愛猫のゆねが舌をペロっと出して寝ていたので、写真を撮って猫友と見ていた時のことです。
猫友の愛猫の写真を見ると、舌が赤くて少し腫れているような印象だったので病院に行くことをすすめました。
後日、猫友に結果を聞くと
猫は舌に病気のサインが現れることがあります。
このサインに気付かないでいると、病気がどんどん進行し手遅れになることも。
舌の色を見ることで愛猫がどんな状態なのか、どんな病気が潜んでいるのかを予想することが出来ますよ。
今回は舌の色や病気について詳しく解説していきます。
猫の舌の役割
まずは舌の役割について見ていきましょう。
- 食事をするのに便利
- 身だしなみを整えるのに便利
- 気持ちを伝える手段として便利
食事をするのに便利
わたしたち人間と一緒で食事をするには舌が大活躍します。
味を感じる
猫の舌の表面には茸状乳頭(じじょうにゅうとう)というものが約250個ほどあります。
茸状乳頭の先には、味を感じるのにとても大切な味蕾細胞(みらいさいぼう)があるんですよ。
猫の味蕾細胞は約500個あります。500個でも多いなぁと感じた方、驚いてはいけません。わたしたち人間には約1万個あるんですよ。
この味蕾細胞の数が多いほど、味を感じ取ることが出来ます。
猫が感じ取ることが出来る味覚は次の3つ。
- 塩味
- 酸味
- 苦味
わたしたち人間はこの他に「甘味」と「旨味」を感じることが出来ます。
スプーンの代わりになる
猫は食事をする時や水を飲む時にスプーンやコップと言った道具を使いません。代わりに「舌」を使います。
猫の舌は小さいので1回にすくう量は少ないですが、その分速さには自信があるんですよ。なんと1秒間に3~4回ほど出し入れすることが出来るのです。
そして水を飲む時には、舌を裏側に曲げて飲むんですよ。
- 舌を裏側に曲げる
- 舌の先端だけを水の表面に触れさせる
- 舌を勢いよく口の中に戻す
- 舌を戻す時に水が引っ張り上げられ水柱が出来る
- 水柱が一番高くなった所で口を閉じる
スプーンやコップと言った道具を使えない猫にとって、「舌」は生きていく上ではとても大切なものなんですね。
気持ちを伝える手段として便利
言葉を話せない猫にとって舐めるというのは「ありがとう」や「大好きだよ」の気持ちを伝える手段でもあるんですよ。
猫が舐める時に「ありがとう」の他にどんな気持ちを伝えてくれているのかを調べてみました。
身だしなみを整えるのに便利
猫を見た時に「この子、可愛いなぁ」ってどこで判断しますか。
そうなんです。毛並みのキレイな子って「美猫」っていう感じがしますよね。
この毛並みをキレイにするためには、わたしたちがブラッシングをしてあげることも大切ですが、猫自身が行う毛づくろいも大切なんです。
猫は寝るのが大好きな動物。起きている時間がとても短く感じますが、その短い時間の中でも毛づくろいだけは欠かさずに行います。
猫の舌ってザラザラしていますよね。あのザラザラは糸状乳頭(しじょうにゅうとう)と呼ばれ、猫にとってなくてはならないものでした。
ザラザラした部分は毛並みをそろえたり、毛に付いた汚れなんかもキレイに取ってくれるんです。
この糸状乳頭は、毛並みをキレイにするだけでなく猫が生きていくうえでとても大切な役割をしてるのですが、気になる方はこちらの記事を見てくださいね。
舌を出した姿がとっても可愛い!?
