ある日、わたしは愛猫「ゆね」と遊んでいた際に、お腹の毛が薄くなって、はげている部分があることに気づきました。
「ゆね」は普段あまりお腹を出して寝ないので、気づくのが遅くなってしまったのですが、よく観察してみると、ゆねは毛をむしっていることがわかったんです。
愛猫が毛をむしっている場面に遭遇したらとてもびっくりしますし、同時に飼い主さんはとても心配になりますよね。
わたしも「ゆね」の毛が薄くなっていく様子を見て、とても心配になりました。
猫が毛をむしる原因は病気の場合や、ストレスによるものとさまざま。
ゆねの毛をむしる原因は引っ越しによる心因性脱毛でした。
食事とトイレを落ち着く場所にしたことで、毛がなくなり、はげることはなくなったんです。
毛をむしるという行動、病気が原因のものもありますが、飼い主側が気をつけることで改善できるものもあるんですよ。
今回は同じような症状で不安を抱えている飼い主さんに、毛をむしってしまう原因とその対処法を説明していきたいと思います。
猫が毛をむしる原因
猫が毛をむしる原因は多く、様々ありますが、まずは病気ではないか疑う必要があります。
皮膚をむしってしまうときに考えられる病気は
- 皮膚病
- 膀胱炎
などがあります。
皮膚病
猫が皮膚病で毛をむしってしまうことは想像しやすいですね。
痒かったり、痛かったりしたら、毛を抜いてしまいそうです。
人間のわたしでも、皮膚病になったら、体中をひっかいてしまうだろうと思います。
猫の肌は人間よりも弱く、皮膚病になりやすい猫もいるので、とても心配ですね。
皮膚病には、どんなものがあるのでしょうか。
代表的な皮膚炎は、「皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)」「疥癬症(かいせんしょう)」があります。
皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
皮膚糸状菌症とは、真菌(カビ)の一種で、猫の体の表面に感染する病原体です。
- 円形の脱毛
- 皮膚をかゆがる
- 皮膚に赤みが出る
- 顔や手足に症状が出ている
特に免疫力が少ない子猫や高齢の猫がかかりやすいです。
また、皮膚糸状菌症は、ヒトにも感染する「人獣共通感染症(通称:ズーノーシス)」です。
カビは猫以外の生き物や環境にはびこるため、多頭飼いの場合は隔離したり、共同でタオルを使用しないようにしたりなど注意が必要になります。
猫を感染源として病気が広がる場合があるので、注意しましょう。
飼っている猫にこの病気の可能性があり、飼い主の体に円形の脱毛や炎症がみられる時は、人の皮膚科を受診しましょう。
疥癬症(かいせんしょう)
疥癬症とは、猫の皮膚にネコショウセンコウヒゼンダニが寄生して炎症を引き起こす病気です。
ダニは、皮膚に穴を掘り、数週間生息し、皮膚の破壊、刺激性分泌物の放出、糞の排泄を行います。
これが「炎症反応」を引き起こす原因です。
このようにして激しいかゆみが引き起こされます。
聞いているだけでもとてもかわいそうですよね。
かかりやすい猫は、皮膚糸状菌症と同様に、免疫力が低下している子猫、高齢の猫、体調が悪い猫です。
- フケ
- 全身または一部のかゆみ
- 発疹
- かさぶた
猫同士や、猫以外の生き物にも感染する、非常に高い感染力を持っています。
感染した猫を触ることで人間にも一時的にうつります。人間が感染すると腕などに発疹がでて、激しい痒みが生じるので、早めの対策が必要です。
一般的に免疫力が低下している人間は感染しやすいですが、あくまで一時的な症状であり、人間の皮膚が悪化することはあまりありません。
膀胱炎
そして毛をむしる原因として膀胱炎もあげられるんです。
痒い皮膚炎で毛をむしってしまうことは想像しやすいですが、なぜ膀胱炎で毛をむしってしまうのか不思議ですよね。
