ある日の朝、目が覚めるとなんだか服が冷たいと思い起きてみると猫におしっこをかけられていたのです。
猫のおしっこって強烈ですよね。
なぜトイレが置いてあるのに飼い主に向かっておしっこをしてきたのでしょうか。
実はその原因、わたし達飼い主側に問題があったんです。
この行動にはしっかりと理由があり、その理由を知らずに猫に注意するだけでは、さらにエスカレートしてしまったり、ストレスをためてしまいます。
人間にとってはおしっこは汚いものと認識していますが、猫にとっておしっこは大事なコミュニケーションとして使われます。
そのためトイレ以外の場所でおしっこをするときは猫が何か伝えたい事があると考えた方がいいでしょう。
伝えたい事を理解する事でトイレ以外の場所でおしっこするような事がなくなります。
今回は猫がトイレ以外の場所や飼い主におしっこをかけてしまう原因を理解し、対策についてお話しします。
この記事を読めば、掃除をする場所がトイレだけになって飼い主さんの負担もぐんと減るでしょう。気持ちを分かってくれたと、猫ちゃんからの信頼もさらに得られること間違いなしです。
原因は大きく分けて2つ「マーキング」と「不適切な排泄」
「マーキング」と「不適切な排泄」の違い
それぞれ微妙に意味が違うため、まず自分の猫がどちらの意味でおしっこをしているか知らなければいけません。
マーキングの特徴
マーキングとは『その場所に自分の匂いを付けたい』と言う意味です。
立ったままの姿勢で尻尾を立て地面と水平に少量の匂いの強い尿を飛ばしている時はマーキング(スプレー行動)です。
新しい家具や物、人や他の猫の通り道など特定の場所や物におしっこをするのであればそれはマーキングの可能性が高いでしょう。
不適切な排泄の特徴
不適切な排泄とは『トイレが置いてある場所以外で排泄したい』と言う意味です。
この場合マーキングとは違いしっかりとしゃがみ尿は普通の排泄行為ですが、家の床やソファー、ベッドをトイレとして使います。
飼い主におしっこをかける理由
猫に馬鹿にされている!?
ぼうちゃんの言う通りそんな事はありません。
皆さんの猫は、床に寝そべって私たちにお腹やお尻を見せてかまって欲しいアピールをしてきた事はありませんか。
実は猫は警戒心の強い生き物のため、信頼している相手にしかお腹やお尻を見せません。
なぜなら、猫のお腹は臓器が密集しているにも関わらず、守るための硬い骨がないため、背後から敵に襲われると致命傷になってしまうからです。
よっぽど信頼している相手でなければお腹やお尻は見せる事がないため、おしっこをかけられたからと言って馬鹿にされているわけではありません。
居心地の良い場所の認識違い
そうですよね。
猫は落ち着いた場所で排泄したいため、飼い主が寝ている近くに排泄してしまう猫は以下のように考えているかもしれません。
『飼い主の近く=落ち着く場所=トイレ』
- 寝室に入れないようにする
- 一度トイレ環境を見直す
トイレの場所の認識を間違えてしまっているため、寝室に入れさせない事も大切です。
また、トイレが用意されているのに認識を間違えてしまっていると言う事は現在のトイレの環境に不満があると思われます。
後ほどトイレ環境について紹介しますが、一度お家のトイレ環境を見直してみてください。
飼い主にマーキングする意味
猫は縄張り意識が強い生き物であり嗅覚は人間の数十万倍とも言われています。
猫は自分の匂いがする場所や物がある事で安心します。普段から顔や体をスリスリしてくるのはわたしたちに匂いをつけているからです。
そのため一緒に住んでいる飼い主から自分の匂いがしないと、とても不安になり、警戒心が強くなります。その不安を解消しようとマーキング(スプレー行動)をします。
- ストレスがあるよ。
- 飼い主から自分の匂いがしなくて不安。
- もっと構ってほしい。
飼い主の事が嫌いでおしっこをかけるのではなく、もっと愛情を感じたいと思いそれを伝えているのです。
