複数の猫を一緒に飼う多頭飼い。じゃれ合ったり、先住猫が新入り猫ちゃんを母のように見守っていたり。
とっても癒される光景ですよね。
ただこの多頭飼いは、当然ながら、お世話をする労力も増えます。中でもたびたび飼い主さんを困らせるのが、餌の横取り問題ではないでしょうか。
実はこれ、猫の習性が原因なんです。
野生の猫は、群れではなく単独行動をしていたので、そもそも餌を分け合うという習性がありません。
そのため、自分の餌が用意されていても、横にいる猫の餌も気になってしまうんです。
この猫同士の餌の横取りや取り合いは、愛猫の成長や健康維持に悪い影響を与えるので、予防しなければいけません。
今回は、その簡単にできる対策について説明していきます。ちょっとした工夫で解決できますので参考にしてみてくださいね。
”猫の餌の横取り”見過ごすのはキケン
この光景、もし目にしたらどうしますか。
取られた方の子にご飯を足したり、怒っている様子がなければそのまま見過ごすことにしたりということもあるかもしれません。
ですが、猫が餌の横取りや取り合いをすると次の様な危険があるんです。
- それぞれに必要な栄養を得られない
- 栄養を摂りすぎて肥満に繋がる
関連記事:猫の肥満は見た目でも判断できる!あなたの猫ちゃんは大丈夫ですか?
だからこそ、猫の餌の取り合いは防がなければいけません。
次は具体的に、餌を分けて与えるべき理由を説明していきますね。
猫の餌を分けて与える理由
多頭飼いする場合、餌をどう与えるのか悩む飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
結論としては、猫を多頭飼いするときは、餌を分けて与えなければいけません。
その理由は3つあります。
- 猫の成長に合わせた餌をあげるため
- 猫が摂取した栄養やカロリーを管理するため
- 猫の健康状態に合わせた餌をあげるため
ひとつずつ説明していきますね。
猫の成長に合わせた餌をあげるため
猫は、ライフステージに合わせて、それぞれの時期に適した餌を与える必要があります。
ライフステージ別のキャットフードの特徴を表にまとめるとこのようになります。
時期 | 適応年齢 | 特徴 |
幼猫期 | 生後1歳まで |
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成猫期 | 1歳~7歳ころ |
|
老猫期 | 7歳ころ~ |
|
もし同じ時期に、ライフステージの異なる猫を多頭飼いしている場合は要注意です。
猫同士が餌を横取りしたり取り合っていると、自分に合っていない餌を食べることになるので、成長に影響が出てしまうのです。
成猫が幼猫用フードを食べ過ぎると、摂取する栄養やカロリーが高すぎるため肥満の原因になり、その逆で、幼猫が成猫用フードばかり食べていると必要な栄養が不足して十分に成長できません。
猫が摂取した栄養やカロリーを管理するため
愛猫の成長や体調を管理するためには、愛猫が食べた餌の量をきちんと把握することがとても重要なんです。
飼い主さんにとって、愛猫の成長は常に気になりますよね。
しっかり栄養はとれているか、体重は順調に増加しているか、逆に標準より太り過ぎていないか、など悩みは尽きないでしょう。
わたしの愛猫ゆねは、いま幼猫期で成長がとても気になる時期。
例えば、朝あまり食べてくれなかったら、次の食事で餌の量を増やし、1日トータルの食事量が減らないようする。
このような管理ができるのも、愛猫の食べた餌の量を把握できているからこそです。
飼い主さんが、きちんと愛猫に合わせた餌を与えていても、猫同士が横取りや取り合いをしてしまっては、どの子がどのくらい食べたのか、正確な1日の食事量が把握できませんね。
猫が餌を横取りするパターンとして、特定の食いしん坊猫が、小食猫の餌を食べてしまうという場合が多くみられます。
こうなると、食いしん坊猫はどんどん太り、小食猫は栄養不足で成長が遅れる、ということになります。
猫の健康状態に合わせた餌をあげるため
もし複数猫のうち一匹が病気にかかり、いつもの餌ではなく療養食が必要になったとします。
