猫ちゃんの性格の違いはざまざまですが、猫ちゃんと暮らすなら攻撃的で凶暴な性格が良いと思う人はいませんよね。特にオス猫は成長していくにつれて野生的な行動が多くなってきます。
その原因としては発情期が関係しています。発情期を迎える事で、猫は性的ストレスが溜まり、発散しようとするために問題行動を取ります。
次第には、飼い主に攻撃してくるような凶暴な性格へと変わり、猫と一緒に暮らすのが怖くなってしまう人も出てきます。ただ、飼い主が猫の状態を理解し、正しい対応をしてあげれば、凶暴な性格になる事はありません。
その正しい対応の選択肢として「去勢手術」を視野に入れてほしいと思います。
今回はなぜ、去勢手術をする事で猫の性格に変化が出るのか、また去勢手術をしないとどのような問題行動をとるのかについてお話しします。
猫の問題行動
これらは、猫を飼っている人にはよくあるお悩みですが、発情期が原因であることが多いです。発情期を迎えた猫が起こしやすい問題行動について、4つ紹介します。
- 噛みつく
- 走り回る
- 大きな声で鳴く
- マーキング
猫の成長速度はとても早く、少し前まではじゃれているだけだったのに、急に強く噛みついてきたり、必要以上に部屋の中を走り回り、朝晩関係無く大きな声で鳴くようになっていきます。
これらの行動は性的欲求から来ていて、猫にとっては非常に大きなストレスが溜まっている事を表しています。
そして、そのストレスが原因で猫の寿命を縮めてしまう危険性も高くなります。
噛みつく
発情期を迎えたオス猫が噛みついてくる事が多くなります。
この行動は、交尾をする際に、オス猫がメス猫の首を噛んで抑えようとする「ネックグリップ」を意味しています。
家猫の場合、このネックグリップはメス猫だけにするのではなく、飼い主の腕や足なども対象となってしまう事が問題です。
走りまわる
成長し体が大きくなる事で、元々外で生活していた猫には、室内だけでの運動に不満を感じるようになります。そして同時に、発情期を迎えると、本能的に交尾相手を求める事で、部屋から脱走しようとします。
飼い主がドアを開ける瞬間や、網戸を自分で破り外へ出て行ってしまう事があります。
脱走してしまうと、交通事故や外の野良猫と喧嘩して怪我をする恐れがあるの気を付けなければなりません。
大きな声で鳴く
発情期の影響でメス猫を探すために、朝晩関係無く大声で鳴きます。
この行動は飼い主だけではなくご近所にも迷惑をかけてしまいます。
たまに、わたしの家付近で、夜中に近所の猫の叫びが聞こえるのは、このような意味だったのでしょうか。
マーキング
尾を高くあげて、広範囲に濃いめの尿を吹きかける行動を「スプレー行動」といいます。
発情期を迎えたオス猫が、本来メス猫に元気なオス猫がいる事のアピールとして使ったり、他のオス猫に自分の縄張りを教えるためにする行動です。
いつもトイレで尿を済ませる猫でも、壁や床などにしてしまい大変な事になってしまいます。
去勢手術をおさらい
去勢手術とは
去勢手術とは、オス猫の精巣を摘出する手術です。
メス猫の場合は、卵巣と子宮を摘出するもので、避妊手術といいます。
去勢手術のメリット
手術と聞くと「痛そうだし」「かわいそう」という意見があり、迷う方がいます。
家猫の場合外に出ることがなく他の猫との接触がないため、わざわざ去勢手術をする必要がないと思われますが、先ほどあげた問題行動の改善以外にもメリットがしっかりあります。
- 望まぬ妊娠を避けられる。
- ストレスが軽減される。
- スプレー行動がなくなる。
- 攻撃的行動がなくなる。
- 脱走行動がなくなる。
- 大声で鳴くことがなくなる。
- 特定の病気を予防できる。
去勢手術をする事の1番の目的は望まない妊娠を阻止する事ですが、去勢手術をする事でホルモンバランスが変化し、性格が徐々に穏やかになります。
去勢手術が猫の性格にどのように影響しているかについて、解説していきます。
