みなさんの愛猫ちゃんが突然、壁や家具にオシッコをひっかけるようになった、という経験はありませんか。
わたしが以前飼っていた愛猫もそうでした。
生後7ヶ月を過ぎた頃でしょうか、いままできちんとトイレでオシッコをしていたのに、突然、壁や家具にオシッコをするようになってしまい困りました。
そのキリ状に勢いよく噴射されたオシッコの臭いが、また強烈なニオイで。このスプレーのように出されるオシッコは、マーキングの1つで、「スプレー」と呼ばれています。
スプレーは、自分の縄張りを宣言するためのニオイつけ行為です。自分をアピールするための名刺のような役割をするので、ニオイがいつまでも残ります。
猫のマーキングは、動物の本能によるものなので仕方がない。とは思ってはいても、あちこちにオシッコされてしまうのはさすがに困りますよね。
そこで今回は、わたしが以前「マーキング」や「しつけ」について調べたことや、「スプレーの原因とやめさせ方」についてご紹介したいと思います。
猫のしつけが難しい理由
猫のしつけはなぜ難しいのでしょうか。それは、犬とは違い単独で狩りをする動物だということが関係しています。
- 犬は集団で狩りをする動物。犬にとって「ほめられる」ことは、「集団に受け入れられた」ことを意味し、自分の生存確率を高めてくれる重要なこと。
- 猫は単独で狩りをする動物。他者に関心はなく、他者から認められても、自分の生存確率を高めることに直結しない。
そのため、「叱る」「ほめる」といった人間が思う『しつけ』は、猫にとってあまり効果がないのです。ましてや本能的(やらずにはいられない行動)にしてしまう行為をやめさせるのは難しいです。
しかも、「叱る」ことで猫は脅威(きょうい)を感じ、ストレスから行為が悪化することもあります。
猫に、本能からくる行動をやめさせるように「しつける」のは難しいですが、「やってほしくないこと」を、「やらせないように対策を練る」ことが解決策につながります。
それでは、猫のマーキングの原因から対策法についてこれからいろいろお話していきますね。
猫のマーキングの種類と意味
マーキングには、3つの行為があります。
- 爪とぎ
- 物や人に体をこすりつける
- オシッコをかける(スプレー)
これらの行為には、縄張りを主張するため以外にも、いろいろな意味があります。
1 爪とぎ
爪とぎは、大事な武器である爪をお手入れする行為ですが、ストレスが溜まったときの憂さ晴らし(うさばらし)やマーキングの意味で行われることもあります。
みなさんの猫は宅急便の段ボールにやたらと、爪とぎしたりしませんか。わたしの愛猫の「ゆね」はよくやります。
これは、自分のニオイがしないものが自分の縄張りに入ってきたので「ここに、元気な猫がいるぞ!」と自分の縄張りをアピールしたいときにやる行為なんです。
マーキングの意味で壁やタンスに爪とぎしている場合は、自分の存在を残したいので、1度爪とぎした場所で以後もやる傾向が。
これをやめさせるのは難しいので、これまで爪とぎしていた場所を使えなくする工夫が必要。
わたしが実際に、試してみた方法をいくつか紹介しますね。
- 片づけた空の段ボールを思いっきりひっかかせてあげる
- 「爪とぎ防止シート」を、爪とぎする場所に張る
- タンスや壁に、爪とぎができないように何か物を立てかける
- 爪とぎする場所には新たに爪とぎ器を立てかける
2 物や人に体をこすりつける
外から帰ってくると、愛猫ちゃんが「スリスリ」と体をこすりつけて、よくお出迎えしてくれませんか。これは、外のニオイを消して自分のニオイをつけるマーキング行為です。
いえいえ、そんなことはありませんよ。猫は自分のお気に入りのものには、ニオイをつけますよね。
体をこすりつけ、ニオイをつけるのは「これは、わたしのもの!」と主張しているのと同じこと。飼い主さんのことを、好きだからこそやっているのです。
さらに、体を飼い主さんこすりつけることで、飼い主さんのニオイが猫にもつくことで、安心感が得られるだそう。
この行為は、子猫時代に母猫に舐めてもらい、そのニオイに安心していた名残のようです。なので、気が済むまでやらせてあげてください。
猫が「自分のことが好きなのかな」なんて気になったかたは、こちらの記事を読むと胸がキュンとしてきますよ。
3 オシッコをかける
猫のマーキング行為として、一番に思い浮かぶのはオシッコをかける行為ですよね。実は、通常のオシッコとマーキングのオシッコ(スプレー)は違うんです。
