飼い主を頼ることしかできない猫に対して、飼い主としてどんなことをしてあげられるのかなと考えることがあります。
やっぱり、美味しくて高品質のキャットフードを用意してあげるのが一番かなと考えるのではないでしょうか。
そんなことを思い始めた、数年前。
「ヒューマングレード」という言葉をはじめて耳にしました。
言葉からなんとなく、人間にも問題ない品質って意味だろうなと想像できますよね。
そうです。「ヒューマングレード」という言葉、「人間が口にしてもよい素材をつかったペットフード」の総称で、ちょっとは想像は当たっていたかなと思います。
わたしは、もっと猫のために知りたいという気持ちになり、いろいろ調べて詳しくなっていきました。
「ヒューマングレード」を知ってから、キャットフード選びに不安になることなく、猫にとってよいものを与えている自信があります。
そんな、安心の目安になる「ヒューマングレード」について解説します。
また、後半には「グレインフリー」についても深掘りしています。
猫のために飼い主ができることを探しているあなたに、読んでもらえたら嬉しいです。
与えているキャットフードは大丈夫?
猫ちゃんが食べているキャットフード。
我が家のは大丈夫かなと思うことがあるでしょう。
多くのキャットフードは、「ペットフード法」という法律で、管理されています。
「ペットフード法」では、製造工程や使用される原材料について、細かく取り決めがなされています。
日本で買うことができるキャットフードは、海外輸入のものも含めて、この法律で守られています。
また、キャットフードのラベル表示の取り決めもあって、どのよう材料を使っているか、使っている割合がどうなっているか記載するようになっています。
しかし、ここで落とし穴。
原材料の記載方法には取り決めがないのです。
低価格のキャットフードは、原材料も安いため、ミールというもので代用していることが多いのです。
ミールに含まれる肉は、ペットフード法内の範囲の肉であれば何でもいいのです。
鶏肉なら「チキン」、豚肉を使っているなら「ポーク」と表示すればいいのですが、ミールは何の肉を使用しているか記載する必要がありません。
一般的には、ミールは、人間の食用に向かない「副産物(皮・内臓など)」を用いるので、人間は食べることはできません。
使っている肉の名前を記載することができない原材料を使用しているキャットフードは存在します。
それは、ペットフードの法律内であってもそこが落とし穴なのです。
ミールの危険性はこちらの記事に書いてますので、気になる方はご覧ください。
ヒューマングレードが生まれたわけ
法律で守られているキャットフード。しかし、安全とは分かっていても少し心配な点が残ります。
猫とともに生活している私にとって、キャットフードに関する嫌な情報をみるたびに、「うちで使っているのものは大丈夫かな?」と考えてしまっていました。
悪質な加工業者がつくったキャットフードを与えているかもしれないと思うと、不安でいっぱいでした。
実際に、そのような気持ちの飼い主さんが多かったようです。
また、各ペットフードメーカーさんも「そんな粗悪な材料は使いたくない」という気持ちから、「ヒューマングレード」という言葉が生まれました。
「ヒューマングレード」とは人間が口にできる食材を用いたペットフードの品質概念です。
これなら、私たちが普段食べているものと変わらない材料でできているキャットフードを猫のために準備することができますね。
ヒューマングレードとは
ヒューマングレードの素材
人が口にできる素材の食材は、全てヒューマングレードの素材となります。
肉、魚、野菜、果物など、人間が食べてもよいもののみが素材の対象です。
ヒューマングレードの反対
ヒューマングレードの反対ってあるのでしょうか。
人が食べることができない素材を使ったペットフードのことを「フィードグレードフード」と呼びます。
家畜用の餌であったり、人間が食肉として食べるところ以外のくちばしや皮などを材料にしたペッドフードです。
この「フィードグレードフード」には、人間が口にすることができない、粗悪な材料を用いている可能性があります。
- とさか
- 羽
- 農場で死んでいる家畜(加工前)
- 使い回しの油
- 皮
- 目
- くちばし
これらの材料は、通常キャットフードのラベル表示としては、「ミート」や「ミール」と書いてあります。
「悪い素材の肉を使っています」なんて、ラベルに表示すると売り上げに影響が出てしまいますからね。
わざわざ表示されないので、私たち飼い主がラベル表示を確認して、気をつけなければなりません。
ヒューマングレードの基準
ヒューマングレードには、特別な基準は設けられていません。各キャットフード製造メーカーが独自に基準を示しています。以下の内容を表示してあることが多いようです。
- 品質が高い原材料を使用していることを表示
- 製造工場が安全基準に則っているかを表示
- 添加物の使用の有無の表示
ヒューマングレードのメリット
- 人間が口にできる食材のみ使用している
- 品質管理が普通のキャットフードより細かい
- 汚染物(カビや異物)のリスクが少ない
この3点が、はっきり分かることで、
- 安全なキャットフード選びが簡単
- 猫が健康で長生きすることが期待できる
と、いうことに結びつくことが、メリットであると考えています。
ヒューマングレードのデメリット
万能であるはずのヒューマングレードのキャットフードにもデメリットがあります。
それは、以下の3点です。
- 賞味期限が短い:添加物の使用がない、または、少ないので賞味期限が短い
- 値段が高い:材料が高品質のため、キャットフードの販売価格が量産品と比べて高い
- 販売店舗が限られる:こだわりがある商品であることが多く、値段も高いため、量販店やディスカウントショップなどであまりみかけない
しかし、この3点は、裏を返せば、高品質だからこそ生じてしまうデメリットであると考えています。
ヒューマングレードの見分け方
通常のキャットフードとヒューマングレードのキャットフードを見きわめる
普通のキャットフードもペットフード法で守られているので、原材料のラベル表示は必ず商品についています。