去勢手術と性格の繋がり
可愛かった子猫が、凶暴になったり、問題行動ばかり起こしていては、飼い主さんもストレスが溜まってしまいますよね。実はこれらの性格の変化には、2つの「ホルモン」が関係しています。
- 成長ホルモン
- 男性ホルモン
といわれるものです。
性格の変化【甘える】
性格は成長ホルモンによって作られるため、去勢手術をする事で、「成長ホルモン」の分泌が少なくなり、子猫の時の性格が戻ると言われています。
去勢手術後は子孫繁栄に興味がなくなるため、より飼い主に興味を示し甘えるようなります。
性格の変化【穏やかになる】
去勢手術後は「男性ホルモン」の量が減ることで発情時に起こる攻撃的な行動や、メス猫を探すために走りまわったりするような事がなくなります。
飼い主が座っている横で静かに寄り添ってくれる時間が増えますね。
また、男性ホルモンが減ると男性でもない女性でもない、中性的な性格に変わると言われています。
わたしの友達の猫も去勢前は活発な性格で、来客には甘えるような事をしない猫だったのですが、去勢手術後はひざの上に乗って甘えてきたりして落ち着いた性格になっていて、驚きました。
手術直後の猫の心境
去勢手術自体は20分ほどで終わるのですが全身麻酔を使うため、消化器官が正常に戻るのに時間がかかります。
ご飯を食べなくなったり、食べても吐き出してしまい元気が無いよう見えますが2~3日経てば徐々に回復してきます。
それでも元気が戻らない場合は獣医さんに相談しましょう。
猫の鬱(うつ)
去勢手術が初めての手術という猫ちゃんは少なくないと思います。
去勢手術をするために、飼い主から離れて知らない人しかいない病院に預けられた事で精神的ショックを受け、パニック状態になってしまう猫がいます。
そのため、病院から帰宅後、部屋の隅に隠れてしまったり警戒したようにこっちを見てきたりする様な行動をとる事もあります。
その場合は落ち着くまで様子を見守りましょう。
ただ、精神的ショックを強く受けた事で「鬱(うつ)」になってしまう猫もいます。
鬱(うつ)の症状
- 食欲不振
- 毛繕いをしない
- 遊ばない
去勢手術後に上記の症状が2週間以上続く場合は鬱の可能性があります。
去勢手術をした病院に相談しましょう。
去勢手術後に猫ちゃんの元気がないときの対策については、こちらの記事をごらんください。
凶暴化
去勢手術直後に猫ちゃんが部屋中を走りまわったりする事がありますが、去勢手術後は神経質になっていて凶暴になってしまうこともあります。
その様な時は2~3日ほど経てば、徐々に落ち着いて普段の生活にもどります。
去勢手術済みの猫が凶暴化
去勢手術が終わった猫でも凶暴になってしまう事があります。
猫は元々狩りを得意とする生き物のため、遊んでいるうちに飼い主や他の猫に本気になって襲い掛かってくる事がありますが、この行動を放置してしまうと遊びと本気にの力加減が分からくなってしまい、凶暴化が進んでしまいます。
わたしも友達の猫が可愛すぎて、何もせずに猫を眺めていたらいきなり襲われてびっくりした経験があります。
猫が手加減をしてくれて、寸止めだった為、怪我などはなかったのですが、気を抜いている時に襲われたので、この世の終わりかと思ってしまいました。
問題行動の対策【やってはいけない事】
凶暴化した猫にやってはいけない事
- 目をじっと見る
- 怒鳴る
- 優しく声をかける
猫はじっと見られると相手を「攻撃対象」として認識し、相手が襲ってくるかもしれないと思い込みます。
もし、猫と目が合ってしまったら、ゆっくり瞬きをして敵意が無いことを示しましょう。
目が合ったわけでもなく、何もしていのに猫が襲い掛かってくると、びっくりしてしまいますよね。
だからといって反射的に大きな声を出したり、強く怒鳴ってしまうと、猫は余計に興奮してしてしまい逆効果となるので、その時に大きな声で叱るのはやめましょう。
