ある日、夫から驚愕の事実を知らされました。
「猫のゴロゴロ音って、骨折を治す効果があるらしいよ」
どこから入手したのか(おそらくネット)、わたしはこのことを全く知らなかったのでとても驚きました。
どうやらわたしの反応が嬉しかったのか、さらに続けて言った言葉。
「あのベッカムもワールドカップ前の骨折を治すのに、猫のゴロゴロ音が関係する治療法を使ったらしいよ。そのおかげで短期間で治ったんだって」
と、ものすごいドヤ顔で話をしてくれました。
猫歴30年、ペットに関する資格も持っていますし、猫の知識に関しては自信があるつもりでした。
猫のゴロゴロ音にそんな効果があったのかという衝撃と、まさか夫に先を越されてしまったという悔しさもあり、わたしは決心しました。
今回は、その勉強の成果を、みなさんにお伝えしていきます。
この記事を読めば、猫の癒し効果について分かるので、これまで以上に猫ちゃんたちと一緒に過ごしたくなること、間違いなしです。
【ゴロゴロ音が骨折に効く】は科学的根拠がある
ゴロゴロ音の周波数が骨折治療に効果的
そもそも、なぜ人間がこのゴロゴロ音を研究しようと思ったのでしょう。
猫は他の動物と比べると、骨折など傷の治りがとても早く、その治癒の速さは人間の約3倍ともいわれています。
そして調べていく中で見つかったのが、ゴロゴロ音の効果でした。
ゴロゴロ音の周波数は25ヘルツという低周波です。
ゴロゴロ音の周波数は、骨密度(骨の強さ)を高める周波数と同じであるということも分かりました。
この音に含まれている微細な振動を感知することで、体中の骨を作る細胞が活発化。
その結果、骨折の治りが早くなったり、骨をさらに強くするという効果が現れるのです。
骨折・骨粗しょう症予防にも期待
先ほど、ゴロゴロ音の低周波が骨密度を高める周波数と同じであることをお伝えしました。
骨密度は20~30代でピークを迎えて、40代から徐々に低下していきます。
骨密度が低下することで、骨がスカスカの状態になってしまう『骨粗しょう症』。
そして骨の強度が低下することで起こりやすくなる『骨折』。
ゴロゴロ音は骨密度をあげることで骨折・骨粗しょう症予防にも効果が期待できると近年大注目されているんですよ。
骨折治療への活用の実際
猫たちのゴロゴロ音は低周波というお話をしました。わたしたちの身の周りで低周波といえば・・・そう、想像するのは超音波ですよね。
じつは骨折治療に用いられるのはこの超音波による治療法なんです。
冒頭で夫が話をしていたサッカーのデビット・ベッカム選手や野球の松井秀喜選手が骨折の治療の際に使ったことで、世間の注目を浴びた治療法は、まさにこれのことでした。
<超音波骨折治療>
厚生労働省の先進医療に認定されている。
病院で使われている超音波骨折治療の機械
- セーフス(帝人ファーマ)
- アクセラス(日本シグマックス)
超音波骨折治療とは、微弱な超音波を1日1回20分間、骨折部に当てることで骨折治癒を促進する治療法です。
この超音波治療で、通常より約4割も早い治癒促進が期待できます。
現在、日本でもこの方法で骨折治療をしている病院もあり、保険適用にもなっています(ただし条件付)。
【猫のゴロゴロ音と骨の関係】
- 猫は人間の約3倍骨折治癒が早い
- ゴロゴロ音の周波数は骨密度を高める周波数と一致
- ゴロゴロ音から超音波骨折治療法が発明
- 超音波骨折治療法で通常の約4割も骨折治癒が早くなる
- 骨折・骨粗しょう症の予防にも効果を期待されている
ゴロゴロ音とは?
