わたしがまだ幼かった時に飼っていた、愛猫のみゅう。
可愛くて大好きで、ついついキスをしてしまいました。
でも、母に叱られました。『猫は、歯を磨かないでしょ。だからお口は触ったらだめだよ』って。
それからは、鼻チュに変えました(笑)
たしかに、わたしが小さい頃は、猫の歯をケアするという考えは世間一般的にありませんでした。
猫は人とは違い、口腔内の仕組みが異なることから虫歯菌が発生しにくく『虫歯』にはなりません。
しかし歯周病などの歯の病気にはなりやすいのです。
なぜなら猫は人よりずっと速いスピードで歯垢が歯石にかわるからです。
そのことも踏まえながら今回は、大切な猫ちゃんの口内環境と歯の病気についてお話ししようと思います。
もちろん歯のケア方法も教えます。
これを知らないと、知らず知らずのうちに猫ちゃんの口内環境が悪化して、痛みで苦しめることになるかもしれません。
そればかりか、莫大な治療費もかかることがあります。
見逃さないで!猫の歯の病気7つのサイン
猫は、自分の病気をできるだけ隠そうとする傾向があります。
なぜなら野生として生きていた時代、弱さを見せることは自分を危険にさらすことだったので、名残でいまだに我慢してしまうのです。
なので飼い主さんが、猫ちゃんの変化に気づいてあげないといけません。
あなたの猫ちゃんは、こんなサインをだしていませんか。
- 歯が汚い、汚れている
- 歯に何か挟まるようで、口元を気にする
- よだれを垂らしていることが多くなった
- ご飯を食べたそうなのに食べない
- 毛づくろいをしなくなった
- 口臭が酷くなった
- 食べたものをポロポロと落とす
こんな症状があったら歯の病気を疑いましょう。
猫は、繊細な生き物です。
1度ご飯を食べた時に痛い思いをしたと覚えてしまうと、症状が改善されても、ご飯を食べる事を拒否することがあります。
そうなると、強制給餌(きょうせいきゅうじ)をして無理やり食べさせなくてはいけませんが、この作業は猫にとっても飼い主さんにとっても大きな負担になります。
そうなる前に早く見つけてあげることが大切です。
【強制給餌(きょうせいきゅうじ)とは】
自発的に食べない場合に用いる、餌の与え方の方法のひとつ。注入器やシリンジに流動食を入れ、口の端から差し込んでゆっくりと口の中に少しずつ入れ飲み込ませる。
猫がなりやすい歯の病気と治療法
猫ちゃんの歯の病気はたくさんの種類があり、自然に治らないので必ず治療が必要になります。
つまり、人と同じように早期発見・早期治療が大切なんです。
前の項目に挙げたような症状があった場合、どのような病気が考えられるのでしょうか。
どんな病気があってどんな治療をするのか、保険のきかない猫ちゃんの治療費とともに確認していきましょう。
猫のなりやすい歯の病気 歯周病
原因 | 歯垢の中の細菌が原因となって起こる炎症 |
症状 | 歯肉の腫れや出血・歯の汚れ・口臭・物を食べづらそうにする |
どんな病気 | 歯肉炎が深いところに侵食した状態。ひどくなると歯が抜ける、顔の皮膚に穴があき、膿が出る、顎を骨折することも。 |
かかりやすい猫種 | どの猫種でもかかる |
歯周病の治療法
猫の歯の病気は自然治癒はありません。必ず治療が必要になります。
①歯垢・歯石の除去をする
歯周ポケットに入り込んでいる歯垢・歯石を完全に取り除きます。
全身麻酔をかけての治療になるのでリスクももちろんあります。
【治療費】平均20,000円~40,000円
②歯垢・歯石の除去+抗生剤投薬
重度の場合は歯垢・歯石の除去だけでなく、抗生剤などを使って炎症や痛みを抑えます。
【治療費】投薬費用で+10,000円~20,000円
③抜歯
歯周病が悪化していて歯にひどいぐらつきがある場合、歯の根元まで露出している場合は抜歯もしくは全抜歯をし、穴を縫合します。
症状の改善は全臼歯(ぜんきゅうし)抜歯(奥歯)で60%前後、全顎(ぜんがく)抜歯で90%前後ほどです。
全臼歯(ぜんきゅうし)抜歯とは・・・犬歯(牙)と切歯(前歯)を残しそれ以外の歯を抜歯します。
全顎(ぜんがく)抜歯とは・・・生えている歯をすべて抜歯します。
【治療費】猫の抜歯費用は歯1本につき3,000円~12,000円ほどかかり、入院や抜く歯の種類によって100,000円越えする場合もあります。
術後しばらくは柔らかい缶詰のご飯のみに制限することになります。
しかし徐々にドライフードに戻していき、1ヶ月も経たないうちに元通りに食べられるようになります。