そのラベルをみて、普通のキャットフードかヒューマングレードのキャットフードであるか見きわめましょう。
私も、はじめは見きわめが大変でした。
しかし、ラベル表示を見る癖がついてから、「このキャットフードはいいものだな!」とか、「これはちょっと心配…。」ということが分かるようになってきました。
ヒューマングレードのキャットフードであると、商品に記されていれば安心と思わずに、猫のことを考えて、いろいろチェックしてみてください。
見極めのポイントは5つです。
- どんな肉を使用しているか分かるものを選ぼう
- 一番最初に表示してある材料が”肉類”のものを選ぼう
- 添加物を使っていないものを選ぼう
- 低温加熱やフリーズドライ製法のものを選ぼう
- グレインフリーのものを選ぼう
①どんな肉を使用しているか分かるものを選ぼう
チキンやラムなど、はっきりどのような肉を使用しているか分かるものを選びましょう。
「ミール」や「ミート」と表示されているものは、何の肉が材料なのか分かりません。
よりよいメーカーは、チキンという表示だけではなく、「もも肉」や「むね肉」など部位まで記してあるキャットフードもあります。ぜひ、確かめて見てください。
②一番最初に表示してある材料が”肉類”のものを選ぼう
ラベル表示は、含まれる割合が多いものから記載される法則があります。
「肉類」がはじめに記されているものは、タンパク質量が多いキャットフードと言えるでしょう。
反対に、トウモロコシなど”穀物”がはじめに記されているものは、タンパク質量が少ないキャットフードと言えるでしょう。
③添加物を使っていないものを選ぼう
ヒューマングレードのキャットフードは、全ての商品が「無添加」ではありません。
材料にこだわってつくっているキャットフードであれば、「無添加」でつくられることが多いので、添加物の表示も確かめてみましょう。
④低温加熱やフリーズドライ製法のものを選ぼう
材料の栄養素を壊さないように、低温加熱やフリーズドライ製法でつくられたキャットフードは、メーカーのこだわりを感じることができます。
どのような製法でつくられているかも確かめてみてください。
⑤グレインフリーのものを選ぼう
より高品質ものを選ぶのであれば、「グレインフリー」のものをおすすめします。
穀物を全く使用しないキャットフードのものは、「グレインフリー」と呼ばれます。猫にとって、消化しやすいという点でも、選んでみたいキャットフードのタイプだと思います。
グレインフリーの概要
グレインフリーとは穀物が入っていないという意味で、キャットフードによく使われる小麦、米、トウモロコシ、麦などを含まない餌のことです。
最近○○フリーというのは、わたし達人間の食品業界でも流行っていますよね。
グレインフリーの餌は、穀物にアレルギーを持つ猫にとって、アレルゲンを含まないというメリットがあります。
しかし、アレルギーがない猫にとってはメリットが無いどころか、デメリットが出てきてしまうこともあります。
グレインフリーフードは通常のものに比べて高価なものが多く、良かれと思って買ったつもりが逆効果になってしまったらがっかりですね。
グレインフリーについて調べるくらい熱心なあなたには、是非ピッタリのフードを選んで欲しいです。
グレインフリーキャットフードのメリット・デメリット
グレインフリーキャットフードのメリット
グレインフリーフードを選ぶことのメリットは、この2点です。
- 穀物アレルギーの猫でも食べられること
- 消化器官に負担が少ないこと
そうなんです。グレインフリーフードのメリットって意外と少ないんです。もちろん体質によってはそのメリットがとても大事になってくる猫もいるので、詳しく説明していきます。
1,穀物アレルギーの猫でも食べられる
グレインフリーフードには、普通のキャットフードに含まれている穀物が入っていないので、穀物アレルギーを持つ猫にはとてもメリットのあるキャットフードです。
2,消化器官に負担が少ない
穀物に多く含まれる不溶性食物繊維の入っている量が少ないので、消化器官への負担が少なくなります。
不溶性食物繊維は腸内の汚れをからめとってくれたり、便通を助けたりする成分ですが、消化に長い時間がかかるので、胃腸の弱い猫には負担になってしまうこともあるんです。
水に溶けない食物繊維のことで、これが入っていると満腹感を得やすかったり消化に時間がかかったりします。
馬やキリンなどの草食動物は腸が長いので、腸に負担をかけることなく消化できますが、肉食動物である猫は、この不溶性食物繊維を消化するのは一苦労なんです。
グレインフリーキャットフードのデメリット
グレインフリーフードのデメリットは、4つあります。
- 肥満になりやすい
- 下痢や軟便になりやすい
- 腎臓病や肝臓病の進行を早めるかもしれない
- 高価
グレインフリーフードは近年の流行ということもあり、キャットフードの販売店、ネットショップやネットの記事なんかでも、良い面ばかりがピックアップされることが多いので、デメリットについては調べないとなかなか情報がありません。
こちらも詳しく説明していきます。
1,肥満になりやすい
グレインフリーフードは、穀物に多く含まれる食物繊維が少ないので消化されやすいです。これは逆に言うと腹持ちが悪いということなので、必要以上に食べ過ぎてしまうことにつながります。
2,下痢や軟便になりやすい
下痢や軟便は穀物が含まれないことで起こります。
穀物に多く含まれる食物繊維が便を固める働きをしているので、グレインフリーフードを食べる猫は、通常より下痢や軟便の回数がふえてしまいます。
3,腎臓病や肝臓病の進行を早めるかもしれない
グレインフリーフードには、穀物の代わりに動物性たんぱく質が多く含まれており、病気でたんぱく質制限が必要な猫には食べさせないようにしましょう。
4,高価
キャットフードには安い穀物を入れて価格を抑えているが、穀物が入らないグレインフードには使えないので、その分肉や魚を入れる事により価格が上がってしまいます。
必然的にグレインフリーフードは、通常のキャットフードに比べて高価になります。
グレインフリーキャットフードが必要な猫とは?
