これは、年2回みられる光景です。
これが猫の換毛期(かんもうき)です。季節の変わり目3月~5月頃と11月~1月頃。
換毛期には、吐き戻しをする子がたくさんいます。
この時期、大量の毛が抜けます。
そして体を舐めることで毛が体内に溜まってしまい、胃が満タンになって吐き戻します。
でも、吐いた後はケロっとしているんですよね。
吐いた後なのにまた『ごはん』とせがむときもあるほど。
しかし『それなら大丈夫ね』と変化に気づかず安心してほおっておくと、胃や腸に毛玉が溜まって毛球症になり下痢を起こしたり食欲不振になる子がいます。
最悪、胃を切開して毛玉を取り出すということもあります。
なによりもかわいい愛猫が吐き戻していたらかわいそうですよね。
そこで今回は、換毛期におきる吐き戻しや下痢や体調不良になる原因、その予防法をを紹介していこうと思います。
この記事を読んで換毛期を上手にのりきってくださいね。
猫が季節の変わり目に吐く原因
猫が、季節の変わり目に吐いたり体調が悪くなる原因は2つ考えられます。
①寒暖差(特に秋から冬)に体温調節で体力を使い免疫力が落ちる
人も秋から冬にかけて、寒暖差があると調子を崩して、風邪をひいたり、胃腸風邪になりますよね。
猫も同じなんです。特に老猫さんは注意。
室温や湿度を調整して、静かに休める環境作り、脱水症状にならないようにお水を飲ませてあげてくださいね。
②毛が生え変わる換毛期の影響
季節の変わり目に起こる換毛期とは
換毛期とは、毛の生え変わる時期のことをいいます。
いわば人でいう衣替えです。
猫にはシングルコートとダブルコートと2種類の毛質があります。
- ダブルコートの猫は、アンダーコートとオーバーコートが生えています。
- シングルコートの猫はアンダーコートだけのため換毛期がなく抜け毛が少ないです。
出典:pettyホームページ
トップコートは外側から見える密度が低く通気性がいい固くて太い毛のことです。
アンダーコートは細くてフワフワとした毛で、トップコートの下にぎっしりと生えています。体温を温かく保つことができます。
シングルコートの猫はトップコートのみなので換毛期はありません。
換毛期があるのはダブルコートの猫のみです。
体温調節するために、3月~5月にかけて、フワフワした柔らかいアンダーコートの毛が抜けて硬くてしっかりした夏毛に生え変わります。
逆に11月~1月にかけて硬い夏毛が抜けてまたフワフワの冬毛に生え変わります。
この時期、普段の10倍近くも抜け毛が増える子もいるそうです。
猫が季節の変わり目に吐く理由
猫は、もともと吐きやすい生き物だと言われています。
理由は、運動能力をあげるために胃が小さくできてるからです。
そのため胃に食べ物などをたくさん溜めることができず嘔吐することが多いのです。
出典:ウィキペディア
そして消化管が口から胃まで水平にに並んでいるため、あまり苦しまず体内のものを吐くことができます。
換毛期には、たくさん毛が抜けます。
猫は起きているうちの1/3を毛づくろいに費やします。
猫の舌はザラザラしており、絡み付いた抜け毛はそのまま飲み込まれ胃や腸に入っていってしまうのです。
ほとんどの場合は毛球を作ることなく、食べたものと一緒に便として排泄されます。
しかし便としてうまく出せなかった時に、胃がパンパンになると毛玉を吐き出すことがあります。
その場合は、ほとんど体に負担はありません。
しかし、長毛の猫だったり、毛づくろいの頻度が高くなることで体の中に毛玉がたくさんたまり、吐き出す事ができなくなると胃や腸に毛玉が溜まることがあります。
その状態が続くと猫は体調不良になります。
毛球症
