最近子猫を飼い始めた猫友から、こんな相談を受けました。
子猫の足への攻撃、これは高校生の頃に拾って飼い始めた先代『しゅり』にも噛まれた経験があります。
当時のわたしは、ずいぶん足にかき傷を作りながら女子高生時代を過ごしていましたよ。
子猫とはいえ本気で噛まれればとても痛いですし、噛まれることで感染症を起こす恐れもあります。
なにより噛んでくる理由がわからないと対処のしようがないので、飼い主と子猫の関係に溝が出来てしまう危険も。
最悪の場合飼い主が耐えられず、子猫を捨ててしまうという行動に至ってしまうことも少なくないんです。
今回は子猫が飼い主の足に噛みつく理由や対策についてご説明していきたいと思います。
子猫がどんな理由から足を噛んでくるのかが分かると、辛いだけの気持ちが前向きに変化してくるかもしれません。
子猫が飼い主の足を噛む4つの理由
子猫はなぜ飼い主の足に噛みつくのでしょう。
ここではその理由についてお話ししていこうと思います。
- 獲物だと思い込んでしまう
- 遊び足りなくてじゃれている
- これまでの経験から何かしてもらえると思っている
- 八つ当たり
そうなんですよ。八つ当たりって理不尽極まりない感じがしてしまいますよね。
でもここには猫にしか分からない理由があったんです。
理由を知り、きちんと理解してあげたいですね。
獲物だと思いこんでしまう
ご存じの方も多いと思いますが、猫は狩りをする動物で、いわば『ハンター』なのです。
子猫といえどその本能はしっかり持っています。
人間にはそのつもりがなくても、子猫にとって不規則に動く様子や飛びつきやすそうな形から、ハンターの血が騒いでしまうんです。
そのため、飼い主が動き出した瞬間、獲物だと思い足に飛びついてしまうわけです。
飼い主に噛みつくことでハンターとしての訓練をしているということですね。
猫は『薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)』といって、明け方と夕暮れに行動が活発になる動物なので、飼い主がまだ寝ている明け方にも目がランランとしている子もいるんですよ。
そんな元気な子猫ちゃん。
布団から飼い主さんの足先が出ていようものなら格好のターゲットと認識。
足や足の指の動きが、とっても魅力的に思えてしまいガブリとしてしまうんですね。
夜元気になる子猫にお困りという方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
遊び足りなくてじゃれている
通常子猫の間は母猫や兄弟たちと遊びながら、運動機能を高めたり、社会性を身につけたりして成長していきます。
しかしペットショップで売られている子や、生れてまもなく捨てられてしまった子猫などは早い段階から母猫や兄弟たちと引き離されてしまうため、その相手は飼い主になるんです。
日中仕事でいない飼い主の場合、遊べないストレスはどんどん溜まってしまうのです。
それを飼い主の足を噛んでじゃれることで発散したり、気付いて欲しいとメッセージを送っているわけです。
これまでの経験から何かしてもらえると思っている
子猫は毎日を学習しながらすごしています。
これまでに足を噛んだら『おやつをくれた』や『家事をする手を止めて遊んでくれた』などの過去の経験から、噛むとなにかしてもらえると学習してしまっているケースがあります。
これは、飼い主が反省する点でもありますよね。
八つ当たり
猫はうまくいかないことがあったときや、他の猫とのトラブルでイライラしたときなど、全然関係のない、ただ近くにいたというだけのものに八つ当たりをすることがあります。
これを『転嫁行動(てんかこうどう)』といいます。
たとえば、窓の外に知らない猫が来ているけど、その猫にあっちにいけと攻撃できないからと近くにいた飼い主に噛みついたり攻撃するといった感じです。
実はこのときの猫は、ストレスとパニックが入り交じった興奮状態となっています。それを落ち着かせるための行動なのです。
それを飼い主のみなさんにはしっかり分かって欲しいですし、急に興奮して足を噛んできたと思ったら何か原因があるのではと疑ってみてください。
足を噛まれることの問題点
子猫が噛むのも足にじゃれていると考えると、とっても微笑ましい話ですね。
しかし飼い主からすると問題行動と思えてしまうことが多いのも事実。
子猫に噛まれることで問題となるのは
- 噛まれたところから感染症にかかってしまうこと
- 飼い主が苦痛しか感じられず、子猫との関係が悪化してしまうこと
子猫といえど肉食動物です。
獲物を一発で仕留めるため、噛む力は成猫で人間の2倍。
成猫に比べ、子猫の力はもっと弱いですが、それでも人間の皮膚は簡単に傷ついてしまいます。
さらに子猫の歯は細くとがっているため、まだ体験したことがないという方はきっと想像以上の痛みですよ。
さらに冒頭でも述べたとおり、子猫の口の中はバイ菌がたくさん存在しているため、噛まれることで感染症にかかってしまうことがあります。
大丈夫と甘くみていると思わぬ自体に陥ってしまう可能性も。
しっかり受診するようにしましょう。
さらに子猫が噛むことを続けることで、飼い主は痛みとストレスに脅かされた生活を送るようになります。