グレインフリーキャットフードが必要な猫とは?
ご紹介したメリットが、デメリットを上回るような猫は、グレインフリーフードが向く、必要な猫と言えるでしょう。
つまり、穀物アレルギーを持つ猫と、消化器官が弱い猫です。
穀物アレルギーを持つ猫ちゃんは言わずもがな、消化器官が弱い猫ちゃんにも、食べ物を消化するのが苦手な猫はお腹いっぱいに感じるのが早いので、デメリットとして紹介した腹持ちが悪いという性質がプラスにはたらきます。
そうなんです。意外な感じがしますが、そもそもグレインフリーキャットフードというのは特別な餌だということを考えると、納得できます。
グレインフリーキャットフードが必要ない猫とは?
当たり前ですが、グレインフリーフードが向く猫以外のすべての猫です。
食べさせてはいけないという事では無いですが、デメリットもありますし、グレインフリーフードを食べさせる必要はないでしょう。
猫はもともと穀物を食べる生き物では無いから、穀物からではうまく栄養が摂れないのではないかと思うかもしれませんが、全く心配いりません。
キャットフードに使われる穀物は、栄養を吸収しやすいように、水を加えて加熱(アルファ化)しています。
普段猫ちゃんに用意していたキャットフードは、ちゃんと体に合わせて栄養が摂れるようになっていたんですね。
「猫は穀物からではうまく栄養が摂れない」、この勘違いもグレインフリーフードブームの理由の一つのようです。
わたしもよく早とちりして、勘違いしてしまうことがあるので気持ちは分かりますが、自分が困るのは良くても自分の勘違いのせいで、かわいい猫ちゃんを困らせてしまうのは耐えられません。
気になることは徹底的に調べたいですね。
最後に
ヒューマングレードまとめ
キャットフードの疑問を解決するために、ヒューマングレードについて紹介しました。
ヒューマングレードの大前提は、
- 人間が口にできる材料でキャットフードをつくっているところ
これが、普通のキャットフードとの大きな違いです。
ヒューマングレードのキャットフードは万能のように思えますが、メリットとデメリット両方持ち合わせています。
- 人間が口にできる食材のみ使用している
- 品質管理が普通のキャットフードより細かい
- 汚染物(カビや異物)のリスクが少ない
- 安全なキャットフード選びが簡単
- 猫が健康で長生きすることが期待できる
- 賞味期限が短い:添加物の使用がない、または、少ないので賞味期限が短い
- 値段が高い:材料が高品質のため、キャットフードの販売価格が量産品と比べて高い
- 販売店舗が限られる:こだわりがある商品であることが多く、値段も高いため、量販店やディスカウントショップなどであまりみかけない
大事な猫のための、飼い主ができることはたくさんあります。
その中の一つがキャットフード選びだと思います。
ヒューマングレードのキャットフードの存在を知ることで、猫が健康的で長生きできることをサポートすることができます。
愛猫のために、ヒューマングレードのキャットフードをトライしてみませんか。
グレインフリーまとめ
グレインフリーキャットフードの特徴をまとめると、穀物が入っていないので普通のキャットフードにくらべて不溶性食物繊維が入っておらず、代わりにたんぱく質が多く含まれていることになります。
その特徴から、生まれるメリット・デメリットがこちらです。
- 穀物アレルギーの猫でも食べられる
- 消化器官に負担が少ない
- 肥満になりやすい
- 下痢や軟便になりやすい
- 腎臓病や肝臓病の進行を早めるかもしれない
- 高価
メリット・デメリットから、グレインフリーキャットフードが必要な猫は「穀物アレルギーを持つ猫」「消化器官が弱い猫」ということになります。
もしあなたがグレインフリーフードにするか悩んでいる場合は以上のことに気を付けて選んでみてください。