猫ちゃんにはいつでも元気でいてほしい、その思いはすべての飼い主さんの願いでもあると思います。
ではその猫の健康を支える大事なごはん、キャットフードは皆さんどこに、そしてどのように保管しているでしょうか。
こういった声は、飼いはじめたばかりの飼い主さんから、長年猫を飼っているベテラン飼い主さんまで意外と多いんです。
しかし、冷蔵庫保存が必ずしも正しい保存とは限りません。
私も、以前は冷蔵庫に圧倒的な信頼をおいて何でも冷蔵庫に入れていたのですが、勉強した今では自分の勝手な思い込みというものは恐ろしいものだと痛感しています。
今回はキャットフードの種類による正しい保存方法と、保存期間やその具体的なやり方についてご紹介いたします。
猫の健康を守るため、そしてエサを無駄にしてしまわないためにとても大事なことなので、一度思い込みを捨てて読んでいただければと思います。
意外と勘違いしやすい!キャットフードの冷蔵庫保存は危険?
キャットフードは主に、ドライフードと水分の多いウェットフードに分けられますが、日々のごはんはドライフードにしている方が多いと思います。
実は冷蔵庫保存が危険なのはそのドライフードなのです。
やっぱりそう思いますよね。私たち人間の食品においても、冷蔵庫での保存は安心感があります。その信頼感と、猫ちゃんが自分では開けられない絶対領域という思いから、冷蔵庫保存にしている方は意外と多いのではないでしょうか。
冷蔵庫保存の危険性をきちんと知るために、まずはキャットフードの種類を知ることからスタートしましょう。
ペットフード協会によると、成分や製法によって、キャットフードは3つに分類されていることがわかります。
ドライタイプ | 水分が10%以下で加熱発泡処理されたビスケットのような固形状 |
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セミモイストタイプ | 水分が25~35%程度のもので、ヨウカンのようにしっとりした食感 |
ウェットタイプ | 水分75%程度で、殺菌工程したうえで缶詰・パウチなどに充填 |
このように、種類によって含まれる水分量が大きく異なります。
また、ドライタイプの加熱発泡処理というのは、簡単に言うと原料を混ぜ合わせて加熱・加圧し、成型して乾燥・冷却するものです。加熱温度は、115~135℃程度まで達するということなので、しっかり加熱されていることがわかりますね。
本当にそうなのでしょうか。
ドライフードの冷蔵庫保存は危険
実はドライフードを冷蔵庫に入れると、カビの原因となりとても危険です。
冷やしていたエサを出したとき、周囲の温度は当然室温に変わりますよね。その温度差によって袋やエサに結露が発生してしまいます。
また、冷蔵庫の温度はずっと一定だと思いがちですが、実は私たちが日々扉を開閉することによって、庫内の温度は変化しています。こういった温度差により結露が発生し、この結露がカビの大きな原因となってしまうのです。
暖かく水蒸気を含んだ空気が冷やされることで、暖かい空気に含まれる水蒸気が凝縮して水(結露)に変わること。
グラスに冷たい水を入れて室温に置いておくと、グラスに水滴がついていますよね。それと同じことがエサを入れている袋にも起こっているんです。特に未開封の袋を入れたままにしておくと、一見すると何もなくても、袋の中で知らない間に結露していることがあります。
この結露により、ドライフードにカビが生えてしまうことになるのです。
なんとなくそう思ってしまいますよね。
ドライフードの水分は10%以下、とありましたが、これには理由があります。
水分含有量が13%以上になるとカビが生えたりするので、12%以下に保つ必要があるのですが、商品としての安全性に配慮して、基本的には10%以下になるように作られているのです。
つまり、元々はカビが生えないような製造方法にしてくれているのに、私たちの保管方法次第でカビを発生させてしまいかねないということなんですね。
そしてさらに怖いのが、見た目からの判断が難しいという点にあります。
黒っぽい部分があったり少し変色していたとしても、カビなのか元々の原材料による色なのかわからず、傷んだエサを食べさせ続けることになってしまいます。
ウェットフードは冷蔵庫保存が必須
逆に、一度開封したウェットフードに関しては冷蔵庫保存が必須となります。
実はウェットフードは水分量が多く、人間が思う「生もの」よりもさらに腐敗の進行が早いのです。一度に食べきれない場合など、一度封をあけたウェットフードは別の容器に移し替え、冷蔵庫で保存するようにしましょう。
そしてここでも冷蔵庫で保管しているからという安心感は捨てて、少なくとも翌日には食べきるようにしてください。
セミモイストタイプも冷蔵庫保存
セミモイストタイプには、加工処理の違いによりソフトドライフードとセミモイストフードという二つの区分があります。
とはいえどちらも水分量は同じで、ドライフードよりもカビが生えやすく腐敗しやすいことから、元々小分けになっているものが多いのですが、食べきれないことも多いと思います。
開封後の保存方法はウェットフードと同じように、冷蔵庫で保存し、早めに食べきるようにしましょう。
どうして保存の仕方が大切なの?
