去勢手術を終えたあなたの愛猫ちゃん。エリザベスカラーは使用しましたか。
ベテラン飼い主さんにとってはおなじみのグッズですが、初めて聞いた初心者の飼い主さんは、はてなマークが頭いっぱいに浮かんでいるのではないでしょうか。
これは、写真の猫が着けているパラボラアンテナみたいなグッズのことで、猫が手術や治療の後に傷口を舐めるのを防ぐためのもの。舐めようとしても、エリザベスカラーがあるおかげで、舐めずに済むんです。
そう思う飼い主さんはたくさんいらっしゃることでしょう。
獣医師の指示があるから着けているものの、愛猫はとてもストレスを感じている様子。そんな状態が続けば飼い主さんも心配でたまりませんよね。
今回は、去勢手術後のエリザベスカラーの必要性や、着けることでストレスを感じている愛猫ちゃんに飼い主がしてあげられることをまとめました。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
去勢手術後のエリザベスカラーの必要性
お話を始める前に、なぜエリザベスカラーという名前なのかご存じでしょうか。
エリザベスカラーの名前の由来:
形が、16世紀のイギリスのエリザベス朝時代に流行したラッフル(ひだ飾り)に似ていることから、エリザベスカラーという名になりました。
画像で見ると一目瞭然ですね。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エリザベスカラーを着ける理由は、冒頭でもお話しましたが、少し付け加えてまとめると以下のようになります。
- 傷口まで歯が届くと、縫い糸をかみ切ってしまう
- 舐めることで、縫い口の皮膚を傷つけてしまう
- 傷口からばい菌が入り、化膿してしまう
これらの状態になると、回復が遅れたり、再手術が必要になる可能性があります。
手術後の傷の回復をスムーズにするためにも、猫が傷口を噛んだり舐めたりできないように保護することが大切なのです。
猫がエリザベスカラーを嫌がる理由
猫はエリザベスカラーを着けることで、次のような不便さを感じています。
- 傷口が気になったり、治りかけでムズムズしていて触りたいのに触れない
- 身体の感覚やバランスが変わって歩きづらい
- エリザベスカラーが気になり、餌をいつもの食器では食べづらい場合がある
これらは一例で、猫によってはもっといろいろな不便を感じているかもしれません。
わたしの亡くなった愛猫しゅりも、ケガの治療中にエリザベスカラーを使用したことがありますが、着けてから2~3日の間は、すごくナーバスになっていたのを覚えています。
エリザベスカラーを着けると、とにかくうまく歩けません。頭のサイズがひと回り大きくなったのと同じなんですが、本人はそれに気づいていないので、今までスムーズに通っていた隙間が通れず、あちこちひっかかってしまうんです。
ビックリして他の場所に行こうとしますが、また何かにひっかかって戸惑う。最初のころはその繰り返しでした。
歩くのをやめて寝てればいいのになあ、と思いましたが、寝るときでさえエリザベスカラーが気になっていたようで。かわいそうだけど何もしてあげられず、私も心配でずっと見守っていました。
去勢手術後のエリザベスカラーはいつまで必要?
そう思うのも当然ですよね。わたしも何度もそう思いました。
猫の去勢手術は、そんなに難しいものではなく傷も小さいため、1週間程度あれば傷は完全にふさがります。
そのため一般的には、1週間程度はエリザベスカラーを着けるよう言われることが多いようです。
ただ一方で、エリザベスカラーなしでも大丈夫、という病院もありますので、獣医師と相談の上で決めるとよいでしょう。
と、ここまでが一般論でよく聞く話ですが、エリザベスカラーを嫌がっている猫にとっては、1週間はとても長いですよね。
傷の状態は、手術時の状況、その猫の治癒力や健康状態などによってそれぞれです。思っていたより早く治ったり、逆にもっと時間がかかったり。
特に、去勢手術は幼猫期に行う場合が多いため、大人になってから行う手術に比べると傷の治りは早いはずです。
ですから、愛猫ちゃんの傷の様子を日々確認し、赤みや腫れもなく、傷口がちゃんとふさがっていれば、エリザベスカラーを早めに外してもいいのではないでしょうか。
また中には、あまり傷口を気にしない猫もいます。恐る恐るエリザベスカラーを外してみたら、全く傷口を舐めることもなく、今まで通りに生活できた、というケースも多々あります。
猫によって性格の差もありますので、状況を見極めて、飼い主さんが判断をしてみてください。
もちろん、自己判断により傷口を悪化させてしまっては大変ですので、不安であれば、ちゃんと獣医師に相談することをおすすめします。
エリザベスカラーを嫌がっていることも含めて相談すれば、獣医師からもきちんとアドバイスをもらえるでしょう。
愛猫のストレスを解消してあげよう
エリザベスカラーは、猫にとってはありがた迷惑なグッズですが、愛猫を守るためには欠かせないものでもあります。
少しでも愛猫のストレスを解消してあげるために、次のような対策をとりましょう。
・まずは近くで優しく見守ろう
去勢手術当日は、飼い主さんと離れて長い時間病院にいることになります。それ自体が精神的負担になっているので、元気がなかったり、普段と違う行動につながります。