通常のオシッコ | スプレー | |
姿勢 | 床に向けて座ってする | 直立状態でしっぽを立て後方に飛ばす |
排泄量 | 多い | 少量 |
臭い | アンモニア臭 | ツンと鼻に残る強いアンモニア臭 |
場所 | トイレやお気に入りの場所 | 垂直面の決まった場所 |
通常のオシッコ
上の表の違いを参考に、もしあちこちにしているオシッコが、通常のオシッコと思われるときは、次の理由が考えられます。
- 病気やストレス
- トイレが気に入らない
ストレスが原因の場合は、その原因を取り除いてあげることで、あちこちにオシッコをするのをやめさせることができます。
飼い主が結婚、出産などで新しい家族が増えたり、いままでなついていた人が転勤や独立でいなくなったり、家族構成の変化でも猫はストレスを感じます。
他にも、今のトイレの位置が安心できる場所じゃない、以前トイレで嫌なことがあったりしてもストレスになるので、どんなことがストレスに感じているのか観察が必要です。
トイレが気に入らないようなら、猫好みのトイレ環境を用意してあげてください。猫のトイレについてはこちらの記事で紹介しています。よかったら読んでみてください。
マーキング(スプレー)によるオシッコ
マーキングによるオシッコには、次の3つの理由があります。
- 縄張り主張
- 情緒的な不安(環境の変化などによるストレス)
- 他の猫からの刺激(発情期など)
これらの理由が原因で猫はスプレーをします。飼い主さんが一番困っているマーキング行為は、このスプレーではないでしょうか。
実際わたしが一番悩まされていたのも、このスプレー行為です。このスプレー行為についての原因と、やめさせ方について詳しくお話していきますね。
スプレーの原因とやめさせ方
スプレー行為は、その地域の猫や一緒に暮らしている猫に縄張りを示すだけでなく、繁殖期にメスをおびき寄せるという性的な役割があります。
そのため、去勢したオス猫の約90%、避妊したメス猫の約95%がやめさせることができるんです。
去勢(きょせい)…オスの生殖器を取り去ること
避妊(ひにん)…卵巣と子宮、または卵巣のみを取り除き、妊娠できなくすること
オス猫によく見られる行動の一つに、尿マーキングを含め、尿を噴霧(スプレー)することによって縄張りの臭い付けをおこなう行動「尿スプレー」があります。去勢をすることで尿マーキングが減少する可能性はありますが、去勢したオス猫の約10%、避妊したメス猫の約5%が依然として尿スプレーをおこなうという報告もあります
性成熟を迎える前の生後6か月までに去勢・避妊手術を行うとスプレー行為をやめさせることができます。
性的な役割のスプレー行為は、去勢・避妊でほとんどが止めさせられる。ではのこりの去勢したオス猫の約10%、避妊したメス猫の約5%はどうしたらやめさせられるのでしょうか。
原因別に対処法があるので、紹介していきますね。
原因①:同居猫と合わない
多頭飼いをしているお家なら、一緒に暮らしている猫との相性が悪いのかもしれません。仲が悪い猫同士は、お互いに縄張りを守ろうとスプレー行為をします。
わたしが以前飼っていた愛猫「みゅう」と「しゅり」も、避妊、去勢は済ませていたのですが、「しゅり」が生後7カ月なり始めたころから、あちこちでオシッコするようになってしまいました。
獣医さんに相談したところ、「しゅりの成長にともなって行動範囲が広がり、お互いに縄張りを主張し合うようになったのではないか」ということでした。
【やめさせ方】
相性が合わない猫同士の生活スペースを分けて、ライバル意識を減らしてあげることが効果的です。
- 部屋に余裕がある場合は、生活場所を部屋で分けてあげる。
- 部屋に余裕がない場合は、トイレや餌場といった生活スペースを別にして、お互いの接触を減らしてあげる。
原因②:よその猫が気になる
住んでる場所によっては、よその猫が窓のそばまで来ることもありますよね。
外の猫に気付くと、自分の縄張りを奪われると感じ、スプレーをして縄張りを守ろうとします。
【やめさせ方】
よその猫の存在を感じさせないことが大事です。
- カーテンやブラインドを下げて、よその猫が来たのが見えないようにする。
- ニオイで気づくこともあるので、できれば窓も閉めておく。
- 家の庭などで、よそ猫がマーキングしていたら、なるべく早めにニオイを消してあげる。
- よそ猫を寄せ付けないようにする。