そのとき、日ごろから餌を取り合う習慣があると、それぞれに適した餌を与えることがとても難しくなります。
病気の猫にとっては、通常の餌を食べてしまうことが回復を遅らせ、場合によっては命の危険が及んでしまうかもしれません。
そんなリスクを避けるためにも、日ごろから餌を分けて食べる習慣が必要なのです。
【猫の餌の取り合いがダメな理由】
- 成長に合わせた栄養が摂れなくなるから
- 一日の栄養やカロリーの管理が難しくなるから
- 療養食などの特別食が行き渡らなくなるから
肥満や栄養不足によって猫の健康に危険が及ぶので、餌はそれぞれ分けて与えましょう。
猫の餌の横取りを防ぐ5つの対策とは
ここからは、具体的な対策を見ていきます。
- 食事の場所を工夫する
- 猫と猫の間に間仕切りを作る
- 食べ残しをそのままにしておかない
- 猫を個体識別できる自動給餌器を使う
- 順番を決めて一匹ずつあげる
1,食事の場所を工夫する
よく横取りをする猫は、横で一緒に食べている猫の餌を狙っています。
食べながらチラチラ様子をうかがって、自分の分を食べ終わったら食べに行こうとしているのです。
これを防ぐために、まずは単純に、猫が餌を食べる場所の距離を離しましょう。
方法は、次の2つです。
- 別々の部屋で餌を食べさせる
- 同じ部屋内で、壁際の離れた位置に皿を置き、壁を向いて食べさせる
ベストな方法は、別々の部屋にして完全に隔離することです。
ただ、ご家庭の環境によっては、わざわざ部屋を分けるのは難しく、同じ部屋内で与えることも多いですよね。
その場合は、壁際の離れた位置に皿を置き、それぞれの猫が壁を向いて食べるような配置にします。
以前わたしが2匹の愛猫を飼っていたときは、それぞれ壁際に離してお皿を置き、食べ終わるまで様子を見るようにしていました。
2,猫と猫の間に仕切りを作る
このように、広々と食事のスペースを取れない場合は、猫同士の間にパーテーションのような仕切りを置きましょう。
こうすれば、横並びで食事をしても、仕切りが邪魔をして隣の餌が見えないので、猫は自分の前にある餌だけを食べてくれます。
仕切りは、透明だと隣が透けて見えてしまうので、それ以外の素材で用意してくださいね。
【香港】
4頭の猫を飼うカップルが、食事中の奪い合いを予防するため「一蘭ラーメン」に着想を得た個室ダイニングを自作。#猫 #話題猫・子猫 #猫グッズ
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出典:Twitter
こんな風に作れたら素敵ですが、簡易型であれば段ボールで作ることも可能。
段ボールの一面をカットするだけでも出来ちゃいますね。
見た目や手抜き感が気になるようであれば、プラスチック製のボードに、自分でシールなどを貼ってデコレーションしたものなんかもおすすめです。
100円均一ショップなどを利用して、お部屋のインテリアに合わせて作ってみたら案外楽しいかもしれません。
また、日ごろからケージを使用している場合は、ケージを仕切り代わりにして、食事をそれぞれのケージ内で食べさせるのも良い方法です。
お互いに食べている様子は見えても、物理的に行き来できないので、他の子の餌を食べることはありません。
猫同士を仕切りで区切ってしまう
3,餌の食べ残しをそのままにしない
餌の食べ残しはできるだけ早く片づけることが大切です。
ガツガツとあっという間に完食する猫もいれば、のんびりゆっくり時間をかける猫、毎回毎回ちょっとずつ餌を残す猫もいますよね。
飼い主さんは、残すことを見越して少し多めに餌を与えているかもしれません。
すると、さっさと完食した猫がその残っている餌を食べてしまうのです。
ゆっくりペースの猫ちゃんに合わせることは必要なのですが、目安として15~20分くらい経っても残っている場合は片づけてしまいましょう。
仕事や都合で、1日分の餌を置いて外出するということもありますよね。
残念ながら置き餌は、餌の横取りや取り合いを防ぐという点では好ましくないんです。
大食い傾向のある猫ちゃんにとっては、いつでも食べ放題。その子以外の猫にきちんと餌が行き渡らない可能性があります。
