みなさんの猫ちゃんは、毛玉を吐き出すことはありませんか。
先日長毛の猫と暮らしている友人から、こんな相談を受けました。
わたしもこれまで3匹の猫と暮らしてきて、毛玉を吐くシーンには何度も遭遇しています。
猫が吐くときって、全身を波打つように動かして吐くので、とても辛そうなんですよね。
回数を減らしたい気持ち、痛いほどわかります。
そして、お外やフローリングで吐いてしまった時はまだしも、カーペットや畳だと後片付けも大変。
ですが、簡単なケアをしてあげるだけで毛玉を減らしてあげることができるんです。
わたしが30年間猫と暮らす中で実践してきた中から、おすすめ4選をお届けしますね。
猫は毛玉を吐くことがある
口元をぺろぺろしていたと思ったら、ぼうちゃんのような音を立てて毛玉を吐く猫。
個体差は大きいものの、猫にとっては生理現象なので月数回程度吐くのは良くあることです。
猫の毛玉とは
ずばり猫の毛玉とは、毛づくろいをした時に飲み込んでしまった猫自身の毛が胃の中でボール状になったもののことです。
別名、「ヘアボール」とも呼ばれます 。
人間の髪の
毛が抜けるように、猫の毛も当然日々生え変わっていきます。
そうなんです。
落ちている抜け毛が多くてあまり想像できませんが、舐めている間に抜けた毛や、抜けたけど落ちていない毛は、日々の毛づくろいの間に猫自身が飲み込んで回収しています。
毛は消化することができないので、便として排出されることがほとんどです。
ですが、飲み込んだ毛の量が多いとお腹の中で溜まり、やがて毛玉になってしまうんです。
猫って時間があれば体中をぺろぺろと舐めていますよね。
毛づくろいは猫にとって、肉体的にも精神的にも生きていく上で欠かせない行動です。
- 体を綺麗にするため
- 体温を調節するため
- リラックスするため
- 猫同士がコミュニ―ケーションをとるため
こちらの記事では、毛づくろいの詳しいお話や、毛づくろいで飼い主への愛情表現までしてしまう可愛らしい猫たちの様子をご紹介しています。
毛玉を吐く理由
腸へスムーズに流れず残った毛は毛玉になり、胃の中でフェルトやボールのように固まります。
そうなってしまうと便で排出することはできないので、自ら吐き出そうとするわけです。
昔飼っていた「みゅう」や「しゅり」が吐く毛玉は3cm前後がほとんどでしたが、十数センチもある特大毛玉を吐いたという友人の猫もいます。
冒頭でもお伝えしましたが、個体差が大きいことなので吐かないといけないというわけではないので安心してくださいね。
毛量が少ない子猫は吐くことも少なく、成猫、特に長毛種の場合は抜ける毛のボリュームも多くなるので、毛玉ができる割合も高くなります。
毛玉を吐いた後はすっきりして食欲もあることがほとんどです。
- 何度も繰り返し吐く
- 吐こうとしても何も出ず、胃液ばかりが出る
- 毛玉だけでなく異物も混ざっている
- 食欲がない、または食べてもまたすぐ吐いてしまう
こういった場合は毛玉ではなく胃腸の病気が原因で吐いている場合があります。
気になる症状がある場合は、動物病院の受診をおすすめします。
猫が毛玉を吐けなくなったら要注意
さて、猫が毛玉を吐くことは自然な事だとお分かりいただけたかと思います。
問題は、飲み込んだ毛の量が多すぎて吐き出すことができなくなり、胃の中でどんどん大きくなってしまうことです。
次は「毛球症(もうきゅうしょう)」と呼ばれるこの症状について解説していきます。
毛球症(もうきゅうしょう)について
「毛球症」とは、簡単に言うと毛玉が胃や腸の中で巨大化し、便として出すことも自力で吐き出すこともできなくなってしまう病気です。
- 元気がなくなる
- 便秘になる
- 何度吐こうとしても吐けない
- 食欲が低下する
こんな症状が見られたら、毛球症になってしまっているかもしれません。
大きくなった毛玉が腸につまってしまうと、腸閉塞を引き起こす危険もあります。
毛玉を吐き出しやすくする薬を飲むという治療をうけることがほとんどです。
しかし、吐き出せないほど大きな毛玉になってしまっている場合には、内視鏡や開腹手術などの外科治療が必要になることもあります。