猫からの八つ当たりである転嫁行動などは、急に攻撃されるので飼い主さんからしたら『自分に懐いてくれていない』と誤解してしまう可能性も。
そのため子猫との関係がどんどん悪化してしまい、最悪の場合には『飼育放棄』となってしまう事態にもなりかねないんです。
子猫に足を噛むことをやめさせる方法
子猫が噛む理由がわかりましたね。
では次に知りたいのは対策だと思います。
- 大きい声で短く『痛い』という
- 噛まれても出来るだけ反応せず、別のもので気をそらす
- 興奮しているときには落ち着かせる
- 飼い主主体で遊びやご飯の時間を決める
- 天罰を与える
- 猫の苦手な匂いをつけて噛ませる
それぞれについて詳しく説明していくたいと思います。
対策1.大きい声で短く『痛い』という
先ほどもお話したように、母猫や兄弟とすごすことで噛まれたら痛いことや力加減を知っていきます。
早く母猫たちから引き離されてしまった場合は、子猫はまだ噛まれたら痛いということを学習できていない可能性があります。
なので噛まれたら、すかさず大きい声で短く『痛い』と伝えましょう。
叱るときに名前は呼ばない
これは普段叱られていないときにも『名前を呼ばれる=叱られている』と認識してしまうため、叱るときには他の言葉で叱るようにしましょう。
対策2.噛まれても出来るだけ反応せず、別の物で気をそらす
子猫は飼い主の反応をみて面白がっている事もあります。
『噛む=飼い主が反応してくれるから楽しい』と認識しないように、痛いけどできる限り我慢が必要です。
そしておもちゃを使って気をそらしましょう。
ただし、ここで注意したいのは、おもちゃを持って遊ぶこと。
飼い主が一緒に遊んでしまうと、噛んだら遊んでもらえると勘違いしてしまいます。
このときは音の鳴るおもちゃを子猫にわかるところに投げたり、動くおもちゃを使って猫の気をそらしていくことがポイントですよ。
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対策3.興奮しているときは、気持ちを落ち着かせる
子猫が興奮していたらまずは落ち着かせる対処をしましょう。
【子猫が興奮しているかどうかの見極め】
- 耳や鼻がピンク色になっている
- 目が黒目がちになりランランとしている
- ヒゲが前を向いている
- うなり声を上げている
こんな状態になっていたら、まずは無視。
別の部屋に隔離したり、その場から離れます。
このとき落ち着かせるために撫でたり、優しく話しかけたりするのはNG。
これは猫の興奮を助長してしまう原因になるのでやめましょう。
転嫁行動により興奮し攻撃を受けているという方は、猫のストレス緩和に効果のあるこちらもおすすめ。
対策4.飼い主主体で遊びやご飯の時間を決める
猫が過去の経験から飼い主の足を噛み、ご飯や遊びを催促するという場合は無視しましょう。
ここで応えてあげてしまうと『続けていればもらえる』、『激しく噛めば構ってくれる』などと学習することに。
やめて欲しいなら強い意志を持って徹底的に無視。
そして飼い主主体でご飯や遊びの時間を決めましょう。そうすることで頑張ってももらえないんだなということを学んでくれますよ。
対策5.天罰を与える
さて、子猫のうちはそんな意識はまだないかもしれませんが、『猫は自分を神だと思っている』という名言があります。
そんな神様にも足を噛んだときには天罰を与えることでビックリさせ、噛むことをやめさせるという方法があります。
先ほどはおもちゃで気をひきましたが、こちらはビックリさせて止めるパターン。
これを続けることで、足を噛んだら嫌なことが起こると認識してくれるようになります。
【天罰の与え方】
- 水を水鉄砲などを使ってピューっとかける。
- 手をたたいて大きな音をたてる 等
ここで大事なことはあくまで天罰であること。
飼い主がやったと悟られないようにすることが大切です。
飼い主がやったとバレてしまうと子猫からの信頼関係に溝が出来てしまう危険があるので注意ですよ。
水鉄砲もありますが、猫が嫌いな匂いのスプレーというのもありますよ。
対策6.猫が嫌いな匂いや味をつけておく
これはあらかじめ飼い主に、猫の嫌いな匂いや味をつけておくというシンプルな方法。
これも天罰同様、足を噛んだら嫌なことがあると学習させるんですね。
猫が苦手な匂い・・・柑橘系・ハッカ・アロマ・ハーブ
リキットタイプだと塗りやすいですよ。
まとめ
子猫が足を噛む理由とその対処法について説明してきました。
猫が足を噛む理由には、飼い主も気をつけていかないと、と振り返る機会になるものもありましたね。
【子猫が足を噛む理由】
- 獲物だと思い込んでしまう
- 遊び足りなくてじゃれている
- これまでの経験から何かしてもらえると思っている
- 八つ当たり
そして対策は、猫が学習する生き物であることをうまく利用することで成功するということ、飼い主の強い意志が必要であることが分かりました。
【猫が足を噛まなくなる対策】
- 大きい声で短く『痛い』という
- 噛まれても出来るだけ反応せず、別のもので気をそらす
- 興奮しているときには落ち着かせる
- 飼い主主体で遊びやご飯の時間を決める
- 天罰を与える
- 猫の苦手な匂いをつけて噛ませる
子猫と飼い主の関係を悪化させることなく過ごせるように、足を噛んでくる理由をきちんと理解し、対処してあげたいですね。