家に帰ると可愛い猫ちゃんが迎えに来てくれて、足元に顔をすりすり。幸せを噛みしめながら部屋の中へと進むと、むむむ、この臭いは。
あぁ、やられたー。
そう、マーキングです。お悩みの方、多いのではないでしょうか。
マーキングの臭いって、とても強烈。目に入れても痛くないほど可愛い猫ちゃんでも、この臭いだけは愛せない。そして一度されてしまうと、臭いもなかなか取れず、一度綺麗にしたはずが、またされてしまったりするんですよね。
いやがらせかしらと思ってしまうほどの臭いを放つ尿マーキングですが、相手は猫。いやがらせなんてするわけもなく、強い臭いにはちゃんと理由があります。
わたし、臭いに敏感で特にくさい臭いがとても苦手なのです。それでも長年の闘いの中から、やっと対策法にたどりつき、今は快適に暮らせています。
これまでに試してきた方法の中から、猫ちゃんの尿マーキングの臭いを消し、今後はその悩みから解放されるための簡単な方法をお伝えします。ぜひ試してみてください。
そもそもマーキングとは
猫と長年暮らしている方はもちろん、最近お家に迎えた方も、これから家族になろうと考えている方も、マーキングという言葉を一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。
「猫のマーキング対策におすすめ」なんて商品も多く、くさいおしっこのことを指すのかと思ってしまいますが、実はそうではありません。マーキングとは、自分のなわばりに臭いをつける行為のことです。
実は猫ちゃんたち、状況によって3つのマーキング術を使い分けているのです。
- 顔すりすり
- 爪とぎ
リラックスしている時や元気をアピールしたい時には、ほほや顎、肉球などにある分泌腺から臭いを出しています。これは人間には感じることのできない臭いで、猫自身が安心することや猫同士のコミュニケーションに役立っています。
そして、異性に向けてのアピールや不満を伝えたい時にするのが、
- スプレー(尿マーキング)
わたしたちはこの臭いに悩まされているわけです。猫たちは話せませんが、臭いを使っていろんな感情を伝えてくれているのですね。
詳しくはこちらでご紹介しています。
臭いの原因
そもそも、猫のおしっこの臭いって強いんです。
なぜかというと、砂漠で暮らしていたと言われる猫の祖先は、少ない飲み水でも生きていけるように、効率的に体内の老廃物を排出しようと凝縮したおしっこを作るようになったから。そのために、猫のおしっこは少なく、色が濃く、臭いも強いのです。
臭いの犯人はコーキシンとフェニリンという猫のおしっこに含まれる特有の物質。
猫が進化してきた過程や体の構造上、臭いが強いおしっこをするのは仕方がないことなんですよね。どんなに体を綺麗にしても解決できないこの問題、あの手この手で対策を打つしかありません。
ちなみに、コーキシンという名前、2006年に発見されたのですが、猫は好奇心が旺盛なことからつけられた名前だそうですよ。
おしっこはマーキング以外でも強く臭うことがあります。色や量、頻度など普段からよく観察しておくと、早めに異変に気づくことができるはずです。その時に疑われる病気には以下のものがあります。
- 尿路感染
- 膀胱炎
- 糖尿病
おしっこの臭い以外に気になる症状がある時は、迷わずかかりつけの獣医さんに相談しましょう。
今すぐ知りたい臭いを消す方法 お手軽3選
猫歴30年のわたし。
本当にいろいろ試しました。人間用の消臭剤や芳香剤も使ってみました。でも、なかなか臭いは取れないんですよね。友達に嫌な顔をされてしまって、落ち込んだこともありました。
でも、この方法なら大丈夫。3匹の猫たちとわたしの闘いの成果をご覧ください。
【簡単】中性洗剤やアルコールで拭いて熱湯をかける
どなたのお家にも必ずある中性洗剤を使う方法は、何の準備もいらず簡単。
普段のおしっこであれば対応できますが、スプレーの臭いを消すのは難しいかも。熱湯をかけることで消臭効果アップが期待できます。
ポイントは決してこすらず、雑巾やキッチンペーパー、トイレ用ペットシーツなどで叩くように拭き取ること。こすってしまうと、布に臭いがどんどんしみ込んでしまいます。
わたしはトイレ用ペットシーツを愛用しています。水分をしっかり吸ってくれて、その後も捨てれば良いだけ。
おしっこのお世話って、手荒れしませんか。染みてきて手に触れることもないので、手荒れの心配もなく重宝しています。
【消臭パワー抜群】ペット用消臭剤
これをお持ちの方は多いのではないでしょうか。ペット用に開発されているものですから、もちろん効き目は抜群です。
それでも選ぶときは猫にとっての安全性の高さが重要。安全性の高さを見極めるポイントは、できるだけ成分表示がしっかりとされているものを選ぶことです。
例えば、次亜塩素酸系や二酸化塩素系、バイオ系は安全性が高く、猫が過ごす空間で使っても安全だと言われています。
人間用の消臭剤でごまかそうとすると、臭い自体は除去できていない為、いろいろな臭いが蓄積されていくことで複雑化。しばらくするととんでもない臭いになりかねません。
また、違う臭いを掛けられていることに気づいた猫は、その臭いを打ち消して自分の臭いに戻そうとするかもしれません。そうなるといたちごっこですね。
