初めての手術となる「去勢手術」を終え、無事に一安心かと思いきや、こんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
手術は無事に終わったものの、猫に元気がないと心配になっちゃいますよね。わたしの友人も先日、オス猫ちゃんの去勢手術を終えたばかりですが、同じように「猫に元気がない」と心配していました。
去勢手術は短い時間で終わる手術とはいえ、小さな体にメスを入れる、猫にとっては大きな手術。術後、ショックから元気をなくしてしまうというケースは、実はあなたの猫ちゃんだけではありません。
そこで、今回はわたしが昔飼っていた愛猫「しゅり」の去勢手術後の様子や、ショックからの回復方法などについて、お話していきたいと思います。
猫が去勢後に受けるショック
猫が去勢手術によって受けるショックは、二つのパターンがあります。
- 身体的なショック
- 精神的なショック
1.身体的なショック
わたしたちは、去勢手術をきちんと事前に理解できていますが、猫にとってはそうではありません。ある日突然病院に連れて行かれて置き去りにされ、麻酔から目覚めると傷口が。
手術直後は、猫が麻酔から問題なく覚醒したことを病院できちんと確認した後に、帰宅の許可が出ます。ですが、その日から体調が万全なわけではありません。
「しゅり」の時は、手術後家についてもしばらくはボンヤリ。触ろうとすると、家族にさえも「ヴ~~」っと唸ったり、警戒しているようにも感じました。
去勢手術後は、家に帰ってもまだ完全に麻酔が身体から抜けきっていないせいで、ボーッとしてしまいがちに。傷口が痛んだり、麻酔の負担から猫も自分の体調に変化を感じて、警戒レベルを上げてしまうんです。
身体がしんどい時は、猫は自分の身を守るためにも他者を遠ざけます。無理にスキンシップをはかろうとせずに、そっとしておいてあげましょう。
「しゅり」は、身体に触ってほしくないオーラがすごく出ていたので、そっとしておきました。ただ、心配なのでもちろん体調に変化がないか等はこまめにチェックしていましたよ。
2.精神的なショック
病院では、いつもと違う環境や知らない人の中で、たった一匹で過ごさなくちゃいけません。もちろん、飼い主さんも病院には一緒に行きますが、手術をしているところや立ち入れないゾーンって絶対にありますよね。
ちなみに、わたしが「しゅり」を去勢手術に連れて行ったときは、手術前の検診までは一緒にいましたが、「麻酔が覚める頃にまた迎えに来てください」と言われ、そこからしばしのお別れに。
数時間後、言われた時間通り病院に迎えに行くと、ケージに入れられてぐったりとしている「しゅり」の姿が。その姿を見た時に
と、なんだか申し訳ない気持ちになったのを覚えています。飼い主であるわたしの勝手な想像かもしれませんが、そういった精神的なショックがないとは言い切れませんよね。
猫の本当の心情までは分かりませんが、少なくとも病院で長い時間過ごしたことで、精神的に強いストレスを受けていることは、間違いありません。
次の項目では、そんな傷ついた猫ちゃんを癒す方法をご紹介。「しゅり」も、この方法で少しずつ元気を取り戻してくれました。
去勢後のショックを癒してあげるには
猫の去勢後のショックを癒してあげるには、「時間」が解決してくれるのを待つのが一番と言えます。わたしが心掛けたことは、次の二つです。
- とにかく寝かせてあげる
- 猫から近づいてくるまで無理に触らない
とにかく寝かせてあげる
「しゅり」が去勢手術を終えて家に帰ってきたときは、一つ上の項目でもご紹介したように「ヴ~~」っと唸ったり家族のわたし達さえも警戒しているようでした。
そして、部屋の隅っこの狭いスペースでちょこんと丸くなって、引きこもり状態に。声をかけても無反応。どうやら麻酔の影響で、手術当日~次の日ぐらいまではフラフラしたり、ぐったりしてしまうみたいです。
眠たそうにしていたり、狭い場所に引きこもっているときに、無理やり引っ張りだすのは禁物。できるだけ寝かせてあげましょう。
その際は、「静かにしてあげる」のがポイント。大きな音に敏感な猫は、静かな環境だとリラックスし、癒されるんです。
猫は”低くて大きな音”が嫌いです。去勢手術後は特にストレスが溜まっているため、テレビの音量や物音には出来るだけ気を付けてあげてください。
猫から近づいてきたら優しく撫でてあげる
猫から近づいてくるまでは、上記の通り、そっとしておくのがベスト。無理に触ってしまうと、猫にさらにストレスを与えてしまうことになりかねません。