自宅に帰って餌が無くなっていても、どの猫がどれだけの量を食べたのか全くわからないので、健康管理も難しくなってしまうんです。
そうはいっても置き餌が必要な場合は、自動的給餌器(じどうきゅうじき)を利用する方法があります。次は、こちらについてご紹介しますね。
4,猫を個体識別できる自動給餌器を使う
外出の多い飼い主さんにおすすめなのが、自動給餌器(じどうきゅうじき)に頼る方法です。
タイマー機能により、時間になったら決めた量のキャットフードを自動で与えることができるフードボウルのこと
ただし、今回ご紹介するのはその進化系。
餌の横取りや取り合いを防ぐためには、猫を個別に識別できるセンサー付きの自動給餌器が必要です。
給餌器にセンサーが内臓されていて、事前に登録した猫のみセンサーが感知してフタが開きます。餌を食べ終えると自動的にフタが閉まるので、他の猫がこの餌を食べることはできません。猫にマイクロチップか専用のタグを装着すれば利用できます。
これがあれば、先ほどお話した、年齢で餌を分けたいときや、療養食をあげたいときにも活用できるのでとても便利です。
ただネックはお値段なんです。安くても25,000円、高いものだと10万円近くするものもあります。
金銭的に余裕がある方、置き餌が必要な方、いくつかの方法を試しても餌の取り合いが解消しなくて困っている方は、購入を検討してみてもいいかもしれません。
5,順番を決めて一匹ずつあげる
今までは、同じタイミングで餌を与える場合の対策でした。
最後にご紹介するのは、餌の時間をずらし、一匹ずつ個別に与える方法です。
この時のポイントがあります。
- 名前を呼びかける
- 先住猫から先にあげる
名前を呼びかけながら与えると、名前を呼ばれたときは自分の餌の時間、という認識ができてくるので、他の猫の餌を気にすることもなくなってきます。
餌をあげる順番は、先住猫からを意識したいところ。
飼い主の気持ちとしては、どうしても新入り猫ちゃんに手をかける時間が長くなってしまったりするんですよね。
すると先住猫は嫉妬して、そのイライラが餌の横取りにつながる可能性も。
続けることで先住猫は満足してくれるはずです。
もしかすると新入り猫も、最初は先住猫をうらやましがって餌が欲しいとアピールしてくるかもしれません。
ハッキリした態度で接することで、先住猫が食事を終えるのをじっと待つようになります。
先住猫を尊敬する気持ちが芽生えれば、餌の取り合いもしませんよね。
わたしも2匹の愛猫には、個別でゆっくりあげるようにしていました。
時間がかかるので、毎回毎回は大変かもしれませんが、休日など時間が取れるときには、ぜひ個別であげてみてくださいね。
【同じタイミングであげる方法】
1,食事の場所を工夫する(部屋を分ける・距離を離す)
単純に距離を離せばOK
場所の確保や同時に様子を見ることが難しい
2,猫と猫の間に仕切りを作る
省スペース・横並びOK
仕切りorケージの用意が必要
3,食べ残しをそのままにしない
15分~20分を目安に片づければOK
置き餌はおすすめできない
4,個体識別できる自動給餌器を使う
外出が多い人でも安心
値段が高い
【一匹ずつ時間差であげる方法】
5,順番を決めて一匹ずつあげる
食べている量や様子が把握できる
時間がかかる
まとめ
猫を多頭飼いする場合、餌をそれぞれ分けて与える必要があるため、餌の横取りは好ましくありません。
餌を分けて与える理由は3つあります。
- 猫の成長に合わせた餌をあげるため
- 猫が摂取した栄養やカロリーを管理するため
- 猫の健康状態に合わせた餌をあげるため
猫が餌を取り合いを防ぐために、以下のような対策が効果的です。
- 別々の部屋、壁際の離れた場所など、他の猫の食事が見えない場所で餌を与える
- 猫と猫の間に仕切りを作る
- 餌の食べ残しをそのままにしておかない
- 猫を個体識別できる自動給餌器を使ってみる
- 順番を決めて、名前を呼びながら一匹ずつ餌を与える
多頭飼いは、飼い主さんにたくさんの癒しや幸せを与えてくれます。
それぞれの猫が仲良く快適に暮らせるようサポートしてあげてくださいね。
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