それぞれの種類に応じた正しい保存ができなかったエサには次のことが起こります。
- カビの発生
- 酸化による劣化
- 味・においが落ちる
それぞれの猫の健康への影響をみていきましょう。
カビの生えたキャットフードによる影響
あなたの猫ちゃんがカビの生えたキャットフードを食べたらどうなるでしょう。
想像するだけでも恐ろしいですよね。そのイメージ通り、健康に良いわけがありません。カビによって、次のような体調不良が引き起こされてしまいます。
- 腹痛、嘔吐、下痢、発熱
- けいれん
- 食欲不振
- 胃炎
- 腸内出血
少し下痢をするだけでも心配になるのですから、カビの生えたキャットフードを与え続けるなんてことにならないよう、保管方法には気をつけましょうね。
酸化による劣化
キャットフードに含まれる脂肪分は、空気に触れることによって徐々に酸化して「過酸化脂質」へと変化していってしまいます。
この過酸化脂質を摂取し続けることも、次のような悪影響があるといわれています。
- 嘔吐、下痢
- アレルギー
- 消化管を傷つける
- 腎障害
人間も、この過酸化脂質によってガンの発症や動脈硬化、認知症などにつながるといわれていますから、気を付けるに越したことはありませんよね。
味・においなどが落ちる
きちんと保存できていないエサは、味やにおいなど、あらゆる面で劣化してしまうのも大きなポイントです。
劣化する要素としては
- 味が悪くなる
- においが落ちる
- 栄養価が下がる
- 湿気が多いとカリカリの食感が失われる
などがあげられます。
こうなると、必然的に食いつきが悪くなり、栄養のバランスも悪くなってしまいます。開封してすぐのエサは食いつきが良いと感じる方も多いかと思うのですが、それにはこういった理由があったんですね。
正しい保存が必要な理由
猫は自分でエサを選ぶことができません。敏感な子もいれば、我慢する子、食欲旺盛でなんでも食べてしまう子もいます。
大切な家族である猫の健康を守るために、正しい保存方法を心がけましょう。
また、これは私の体験でもありますが大容量の袋の方が割安なことが多いため、つい大容量パックを買って使っていました。
これだと安全な期間内に食べきれずに泣く泣く処分する羽目に。
皆さんのお財布から出ているエサ代を無駄にしないためにも、正しく保存できる量と、実際に使う適正量を把握しておくことがとても大事になってきます。
美味しく安心できるキャットフードの保存方法は?
ここでは、キャットフードの正しい保存方法を具体的にご紹介します。
ドライフードの保存方法
まずはドライフードですが、冷蔵庫保存がNGなのはすでにお伝えしました。
つまり常温保存なのですが、ここでいう「常温」というのは結局はどういう場所なのか、きちんと知っておきましょう。
そうですよね。実は私も冷蔵庫保存が危険と知るまでは、常温保存は室温であればいいのだと思っていました。しかし、安全な保管方法について調べていくうちに、自分の意外な思い込みに気付いたんです。
常温保存とは「15~25℃で直射日光のあたらない、温度変化が少なく、風通しの良い場所」での保存ということです。
温度変化が少ない、というのが意外と盲点かもしれませんね。あと、風通しが良い場所というのは、湿度が低い場所というイメージに置き換えてもいいと思います。
具体的には、涼しい食器棚や床下収納、日の当たらないひんやりした廊下、そしてエアコン管理しているようなリビングも温度変化が少なくて意外といいらしいです。皆さんのお家に合った保管場所を改めて考えてみたい場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。
また、常温保存であることに加えて大事なのが、ドライフードを「密閉して保存する」ということです。
買った時の袋のまま置いてる方も多いかもしれませんが、その状態では空気に触れる面積が非常に大きく、酸化がどんどん進んでしまいます。
酸化自体は避けることは難しいのですが、工夫次第で遅らせることは可能です。キャットフードを購入したら、出来るだけ早く密閉できる袋に小分けにして出来るだけ空気を抜いたり、フードストッカーなどの密閉容器に移し替えて保存しましょう。
また、ジップロックに代表されるポリエチレン製の袋は、保存の間に酸素を通してしまいます。このようなジッパー付きのアルミ袋が酸化を防いでくれますし、比較的安価なのでおすすめです。
ウェットフード・セミモイストタイプの保存方法
ウェットフードやセミモイストタイプの場合は、一度開封したら必ず冷蔵庫で保存してください。
その際、缶詰や袋のままでは空気に触れる面積が多くなり、酸化してしまいます。小さいタッパーなど、出来るだけ空気に触れないような容器に移し替えて保存してくださいね。
キャットフードの保存期間はどれくらい?