猫を飼っている人であればどこかの場面で聞いたことのあるのではないかと思われる、この音。
このゴロゴロ音と言うのは、もちろん正式名称ではありません。
正式な名称は調べる限りでは見つからなかったのですが、この表現で大体の人は理解していただけると思って、この表現をしてみました。
では、このゴロゴロ音の正体って、一体なんだと思いますか。
こんなご意見がたくさん聞かれそうですね。
このゴロゴロ音は、のどの筋肉を収縮させ、声帯を振動させることで鳴らしているといわれていますが、これは一説。
どうやってあの音が出ているのかなど、実はこのゴロゴロ音についてはまだはっきり解明されていないことが多いんです。
もちろん、解明されていることもありますよ。
ゴロゴロ音の周波数には自然治癒力を高める作用があることが多くの研究者たちのおかげで明らかになっています。
ゴロゴロ音の癒し効果
猫のゴロゴロ音は、猫自身の自然治癒力を高める効果もありますが、人間に対しても似たような効果を発揮します。
低周波の5つの効果
人間には交感神経と副交感神経と呼ばれる「自律神経」というものがあり、この二つのうちのどちらがよく働いているかで状態が変わります。
自律神経は自分でコントロールができないので、何かがきっかけで強いストレスを感じてしまい、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうと、なかなか眠れなくなったり、疲れが取れにくくなるという症状が出ます。
ゴロゴロ音は低周波というお話を先ほどしましたね。
【低周波の5つの効果】
20~50ヘルツの低周波は副交感神経を優位にさせる効果があります。副交感神経を優位にしてくれることで、
- 骨密度を高め、骨折治療に有効
- 身体の緊張を緩め、リラックス状態にさせる
- 血圧を下げる
- 睡眠の質を上げる
- 疲労回復や免疫力の向上につながる
以上のような効果が期待できるんです。
幸せホルモンの効果で癒し倍増
副交感神経が優位になってリラックスできるだけでも癒し効果は十分なのですが、猫のゴロゴロ音からは幸せに導いてくれるものがもう一つあります。
それは、幸せホルモンとも呼ばれている「セロトニン」。
ゴロゴロ音を聞くと、このセロトニンの分泌が促進されるのです。
セロトニンが不足すると、慢性的なストレスを抱えてたり、不眠、食欲低下などが引き起こされるようになります。
そのセロトニンの分泌を促進することで、ストレス解消や不安の軽減などの効果も見られます。まさに「ゴロゴロ・セラピー」ですね。
<ゴロゴロ音が聞けるサービス>
ゴロゴロ音の癒し効果が知られてきたこともあり、YouTubeではゴロゴロ音を使ったASMR動画や睡眠導入動画というものが多々あります。
また、無料のオンラインサービス「Furry Friends」では、猫のゴロゴロ音を好きなだけ聞くことができます。
このサイトでは、ただゴロゴロ音を聞くだけではなく、高音、低音などのバーを操作して、自分好みのゴロゴロ音を作成することができます。
ためしにやってみた感想ですが、いろんなゴロゴロ音を聞くことができて楽しむことができました。癒し効果もきっとあったのだろうなぁと思います。
ただ、海外のサイト様になりますので、説明は翻訳ソフトを使った方が分かりやすいかもしれません。
ご興味のある方は、一度体験してみてください。
<ゴロゴロ音を出す動物>
猫はゴロゴロ音を出しますが、他にもチーター、サーバルキャット、ピューマ、オオヤマネコもゴロゴロ音を出すようです。
同じネコ科でも、ライオンやトラ、ヒョウ、ジャガーはゴロゴロ音を出さないと言われています。
ゴロゴロ音の癒し効果の研究・実験結果
もしかして、中にはこんなことを思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
じつはTV番組でもこのゴロゴロ音の効果について実験が行われていたんです。
【NHK『あさイチ』で帝京科学大学アニマルサイエンス学科の協力の下行われた実験】
猫嫌いの人と、猫好きの人各3名ずつにこのゴロゴロ音を聞いてもらったところ、6人中5人にストレス軽減が見られ、6人中4人に心拍数とだ液が減ったという結果に。
なんと猫好きの人の方が効果が多く表れてはいましたが、猫嫌いの人にも効果がしっかり表れていました。
【筑波大学研究チームの発表】
実験者全員の安静時の心拍数を基準値とし測定後にストレスをかける。
その後に猫のゴロゴロ音を聞かせたグループと、ホワイトノイズ(扇風機やテレビの砂嵐音のような音)を聞かせたグループで比較。
ホワイトノイズでは基準値との差はなかったが、猫のゴロゴロ音を聞かせたグループは基準値の心拍数よりも減少がみられた。
ここに猫が好き、嫌いの関係はなかったとの研究結果が発表されています。
猫はどんな時にゴロゴロ音を出すの?