たまに毛づくろいの後などに舌をペロっと出しているのを見たことはありませんか。
あれは毛づくろいに疲れた時や気の緩みなどから舌をしまい忘れている場合が多いんですよ。
ペロっと舌を出したまま寝ているのとか見ると、思わずスマホで写真を撮ってしまいます。
【ペロッと舌を出すネコ】
猫はリラックスしている時
警戒心がなくなり筋肉が緩むので
舌をしまい忘れペロッと
出しっぱなしになります。 pic.twitter.com/7YXERYhPUc— 動物の習性図鑑 (@dobutsu_syu) November 12, 2020
出典:Twitter
猫の可愛い姿の上位にランクインしている「舌のしまい忘れ」ですが、しまい忘れの時には猫に声を掛けたりすれば閉まってくれます。
それでも舌を出しっぱなしにしている時には病気が潜んでいることがあります。
次の章では舌の病気について見ていきますね。
舌の色から考えられる状態と病気の治療法
健康な猫の舌は上の画像のようにピンク色をしています。他にも舌の形がキレイな「U」の形だと健康な舌の持ち主。
異常が見られるときには次のような特徴があります。
- 赤く腫れている(出血している)
- 白っぽくなっている
- 紫色になっている
- 黒くなっている
それでは詳しく見ていきましょう。
舌の状態:赤く腫れている(出血している)
舌が赤く腫れていたり、出血している時には次のような病気が考えられます。
- 口内炎・舌炎
- 口腔内腫瘍
口内炎・舌炎(ぜつえん)
どんな病気 | 舌や口の中の粘膜部分に炎症・潰瘍(*1)を起こす |
原因 |
|
症状 |
|
かかりやすい猫種 | 高齢猫、病気や治療などで体力が低下した猫 |
治療法 |
|
(*1)潰瘍(かいよう)…皮膚・粘膜・角膜などで炎症を起こし、体の深いところまで傷ついた状態
わたしたち人間にとって口内炎は痛いけど、時間の経過と共になくなるものっていう感じではないでしょうか。
でも猫にとって口内炎は、とても痛くて辛いものなんですよ。
お口の中が痛くなるので、ご飯が食べられなくなったり、水を飲むことも出来なくなります。猫がご飯を食べなくても健康に支障がないのは次の通りです。
- 生後3ヵ月以下:8時間
- 生後3ヵ月ほどの子猫:12時間
- 生後半年頃:16時間
- 1歳以上:24時間
これ以上の時間、絶食状態が続くと肝臓機能に問題が発生すると言われており、最悪の場合には死に至ることがあります。
口内炎になってしまった猫の食事の管理はとても大変。ドライフードだと猫の負担はとても大きいので、ウェットフードやドライフードをふやかしたものを与えましょう。
口内炎や舌炎と同じく、猫がかかりやすい歯の病気で多い歯周病についても詳しく調べてみましたので、こちらをご覧くださいね。
口腔内腫瘍(こうくうないしゅよう)
どんな病気 | 皮膚や粘膜を構成する細胞が腫瘍化する |
原因 |
|
症状 |
|
かかりやすい猫種 | 白い猫に多く見られる |
治療法 |
|
猫の口腔内腫瘍の7~8割程が扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)と言われる悪性腫瘍です。
口腔内腫瘍の診断には腫瘍の一部を採取しなければいけないので、猫に全身麻酔をかけます。全身麻酔は猫への負担もストレスも大きいです。
腫瘍が口腔内から骨や脳などと、かなり進行していると手術をすることも出来ません。
口腔内腫瘍になってしまうと、1年生きていられる確率が10%以下という猫にとってとてもやっかいな病気。
舌の状態:白っぽくなっている
猫の舌が白っぽい時には次のような状態が考えられます。
- 貧血
- ショック状態
貧血
どんな病気 | 血液中の赤血球の割合が、正常値よりも少なくなる |
原因 |
|
症状 |
|
かかりやすい猫種 | どの猫にもかかる可能性はある |
治療法 |
|
猫の貧血で最も多いのはノミによるものです。ノミは動物に寄生してからものすごいスピードで大量に繫殖(はんしょく)します。
いつの間にか大量に増えたノミたちに常に血を吸われていたら、自分でノミを追い払うことが出来ない猫は貧血街道まっしぐら。
血を吸われて貧血になるだけでなく、ノミが猫に寄生するとアレルギー性皮膚炎という激しいかゆみを伴う皮膚炎を発症する可能性が高くなります。
赤血球は酸素を体の中の組織や細胞に届ける働きをしています。
貧血は薬を飲んだりと適切な処置を受ければ治る病気ですが、放置しておくと死に至ることがあります。
猫白血病ウイルスにより骨髄の機能が低下してしまった場合は、貧血の回復が難しいことが多いです。