実は、肌に直接害がなくても、疾患部位が外から気になって、毛をむしってしまうことがあるんです。
猫がトイレに行ってもなかなか帰ってこなかったり、おしっこの量が少なかったりすることがあると、膀胱炎である可能性があります。
あなたの猫ちゃんはこのようなことがないでしょうか。
「膀胱」は、腎臓で作られたおしっこを貯めておく器官で、この膀胱に炎症が起こると「膀胱炎」になります。
人間の膀胱炎と同じで、血尿、頻尿、排尿時の痛みがみられるのが特徴です。
猫は膀胱炎になりやすいといわれており、特にオスは注意が必要です。
猫は元々砂漠に生息しており、飲む水の量が少なくても生きていけるようになっています。
そのため、おしっこなど猫の体の中にある水を大切に使うため、体の機能的に泌尿器系の病気が多いのです。
猫のオスは、尿道がとても細く、膀胱炎になった場合、尿中に膿が生じることがあります。
そして、膿が尿道に詰まるおそれがあるため、メスよりも膀胱炎のリスクが高くなります。
心因性脱毛
人間でもうつは心の病気といわれますが、猫にも心の病気があることをご存じでしょうか。
「心因性脱毛」は猫がストレスで毛をむしる病気です。
心因性脱毛とは・・
グルーミングは自分を落ち着かせたい時や不安な時に行う。それがストレスにより過度に舐めすぎてしまう状態。
- 外出が多い
- 来客が多い
- 生活環境の変化
- 多頭飼い
- 住環境の変化
- 騒音
ゆねは引っ越しした時に心因性脱毛になってしまい、とても心配しました。
常同障害(じょうどうしょうがい)
常同障害は、同じ行動を何度も何度もしつこく繰り返し、その行動に執着する病気です。
ご飯を食べる、遊ぶ、グルーミングなどの行動が、本来の目的ではなく、高頻度や長時間に起きることを指します。
人間でも、髪の毛を抜くのを続け、ついにはやめられなくなることがあります。
このような行動がエスカレートすると、とめることができなくなり、「強迫性障害(きょうはくせいしょうがい)」となります。
強迫性障害とは、自分ではつまらないものだと分かりつつも、行動を繰り返してしまい、止まらない病気です。
猫の常同障害は、人間の強迫性障害に似ているといわれています。
あなたの猫は毛をむしる行動を繰り返していないでしょうか。
1日数回ならいいのですが、むしり続けている、むしる頻度が増えている、昼間など暇な時間にいつもむしっている場合は、常同障害の可能性があります。
常同障害は、心因性脱毛と同様に、ストレスが原因の場合が多いです。
「体が痒い」などといったストレスもありますが、多くが生活上のストレスです。
常同障害は、特に「退屈」が天敵で、猫は本来ハンターとして生きてきた動物なので、暇だとストレスがかかります。
猫が毛をむしる原因は病気だけではありません。
他の原因もみていきましょう。
葛藤行動(かっとうこうどう)
猫は、不安やストレスを溜めると、それを落ち着かせたり、発散するために、「葛藤行動」を起こすことがあります。
人間も葛藤行動があり、イライラすると爪をかじってしまう、落ち着かないと貧乏ゆすりをしてしまうなどがあります。
その場を離れたいのに離れられない会議の時に、手元にあるボールペンをまわしたりすることもあるでしょう。
葛藤行動には、「転位行動(てんいこうどう)」があります。
「転位行動」とは、不安や恐怖などのストレスを感じた時に、気持ちを和らげるために、ストレス源とは何の関係もない行動をすることで、気持ちを和らげることをいいます。
たとえば、苦手な人間に会った時に、「ひっかくか?」「この場から逃げるか?」といった葛藤状況になったとします。
その際に、ひっかくのでもなく、逃げるのでもなく、他の行動をして、気を紛らわそうとするのが「転位行動」です。
このような転移行動で毛をむしる猫もいます。
- 苦手な人間と出会った
- びっくりすることがあった