マーキングの臭いについては元から断つ。その後は無臭エリアとする。これが鉄則です。
【おすすめ】準備簡単・手作り消臭スプレー
もちろんペット用の消臭剤は買ってきて開ければすぐに使うことができますが、お値段もそれなり。日々のこととなると少し負担になってしまいました。
そこで普段は、ドラッグストアや100円ショップでも手に入るクエン酸を使った手作りスプレーを使っています。消臭効果も高く、一度作ればしばらく使えて便利です。早速作り方をご説明しましょう。
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クエン酸スプレーの作り方
【材料】
- クエン酸 大さじ1
- 水 500ml
これをスプレーボトルに入れて混ぜ合わせるだけ。とっても簡単です。
ご自宅にクエン酸がない場合は、お酢 大さじ1でも代用できます。お酢の場合はクエン酸に比べると少し臭いがキツイかもしれません。
クエン酸は酸性。塩素系洗剤と混ぜると有毒ガスが発生するため大変危険です。絶対にやめましょう。また、同じ場所に使うこともないように気を付けてください。
マーキングの臭いを最小限に抑える為にできること7つ
ひとまず臭いが消えました。
さあ、問題はここから。せっかく臭いを消しても、またされてしまっては、ずっと臭いと闘い続けていく毎日になってしまいます。平和な毎日を送るためには、どうしたら良いのでしょうか。
それは、猫ちゃんが臭いの問題となるマーキングをしないで暮らすことができるように、環境を改善していくことが大切なんです。
1.叱らない
これは結構難しい。冒頭でお伝えしたように、やられた―って、わたしは思ってしまいます。猫は悪くないとわかってはいても、つい、もうーって言ってしまいがち。
ですが、猫にとっては自分の生理現象で叱られるだなんてストレスでしかないのです。ストレスがたまることによって、マーキングを繰り返すことになります。
2.大きく反応しない
飼い主の興味を惹くために行ったマーキングの場合は、その反応に達成感を覚えてしまう場合があります。子供のいたずらと一緒ですね。慌てず騒がず、しれっと片づけましょう。
猫ちゃんも、「あれ、つまんないの」と諦めてくれるかもしれません。
3.去勢をする
臭いの元になる物質は、メスや去勢済みのオスは少なめで、マーキングによって放たれるスプレーにはより多く含まれているとお伝えしました。
去勢をすることでスプレー行為自体をやめてくれることが多いので、臭いも抑えることができるんです。
4.なわばり意識を落ち着かせる
多頭飼いでは、それぞれが自分のなわばりを主張します。マーキングはなわばりだと周りに示すために行うので、トイレや自分だけの空間をそれぞれ用意してあげることが大切です。
臭いに敏感な猫は、家の芳香剤やアロマオイルも苦手。なんとか消してやろうと自分の臭いスプレーを振って歩くのです。使う場合は無香料のタイプを選ぶようにしましょう。
5.フェイシャルフェロモンを使う
フェイシャルフェロモンとは猫の頬袋に含まれている物質。これは、大好きなものや人にすりすりしている時に出るもので、このフェロモンを感じると猫はリラックスするのです。
このフェイシャルフェロモンの香りがするところでは、マーキングによるおしっこはしなくなります。
6.猫にとって都合の悪い場所にする
いつも同じところにされてしまって、困っている時の対処法。
ビニールシートや、くしゃくしゃにしたアルミホイルを敷くと落ち着かないのか寄り付かなくなります。
また、《食事処や寝るところとトイレは離したい》猫の心情を逆手にとって、お皿を置いたりベッドを置くのも有効です。
7.スプレーしても良い場所を作る
これはもう奥の手です。どうしてもやめてくれないのなら、同じ場所にする場合のみ有効ではありますが、される前提で対策をしましょう。
犬は足をあげておしっこをする子がいる為、犬用のトイレの中にはL字型になっているものがあります。これを使えばペットシーツで吸収できるので、捨ててしまえば消臭完了です。
小型犬用、大型犬用とあるので、猫のお尻の高さをしっかり測ってから選びましょう。
また、L字型のブックエンドにバインダーを固定することでも代用ができます。バインダーにペットシーツを挟めば使うことができ、大きなバインダーを選べば脚の長い猫でも安心です。
まとめ
今回は猫の尿マーキングに対する対処法についてお伝えしました。
- 中性洗剤やアルコールで拭いてから熱湯をかける
- ペット用消臭剤を使う
- クエン酸で作った自家製スプレーを使う
- 叱らない
- 反応は小さく
- 去勢をする
- なわばり争いの緊張感をやわらげる
- リラックスするフェイシャルフェロモンを使う
- いつもしてしまう場所がある時は、猫にとってスプレーをするには都合の悪い場所にする
- どうしてもやめてくれない時は、しても良い形のトイレを設置する
猫ちゃんたちは、日々大好きを伝えるマーキングや不快を伝えるマーキングなど、上手に使い分けながら暮らしています。話はできないけれど、臭いでコミュニケーションをとっているなんて、すごいですよね。
いわば、マーキングは猫の置手紙。
苦情のお手紙はもらわなくて済むように、対策に役立てていただけたら嬉しいです。猫にとっても飼い主さんにとっても幸せいっぱいの毎日が続いていきますように。