原因は、次の理由で抜け毛量が増えたり毛づくろいが過剰になることです。
- 換毛期(冬毛→夏毛、夏毛→冬毛に生え変わる時期のこと)
- 皮膚の異常(アレルギー、怪我、皮膚の感染症)
- 精神的なもの(ストレス)
皮膚の異常や精神的なストレスが原因の場合は、皮膚の治療やストレスを取り除くなど根本的な解決が必須ですね。
毛玉ケアで大切なこと
「毛球症」を予防するためにも、毛玉は少しでも小さくしてあげたいですよね。
そんな毛玉ケアで心がけたいことがあります。
- 抜け毛をなるべく飲み込ませないこと
- それぞれの猫に合ったケア方法を選ぶこと
飲み込む抜け毛を極力少なくすることができれば、できる毛玉も小さくなりますよね。
また、長毛種か短毛種、猫ちゃんの体質によってもケアの方法が変わってきます。
簡単!猫の毛玉ケア【4選】
毛玉を少しでも軽減するためには、【飲み込む毛そのものを減らすこと】と、【飲み込んだ毛を排出しやすくすること】の2通りのアプローチが大切です。
【飲み込む毛を減らす】
①ブラッシング
【飲み込んだ毛を排出しやすくする】
②毛玉ケア用フードに替える
③サプリメントを与える
④猫草を与える
①ブラッシング
これはすでに実践されている方も多いのではないでしょうか。
猫が舌で絡めとっている毛を、事前にブラッシングで取り除いてあげることで飲み込む毛の量を減らす効果が期待できます。
猫用ブラシも種類がいろいろあって、毛の長さによって適しているものが違います。
短毛種におすすめ | ラバーブラシ | ゴムやシリコン製で、摩擦で抜け毛を吸着して絡めとる |
コーム | 歯が一直線にならんでいるクシで、毛をほぐしやすい | |
長毛種におすすめ | ピンブラシ | 人間のヘアブラシのようなもので、素早く全体を整えることができる |
スリッカーブラシ | 金属製の「く」の字のピンが並んでいるブラシで、毛の奥までしっかり届く |
短毛種、長毛種にわけてブラッシングの手順と共にご紹介していきますね。
【頻度】
週3回~毎日
【ブラシの種類】
ラバーブラシ・コーム
【ブラシをかける手順】
- ラバーブラシを使って、背中からお尻に向かってブラッシングする
- 毛の流れに沿ってお腹もブラシをかける
- 顔のまわり、足をコームを使ってやさしくとかす
【頻度】
1日1回~2回
【ブラシの種類】
コーム・ピンブラシ・スリッカーブラシ
【ブラシをかける手順】
- コームやピンブラシを使って、毛がもつれているところや毛玉になっている部分をほぐし、全体をとかす
- スリッカーブラシで背中からお尻に向かってとかす
- 顔のまわり、足をコームを使ってやさしくとかす
「ゆね」は短毛種なので、こんなラバーブラシを使っています。
換毛期は抜け毛が多いのでスリッカーブラシを使うことも多いのですが、びっくりするほど毛がとれて気持ち良いです。
猫によってはブラッシングを嫌がる子も少なくありません。
無理にやろうとするとストレスにもなってしまうので、愛猫ちゃんの様子を見ながら試してみてくださいね。
②毛玉ケア用フードに替える
毛玉ケアのためのフード選びのポイントは「食物繊維」が豊富に含まれていること。
「毛玉ケア」や「ヘアボールコントロール」などと記載されているものは、毛玉ケア専用に開発されたフードです。
食物繊維の働きで、便自体の排出がスムーズになり、飲み込んだ毛も一緒に排出してくれるという仕組みです。
換毛期以外でも、食べさせておくと効果を実感しやすいですよ。
猫ちゃんの体質に合わせて選んであげたいですね。
ゆねが食べているのは毛玉ケア専用ではありませんが、サツマイモなどの食物繊維が豊富で、リンゴやオリゴ糖が消化吸収を助けてくれるこちらのフードを愛用しています。
③サプリメントを与える
そんな方におすすめしたいのがサプリメントを与える方法。
いつものフードに混ぜたり、おやつとしても与えることができるので、気軽に始めることができます。
黒糖のような甘味の、毛玉除去ペーストです。毛玉を排出しやすくするだけでなく、毛玉ができるのを防ぐ効果もあります。
