猫のマーキング問題。頭を悩ませている飼い主さんも多いのでは。
マーキングと聞くと、このおしっこをかける尿スプレーという行為だけをイメージするかもしれませんが、実は、爪を研ぐ、頬や頭をこすりつけるなどの行為もマーキングに含まれます。
ただ、その中でもダントツで飼い主さんを困らせるのがこの尿スプレー。
わたしの亡くなった愛猫しゅりにも、尿スプレーで悩まされた時期があります。
実は、去勢手術をしても尿スプレーが抑えられない場合もあるんです。
意外に思われる方も多いかもしれません。ただそんなときは、なぜ愛猫が尿スプレーをするのか根本的な原因を理解し、それに合わせた対策を取れれば大丈夫なんですよ。
今回は、猫が去勢後でもマーキングをしてしまう理由と、解決するための対策についてお伝えしていきます。
去勢手術後もマーキングするってホント?
改善しない場合もある
そうですよね。でも、去勢手術することで90%のオス猫はマーキング(尿スプレー)をしなくなる、というデータがあり、ほとんどの猫は改善していますので安心してください。
つまり、引き続き尿スプレーをしてしまうのは残りの10%の猫、ということなんです。
これは猫の個体差によるものなので、特に原因はありません。
また、去勢手術をしてから尿スプレーが収まるまでに時間がかかる場合がある、ということも覚えておきましょう。
ほとんどの猫が、手術後すぐに収まりますが、猫によっては数ヶ月~1年程度かけて少しずつ減っていく、というケースもあります。これも猫の個体差なんです。
手術後も尿スプレーが続くと気持ちが焦りますが、少し長い目で様子を見てあげることも必要ですね。
愛猫しゅりも、子猫時期にきちんと去勢手術を行いました。それにより尿スプレーは抑えられたので、手術して正解だったと思います。
ただ実は1度だけ、4~5歳のころに尿スプレーがぶり返してしまったことがあるんです。
手術後は治まっていたのでびっくりしましたが、これにもちゃんと原因はありました。
去勢手術のタイミングを逃さないで
去勢手術を受ける理想のタイミングは、生後6ヶ月頃とされています。
これは、オス猫が性的に成熟し、メス猫を求めて発情行為を始めるのが生後6~12ヶ月頃だからです。
オス猫は、発情すると尿スプレーを頻繁に行います。日常的に尿スプレーを行うとそれが習慣化してしまうため、初めての尿スプレーをする前に、去勢手術をするのが効果的なのです。
子猫の発育状況から考えると、去勢手術は生後3ヶ月ころから行えるようになります。時期がきたら、獣医師とも相談しながら、適切なタイミングで手術を行うとよいでしょう。
マーキングをする理由を理解しよう
せっかく去勢手術したのにマーキング(尿スプレー)が続くとガッカリしてしまいますね。
そもそも猫はどんなときに尿スプレーをするのでしょう。それを知ることが解決のヒントになりますので理解しておきましょう。
猫がマーキングをする理由は以下の3つです。
- 求愛行動
- 自分の縄張りの主張
- 不安やストレスの訴え
この中で、「求愛行動」と「縄張りの主張」は、飼い主さんもイメージしやすいでしょう。
オス猫は、発情期を迎えたメス猫にアピールするためや、自分のにおいを付けて縄張りを守るために、尿スプレーを行います。
一カ所ではなく家のあちこちにスプレーするのは、まさに縄張りを主張している証ですね。
猫は、生活環境などに対する不安やストレスがあった場合にも、尿スプレーをします。そうすることで、わたしたち飼い主にその不満を訴えているのです。
- 引っ越しをしたり、ガラッと部屋の模様替えをした
- 家族が増えたり他のペットを飼った
- トイレの環境が不満
- 家族や他のペットがいなくなった
- 家の近くで工事などが始まり騒音がひどい
- 飼い主が長期で不在にしていた
上記は一例ですが、去勢後でも尿スプレーを行ったり、今までしなかったのに急にするようになった、という場合は、これらの生活環境による不満やストレスと考えられます。
猫は、わたしたちが想像している以上にナイーブな生き物。実は、先ほどお話したしゅりの尿スプレーも、ストレスが原因でした。
しゅりは、わたしの部屋にも出入りし、布団の上で頻繁に遊んでいたのですが、ある時その布団を買い替えたことで、慣れ親しんでいた布団のにおいや感触がガラッと変わり、急に寄りつかなくなったんです。
そして、思いがけず、その買ったばかりの布団に2回尿スプレーをされてしまう結果に。
その後、布団を丸洗いしたり、しゅりを寝室に入れないようにするなど工夫して、すぐに尿スプレーは治まりました。
わたしはこの体験で、猫はしゃべれない代わりに、いろんな形で気持ちを示そうとするんだな。飼い主は、それをちゃんと受け止めてあげないといけないんだな、と改めて実感したんです。
突然の尿スプレーには驚かされましたが、より一層しゅりをかわいいと思うようになりました。
この出来事については、以下の記事でもご紹介しています。布団に尿スプレーをされてお困りの場合は、参考にしてみてくださいね。
マーキングを防ぐために
では、去勢手術をしてもマーキング(尿スプレー)が抑えられない場合に、どんな対策をしたらよいのか、お伝えしていきますね。
家の外が見えないようにする
去勢後のオス猫は、メス猫と触れる機会がなければ発情しませんが、例えば窓から発情中のメス猫が見えたり、発情期に特有の鳴き声が聞こえたりすると、それに反応して尿スプレーをしてしまうことがあります。