猫は少しクールな生き物ですから甘えたい時に上手に甘えられない子の方が多いです。人間からすると十分愛情を注いでいると思っていても、猫からしたら足りないのかもしれません。猫のツンデレな所可愛いですよね。
対策【マーキング編】
マーキングの対策
マーキング(スプレー行動)の原因とは。
- 発情期
- ストレス
発情期
スプレー行動は一般的に性ホルモンが関係しているため去勢手術をしていない猫の場合、去勢手術をする事で防げます。
去勢手術をした直後にパッタリなくなる猫もいれば、徐々に回数が減っていく猫がいる様に猫によって個体差はあります。
ストレス
去勢手術済みの猫でスプレー行動をしてしまう場合はストレスや不安が原因でしょう。
解決策はその問題を除いてあげる事です。
スプレー行動はいつからやり始めるようになったのか、最近何か暮らしに変化はなかったかを考えてみてください。
猫の部屋の行動範囲(狭すぎていないか)、同居している猫との問題もありますので猫たちの関係性もしっかり理解してあげましょう。
対策【不適切な排泄編】
不適切な排泄をしてしまう原因
なぜ、トイレが置いてあるのにトイレ以外で排泄してしまうのでしょうか。
- 今のトイレの場所が嫌だよ。
- トイレが使いにくいよ。
- トイレが汚れていて嫌だよ。
- 自分のトイレから他の猫の匂いがして使いたくない。
猫の性格によって伝えたい事は変わってくるため、書きだすとたくさんあるのですが、共通しているのは「今のトイレは使いたくない」と言う事です。
トイレの管理を見直す
わたしの友達の猫ちゃんは子猫の時からしっかりトイレの場所を守る猫だったのですが、成猫になるとトイレの場所でないところにおしっこをするようになってしまった事があります。
これは成長した事で体が大きくなり今まで使っていたトイレが使いにくくなってしまった事が原因でした。
不適切な排泄で悩んでいる方は今の猫ちゃんに合っているか、トイレの状態を見直しましょう。
・理想のトイレの大きさ
猫は排泄物を出した後、本能的に砂かけをします。
砂かけを行う際に体の向きを変えたりするためトイレが小さいと砂かけがやりにくいため、トイレの大きさは体の1.5倍の大きさが良いと言われています。
砂かけが上手く出来ないと排泄物を触った手や足で床を歩きまわり、見えない匂いの原因になります。
・理想のトイレの砂
猫によって好みが違いますが一般的には砂の上に乗った時に安定感があり、小さな猫の手でも扱いやすい細かい砂が良いと言われています。
・理想のトイレの数
多頭飼いの方はお家に置けるスペースがあれば「飼っている数」+1個、トイレの数があると良いと言われています。
・理想の掃除の回数
猫のトイレ掃除は少なくても1日2回、トイレのケースは1か月に1回は掃除してあげましょう。
トイレのケースってなかなか後回しにしていまいますよね。
汚れが見えなくても1か月に1回と決めてしまいましょう。
猫が嫌がるトイレの置き場
今置いているトイレの場所が以下の事が当てはまっていないか確認してみてください。
- 常に人が居る場所
- 猫がご飯を食べる場所や良く寝ている場所の近く
- 窓際
- 気温の温度変化がある場所(廊下や玄関)
・常に人が居る場所
警戒心の強い猫は常に人がいる部屋にトイレが置いてあると、落ちついてトイレを使えないため嫌がります。
・猫がご飯を食べる場所の近く
綺麗好きの猫はご飯を食べる場所や寝ている場所もしくはお気に入りの場所の近くにトイレを置くと嫌がります。
匂いのせいでご飯を食べなくなってしまう事もあります。
・窓際
窓際は日光によって消毒効果がありそうですが、実は雑菌が繁殖しやすくなってしまうので気を付けましょう。
また、窓の外に野良猫が見えてしまうと警戒してそこでトイレをしなくなります。
・気温の変化がある場所(廊下や玄関)
廊下は猫の通り道でもあり使いやすそうな場所ですが、冬場などは気温が下がりやすいため注意しましょう。
玄関に置いてしまうと不意に脱走してしまう危険性があるので避けましょう。
おすすめのトイレの置き場所
