先日、ゆねの予防接種で動物病院に行った日の事です。
治療を終えた猫ちゃんがちょうどお会計をしていたのですが、その金額がちらっと聞こえてきてびっくりしました。
た、高い。
病気になってしまうことは、わたしたち人間も防ぐことができないので仕方のないことですが、やっぱり病院にかかることはなるべく避けたいですよね。
そんな病気の中でも、歯周病の治療費ってある一定の症状を過ぎてしまうとぐっと高くなってしまうのってご存知ですか。
歯周病って自然には治らず、ほおっておけばおく程に悪化していきます。
そのため、初期症状を見逃してしまうと抜歯が必要になることがあり、初期段階の治療より10倍以上の治療費がかかってしまうんです。
そうならないためにも、どんな症状の時にどれくらいの治療費がかかるのか、わかりやすく解説してみました。
写真なども載せていますのでご自宅の愛猫ちゃんの歯と見比べて、受診の目安にしてみてください。
歯周病の治療費が大きく変わるポイントは3つ!
早速ですが、猫の歯周病の治療費の相場がいくらくらいなのか見てみましょう。
ポイントとしては、症状の重症度による治療法が3つあることです。段階がひとつ上がるごとに金額が高くなります。
重症度1 | 内科的処置のみの場合 | 4,000~15,000円 |
重症度2 | 歯石除去した場合 | 30,000~50,000円 |
重症度3 | 抜歯した場合 | 30,000~150,000円 |
この金額には本当にびっくりですよね。
どうして金額に違いが出てくるのか、治療法ごとに説明していきますね。
薬の処方など内科的処置のみの治療費
歯肉(歯茎)が炎症しているのみの場合は、薬で炎症を抑えてあげるだけで症状が改善します。
治療にかかる費用は4,000~15,000円
一度の受診で症状が改善するか、通院が必要になるかなどの状況により費用に差が出てきます。
口腔内の痛みが強く、口の周りを触れなかったりご飯を食べることができない場合、お薬を処方しても与えることが難しいので、皮下注射による薬の投与をしてあげる必要が出てきます。
治療費の内訳はこんな感じです。
- 初診or再診…1,000~2,000円
- 皮下注射(抗生剤・鎮痛剤)…2,000~3,000円
- 内服薬…500~1500円
歯石除去が必要な場合の治療費
歯に歯石が溜まっている場合、そのままにしておくとまた炎症を起こす原因となってしまうので、取り除くことが必要です。
治療にかかる費用は30,000~50,000円
そうなんです。
歯石除去は全身麻酔による処置のため、事前に血液検査が必要となり、その分お値段も高額になります。
処置内容としては超音波スケーリングを用いての歯石除去と、ポリッシング(研磨)になります。ポリッシングをしないと歯の表面がデコボコのままになってしまい、歯垢が溜まりやすく歯石ができやすい状況になってしまうんです。
治療費の内訳は、おおよそこのような金額です。
- 皮下注射(抗生剤・鎮痛剤)2,000~3,000円
- 血液検査…10,000~20,000円
- 麻酔代…10,000~15,000円
- 歯科処置…10,000~15,000円
- 内服薬…500~2,000円
歯科処置は超音波スケーリングやポリッシングなどが含まれます。
また、歯石を除去するだけではすでに起きている炎症を取り除くことはできないので、薬の処方や注射によるの投与代もかかります。
抜歯が必要な場合の治療費
歯の根元の炎症がひどく、抜歯が必要になってしまうケースも少なくはありません。
治療にかかる費用は30,000~150,000円
はっきり言って、参考にならないくらい費用に大きな開きがありますよね。
抜歯をする本数によって金額にも大きな差が出てくるので、簡単にご説明していきますね。
抜歯の費用
歯周病による炎症だけでなく、口内炎も併発している場合もあり、猫の口腔内の病気を完治させるためには抜歯が必要となることがあります。
症状によって一概には言えませんが、目安としては次の4つのような段階があります。
- 炎症のひどい1本または数本を抜く
- 全臼歯(奥歯)を抜く
- 犬歯(八重歯)または切歯(前歯)以外を抜く
- すべての歯を抜く
抜歯1本につき1000~2000円前後の費用が掛かります。
抜歯も全身麻酔をかけての処置になるので、歯石除去のところでお話しした血液検査代と麻酔代がかかります。
それにプラスして、抜歯する本数に応じた費用と、抜歯して穴が開いた歯茎の止血・縫合による抗生物質の点滴や薬の処方代もかかります。
残す歯の歯石除去をするか、何本の歯を抜くかなど処置内容や、基本的には日帰りですが症状により入院が必要か、などにより費用に大きく差が出てきます。
かなりおおよその目安となってしまいますが、治療費の内訳はこちらです。
- 術前検査…10,000~20,000円
- 麻酔代…10,000~20,000円
- 歯石除去(必要に応じて)…10,000~15,000円
- 抜歯(本数により変動)…1,000~60,000円
- レントゲン…2,000~5,000円
- 静脈注射…2,000~5,000円
- 皮下注射(抗生剤・鎮痛剤)…3,000~10,000円
- 内服薬…3,000~10,000円
- 入院(一泊)…3,000~10,000円
- 内科的処置、歯石除去、抜歯、の有無で金額が大きく変わる
- 全身麻酔が必要な歯石除去・抜歯は高額になる
- 抜歯をする際は、残す歯の歯石除去の有無・抜歯する本数により金額に大きな差が出る
猫の歯周病を画像を見ながら解説!
