先日、本を読んでいた息子がこう言ったんです。
「ここにでてくる猫さ、にゃーとしか言わないね。ゆねはいろんな鳴き方するのに。」
言われてみればその通り。猫の鳴き声は「にゃー」だけではなく、「ゴロゴロ」と言ったり「カカカ」と鳴いたりもしますよね。
なぜなら、信頼している飼い主さんにしか聞かせてくれない声もあるからなんです。
わたしたちのように言葉は話せませんが、自分の状況を伝えようと、何種類もの表現を使い分けて鳴く猫たち。
体調不良を訴えていたのに、気づいてあげられなかったら悲しいことです。
大切な愛猫が精一杯伝えてくれていることですから、わたしたちもしっかり受け止めてあげたいですよね。
今回は猫が使い分ける鳴き声の種類について、詳しくお伝えしていきます。
猫の鳴き声を聞き分けられるようになれば、今以上に心も通じ合う毎日が待っているはずです。
猫が鳴き声を出す理由
猫が鳴き声を出す理由は主に3つです。
- 敵を威嚇するため
- 発情期に自分の居場所を伝えるため
- お腹がすいた、遊んで欲しいなどの欲求を伝えるため
野生の猫は、発情期や威嚇のためなど、どうしても必要がある時以外は声を出しません。
なぜかというと、声を出すと敵に気付かれてしまうからです。どちらかといえば、他の猫と出会わないために鳴き声を使います。
そんな野生の猫が、お腹がすいたと鳴くのは子猫のうちだけ。生後3ヶ月までは母猫からゴハンをもらうため、鳴くことで空腹を伝えるんです。
一方、人と暮らしている猫たちが鳴くのは欲求を伝えようとしている場合がほとんど。
子猫の頃のように、鳴き声を使ってコミュニケーションを取ろうとしてくれているんですね。
声の出し方は3種類
猫の鳴き声はなんと60種類もあると言われています。
わたしたちのように単語をたくさん使うわけではありませんが、声の強弱や音程を操って変化をつけているんですよ。
ベースとなる声の出し方は主に3種類。
- 威嚇する際に行う空気を吐くような発声
- 口を少しずつ開けて少しずつ閉じる
- 口を閉じたまま
1.威嚇する際に発声「シャー」「フー」
野生、飼い猫問わず使う鳴き方です。写真のように険しい表情で牙をむき出しにして声を出します。
見るからに機嫌が悪いのを感じますよね。これは怒っているときや、威嚇したいときに使います。
この発声方法は蛇が威嚇をする際の真似をしているとも言われています。
小さいけれど毒をもっていて砂漠で恐れられていた蛇。
2. 口を少しずつ開けて少しずつ閉じる「ニャーン」など
いわゆる猫の鳴き声として誰もがイメージする鳴き方です。
相手の気を引きたい時や、何かを伝えたい時に使います。
わたしがかつて一緒に暮らしていた「シュリ」はゴハンがほしくなると、「ゴハン~」と鳴く子だったのですが、「ゴハン」もこの発声方法になりますね。
また、他の猫が自分の縄張りに侵入した時に離れて欲しいという意味を込めて使ったり、交尾の相手を探している時にも使います。
3.口を閉じたまま「グルル」「ゴロゴロ」など
口を閉じたまま、喉を鳴らすように声を発します。
母猫が生まれたばかりの子猫にお乳の場所を伝えたり、子猫が「元気だよ」と母猫に伝える時に使うのが「ゴロゴロ」という音です。
近くにいなければ聞こえてこないこの音は、群れで生活をしない猫にとって信頼できる相手のみに向けられたものなんですよ。
成猫になってからこの声を出すのは、人と暮らしている飼い猫だけなんです。
鳴き声から知る5種類の気持ち
猫の言葉を正確に読み取るのは、なかな難しいですよね。
ですが、鳴き声と合わせて表情やしぐさもよく見てみることで、猫が伝えようとしてくれている気持ちにぐっと近づくことができるはず。
鳴き声でわかる、毎日の暮らしの中で伝えてくれる気持ちや本能に基づく心情を、次の5種類に分けてお伝えしますね。
- 甘えている・嬉しい
- 悲しい・不満・不安
- 恐怖・離れて欲しい
- 何かを見つけて興奮している
- 発情期
甘えている・嬉しい