動物用医薬部外品なことも安心なポイント。
こちらは粉末タイプ。サラサラとしているので、いつものフードと混ぜて与えることができます。
友人の猫ちゃんが愛用しているものなのですが、パパイヤ抽出成分のおかげか、美味しいようでかけるのを待っているそうです(笑)
④猫草を与える
最後は、ホームセンターなどでよく見かけるこちら。
昔から猫たち自身が好んで食べてきたものなので、一番自然に近い形のケアと言っても良いかもしれません。
特定の植物ではなく、猫が好んで食べる草の総称。
えん麦、小麦、大麦などの背が低いイネ科の若葉を指すことが多い。
そうなんです。
実は猫が草を好んで食べるはっきりとした理由はわかっていないんですが、尖った葉っぱが胃を刺激して毛玉を吐きやすくしたり、食物繊維を取ることで排便を促してくれるからだと考えられています。
効果をしっかり得られているところに、猫たちの「野生の鋭い感」を感じずにはいられませんね。
猫草は猫にとってあまり消化の良い食べ物ではありません。子猫や体が弱っている猫に与えると、体調を崩してしまう場合があります。与える時には注意しましょう。
番外編:快適!毛玉のお掃除術
愛猫が毛玉を吐いてすっきりしてくれるのなら万々歳。
ですが、わたしたち飼い主にはその後のお片付けが待っています。
以前、「しゅり」にカーペットのど真ん中で吐かれてしまい、大変な思いをしたことがあります。
番外編として、普段わたしが実践しているお掃除術もお届けしますね。
吐く前に気付いた時
猫が吐くとき、胃が動くような「ぐぇっ」という苦しそうな音が最初に聞こえるはず。
何度か全身を動かして、その後「げぽー」っと出てくることが多いんです。なので、その音が聞こえてきたら即行動。
箱に入れて部屋の隅に置いている、小さく切ったペットシーツでキャッチします。
吐いてあるものを見つけた時
既に吐いている場合は、なるべく早く回収し、しみ込ませないことが大切です。
フローリングの場合
- キッチンペーパーなどで拭き取る。
- お湯で濡らした雑巾で床を拭く。
- ペット用除菌スプレーをかけ、拭き取る。
畳・カーペットの場合
汚れが広がらないようにすることがポイント。
食器洗い用中性洗剤(小さじ1)を水(500ml)に溶かしたスプレーを作っておくと便利です。
- 汚れが広がらないようにキッチンペーパーなどを使って集める。
- 食器洗い用洗剤を水に溶かしたスプレーをかける。
- ペットシーツまたは乾いたタオルをのせ、たたくように吸い取る。(こすると汚れが広がるので注意)
- 水をかける。
- ペットシーツまたは乾いたタオルで吸い取る。(④~⑤を何度か繰り返す)
- ペット用除菌スプレーをかける。
まとめ
猫が吐く毛玉にお困りのみなさんに、おすすめのケア方法を中心に毛玉との付き合い方をお伝えしてきました。
まずは毛玉の基本知識です。
- 猫が毛玉を吐くことはよくある。
- 毛玉とは、毛づくろいをした時に飲み込んでしまった猫自身の毛が胃の中でボール状になったもののこと。
- 抜け毛量が多くなる換毛期、毛のボリュームが多い長毛種は毛玉を吐きやすい。
猫にとって毛玉を吐き出すことは生理現象の一つですが、ここで気を付けなければいけないのは「毛球症」と呼ばれる症状です。
毛玉が大きくなりすぎて吐き出せなくなってしまっているので、病院で診てもらう必要があります。
次のような症状があれば要注意です。
- 元気がなくなる
- 便秘になる
- 何度吐こうとしても吐けない
- 食欲が低下する
飲み込む毛の量を減らすこと、便と一緒にスムーズに排出できるようにすることで、毛玉を吐く頻度や量を減らしてあげることができます。
そのためにおすすめしたい対策は次の4つです。
- ブラッシング
- 毛玉ケア用フードに替える
- サプリメントを与える
- 猫草を与える
ブラッシングで使う道具や頻度、ケア用のフードやサプリメントなど、猫種や体質によって適しているものが変わります。
愛猫ちゃんにぴったりのケア方法を見つけて、ストレスなく過ごしていけるお役に立てば嬉しいです。