昔飼っていた、『しゅり』
あれは、梅雨時でした。ふと『しゅり』の目の上を見るとなんと円形に毛が抜けているではありませんか。
こんな症状は初めてでびっくりして、すぐに病院につれていきました。
診断は、真菌性皮膚炎(猫カビ)でした。
発見が早く症状も軽かったため、外用薬もらいシャンプーを買って帰宅しました。
その時に獣医さんに聞いたのですが、猫の毛が抜ける原因はたくさんあって、治療しないとどんどん悪化するもの、人や犬にうつる病気なのがあるそうです。
たかが毛が抜けるぐらいと甘くみていると、あとで後悔することになりますよ。
なによりもあなたの愛猫を苦しめることになります。
そんなことを回避するために、今回は、猫の抜け毛の原因や病気その予防法についてお伝えしようと思います。
猫の抜け毛の原因
猫の抜け毛の原因はたくさんあります。
- 皮膚疾患(病気)
- ストレス
- 食生活
- 加齢
- 換毛期
では順番にみていきましょう。
皮膚疾患
皮膚疾患で、猫の毛が抜けることがあります。
人に感染する種類があるので注意が必要です。
真菌性(しんきんせい)皮膚炎
カビが原因でおこる皮膚病です。
【症状】
足先、耳、顔、目の周囲、頭に発症することが多く皮膚に円形状の脱毛がみられます。治療が遅れると全身に感染しますので早めの発見が必須です。
フケが多くみられますが、かゆみはほとんどありません。
【原因】
皮膚や被毛に真菌(カビ)が感染することで起こる病気です。原因となる菌として次のような種類があります。
- 犬小胞子菌(いぬしょうほうしきん)
- 石膏状小胞子菌(せっこうじょうしょうほうしきん)
- 毛瘡白癬菌(もうそうはくせんきん)
これらの菌は土壌や環境中に存在していて、接触することによってヒトや動物に感染します。
免疫力が影響する病気で、子猫での発症や、抵抗力が落ちているときの発症が多い病気です。
市販のブラックライトをあてると真菌に感染しているかわかります。
光っているところが菌です。
【治療法】
抗真菌薬(ぬり薬・のみ薬)の投与します。
他には抗真菌薬用のシャンプーを使った治療もあります。
【予防方法】
感染したどうぶつとの接触は避け、接触した際は十分に手などを洗う。
シャンプーやふき取りシートなので皮膚を清潔に保つ。
真菌は、熱に弱いので、掃除用の高温スチーマーなどで家中を掃除をするとよいです。
疥癬(かいせん)
ダニが原因で強い痒みをおこす皮膚病です。
【症状】
発症する場所は全身ですが、特に、腹部、肘や膝、耳の端なのに多くみられます。
強いかゆみに襲われるため猫が掻きむしり、ひっかき傷だらけになり、毛が抜けてしまいます。
皮膚炎をおこすことから、皮膚が硬くなることあります。
【原因】
ネコショウセンコウヒゼンダニが、猫の皮膚にトンネルを掘り卵を産み、ずっと住み続けます。
トンネルの穴の中にネコショウセンコウヒゼンダニが出す、糞や分泌物でアレルギー反応をおこし強い痒みがでます。
伝染性がとても強く、すでに感染した動物との接触やより感染します。
【治療法】
猫の疥癬の治療法は、ダニを駆除することが主になります。
①駆虫薬を投与する
ネコショウセンコウヒゼンダニにはセラミクチンという薬剤が有効です。
現在、セラミクチンを含んだスポット式の商品『レボリューション』が使われることが多いです。
セラメクチン
概要・作用機序
出典:ペットのお薬ノート
レボリューションは新しいマクロライド系駆虫薬であるセラメクチンを有効成分とした経皮投与の駆虫剤です。犬糸状虫だけでなく、ノミの成虫駆除とノミ卵の孵化阻害や殺ノミ幼虫作用の効果があります。生後6週齢から使用可能で、妊娠中や授乳中の猫でも安全性が高い製剤です。
簡単に滴下するだけで、ノミやミミヒゼンダニ、回虫(猫)をいっぺんに予防と駆虫ができる優れた製剤です。
②シャンプー療法
③薬浴
2~4%の硫黄化石灰に週1回ほど入浴させる。
角質溶解性(かくしつよかいせい)のシャンプーで洗ってから、薬浴を2週間ごとに繰り返す。
しっかりと泡立てた薬用シャンプーを、揉み込みながら洗い、そのまま5分から10分浸け置いてから洗い流します。
【予防法】
日ごろからノミダニの予防をきちんと行いましょう。また抵抗力が落ちると感染したときに急激に悪化して全身に広がることがあるので日々の健康管理も大切です。
熱湯消毒が有効なので、体に直接触れるもの(ブラシや食器)は50℃以上の熱湯につける、熱湯につけれないものは、高温スチーマーや次亜塩酸ナトリウムによる消毒がおすすめです。
私の知り合いは、家にタヌキが遊びにくるそうです。
そのタヌキも酷い疥癬にかかっていました。外に猫を出すと病気の動物を接触する確率が高くなるので、外には出さないでくださいね。
猫ノミアレルギー性皮膚炎
ノミに対して過敏な反応(アレルギー)を起こす猫が発症する皮膚炎
【症状】
猫のノミアレルギー性皮膚炎の症状は、首や背中、お尻などに粟(あわ)粒大の発疹や脱毛が見られます。
皮膚にとても激しいかゆみを感じるため、掻いたり咬んだりすることによる脱毛したり、ひどくなると皮膚を掻きむしって出血することもあり注意が必要です。
【原因】