まずは自宅でリラックスさせてあげてください。できれば去勢手術後の数日は、外出せずに愛猫ちゃんを見守ってあげられるとベストですね。
・自分でグルーミングできないのでブラッシングしてあげる
猫の習性の大事なひとつがグルーミングです。このグルーミングができないことも、猫の大きなストレスになります。
しゅりは、エリザベスカラーを着けたまま、一生懸命グルーミングをしようとしていました。ただ舌が体まで届かないので、結果的にはエリザベスカラーをペロペロ舐めていましたが(笑)
そのストレスを解消するには、飼い主さんがブラッシングしてあげるしかありません。いつもより念入りにやってあげてくださいね。
・いつもの食器で食べないときは、食器を高い位置に置いてみる
ストレスで食欲がなくなる場合もありますが、エリザベスカラーが気になって食事を食べられないケースもあります。
特に床に直置きの食器だと、食べるときに前かがみの姿勢になるので、どうしても邪魔になってしまう。それを解消するために、台などを使って食器の位置を高くしてみましょう。
うちも床に直置きなんですが、丁度よい高さの台がなくて悩んだあげく、読み終わった雑誌を5~6冊重ねて、その上に食器を置いていました。
かなり即席の処置ですが、エリザベスカラーは短期間しか使わなかったので、この時期だけ乗り切ろう、と思ってこんな対応をしてみました。
また、脚付きの食器を使用するのも良い方法です。この食器は食べる位置が高くなるので、エリザベスカラーの有無にかかわらず、普段でも食べやすいと言われています。
これを機に、買い替えを検討するのもいいかもしれませんね。
・トイレができないようなら、トイレ環境を工夫する
去勢後に、トイレがうまくできなくなる猫もいます。
これは手術のストレスによる場合もありますが、エリザベスカラーが原因の場合もあるので注意が必要です。
フードがないオープンタイプのトイレであれば問題ありませんが、フード付きやドーム型のトイレだと、エリザベスカラーがどこかに触れてしまうので、落ち着いてトイレができません。
猫は敏感で繊細なので、そのようなちょっとしたことでも、いつも通りのトイレができなくなります。
もしフード付きであれば、フードを外し、その代わりに段ボールなどで囲って視線を遮ってあげるなど工夫してみるといいでしょう。
・エリザベスカラーを外す時間を作る
もし飼い主さんに時間的な余裕があり、愛猫の様子をじっと見ていられるのであれば、その時間はエリザベスカラーを外しておく、という方法もあります。
もちろん、外した瞬間に傷口を舐めてしまうのなら難しいですが、傷口へのこだわりが少なくなっていれば、少しの時間であれば問題ないです。
わたしも、時間が取れるときは外してあげていました。外すとすぐにグルーミングをしていたので、やっぱりグルーミングは猫にとってライフワークであり、一種のストレス解消なんだなあと実感。
グルーミングが終わるとすぐに寝ちゃうので、その隙にエリザベスカラーをつけてみたりと、こんなことを繰り返していくうちに、しゅりもエリザベスカラーに慣れてくれました。
あくまで飼い主さんが常に様子をみてあげられることが前提なので、負担のない範囲で、できるだけ愛猫ちゃんと一緒に過ごしてあげてくださいね。
愛猫に合うエリザベスカラーを選ぼう
エリザベスカラーというと透明でプラスチック製のシンプルなデザインをイメージしませんか。
しゅりも、何の特徴もない普通のエリザベスカラーを使っていたので、最近はいろいろな製品があるのに驚きます。
例えば、以下のエリザベスカラーは、一般的なプラスチック製ですが、着脱部分がマジックテープになっているのがポイント。
ボタンで留めるより楽なのと首回りのサイズが調節できるのがいいですね。色もかわいいです。
次は、完全に枕みたいです(笑)。 見た目通り、柔らかさと快適さを目的としたエリザベスカラー。これなら猫ちゃんも違和感なく使えそうですね。寝るときも気持ちよさそうです。
他にも商品がたくさんあるので選ぶのが難しいですが、素材が柔らかすぎたり、全体的に小さすぎるのは避けましょう。
猫にとっては柔らかく小さい方が快適ですが、それだと猫が簡単に首を曲げられるので、舌が傷口に届いてしまう場合があるのです。
本来の役目を果たせないと使用する意味がありませんので、猫の体格や、傷の位置なども考えて、愛猫に合うものを選んでくださいね。
まとめ
猫の去勢手術後、傷口を守るために必要なエリザベスカラーですが、多くの猫が着けるのを嫌がります。
- 傷口が気になったり、治りかけでムズムズしていて触りたいのに触れない
- 身体の感覚やバランスが変わって歩きづらい
- エリザベスカラーが気になり、餌をいつもの食器では食べづらい場合がある
エリザベスカラーを着けることでストレスを感じている猫には、そのストレスを解消してあげることが大切です。
- 優しく寄り添う
- 自分でグルーミングできないのでブラッシングしてあげる
- いつもの食器で食べないときは、食器を高い位置に置いてみる
- トイレができないようなら、トイレ環境を工夫する
- エリザベスカラーを外す時間を作る
去勢手術後の猫は、心身ともにストレスを感じています。しっかり近くで見守って、早く日常を取り戻せるようにサポートしてあげてくださいね。