かわいい猫ちゃんとの暮らしは楽しいことで溢れていますが、一緒に暮らすようになって初めて分かる大変なことも色々ありますよね。
その一つが、マーキング。マーキングに困っている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
先日、猫ちゃんを飼っている友人からマーキングの相談をされて、わたしも以前飼っていたしゅりが、マーキングをしていたときの大変さを思い出しました。
経験のある飼い主さんなら分かると思いますが、マーキングとしてするオシッコは普段よりもさらに強烈なニオイです。いくらかわいい猫ちゃんとの暮らしとはいえ、あのニオイの中で生活していくのは辛いですよね。
そして、過剰なマーキングは、猫にとってもストレスの現れであることもあるんです。
マーキングについて正しく理解して予防と対策が出来れば、飼い主さんにとっても猫ちゃんにとっても快適な暮らしを送ることが出来ますよね。
今回はわたしの経験をもとに、具体的な対策法を紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
マーキングとは
マーキングとは、自分の縄張りにニオイをつける習性のことです。
猫は主に3つの方法でマーキングを行います。
- スリスリする
- 爪とぎする
- おしっこをかける(スプレー行為)
それぞれのマーキング行為について詳しくみてみましょう。
スリスリする
ほほやあごにある分泌腺から、人間には分からないニオイが出ており、これを対象物に擦りつけることで縄張りを示しています。
猫ちゃんが頭をスリスリしてくることがありますよね。ただただかわいい~と思っていましたが、あれも実はマーキングなのです。
爪とぎをする
爪とぎをすることでニオイと跡を残し、嗅覚的にも視覚的にも自分の存在をアピールします。
肉球から出ているニオイというのは人間には分からないものですが、壁を爪とぎでボロボロにされてしまうのは困りものです。
我が家の壁も、元の模様が分からなくなるほどボロボロにされたことがあり大変でした。
スプレー行為
スプレー行為とは、比較的少量のオシッコを、尾を立てた姿勢で垂直面に噴射する行為をいいます。
普段の排泄と違い、縄張りを主張するためのものなので、強烈なニオイで持続力も高いです。掃除も大変で、このスプレー行為に悩まされている飼い主さんが、一番多いのではないでしょうか。
以前飼っていたしゅりにスプレーをされた時は、ニオイがとれるまで時間がかかり、1時間近く奮闘していたこともあります。
マーキング行為は、発情期のメス猫に刺激されることで起こりますが、実は生活環境のストレスによっても起こるのです。
猫がどういうときにマーキングをしているかをよく観察し、的確な予防と対策を出来るようにしたいですね。
マーキングは本能的行為なので、基本的にしつけで治すことは出来ません。無理にしつけをしようとするとかえってストレスになり、マーキング行為が悪化することもあるので気を付けましょう。
マーキングさせないための対策
それでは具体的な対策方法を紹介していきます。
去勢手術をする
去勢手術とは、男の子の精巣を摘出する手術のことです。去勢手術をすることで性的な刺激が抑えられるので、猫にとってもストレスがなくなります。
マーキングは去勢手術をすることで90%以上が治ると言われているので、まずは去勢手術を検討してみましょう。
- 短時間で出来るシンプルな手術で安全性が高い
- 全身麻酔で行い時間は30分以内、麻酔を入れても1時間ほど
- 日帰りで手術でき、傷が治るまでの期間は約7~14日
- 料金の相場は10,000円~20,000円ほど
オス猫の場合、生後6~7ヶ月くらいでもう発情行為が見られるようになります。
スプレー行為が始まって癖になった後では、去勢手術後もマーキング行為が残ってしまうこともあるので、生後6ヶ月前後で手術をするのが理想的です。
ただ安全性の高い手術といっても、大切な愛猫ちゃんが手術するとなればリスクやデメリットが気になりますよね。
デメリットについても確認しておきましょう。
去勢手術のデメリット
・繁殖できない
生殖器をとってしまうため、術後はもちろん繁殖は出来なくなります。
子供を残したいと考えている人は、繁殖や去勢手術の時期について、充分検討して計画的に進めましょう。
・太りやすくなる
ホルモンが変化するため太りやすくなります。
去勢手術後は太らないようにごはんを管理してあげましょう。量をきちんと管理してあげることで、しゅりも太らずにいられました。
去勢手術後のごはんに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
・手術後のケアが必要
安全で短い手術とはいえ猫にとってはやはりストレスです。
手術後はしゅりもしばらく元気がありませんでした。傷が治るまでの身体的ケアも大切ですが、様子を見ながら精神的なケアもしてあげるようにしましょう。
術後のケアに関してはこちらの記事で確認できます。
生後6ヶ月頃で手術を受けるとなると、去勢が初めての手術で不安になる飼い主さんも多いと思います。
わたしも不安でしたが、動物病院でしっかりと説明を受けることで、安心して当日を迎えられました。まずはかかりつけの動物病院で相談してみましょう。
去勢手術がマーキングの一番の対策になりますが、手術までの期間や手術後もマーキングがあって困っている方もいると思います。そんな飼い主さんのために手術以外の対策も紹介したいと思います。
ストレスになるものを取り除く
猫はストレスや不安を感じることで、マーキングをすることもあります。その場合にはストレスの原因を取り除いてあげましょう。
- 来客が多い
- 飼い主の不在が多い
- 引っ越しや新しい家具が来て生活環境が変わった
- 多頭飼いで他の猫が気になる、野良猫が気になる