もし尿スプレーと合わせて、外の様子を気にしたり、興奮する様子が見られる場合は、カーテンを引いたり、愛猫を窓際に行かせないなどの工夫をしましょう。
トイレ環境をしっかり整える
綺麗好きな猫にとって、トイレは重要なエリアのひとつ。トイレが汚れていたり、臭いが残っていたりすると、とてもストレスを感じます。
また、人の出入りが多いなど落ち着けない場所にトイレが置いてある場合も、その場所で排泄することを嫌がります。
トイレに対する不満は、尿スプレーだけでなく、おしっこやうんちをトイレ以外の場所でしてしまう行為にも表れますので、その場合はいち早くトイレ環境を見直しましょう。
トイレ環境を整える工夫については、以下の記事で詳しくお伝えしています。よければご覧ください。
スキンシップをはかる
もし、「最近猫ちゃんと触れ合っていないな、遊んであげていないな」と思う方がいらっしゃれば、その愛猫の不満や寂しさが尿スプレーという行動につながっているかもしれません。
その他にも、猫は寂しいときは、鳴いたり、すり寄ってきたり、気を引くためにいたずらをしたり、なんらかのサインを出すものです。
日ごろ一緒に生活している飼い主さんであれば、そのサインに気付いてあげられるでしょう。ぜひ、一緒に遊んだり、マッサージをしてあげたり、スキンシップをはかる時間を増やしてみてください。
ちなみに、愛猫ゆねの寂しいアピールは、わたしの邪魔をすることです(笑)
キッチンに立っているときに足元にまとわりついてきたり、読書の最中に本に飛びついて本を落とそうとしたり。
このような行動が見られたら遊んでほしいサインなので、できるだけかまってあげるようにしています。
徹底的に臭いを消す
猫は、自分の臭いや跡が残っている場所に、もう一度マーキングをするという習性があります。そのため、一度尿スプレーをされてしまった場所は、徹底的に掃除をして臭いを消さなければいけません。
掃除の際は、消臭剤を使うと臭いがよく取れるので、わたしも常に常備しています。
詳しい掃除の仕方は、以下の記事に記載してあります。ぜひ参考にしてみてください。
スプレーする場所にエサや飲み水を置く
先ほどお伝えしたように、猫は決まった場所に尿スプレーを繰り返す習性があります。
そんなときは、その場所にエサや飲み水を置いてみるのもよいでしょう。綺麗好きな猫は、自分が食べる物の近くでは、スプレー行為や排泄をしたがらないため、尿スプレーを止められるかもしれません。
フェロモン製剤を利用する
猫のマーキング対策としてフェロモン製剤の利用も効果的とされています。
これは、猫の頬から分泌されるフェイシャルフェロモンを人工的に作り、猫を安心させたり、ストレスを和らげたいときに使うもの。
このフェイシャルフェロモンは、猫が好きなものや安心できる場所に、顔を擦りつけているときに出るものなので、このフェロモンの香りがすると、猫はとてもリラックスできます。
そのリラックス効果が、興奮を抑えたり、不安やストレスの解消を促し、尿スプレーも抑えられるのです。
絶対に叱らないで
猫は、自分の気持ちを伝えるためにスプレー行為をしているだけで全く悪気はありません。
叱られるとさらにストレスがたまるので、絶対に叱らないようにしてくださいね。
と言うのは簡単ですが、実際はなかなか難しいですよね。私もしゅりが布団に尿スプレーをしたときは、つい声を出して叱ってしまいましたから。
叱られてダッシュして逃げたしゅりを見て「あぁ、怒っちゃった・・」とは思ったものの、どうしても汚された布団に意識が行ってしまい、しゅりのことを考える余裕はありませんでした。反省しなきゃいけませんね。
でも、どんなにベテランの飼い主さんでも、つい叱ってしまうことはあるでしょう。
そんなときは、その後でちゃんとフォローしてあげれば大丈夫。
愛猫ちゃんはみんな、飼い主さんのことが大好き。叱られても、それを上回るくらい遊んであげたりスキンシップを取ってあげれば、愛情を感じて安心してくれるはずです。
どうしても収まらない場合は病院へ
いろいろ対策をとっても改善しない場合は、獣医師へ相談をしましょう。
何か良いアドバイスをもらえるかもしれません。また、スプレー行為を抑えるための精神安定剤などを処方される場合もあります。
獣医師に相談する際は、愛猫の様子や、これまでにどんな対策をしてきたかなど、現在の状況を詳しく伝えることが重要です。
まとめ
飼い主さんを困らせる尿スプレー。去勢手術をすれば完全に収まると思っている方も多いのですが、必ずしもそうではないんです。
- 去勢手術をしても、10%の猫は尿スプレーが収まらない
- 尿スプレーが習慣化すると、去勢手術後も収まらない可能性が高くなる
- 初めて尿スプレーをする前に、去勢手術をするのが効果的
去勢手術後も尿スプレーが収まらない場合、まずは愛猫の行動の意味を理解することが大切です。
- 求愛行動
- 自分の縄張りの主張
- 不安やストレスの訴え
愛猫の行動の原因を理解した上で、尿スプレーを抑えるために、以下のような対策を取ってみましょう。
- 家の外が見えないようにする
- トイレ環境をしっかり整える
- スキンシップをはかる
- 徹底的に臭いを消す
- スプレーする場所にエサや飲み物を置く
- フェロモン製剤を利用する
- 絶対に𠮟らない
- どうしても収まらない場合は病院へ
猫のマーキングは、適切に対処すれば必ず防げます。じっくりと愛猫ちゃんと向き合って、何を伝えたがっているのか感じ取ってくださいね。