猫のなりやすい歯の病気 歯肉炎
原因 | 原因ははっきりしていないが、細菌感染、猫エイズ(FIV)や猫白血病(FeLV)に感染しているとなりやすい |
症状 | 歯肉の腫れや出血・歯の汚れ・口臭・物を食べづらそうにする |
どんな病気 | 歯茎が赤く腫れる、歯茎に炎症がある。病巣が歯肉までのものをいう |
かかりやすい猫種 | どの猫種でもかかる |
【猫エイズとは】
発症すると免疫機能が低下するため、ちょっとした病原体やウィルスに感染しやすくなります。
この病気は、免疫力を高めて、ストレスを与えないように注意すればエイズキャリアとして発症することなく天寿を全うすることもできます。
【猫白血病とは】
ウイルス感染による病気。症状としては白血病の他にも、免疫不全や貧血、リンパ腫などの異なる病気を引き起こすこともあります。
残念ながら治療法がなく2~3年で亡くなることが多いです。
歯肉炎の治療法
①歯石の除去、全臼歯抜歯や全顎抜歯をする
【治療費】猫の抜歯費用は歯1本につき3,000円~12,000円ほどかかります。
入院や抜歯する歯の種類によって100,000円越えする場合もあります。
②歯肉の炎症や痛みを抑えるためにステロイドを使用
長期作用のあるステロイドの注射、それと共に抗生剤を使用します。
非ステロイド性抗炎症剤などの鎮痛剤が使用されることもあります。
【治療費】平均13,000円ぐらい
私たち動物の生体内にある「副腎皮質(腎臓の上部)」から出る『コーチゾン』というホルモンがあります。自然界には、この「コーチゾン」によく似た作用をするものとして、植物由来の『大豆サポニン』、鉱物由来の『ヒドロコルチゾン』というものがあります。そして、人間が人工的に化学合成して作ったものが、『ステロイド』というものになります。ですから、「ステロイド」とは、人工的な副腎皮質ホルモンのこととお考え下さい。
商品名としては、プレニゾロン、デキサメサゾン、トリアムシノロンの3種があります。錠剤、注射液、点眼液、点耳液、軟膏、座薬、舌下薬、吸入薬、噴霧薬、テープという様々な形態のお薬が出ています。
ただ、猫エイズにかかっている猫にステロイドを使うと、免疫抑制作用で、かえってエイズウィルスを活性化させて発症を早めてしまうことがあります。
ステロイドを使った治療をする際には、まずウイルス検査をすることをお勧めします。
このサプリは、わたしの友達の家の猫ちゃんが歯肉炎と口内炎が酷い時に使ったものです。
なんとその飼い主さんは、猫ちゃんに使う前に自分の口内炎で試してから使用したんですよ。
猫ちゃんにもサプリが効いて、今ではご飯も食べられるようになりました。
そんな方には
こちらは、猫のお口トラブルにはいいサプリです。人にも使えます。
わたしは予防のために、餌に混ぜてますよ。
猫のなりやすい歯の病気 歯肉口内炎 難治口内炎
原因 | 歯石などの刺激、免疫不全、薬品類の誤飲・猫エイズ・猫白血病などにより免疫力が落ちた時 |
症状 | 口の中が赤い、よだれが出る、口を気にしている、手がよだれで汚れている、口が臭う、口を開ける時に痛がって鳴く、ご飯が食べられない |
どんな病気 | 舌、歯茎といった口腔内の粘膜に腫れや炎症が起こって、出血、よだれ、口臭がひどくなる |
かかりやすい猫種 | どの猫種でもかかる |
歯肉口内炎・難治口内炎の治療法
猫の口内炎は治療が難しい病気です。
①ステロイドや免疫抑制剤、抗生剤を投薬する
投薬中はある程度症状が改善されますが、完治には至らず、薬を止めるとまた悪化し、なかなか薬を止めることができません。
またステロイドを長期継続することは体に負担がかかり、投薬の期間によっては治療費も嵩みます。
最近では口腔内へのインターフェロン投与という選択肢もできました。
インターフェロンのことが気になった方は、こちらで詳しく解説しています。
②抜歯、全顎抜歯
全身麻酔をして抜歯もしくは全顎抜歯をします。手術後は内科治療をして少しずつ減薬し、完治することが多いです。
全臼歯抜歯(奥歯)で60%前後、全顎抜歯(全抜歯)で90%前後ほどの改善がみられています。
ただ全顎抜歯の方が改善はみられますが、手術の時間がかかるため、麻酔の量も増えるので、体に負担がかかります。
【治療費】猫の抜歯費用は歯1本につき3,000円~12,000円ほどかかります。
入院や抜く歯の種類によって100,000円越えする場合もあり、その後の内科治療でさらに増額します。
歯のケアをして歯の病気を予防しよう!