おすすめ場所その1 『人間のトイレと同じ場所』
人が使っているトイレは換気扇がある事と常に人が居ることはないので猫も使いやすいのではないのでしょうか。
人間用トイレに猫用トイレを置く際は、常に猫が行きやすいようにドアは開けておきましょう。
それと、猫が人間用のトイレに落ちないようにフタは閉めておきましょう。
おすすめ場所その2『洗面所』
トイレと同様に洗面所は人通りが少なく、床が濡れても掃除のしやすい防水素材が使われているため、排水が飛び散っても掃除が楽です。
ただ、洗濯機の音に怖がってしまう猫も居ますので気を付けましょう。
おすすめ場所その3 『廊下や部屋の隅』
実は廊下も人が常にいる場所ではないためおすすめですが、年間を通して大きく気温に差が出てしまう場合はやめましょう。
また、廊下のないワンルームにお住まいの方はお部屋の隅などに置くのもおすすめです。
ただ、リビングの場合人の出入りが多い部屋なので、猫が人目を気にしないようにドーム型のトイレをおすすめします。
3つほどおすすめの場所を紹介しましたが、猫ちゃんの性格によって好むトイレの場所は異なりますので、しっかり猫ちゃんの様子を確かめながらその子に合った最適な場所を見つけてあげてください。
原因を見極める
トイレ以外の場所で排泄してしまう原因、解決策を紹介しました。
ただ『マーキング』と『不適切な排泄』の判断をするのは難しいと思います。
では、どのような場面でそのような事が起きてしまうのか、実際に問題を起こされた人のお話を元にいくつか例を出します。
あなたの猫はどっち!?
わたしが2日間ほど仕事で家を空けていて、帰宅後家で寝ていたらおしっこをかけられていました。普段はトイレでするような子で去勢手術済みです。
マーキングの可能性が高いでしょう。
飼い主さんがお家に居なかった事が寂しかったり、飼い主さんから自分の匂いが消えていたことが嫌だったと考えられます。
最近、飼っている成猫がトイレ以外の場所でおしっこをするようになりました。
部屋の隅や廊下と人があまり通らない場所でするので気づきにくいです。トイレはリビングに置いてあります。
不適切な排泄の可能性が高いでしょう。
トイレの場所や環境の見直しをしてみてください。
最近2匹目の猫を飼うようになってから1匹目がトイレ以外の場所でおしっこをするようになりました。
場所はいつも同じ場所にします。去勢手術済みなのにマーキングでしょうか?
新人猫と暮らすようになって自分の縄張りを教えるためにマーキングしている可能性もありますが、トイレの数や、場所、掃除の見直しも必要です。
例をいくつかあげましたが、あくまでも可能性の話になりますので詳しい事はしっかり獣医さんに相談しましょう。
知っておくだけでも問題を防げるね
病気の可能性
マーキングと不適切な排泄について解決策は色々とありますが、最後に病気の可能性についても知っておきましょう。
トイレ以外の場所でおしっこをしてしまう以外に、下記の症状が見られたら下部尿路疾患や膀胱炎にかかっている可能性があります。一度獣医さんに相談しましょう。
- 頻繫にトイレへ行く
- おしっこに血が混じっている
- おしっこをしない
- おしっこ中痛そうにする
まとめ
まず、猫におしっこをかけられた場合その行動が『マーキング』か『不適切な排泄』なのかによって対策が変わるのでその2つの違いを理解しましょう。
マーキング | 特定の場所に自分の匂いを付けたい。
量は少量で匂いが強く、姿勢は立ったまま。 |
不適切な排泄 | トイレが置いてある場所以外で排泄したい。
量や姿勢はいつもの排泄する時と同じ。 |
【解決策】
原因 | 解決策 | |
マーキング | 発情期
ストレス |
去勢手術
ストレスの原因を突き止める。 |
不適切な排泄 | 今のトイレに不満がある。 | トイレの大きさ、砂、場所、掃除の見直し。 |
猫にとっておしっこはコミュニケーションの1つです。
猫がトイレ以外で排泄をしてしまったら、わたし達に伝えたい事があると思ってあげてください。