毛球症とは・・・毛玉が消化器官内に溜まり、吐いたり排便することができなくなった状態になるとおこります。
初期症状・・・元気そうに見えるけどご飯を食べない、食べてもすぐ吐き戻す
腸に穴が開いて腹膜炎を起こすと、最悪死に至ることもあるので注意が必要です。
- 長毛種・・・毛の抜ける量が多いため
- 高齢猫・・・毛づくろいがうまくできないため、結果的に毛が絡まったり、抜け毛が増える
軽度の場合
症状・・・下痢・便秘・食欲不振、吐くそぶりをするが何も出ない、お腹を触られるのをとても嫌がります。
【治療法】軽度な場合は、毛球除去剤を与えます。
猫の口の周りや鼻に毛球除去剤を塗り、ペロペロとなめさせて与えます。これは便と毛玉をコーティングすることで通りを良くし、便と一緒に体内に蓄積された毛を排出します。
症状が重い場合
症状・・・毛球が腸に流れ腸閉塞を起こした場合は、一日に何度も吐き、下痢が始まり、腹部を痛がります。
重症化した場合は腹膜炎を起こして発熱し、最悪、死に至ることもあるので注意が必要です。
【治療法】毛球が胃の中にある場合は内視鏡か、胃切開手術を行って毛球を取り出します。
【取り出したカチカチの毛の固まり】
毛球が腸に詰まってしまっている場合は、内視鏡での除去はできないため開腹手術をします。
開腹手術を行うと費用が10万~25万ほどかかります。
なによりもかわいい愛猫に負担がかかります。
そんなことにならなように、季節の変わり目に体調不良にさせないようにする対策と予防法をお伝えしますね。
季節の変わり目に体調不良にさせない対策
猫を季節の変わり目に体調不良(毛球症)にさせないためには2つの対策があります。
- 抜け毛の量を減らす
- 抜け毛を体に溜まらないようにする
抜け毛の量を減らす
ブラッシング
日ごろからこまめにブラッシングをすることが大切になります。
まずブラッシングを好きになってもらわないと、いざ換毛期がきたときに大変になってしまいます。
そして猫のお気に入りのブラシを見つけておくのも大切です。
- 背中側は、頭からしっぽ方向へ
- 側面は、背中からお腹方向へ
- お腹側は、胸からお尻方向へ
- 顔周りは、顔の中心から外側へ
抜け毛除去に向いているブラシ
【ラバーブラシ・シリコンブラシ】
ラバー(ゴム)や柔らかいシリコンでできているブラシです。痛みの少なくマッサージ効果もあります。浮いた毛を絡め取るブラシで、当たりも柔らかく、短毛種に適しています。
抜けて毛も簡単にとれ丸洗いもできるので清潔に保てます。
やりすぎると、まだ抜けていない毛も抜けてしまうことがあるので注意です。
肌あたりが強いラバーブラシもあるので柔らかめのものがおすすめです。
【アンダーコート用ブラシ】
健康な毛はそのまま残し、不要なアンダーヘアーだけ取り除くことができるブラシ。ステンレスでできているため錆びにくい。
毛の長さに合ったものを使わないと皮膚を傷つけることがあるので注意が必要です。
【短毛の子におすすめ】
【長毛の子におすすめ】
シャンプー
シャンプーをして一気に抜け毛を除去する。
シャンプーをしてあげると皮膚の汚れと一緒に毛もだいぶ落ち、抜け毛は減ります。
シャンプーを選ぶ際のポイント
- 無香料や微香性タイプ・・・猫は自分以外のニオイをストレスに感じるため
- オーガニックや無添加のもの・・・ストレス、アレルギーなどが原因で皮膚にトラブルが生じることがあるため
まずブラッシングをしてからシャンプーをしてあげてください。できるだけ手短に、長くても30分。それ以上は猫に相当なストレスをあたえます。
ドライヤーも嫌いな子が多いためタオルドライでできるだけ乾かしてあげるといいですよ。
出典:LION公式チャンネル