ノミに対してアレルギーを持っている猫におこります。
ノミが猫を咬んだときのノミの唾液がアレルギー症状を引き起こす原因となり、激しいかゆみや炎症が引き起こされます。
【治療法】
①ノミの駆除 レボリューション・フロントラインなど
②ステロイド剤※1 皮膚の炎症を抑えるためにつかいます。(飲み薬・注射)
※1ステロイドとは
ステロイドとは一般的に体の中にある副腎皮質ホルモンを薬として、植物由来の『大豆サポニン』、鉱物由来の『ヒドロコルチゾン』というものを人工的に化学合成して作ったものです。
ステロイドには体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりするがあります。
ストレス
猫はストレスを受けるとグルーミング(毛づくろい)をします。
猫の舌はザラザラしています。
そのためストレスを継続的に受け過剰的にグルーミングをすることにより刺激になり、毛が抜けたり、皮膚炎になってしまうのです。
【猫のストレスの原因】
- 環境の変化・・・新入り猫がきた、家具の配置が変わった、引っ越し、来客が多い
- 苦手な刺激・・・大きな音、芳香剤やアロマのニオイ
- 自分が嫌なことをされる・・・シャンプー、病院通い、爪切り
もし、グルーミングが酷いようなら、ストレスを見つけて解消してあげてください。
ストレスを感じやすい猫は31.8%という統計がでています。
食生活
栄養不足
猫の体質や体調に合ったバランスの取れた食事を取れていないと、常に抜け毛が多い状態になり、被毛のつやがなくなってしまいます。
良質で、皮膚や被毛によいキャットフードを選んで与えると改善されます。
から聞いた話ですが、スモークグレーの色の子だと思って保護したそうです。
猫の保護団体さんガリガリで栄養不足だったので良質のキャットフードを与えました。
するときれいな黒猫になったそうです。(こういったことが何度もあるそうです)
栄養不足は、毛に影響することがこの体験談からもわかると思います。
食物アレルギー
食物にアレルギーがある場合にも皮膚疾患をおこします。
【症状】
- 口の周り耳、手足などかゆみ
- 毛並みの荒れ、脱毛や薄毛、フケがたくさんでる。
【原因】
食事に含まれる1つ以上の成分に対するアレルギー反応です。
最も一般的な食材は、牛肉、乳製品、穀類(小麦、穀物(特にトウモロコシ)、大豆)、鶏肉、卵です。
良質な食事を与えているのに、改善されないときは食物アレルギーを疑って病院を受診することをおすすめします。
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加齢
加齢とともに、体力も落ち、体も硬くなるため、うまく毛づくろいができなくなります。結果、フケがでやすくなったり、毛が絡まったり抜け毛が増えたりします。
高齢猫は、被毛のつやと柔らかさを保つために、毎日ブラッシングしてあげてください。食事も高齢猫用のものに変えることをおすすめします。
換毛期(かんもうき)
猫は換毛期が2回きます。季節の変わり目、3月と11月頃です。
体温調節をするために、夏用に毛が抜けたり、冬用にはモコモコの毛になるのです。
この時期の抜け毛には問題はありませんが、猫はグルーミングなどによって、飲み込んだ毛を吐き出す習性があります。
ただ、大量に毛が抜けるので、毛を飲み込みすぎて、吐きだし切れないことがあります(特に長毛猫)
毛が体の中に溜まり(ヘアボール)内臓が荒れる原因になるので注意が必要です。
- ブラッシングをまめにする
- 毛球除去剤を使う
- 毛玉ケア用フードに替える
飼い主さんがケアしてあげてください。
すぐに病院に連れて行った方がいい症状
猫の毛が抜ける病気や症状について解説してきましたが、どんな症状だと病院に行った方がいいのか気になりますよね。
- 毛をかきむしっている
- ハゲているところがある
- 血がでている(にじんでいる)
- 円形脱毛になっている
- 広範囲に脱毛している
特に先ほど紹介した、真菌性皮膚炎や疥癬は人にも感染するので注意です。
病院に行く際に、今、与えているキャットフードの銘柄やメーカー、いつから始まり、どのような経緯をたどりこの症状になったのか説明できると病気の原因を探る手掛かりになります。
病院に猫を連れていく際は洗濯ネットに入れてから、キャリーにいれていくのがおすすめです。
何かの拍子に、キャリーの蓋が開いたときに、猫は驚いて逃げてしまい、まず戻ってくることはありません。
洗濯ネットに入れるのは、かわいそうだと思うかもしれませんが、猫はそのほうが落ち着きます。
病院に行ってからの洗濯ネットに入っていた方が(特に慣れていな子)治療がしやすいです。
まとめ
今回は、猫の抜け毛の原因や病気その予防法についてお伝えてきました。
- 皮膚疾患(病気)
- ストレス
- 食生活
- 加齢
- 換毛期
特に皮膚疾患は人や他の動物にうつるものがあるので要注意です。
真菌性皮膚炎や疥癬など
- 毛をかきむしっている
- ハゲているところがある
- 血がでている(にじんでいる)
- 円形脱毛になっている
- 広範囲に脱毛している
こんな症状があるときは早めの受診をおすすめします。