猫の貧血についてもっと詳しく知りたい方はこちらを見てくださいね。
ショック状態
どんな病気 | 体に酸素が十分に行き渡らなくなる |
原因 |
|
症状 |
|
かかりやすい猫種 | どの猫にもかかる可能性はある |
治療法 | ショック状態は他の病気が原因となり、引き起こされるケースがほとんどなので、原因である他の病気の治療をする |
猫の血液量はとても少ないです。コップ2杯ほどの出血でも命にかかわります。
舌の状態:紫色になっている
舌の色が紫色になっている時はチアノーゼが疑われます。
猫のチアノーゼは一刻を争うことがほとんどです。放置すると命にかかわります。
猫がチアノーゼになる原因で一番多いのは熱中症。
熱中症になりやすい理由として
- 一年中モフモフの毛がある
- 汗腺(汗を出すところ)が足裏と鼻にしかないため、体温を下げることが出来ない
【猫の熱中症の症状と進み方】
初期症状として、舌を出して「ハァハァ」と息をしている、ぐったりしているがある。
さらに症状が進むと嘔吐や下痢、チアノーゼが起こる。
重症になると意識を失ったり、ショック状態に陥り死に至る場合がある。
猫が熱中症になってしまった時の応急処置の方法や、熱中症にさせないために飼い主さんが気を付けることなどをまとめた記事もあるのでご覧ください。
舌の状態:黒くなっている
舌が黒くなっている時には次のような病気が考えられます。
- 舌斑(ぜっぱん)
- 色素沈着
- 血腫(けっしゅ)
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
舌斑や色素沈着は健康に支障がないので、治療の必要はありません。
血腫(血豆)
この血腫(血豆)は歯が当たりやすい舌の縁によく出来るんですよ。わたしたちも何かの拍子に舌を噛んだりしちゃいますよね。
血腫は段々と小さくなっていくのが普通。血腫が中々治らなかったり、繰り返し血腫が出来る場合などには獣医さんに相談しましょう。
悪性黒色腫(メラノーマ)
どんな病気 | 皮膚や粘膜の表面などにあるメラニン細胞が腫瘍化すること |
原因 | 原因はわかっていない |
症状 |
|
かかりやすい猫種 |
|
治療法 |
|
悪性黒色腫(メラノーマ)はとても進行度が早いのが特徴。
ホクロのようなものが急速に大きくなるようでしたら、獣医さんに診てもらいましょう。
猫の舌の病気を予防しよう!
猫にとってとても大切な舌。舌の病気を予防するために飼い主さんが出来ることをご紹介していきますね。
舌のチェックをしよう!
このように大きなあくびをしている時などは舌を見るチャンスです。
歯磨きをしよう!
猫は虫歯にならないから歯磨きしなくても大丈夫と思っていませんか。
虫歯にはなりませんが、歯周病や口内炎などと言ったお口のトラブルにはなりやすいんです。
猫のお口のトラブルは歯磨きをする事で防げることが多いんですよ。
歯磨きは小さいうちから慣れさせるのが理想。子猫時代が終わった成猫でも是非、歯磨きをしてください。
歯磨きに慣れてくれるまでは嫌がる子がほとんどです。でもちょっと待ってください、手に歯ブラシを持っていませんか。
いきなり歯ブラシにチャレンジだと猫もビックリしてしまいますよ。歯磨きに慣れさせるには手順があります。
こちらの記事では猫の歯磨きの手順や、どうしても歯磨きを嫌がる子へのデンタルケアを紹介していますので見てみてくださいね。
愛猫を観察しよう!
舌の病気だけでなく、全ての病気が早期発見出来れば完治したり、軽い症状で済むことも多いので苦しむことがなくなります。
お口のトラブルは食事の時に見るのがおすすめ。
- エサをよくこぼす
- よだれの量が多い
- エサを食べる時にどちらかに傾いている
- エサを食べたがらない
- 口を開けたがらない
このような行動が見られたら、お口のトラブルが疑われるので注意しましょう。
普段から愛猫を観察し、いつもと様子が違う場合は獣医さんに診て貰うのがいいですね。
まとめ
猫の舌は大きく分けて3つの事をするのに便利なんです。
【猫の舌の役割】
- 食事をする
- 気持ちを伝える
- 身だしなみを整える
舌は猫にとってとても大切なもの。その舌には病気のサインが現れることがあります。
舌の色 | 考えられる状態と病気 |
赤く腫れている(出血している) |
|
白っぽくなっている |
|
紫色になっている |
|
黒くなっている |
|
これらの病気を予防するためには、歯磨きや舌のチェックを心がけ、愛猫を観察しましょう。
猫にとってお口の中の病気はとても厄介なもの。舌に現れる病気のサインに早く気付いてあげたいですね。