相手に愛情を伝える時には、高い声を出すのが特徴です。
よく聞かれるものをいくつかご紹介しますね。
「ニャ~」「ニャオ」「ニャッ」
鳴き声の基本ですね。猫同士ではなく、人に向けて発せられる音なんです。
- もっと遊んで~
- お腹すいたよ~
- 大好き~
- トイレ掃除お願いします~
などの気持ちを伝える時に使います。
猫たちはかなり多くの場面でこの鳴き方を使うので、鳴いている場所など状況によって判断してあげてくださいね。
「ウニャ~」
ゴハンを食べながら、「ウニャウニャ」という事ありませんか。
初代愛猫「みゅう」が家に来て、はじめてこの鳴き声を聞いたときにはとてもびっくりしました。
ゴハンを美味しいと感じている時に、この鳴き方をします。
あまりに可愛くて近づきすぎると、ゴハンを奪われるのではないかと勘違いして怒らせてしまうかもしれないので、気を付けてくださいね。
「ゴロゴロ」
「ニャ~」についで有名な猫の鳴き方ではないでしょうか。喉を鳴らして音を出します。
声の出し方の章でもご紹介しましたが、本来は生まれたばかりの子猫と母猫のコミュニケーションに使われていたこの鳴き方。
信頼する大好きな飼い主に撫でられている時、幸せだよ~と伝えるのに使われています。
なんとこのゴロゴロ音は、わたしたちの体もリラックスさせてくれる効果があるんですよ。詳しくはこちらでご紹介しています。
「サイレントニャー」
成猫より子猫がよく使うことが多い、「サイレントニャー」。
見た目は「ニャー」と言っているのに、音は出ていないという鳴き方です。
初めて見た人は声がでなくなってしまったのではと心配してしまうかもしれませんが、その心配はいりません。
本来は、子猫が母猫にミルクをねだる時に使われてきました。
飼い主に対して「サイレントニャー」をするということは、母猫のように慕っている、大好きだという証なんですよ。
成猫で「サイレントニャー」をする場合も、深く信頼しているからこそ。
悲しい・不安・不満
さみしさや不満も、飼い主さんを信頼しているから生まれる気持ち。ですから、この時も高い声を出します。
「ニャーーーーーーォ」「ミャーーーーーォ」(長めに鳴く)
こちらの猫ちゃんをご覧ください。
飼い主さんがおでかけして、お留守番をしているところ。玄関で切なげに「ニャ~ォ」と鳴く様子は、さみしいよ~と言っているようですよね。
恐怖・離れて欲しい
こちらは反対に、声が低くなることが特徴です。
「シャー」「シュー」
この鳴き方をしている時は、毛を逆立てて歯をむき出しにしています。いわゆる威嚇ですね。
怒っている時はもちろん、恐怖でいっぱいの時も「シャー」っと鳴きます。
「ウー」「グー」
怒っている時に出すことが多い、この鳴き声。よく見てみると、耳を倒して体勢も低くしているはずです。
「あっちに行ってよ」「こないでよ」と伝えています。
「ンギャ―――!」
この鳴き声をした時は、猫にとっての非常事態です。わたしたちにとっての悲鳴だと思ってください。
実は昔、「みゅう」のしっぽを踏んでしまったことがありました。その時ものすごく大きな声で「ンギャーー」と鳴いたんです。
他にもこのような非常事態があります。
- しっぽを踏まれた
- ケージに挟まった
- 敵が襲ってきてパニックになっている
- 突然の痛み
何かを見つけて興奮している
窓の外を見ながら何かにくぎ付け。普段はあまり耳にしない声で鳴くことはありませんか。
これは、飼い主に伝えたいというよりも、猫自身が興奮を抑えきれずについ出てしまう声です。
「カカカ」「ケケケ」
クラッキング、またはチャタリングと呼ばれる鳴き方です。
獲物を見つけたことを知らせる時や、手に入れられずに欲求不満に感じている時に高速で歯をカチカチと打ち鳴らします。
狩りをしていた頃の本能が刺激されて、つい興奮してしまうんですね。
早送りを見ているような気持ちになりますよね。