普段との様子の違いに気づき歯周病を疑っても、受診のタイミングがわからなかったり、歯石がどれくらい溜まっているかってよくわからないですよね。
しかも猫ちゃんたちって、病院に行く日がわかるらしい(笑)
なぜか病院に行こうと思っていた日に限って、いつも通りの元気な姿を見せたり、ごはんをもりもり食べたりしますよね。
そんな猫ちゃんたちの姿に騙されて、歯周病の初期症状ってついつい見逃されがちなのです。
初期症状を見逃さないためにも、わかりやすい写真をいくつかご紹介していくので、おうちの猫ちゃんの歯と見比べてみてくださいね。
歯周病の重症度をチェック
まずは歯周病の症状の違いが分かるように、進行度の違いがわかる画像から紹介していきますね。
- 歯肉炎とは、歯周病の中の軽度の症状
- 歯周炎とは、歯肉炎が悪化してしまった症状
- 歯周病とは、歯肉炎と歯周炎の総称
これは犬の口腔で歯周病を説明している画像ですが、猫においても同じように症状が進行していきます。
画像からもわかるように歯周病が重症化していくと、「歯肉の内側の炎症」や「顎の骨の破壊」など、口の中を覗いただけでは確認することができない症状が出てきてしまいます。
このように歯の表面だけでなく歯の内部の症状が悪化してしまうと、抜歯しなくては治せないのも納得ですよね。
また、猫の歯に付いた歯垢は、約一週間で歯石になってしまいます。
そして歯石になってしまうと、歯磨きだけで落とすことはできず、歯石除去の処置をしなくては改善することができなくなってしまうのです。
おうちの猫ちゃんのお口と見比べられるように、こちらはワンちゃんの写真だったので、猫ちゃんの歯肉炎・歯周炎の写真もご紹介していきますね。
猫の歯周病を画像で説明
実際の猫の歯周病の写真を見比べてみましょう。症状の軽いものからご紹介していきますね。
歯肉炎の画像
こちらは歯石の付着もなく、注射と点滴による処置で症状が改善した歯肉炎の写真です。
猫の口の中をのぞき込むのはなかなか難しいですが、こうしてみると歯茎に炎症があることがよくわかります。
軽度歯肉炎の画像
歯石の除去が必要となってくる症状の写真はこちらです。
《処置前》
《処置後》
こうして写真を見比べてみると、やはり歯の白さが大きく違いますよね。
重度歯周炎の画像
抜歯が必要になってくる症状の写真はこちらです。
《抜歯前》
《抜歯後》
写真では少し見えにくいですが、ちゃんと縫合もしてありますね。
犬歯の歯石除去と抜歯の組み合わせ
こちらは重度の歯周炎のなかで、犬歯以外の抜歯が必要になったケースの写真です。
《抜歯前》
《抜歯後》
犬歯以外の歯をすべて抜歯をし、残している犬歯の歯石除去もしているのがよくわかりますね。
普段からお口の周りを触る習慣がないと、お口の中を確認するのはハードルが高いですよね。
お口を触って確認することが難しくても、歯周病などの口腔内の病気がある場合、次のような異変があることが多いので、参考にしてみてください。
- 口がくさい
- よだれがよく出る
- ごはんを食べづらそうにする
- 口あるいは口の周りを気にする
1つでも心当たりがあれば、歯周病の初期段階の可能性がありますよ。
また、人間も歯医者さんに定期検診に行くように、猫ちゃんの歯科検診をしてもらうのがおすすめです。
歯科検診はすべての動物病院が行っているわけではありませんが、実施していると2,000~3,000円で受けられるので、かかりつけの病院や近隣の動物病院でぜひやっていないか確認してみてください。
わたしもゆねを歯科検診に連れて行ってみたのですが、お口の中を見る簡単な検査なのでストレスも少なく、お家での歯磨きのアドバイスなどをしてもらえるのでとっても助かりました。
猫の歯肉炎は予防が大切!!
現在歯周病の症状がない、もしくは完治していても、ちゃんと予防してあげないとまた再発してしまうのが歯周病の厄介なところ。
そうならないためにもお家でケアをしてあげることが大切です。
そうですよね、全身麻酔での処置は愛猫にとってストレスになるためなるべく避けたいし、お口が痛くてごはんが食べられない姿なんて見ていて心が痛いですよね。
しかもわたしたちのお財布もかわいそう。
先ほどもお話ししましたが、一度ついてしまった歯石は残念ながら歯磨きなどで落とすことはできません。
そのため猫の歯肉炎を予防するには、歯垢の段階でちゃんと落としてあげること、つまり歯磨きをしてお口のケアをしてあげることがいちばん。
ぜひ今日から歯磨きの習慣をつける練習をしましょう。
歯磨きに関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
お口の周りを触るステップから紹介しているので、まだ歯磨きの習慣がない方は歯ブラシを買いに走る前にぜひ読んでみてください。
まとめ
治療費のお話から、具体的な猫ちゃんの歯周病の症状を写真を使っての説明をしてきました。
まず、治療費には処置内容により大きく分けて3段階あり、同じ処置内容でも金額に差が出るポイントがありました。
- 内科的治療のみ…4,000~15,000円
- 歯石除去が必要な場合…30,000~50,000円
- 抜歯が必要な場合…30,000~150,000円
- 内科的治療のみの場合、通院回数により金額に差が出る
- 歯石除去・抜歯は血液検査を要するため高額になる
- 抜歯をした場合、抜歯した本数と処置内容により金額が大きく変わる
また、一度ついてしまった歯垢は約一週間で歯石へと変化してしまいます。
そうなると歯石除去の処置をしないと落とせなくなってしまうので、歯垢の段階で落とせるよう日ごろからのケアが大切です。
2,000~3,000円で歯科検診をしている動物病院も多いので、日ごろのケアや現在の症状に不安のある方はぜひ利用してみてくださいね。