そして、悪い事をやっている自覚がなくなってしまうので、優しく声をかけるのもだめです。
1番良いと言われているのは「無反応・無視」です。
こういった時に便利な、上手に「無視」しながら自分を守ることができる必殺技を紹介します。
問題行動の対策【襲われた時の対応】
襲い掛かってくる猫に秘密兵器として使われるのが「段ボール」や「分厚い布」です。
段ボールを手頃な大きさにカットした物や、分厚い布を部屋の所々に用意してください。
襲われそうになった時に、段ボールを出す事で、直接飼い主の体に攻撃するような事がなくなります。
問題行動の対策【日々の対策】
- しっかり遊ばせる
- 蹴りぐるみ与える
- たっぷりの愛情
健康な猫が凶暴化してしまうのは体力を持て余してしまっているためです。
それなら、しっかり運動させてあげればいいのです。
猫の持久力は大体15分と言われています。
獲物を追いかけるようなおもちゃを使って15分間全力で遊んであげる事で、運動する時間の区別をしっかり出来る様になります。
飼い主が遊ぼうとした時に猫ちゃんが乗り気じゃない時や逆に猫ちゃんが遊びたい時に飼い主がかまってくれない場合に「蹴りぐるみ」を用意しておくと良いです。
蹴りぐるみを使う事で噛んで良いものとダメな物を理解できるようになります。こういったおもちゃは、可愛いデザインの物も多いので、見ているだけでも面白いですね。
最後は「たっぷりの愛情」と書きましたが、飼い主が猫ちゃんの事を思いやる気持ちをしっかり示す事で猫ちゃんに必ず通じます。
猫ちゃんの行動の意味を理解し、その子に合った解決策を考えて猫ちゃんと一緒に楽しい時間を過ごしましょう。
性格だけではなく見た目も変化する
ここまで、去勢手術による性格の変化をお話してきましたが、猫は去勢手術後に、性格だけでなく、見た目もかなり変わることがあります。
去勢手術後はホルモンバランスが崩れる事で運動量が減り手術前より太りやすくなります。手術前と同じ餌の量をあげてしまうと、すぐに体重が増加し肥満になる可能性が高くなります。
そして顔の形も変化してきます。
去勢手術をしていないオス猫の顔は頬が張り横に広がっていて貫禄のある顔になり、逆に去勢手術を受けたオス猫の顔は男性ホルモンの減少により、顔回りの皮膚が発達しなくなり、逆三角形のようなスッキリした顔になります。
わたしは友達の去勢手術済みの猫を見た後に、野良猫を見て思ったのですが、去勢手術をしていないオス猫は貫禄のある顔立ちになっていて、生きてきた経験を顔で語っているような感じに思えました。
まとめ
オス猫は発情期を迎える事で攻撃的な問題行動が増え、凶暴な性格になってしまう子が多いですが、その行動は性的欲求から来ているため「去勢手術」をする事で解決できることがあります。
去勢手術後の性格の変化 | 去勢手術の影響 |
甘える | 「成長ホルモン」が分泌されなくなり、子猫の時の性格が戻りやすくなるため |
穏やかになる | 「男性ホルモン」が減ることで中性的な性格に変わり、攻撃的行動が少なくなる |
ただ、すべての猫の性格が穏やかになるとは言い切れません。
去勢手術の影響で鬱(うつ)になってしまう猫もいれば、去勢手術をしても凶暴になってしまう猫ちゃんもいます。そのような場合は以下のような事を生活に取り入れてみてください。
凶暴な猫への対策 | 落ち着く理由 |
しっかり遊ばせる | 1日15分程、運動する事で体力を消費させる |
蹴りぐるみを与える | 噛んで良いものとダメな物の判断が出来るようになる |
たっぷりの愛情 | 猫の行動の意味を理解するためにしっかり猫と向き合う |
襲われると、凶暴な子と思ってしまいますが、猫ちゃんたちはただ単に遊びたいだけかもしれません。
一緒に遊んであげる事で、持て余している体力を消費する事が出来ますし、遊ぶ時間を作る事でオン、オフがはっきりし、飼い主と共に静かな時間を過ごせるようになります。これからも、楽しく素敵な猫ライフを送ってください。