よそ猫を寄せ付けない方法
猫を寄せ付けない方法は、次のような6つのやり方があります。
- 忌避剤(きひざい)をまく
- 猫が嫌がる超音波装置を設置する
- 水撒きする(スプリンクラーを設置する)
- トゲトゲマットを設置する
- 侵入経路をネットでふさぐ
- 別の場所でマーキングするよう誘導する
うちにも一時期、よそ猫ちゃんがよくうろうろしていたことがありました。
その時、愛猫「ゆね」が落ち着かない様子だったので、よそ猫が近づかないようにいろいろな方法を試してみたんです。
一番効果が高かったのは、猫が嫌がる超音波装置を設置する方法でした。超音波で猫を傷つけずに寄せ付けなくし、周波数がランダムに変わることで超音波に慣れるのを予防してくれる優れものです。
でもこちらの装置はお値段が張ってしまう。もっとお手軽な方法を試したい方におすすめなのが、マーキングされた場所に忌避剤をまく方法です。
忌避剤は、猫の嫌いなニオイや刺激性によって猫を近づきにくくするもので、100均やホームセンターなどでも売ってますし、家にある物でも代用できます。
- お酢
- タバスコ水
- たばこ水
- コーヒーかす
- キッチンハイター(塩素系洗剤)
- コショウ・唐辛子
これらを、適度に薄めてスプレーにしてまいてみてください。きっと効果を実感できます。
原因③:「環境の変化」や「目新しいもの」に対しての不安
引っ越しなどで生活環境が変わったり、見慣れない新しいものがあると、猫はまずニオイを嗅いでいろいろ確認しようとします。
猫にとって自分の知らないニオイがするものは不安です。スプレーして自分のニオイをつけることで安心するのです。
【やめさせ方】
- 引っ越しやリフォームなど生活スペースに変化があるとき
⇒猫が不安を感じた時に逃げ込める場所を用意してあげる。大きめのゲージに、いつも使ってるトイレや食器を置き、新しい環境でもくつろげるようにしてあげると、不安が和らぐ。
- 目新しいものが生活スペースに入ってきたとき
⇒買ってきたばかりのものや、来客の荷物は猫の目につくところに置かないようにすぐにしまう。
それでも治らない時
上記の方法を試しても、スプレー行為が治らない場合もあります。そんなときは次の方法も試してみるといいかもしれません。
- スプレー行為を決まった場所する場合、前のニオイが刺激になってる場合があるので、徹底的にニオイを消す。
- 猫は、トイレと餌場を分ける習性があります。それを利用してスプレー場所に食べ物を置く。
- 動物病院に相談し、場合によっては薬物療法を試してみる。
まとめ
ここまで猫の「マーキング」や「しつけ」や「スプレーの原因とやめさせ方」についてご紹介してきました。まとめてみますね。
- 猫は単独で行動するので「しつけ」は難しい。
- 「やってほしくないこと」を、「やらせないように対策を練る」ことが大切。
- 爪とぎ⇒行為をやれないような防止策をする。
- 物や人に体をすりつける⇒好きなだけやらせてあげる。
- オシッコをかける⇒原因を突き止めて対策をする。
悩んでる飼い主さんが多い、スプレー行為についてのまとめはこちらです。
原因 | 対策 |
性的な役割(発情) |
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同居猫と合わない |
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よそ猫が気になる |
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「環境」に対しての不安 |
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「目新しいもの」に対しての不安 |
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どうしても治らない時 |
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猫のスプレー行為はほんとに困ってしまいますよね。でも、決して飼い主さんがキライで嫌がらせをしているわけではありません。
本能でしてしまうことは「仕方がない!」とこちらが、ド~ンと構えて対策を考えてあげましょう。
この記事が、みなさんと愛猫ちゃんとの暮らしのお役に立てれば幸いです。