行4つの手順】
- カロリー量とキャットフードの量を計算する
- 時間をかけてキャットフードを変更する
- 時間を決めて、見守りをする
- 切り替え直後は食べてくれなくても様子を見る
まとめ
現代社会における猫の太る原因と、餌でダイエットができる可能性について紹介しました。
現代社会で猫が太る理由は、以下の3点と考えられています。
- 去勢・避妊手術をする猫が増えた
- 室内飼いが基本となり、運動する機会が減った
- 猫の餌やりのスタイルとして置き餌が増えてきた
上記のような3点を一気に解消する方法は、ただ一つ。
キャットフードの見直しです。
ダイエットに合ったキャットフードのポイントは3つでしたね。
【ダイエット用キャットフード3つのポイント】
- たんぱく質30%以上のもの
- 適度な脂質を含むもの
- 穀物不使用または少ないもの
ダイエット用のキャットフードの移行をおすすめしましたが、移行するときは、以下の4点を実践してみてください。
- カロリー量とキャットフードの量を計算する
- 時間をかけてキャットフードを変更する
- 時間を決めて、見守りをする
- 切り替え直後は食べてくれなくても様子を見る
私たち飼い主は、限られた環境の中で猫の健康を守り、お互いが幸せに過ごすことが大切だと考えています。猫のダイエットに関しても、出来ることから始めるためには、キャットフードを見直してみてはいかかでしょうか。
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