- 新しいペットが来た、一緒に過ごしていたペットと死別した
- 工事や音楽などの騒音がする
猫はストレスを感じているときには様々なサインを出します。マーキング以外にも様子の変化を見逃さないようにしたいですね。
- 食欲が落ちる
- 毛並みを整える行為(グルーミング)が増える
- 手足やしっぽを噛む
- 急に走り回ったり、逆に固まったりする
猫ちゃんが何にストレスを感じているかを考えて、先回りして原因を排除してあげると猫ちゃんも安心です。
特に生活環境の変化には敏感な子が多く、友人でも新しくペットを迎えたり、飼い主に子供が生まれたりしたことで、マーキングがひどくなったという話を聞いたことがあります。
そういう時には
- 部屋を分ける
- 落ち着いて隠れられる隠れ家を置いてあげる
- ごはんやトイレまでの導線を確認して、誰かに会わずに行けるようにする
など、猫が落ち着いて生活できる環境を作ってあげることが大切です。友人もこういった隠れ家を用意してあげたことで落ち着いたと言っていました。
新たな家族の登場でマーキングがひどくなった場合は、構ってもらいたいサインの場合も。意識的に先住猫のケアを優先して、スキンシップを取ってあげてくださいね。
爪とぎ対策
爪とぎで困るのが壁への爪とぎ。壁は簡単に変えたりできないので、ボロボロにされてしまう前に対策をしておきましょう。
このような壁の上から張れる保護シートがおすすめです。
保護シートは壁の上から張ることができ、半透明のため見た目も気になりません。
また弱粘着で壁を傷つけずに剥がせるタイプなので、賃貸に住んでいる人におすすめです。猫は体を伸ばして高いところまで爪とぎしてしまうので、体長の高さまで対策するようにしましょう。
また爪とぎを用意しているのに使ってくれない場合は、猫ちゃんによって好みの素材や形状が異なるので、いくつか試してみるといいですね。
スプレーされたくない場所への対策
家の中でどうしてもここにはスプレーされたくない、という場所もありますよね。
わたしもお気に入りで、いつも使っているソファーがあったのですが、スプレーされてしまうと丸洗いできないし、ニオイも気になるのでどうしても避けてほしい場所でした。
猫が苦手な成分が含まれている、忌避(きひ)スプレーを使うことで遠ざけることも出来ますが、忌避スプレーは猫にとってストレスに感じやすいので使うのをためらっていました。
このときに友人に勧められて効果があったのが、2~3粒のドライフードをソファの近くで与えるやり方です。
猫は食事場所では排泄しないという習性があるので、ソファーの近くでごはんを食べる習慣をつけさせていったところでスプレー行為が落ち着きました。
この方法で落ち着かない場合には、猫が物理的に近づけないようにガードしたり、丸洗いができるようカバーをかけたりするようにしましょう。
掃除で再発防止
予防と対策をすることでマーキング被害を減らせますが、やはり去勢手術前や生活環境の変化でスプレーをされてしまうこともあります。
その場合には再発防止のためにも徹底した掃除が大切です。
- 時間が勝負!すばやく掃除する
- ニオイが残らないように徹底して消臭する
スプレー跡は、時間が経って乾いてしまうと汚れが落ちづらくなり、ニオイも残ってしまいます。出来る限り液体の段階で掃除してしまいましょう。
掃除の仕方
水洗いが出来るもの
通常の洗濯洗剤で丸洗いしましょう。漬け置きをするとさらに効果的です。
水洗いが出来ないもの
雑巾で軽く水拭きした後、中性洗剤や弱アルカリ性の洗剤を雑巾につけて拭きます。
洗剤が残らないように再度水拭きし、ニオイが残らないように消臭剤をかけましょう。
おすすめ消臭剤
スプレーの再発防止のために特に重要なのが消臭です。
猫は自分の排泄物のニオイがするところを、トイレとして認識する習性があります。マーキングも同じ場所で繰り返されることが多いため、徹底した消臭が必要です。
マーキング対策におすすめの消臭剤を紹介しますので、是非使ってみてください。
このふたつは特に猫のマーキングに特化した消臭剤なので、効果バツグンです。
マーキングとして行われるスプレーは驚くべき持続力で、掃除したつもりでも湿度が高くなったりするとニオイが戻ることもあります。
そういったことにならないように、マーキング用の消臭剤を使って徹底的に消臭しましょう。
猫の尿に含まれる特殊なフェロモンにアプローチすることで、強力な消臭が可能。ニオイを中和して分解することで、マーキング臭を消し、ニオイの元を包み込んで消すのでニオイが戻る心配もありません。
マーキングを見つけても、忙しくてすぐに洗ったり出来ないという場合には、ささっとかけておける消臭剤が手元にあると安心ですね。
まとめ
すぐに試せそうな対策も多かったのではないでしょうか。手軽に取り入れられるものからぜひ実践してみてください。
- 去勢手術をする
- ストレスを取り除く
- 壁の保護シートで爪とぎ対策
- スプレー行為を避けたいところでフードをあげてみる
- すばやく掃除・消臭することで再発を防ぐ
- 猫のマーキングに特化した消臭剤がおすすめ
飼い主にとってマーキングは困ってしまう行為ですが、猫ちゃんは困らせようとしている訳ではありません。
猫ちゃんにとっても、マーキングしている時というのは心が落ち着かない時。猫ちゃんの様子を見ながらしっかりと向き合ってあげることが大切です。
我が家も、しゅりがマーキングをし始めたときは対策に苦労しましたが、そのおかげでしゅりと向き合う時間も増えました。
そうして去勢手術も終わりマーキングが落ち着いた頃には、家の中はわたしにとってもしゅりにとってもより居心地の良いものになり、しゅりとの絆もさらに深まったように感じたのを覚えています。
今はマーキングに困ってしまっている方も、今回紹介した対策を参考に乗り越えて、愛猫ちゃんとの絆を深めてくださいね。