そうですよね。猫も気まぐれなので、こちらが「ゴロゴロ音を出して」とお願いしたからと言ってすぐに出してくれることはまずありません。
リラックスをしている時
猫を飼っている人の多くが耳にしているゴロゴロ音はこの状態の時に出されているものだと思います。
猫にとってはリラックスしている、幸せを感じているという意味でもあり、飼い主からしたらとても聞きたくなる音ですね。
母猫と子猫のコミュニケーション手段
生まれたばかりの猫は目も耳もまだ未発達のため、周囲の様子を見たり聞いたりすることができません。
そんな状態の子猫に自分の存在を知らせるために、母猫はゴロゴロ音の振動で子猫に自分の居場所を知らせます。
そして子猫も生後2日目には「今日も元気だよ」と母猫に伝えるかのようにゴロゴロ音を出すようになります。
つまり、母子のコミュニケーションの手段としてゴロゴロ音を使っているのです。
緊張や怪我などのピンチの状態
こちらはさきほどの二つとは打って変わって、身体の状態が良くない時のゴロゴロ音です。
例えば、怪我をしている、病気でどこかが痛くて苦しい時、そして分娩時や死の間際にも出ると言われています。
この音が出ているとき、猫の体内には「エンドルフィン」という神経物質が分泌されています。
エンドルフィンと言うのは別名脳内麻薬とも言われていて、苦痛を和らげる効果や多幸感を感じる効果があります。
この鎮痛効果はモルヒネの約6.5倍と言われていて、とても強い作用があることが分かります。
こちらの場合でゴロゴロ音が出ているときは、もっと低音で出されていることが多く、普段聞きなれないゴロゴロ音が聞かれたときは要注意です。
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まとめ
では最後に、今回の記事の内容を振り返っていきましょう。
猫のゴロゴロ音は25ヘルツの低周波でした。
- 骨密度を高める周波数と同じ、骨折治療に有効
- 身体の緊張を緩め、リラックス状態にさせる
- 血圧を下げる
- 睡眠の質を上げる
- 疲労回復や免疫力の向上につながる
低周波の効果って人間にとってありがたいものばっかりでしたよね。
- ゴロゴロ音は全部は解明されていないが、自然治癒力を向上させる効果についてはさまざまな研究で判明されている。
- 猫がゴロゴロ音を出す時は、ご機嫌な時だけでなく母子のコミュニケーションや体調不良の時もある。
- 人間にとっても幸せホルモンである「セロトニン」の分泌が促進され、ストレス解消や不安の軽減につながる。
- 猫が苦手な人にもゴロゴロ音で癒される効果はある。
今回のお話で、猫の癒し効果がとても大きいことを科学的に証明されていたということがお分かりになったのではないでしょうか。
ゴロゴロ音だけでもこんなにたくさんの癒し効果がったなんて、わたし自身、とても驚きでした。
わたし達飼い主は、猫と一緒にいるだけでもとても幸せな気分になりますし、猫からたくさんの癒しももらっています。
もしかしたら、まだまだ猫には隠された癒しパワーが存在しているのかもしれません。
今後新たに解明されるのが楽しみですね。
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