歯磨きを習慣づける
歯の健康を守るのは人も猫も歯磨きが1番です。是非実行してみてください。
- 子猫の時から歯磨きの習慣をつける。
- 歯磨きを始めるのは生後4週~6週が理想。
- いきなり歯ブラシで磨くのではなく、猫が嫌がらないように少しずつ馴らす。
- 頻度は3日に1回ぐらい。
- 歯ブラシになれてきたら、歯の根元部分に45度の角度で当て、歯肉を傷つけないように注意しながら磨く。奥歯は上唇を親指で持ち歯を露出させながら磨く。
猫の歯磨き代用品を使う
歯ブラシを使う前の段階で、まず歯磨きに慣らすために、猫用歯磨きシートを使う方法もオススメ。
指に巻いて使うシートタイプの歯磨きアイテムはシートに歯磨き粉がしみこませてあるので手軽です。
より歯ブラシに近い商品もあります。指を使うので歯ブラシよりも猫に恐怖を与えず、力加減も調整しやすいので使いやすいです。
猫用の歯磨きガムを与える
おやつとして与えればいいのでとってもお手軽です。
歯垢を除去するできるように素材や形状が工夫されているので、猫に嫌われるどころか好かれちゃいます。
ただ与え過ぎは肥満につながりますので要注意です。
わたしの知り合いの子の猫ちゃんは、大人になってから飼い始めたので、歯ブラシは使えませんでした。
そこで、この商品を与えたところ魚のいいニオイが気にいったのか喜んで食べながら歯のケアもしています。
ドライフードを与える
ウェットフードよりドライフードの方が歯垢が付きにくいためおすすめです。
ドライフードも今では歯に健康を考えたキャットフードも発売されています。
たくさんあるキャットフードの中でもこの商品は原材料にこだわっており、また歯のケアもできます。
デンタルTOYで遊ばせる
噛むと歯とおもちゃが擦り合わさり歯の汚れが取れる、遊びながら歯のケアもできるという素敵なおもちゃ。
またたびを振りかければ、喜んで遊ぶこと間違いなし。形状が穴があいていたりブツブツしています。
このようなおもちゃですが、少し奇妙な形をしてますね(笑)
デメリットは、おもちゃに興味がないと使えないことです。
定期的に歯科検診を受ける
歯科検診はまめに行きましょう。
現在何も歯にトラブルがなければ1年に1度、年に1度のワクチン接種の時に一緒に検診をしてもらうと忘れないのでいいですね。
歯の病気にかかったことのある子は3か月〜半年に一度がオススメです。
まとめ
歯の病気の恐ろしさ、そしてケア方法を学んでいただけましたか。
愛猫にこのようなサインが見られたら、病気の可能性を疑いましょう。
- 歯が汚い、汚れている
- 歯に何か挟まるようで、口元を気にする
- よだれを垂らしていることが多くなった
- ご飯を食べたそうなのに食べない
- 毛づくろいをしなくなった
- 口臭が酷くなった
- 食べたものをポロポロと落とす
可能性として考えられるのは、こんな怖い病気です。
- 歯周病
- 歯肉炎
- 口内炎
- 治療費がとても高い
- 完治が難しい
- 予防が大切
猫の体にも負担のかかる歯の病気の予防には、日頃の歯のケアが大切です。
- 歯磨きを3日おきぐらいに行う
- おやつに歯磨きガムを与える
- ドライフード中心の生活を
- デンタルTOYで遊ばせる
- 定期的に歯科検診を受ける
完治が難しく、治療費も高額になりがちな猫の歯の病気を防ぐためには、早期発見と毎日のケアが重要になります。
正直、歯のケアは大変だと思いますが、大切な猫ちゃんのため、是非実践をしてみてください。