当たり前ではありますが、未開封と開封後の保存期間は異なります。未開封であっても、いつまでも保存していて良いわけではありません。
こちらにそれぞれの保存期間をまとめてみました。
未開封 | 開封後 | 保存方法 | |
ドライタイプ | 1~2年 | 1か月程度 | 常温保存 |
セミモイストタイプ | 2年程度 | 2週間程度 | 開封後は冷蔵保存 |
ウェットタイプ | 3年~ | 1日 | 開封後は冷蔵保存 |
ドライフードの保存期間
開封したドライフードは一か月以内に食べきるようにするのが、ほとんどのメーカーの推奨です。
「ドライ」なフードだから、もっと長持ちしそうなイメージがあるかもしれません。
しかしどれだけ密閉して保存しても、やはり一度開封すると、酸化は徐々に進んでしまうものなので、期限内に食べきるようにしましょう。
ドライフードは、未開封であれば1~2年はもつものが多いので、正しい常温保存ができる場所があれば多めに買い込んでも大丈夫です。
我が家はスペースがないので、たくさん買い置きすることは難しいですが、結局使いきれずムダになってしまうよりは良いと思って、こまめに買い足しています。
セミモイストタイプの保存期間
セミモイストタイプは未開封であれば長い期間置いておけますが、開封したら出来るだけ早く消費するようにしましょう。
メーカーによっては2週間程度となっていますが、正しい保存をしていても、やはり酸化が進むことで徐々に味が落ちてしまいます。与える量を考えて購入するようにしましょう。
また開封したら冷蔵保存が必要なので、非常時の備えには向かないでしょう。
ウェットフードの保存期間
開封したウェットフードは、基本的にはその日のうち、もしくは24時間以内に食べきるのが最も安心です。
未開封であれば、長期間もつものがほとんどなので、非常時のために備蓄しておくことも大切ですね。
ただし、いくら缶詰だとはいっても、日光があたったり気温が高い場所はNGです。常温保存を心がけましょう。
どうしても食べきれない!こんな時は冷凍保存していい?
猫の体調や予定によっては、どうしても期間内に食べきれないときもあると思います。
そういうときは冷蔵ではなく、冷凍保存しましょう。
ドライフードを冷凍する場合は、一日分ずつなど小分けして保存し、解凍するときは冷蔵庫で一日かけての自然解凍がおすすめされています。
わかります。その気持ち。私も出しておくのを忘れてしまうことがありました。しかし何回かレンジの解凍モードであたためてみたのですが、うちの猫ちゃんは普通に食べてくれました。
風味が落ちるからレンジは絶対ダメ、という人もいますが、猫ちゃんが気にせず食べてくれそうなら、いざという時はレンジも使っていいと思います。
レンジを使う際は、高温になりやすいので、やけどしないような温度になるように気を付けてあげてくださいね。
冷凍したとしてもやはり品質の劣化は進んでいくので、あくまで緊急措置くらいに思っていた方がいいようです。
まとめ
- ドライフードは冷蔵保存ではなく必ず常温保存
- ウェットフードは開封したら冷蔵保存
- エサの正しい保存で猫の健康を守ることができる
- 正しい保存を知ることでムダをなくせる
- いざという時には冷凍保存も使える
今までドライフードを冷蔵庫で保存していた方は、意外な思い込みがあったりしたのではないでしょうか。
良かれと思ってあげていた猫ちゃんのエサが、実は健康を損なうかもしれないと考えるとゾッとしますよね。
でも、このように正しい保存方法を知ることで、大事な家族である猫の健康を守ることにもなるし、エサをムダにしてしまうという悲しいことも防ぐことができますよね。
まずは保存場所が問題ないかの確認、そして酸化を防ぐために小分けにするなど、簡単に出来るものからやってみてくださいね。
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