一説によれば、時々何もいないのにクラッキングをしている、霊感の強い猫がいるとかいないとか。こちらでは、そんなクラッキングにまつわる面白い話も紹介しています。
発情期
猫の恋の季節になると聞こえてくる鳴き声。人に向けてではなく、猫同士のコミュニケーションを取るのが主な役割です。
「ニャオ~ン」「アオ~ン」
普段小さくて可愛らしい声で鳴いている猫からは想像もつかないくらい、大きな声で鳴きます。
オスに居場所を伝えたいという本能から、メスの声の方が大きいんですよ。
オスが大きな声を出す時は、他のオスを近づけたくないという警戒の合図でもあります。
やめてとお願いしてくれてもやめてくれないですし、同じことでお悩みの方も多いのではないでしょうか。
まず、忘れてはいけないのは本能によるものだということ。無理に押さえつけるのはかわいそうですよね。
そこでおすすめしたい対策はこちらです。
- 昼間にたっぷり運動をさせて夜は眠るように誘導する
- 他の猫との接触を極力避ける
- できれば早めに去勢・避妊手術を受ける
去勢・避妊手術は、鳴き声の対策としてだけではなく、生殖器系の病気を防いだり猫のストレスを減らすことにもつながります。
痛い思いはさせてしまいますが、長い猫生を考えるとメリットが多いと感じゆねにも受けさせています。
できるだけ早く、数日中になんとかしたいというほどお困りの方は、フェリウェイというスプレーが効果的です。
猫が出すホルモンと匂いが似ているので、落ち着く子が多いんです。試してみてくださいね。
体調不良を訴えている可能性
今からご紹介する鳴き声は、ぜひ覚えておいていただきたいものです。
なぜかというと、知っていれば猫の体の異変にいち早く気付いてあげることができるからです。
また、触った時に突然鳴くときは、その部分に痛みを感じている可能性もあります。
以前友人の猫ちゃんがトイレで突然鳴き始め、慌てて病院に連れて行くと「尿石症(*1)」を患っていることが分かったと話していました。
(*1)尿石症とは、尿の成分が結晶化して石になり、尿路に詰まってしまう病気です。猫が病気の1つですが、重症化すると命の危険があります。
「ナウンナウン」
ゴハンを食べている時に「ナウンナウン」と低く鳴くことがあります。
その時は、消化不良を起こしているかもしれません。
吐いたりする様子も見られるときは、動物病院で診てもらうと安心です。
「ニャ―――――ン」
「ニャー」や「ニャオーン」とよく似ていますが、強い調子で鳴いている時は要注意。
機嫌が悪く、どこか触られたくないところがあるのかもしれません。つまり、その部分に何かしらの違和感を感じているということ。
声色に合わせて、表情やしぐさもよく見て状況を察してあげましょう。
普段鳴かない子が鳴いている時や、聞きなれない声で鳴いている時は、何か異変が起きているのかもしれません。
取り越し苦労になってしまったとしても、できれば動物病院に連れていく事をおすすめします。
まとめ
猫は次の3種類の発声方法と、声の大きさ、高さを組み合わせて60種類近くの鳴き声を使い分けています。
- 威嚇する際に行う空気を吐くような発声
- 口を少しずつ開けて少しずつ閉じる
- 口を閉じたまま
多くの鳴き声の中から、よく聞くものを紹介しました。
甘えている
(高い声) |
|
悲しい・不安・不満
(高い声) |
|
恐怖・離れて欲しい
(低い声) |
|
何かを見つけて興奮している |
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発情期 (大きな声) |
|
体調不良 |
|
猫によって声の出し方も個性があり、わたしたちも人によって聞き取った感じ方は違います。
今回お伝えした鳴き方と、愛猫ちゃんの鳴き方はもしかすると違うかもしれません。
実際に気持ちをわかってあげられるのは、毎日声を聞いている飼い主さんだけ。
この記事が、これからもっと心を通わせ仲良くなっていく飼い主さんと猫ちゃんの参考になれば嬉しいです。