- 思いがけず高いところに登ってしまった
猫の転位行動は「気分転換」の意味合いもあるため、あまり真剣に悩む必要はありません。
猫が毛をむしった時の対処法
猫が毛をむしる原因をみてきました。
普段から猫を観察し、いつもと違うところはないかチェックすることが重要です。
では実際に毛が薄くなる場合は、どのような対処をしていったらいいのか、みていきましょう。
皮膚を確認
まずは皮膚に異変がないか確認しましょう。
- 皮膚が臭うか
- 被毛が脂っぽくなっていないか
- フケやかさぶたがないか
- 湿疹ができていないか
これらの異常がないか確認し、痒がっていないか、毛が薄い部分の形はどうか。観察し、必要があれば病院に行きましょう。
皮膚糸状菌症を疑っている場合は、ブラックライト(UVライト)で脱毛部位を照らして、キラキラとグリーンに光るか確認することもできます。
皮膚病の疑いがある場合は、病院を受診しましょう。
おしっこ時の様子を確認
先ほど、毛をむしる原因は膀胱炎である可能性も考えられるとお話ししました。
膀胱炎ではおしっこがほとんど出ていないのに、何回もトイレに行ったり、オシッコをするときに痛そうに鳴いたりすることがあります。
泌尿器系の病気を見落としてしまうと、数日で亡くなることもあります。
注意深く観察し、異変がある場合はすぐに病院に連れていきましょう。
ストレスを解消
心因性脱毛、常同障害、葛藤行動はストレスが原因の1つのため、ストレスを解消してあげましょう。
様々なストレスの解消方法をご紹介します。
遊ぶ時間を増やす
「退屈」は葛藤行動に繋がるので、退屈させない工夫が重要です。
家にいる間は、できるかぎり一緒に遊んであげ、退屈にさせないようにしましょう。
その際は、レーザーポインターで遊ぶのも効果的です。
猫はハンターとして生きてきたので、物を追いかけるのが好きで、レーザーポインターの光に夢中になるでしょう。
レーザーポインターで遊んだ後は、ご褒美にお菓子をあげるとより満足度が高まります。
どうしても留守番をさせる時は、1匹でも遊べるように、「知育トイ」を導入することをオススメします。
「知育トイ」とは、頭を使って遊ぶ玩具のことで、ペットボトルにお菓子を入れ、転がすことでお菓子を手に入れることができる玩具などがあります。
今は数多くの猫の知育トイが販売されており、自作することもできるので、猫が飽きないように何個も用意するのも手です。
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高いところにプライベートスペースを作る
猫は高いところを好むため、キャットタワーなどで猫だけの場所を確保してあげましょう。
多頭飼いの場合も、1匹になれる場所があるかどうかは重要です。
上り下りで運動にもなるため、エネルギーの発散にもなります。
トイレや食事の環境を見直す
食事や水、トイレが落ち着かない場所にあると、猫は危険を感じるため、ストレスになります。
そのため、食事や水、トイレは猫が落ち着く場所に設置しましょう。
また、多頭飼いの場合は、猫同士で喧嘩しないように、猫ごとに設置してあげる必要があります。
引っ越しでストレスを感じたゆねは、食事とトイレを落ち着く場所にしたことで、次第に毛をむしることがなくなりました。
食事の場所としてどんなところがよいのか、こちらの記事で詳しく紹介していますのでお読みください。
まとめ
猫が毛をむしる原因をおさらいします。
- 皮膚病
- 膀胱炎
- 心因性脱毛
- 常同障害
- 葛藤行動
様々な要因がありますね。
猫の毛が薄くなってしまった場合は、以下の対処法があります。
- 皮膚を確認
- おしっこ時の様子を確認
- ストレスを解消
猫が毛をむしりだすとびっくりして心配してしまいますよね。
しっかり観察して、愛猫との生活を大切にしてくださいね。