猫のシャンプーは大変です。その時はトリミングサロンを頼ってみるのもいいかもしれません。
カットをする
長毛の猫は毛足が長く、毛が絡まりやすいので、カットしてもらうのもよいでしょう。
全身の長さをカットして毛量のボリュームを軽くしてもらうと、フワフワ感を残したまま毛量を軽くできるので、通気性がよくなり、皮膚の状態も観察しやすくなります。
短くなればもちろん抜ける量も減ります。
自宅で自分でカットはできないことはないですが、毛質や毛の量によってカットの方法も違ってくるため、プロに頼む方がよいでしょう。
トリミングサロンなどは、ただ毛玉をそのままカットするのではなく、毛玉を丁寧にほぐしてからカットをしてくれるので、毛が引っ張られて抜けたり皮膚を傷つけたりすることなく安全に取り除いてもらえます。
もちろん料金はかかります。
【トリミングサロン料金目安】
短毛種5000円~6000円 長毛種6000円~8000円
【病院併設のトリミングサロン料金目安】
短毛種5000円~6000円 長毛種6000円~8000円
麻酔が必要な場合 10000円ほど追加
病院でトリミングをすると慣れない環境でネコちゃんが興奮してしまった場合は、獣医師管理の下、麻酔下においてトリミングをしてくれます。(別途追加料金)
抜け毛を体に溜まらないようにする
毛玉ケア用のキャットフードを与える
抜け毛を減らしても体内に入る毛を0にするのは難しいです。
毛玉は腸内に長く留まるほど、ボール状やフェルト状になって固まってしまうので、なるべく早めに腸から排出をしなくてはなりません。
そこで毛玉を便から出してためないように考えられたキャットフードを食べさせるとよいでしょう。
毛玉対策に必要なのは「食物繊維」です。
毛玉ケアキャットフードには、通常のキャットフードより多く食物繊維が含まれています。
食物繊維量を増やし、排泄により体内に入った毛を出すことを目的としています。
キャットフードの大きさは、大きな粒より小さな粒のフードの方が、ドライフードよりもウエットフードの方が腸管内に停滞しにくいようです。
是非、換毛期の時期は、毛玉対策のフードを与えてくださいね。
サプリメント
胃の中に溜まった毛がスムーズに胃から腸管内に流れるように助けて、糞便として体外に排出をしたり、体内でできてしまった毛玉を分解させる成分が入ったものです。
味は猫好みに味つけがしてあり、嫌がらずに食べたり舐めてくれます。
サプリには、チューブタイプやキャットフードに混ざられる微顆粒タイプ、おやつタイプなどがあります。
ストレスを与えない
猫はストレスを感じると気持ちを落ち着けようとして、グルーミングをするしぐさもよく見かけます。
こうしたしぐさをよくする猫ちゃんほど、体内に毛玉ができやすいといえます。
- 来客
- 新入り猫や仲の悪いな猫がいる
- トイレや部屋が汚い
- 引っ越しや模様替え
- 大きな音
できるだけストレスのない生活ができるように環境を整えて配慮をしてあげてください。
まとめ
猫は季節の変わり目に吐いたり下痢になるのが原因と対処法について解説をしてきました。
【原因】寒暖差(特に秋から冬)に体温調節で体力を使い免疫力が落ちる。
【対処法】室温や湿度を調整して、静かに休める環境作り、脱水症状にならないようにお水を飲ませてあげる。
【原因】換毛期(かんもうき)になり毛がたくさん抜け、大量の毛が体内に入り、胃に収まらない量になると吐き出す。
【予防法】
- ブラッシング
- シャンプー
- カット
- 毛玉対応キャットフードを食べされる
- 毛玉除去剤(サプリ)を飲ませる。
- ストレスを与えない
季節の変わり目は、猫も人も不調になりがち。
変化に気づいて早めの対処を心掛けましょう。