そのため、ここでポイントなのは「猫から近づいてくる」ということ。無理にこちらから触ろうとするのではなく、猫側から近づいてきたら、優しく撫でてあげましょう。
そのときは、いつも撫でられると喜ぶ場所をナデナデしてあげてください。ちなみに、猫が「癒される」ナデナデゾーンはこちら。
- 耳の付け根
- ほっぺた
- あご
「しゅり」も、去勢手術後3日目にやっとソロリと動き始め、わたしの膝の上にちょこんと乗ってきました。傷口に響かないように、優しく撫でてあげると気持ちよさそうに「ゴロゴロ」と鳴き声が。
猫が喜ぶマッサージの方法
去勢後のため、胴体部分は避けて「顔」のマッサージ方法をご紹介。疲れを取ったり、ストレス解消・リラックス効果があると言われています。
【マッサージ方法その1】目と鼻の間を指圧する
猫の、目と鼻の間に指をあてて、優しく押してあげてください。できるだけ「優しく」行うことがポイント。
【マッサージ方法その2】目頭の上を指圧する
目頭の少し上あたりを、指で優しく押してあげましょう。こちらも、できるだけ「優しく」行うことがポイント。
目の上下を触る場合は、猫の真正面から行うのではなく、後ろからそっと身体を包み込む体勢で行ってあげてください。そうすると、猫もより安心してくれますよ。
このマッサージは、「しゅり」にもしてあげていましたが、マッサージが始まるととても穏やかな表情に。今飼っている愛猫「ゆね」にもスキンシップを兼ねて、定期的に行っています。
- 猫が嫌がるときはしない
- 最大限に「優しく」行う
- 怖がらせないように後ろから包み込む
去勢後に気を付けたい注意点
ここでは、「去勢直後」と、「去勢後」に気を付けたいポイントを分けてお伝えします。
まずは、去勢直後について見ていきましょう。
去勢直後に気を付けたい点とは?
去勢直後には次のことに気を付けて過ごしましょう。
- 激しい運動は避ける
- お薬はきちんと飲ませる
- ストレスを与えない(刺激しない)
1.激しい運動は避ける
手術の後は、麻酔の影響で猫もいつもみたいに遊ぶことができません。術後に体力も消費してしまっているため、激しい運動は避けてください。
また、猫を抱き上げたりする場合も、そっと優しく接してあげてください
小さなお子さんのいるおうちは、特に気を付けてあげましょう。
2.お薬はきちんと飲ませる
手術後に、抗生剤などのお薬が処方されている場合は、病院の指示通りにきちんと飲ませてあげましょう。お薬が出ているということは、きちんと飲まないと傷口の治りに影響が出る危険性があります。
抗生剤が処方されない病院もあるため、必ずしもお薬を貰わないといけないということではありません。心配であれば、獣医師にその都度確認すること。
また、去勢手術の当日は絶食となる場合がほとんど。食事や水を飲み始めるタイミングは、手術する時間によって変わってくるため、獣医さんにきちんと聞きましょう。
3.ストレスを与えない(刺激しない)
去勢手術によって、ただでさえ強いストレスが溜まっているところへ猫を刺激してしまうと、余計にストレスを与える原因に。
そのため、帰宅後はできるだけそっとしておいてあげましょう。特に、多頭飼いをしている家は要注意。
他の猫が、「遊ぼう」とじゃれてしまったり、手術の傷口をグルーミング(毛づくろい)してしまう可能性が。傷口が安定するまで、生活環境を分けてあげるなどの対策が必要です。
特にエリザベスカラーを付けて帰ると、普段見ないエリザベスカラーに他の猫が驚いてしまい、威嚇してケンカになるなんてことも。
去勢後に気を付けたい点とは?
去勢後「長期的」に気を付けてほしい点はズバリ、”体重管理”。
去勢後は、性ホルモンの分泌がなくなることによって、代謝が落ちる原因に。また、性的欲求がなくなったことで、そのエネルギーが食欲に向かうのではと言われています。
特に、成猫になってすぐに去勢手術を受けた猫の場合、成猫用フードに切り替えて間もない可能性も。
まだカロリーの高い子猫用のフードに慣れているところへ、去勢手術をしたことでホルモンバランスの変化が加わると、余計にお腹が減ったと「にゃあにゃあ」鳴いてしまう原因に。
「しゅり」も、去勢手術からすっかり回復して元通りになると、餌が足りずに「にゃぁぁ~」と鳴くことが増えました。そのため、わたしがとっていた対策は次の通り。
- ダイエット用フードに切り替えてカサ増し
- 餌をふやかして水分を摂らせる
- 餌の回数を増やす(1日に食べる量は同じ)
餌をふやかす時は、ドライフードにぬるま湯をかけたり、ウェットフードと組み合わせるなどして工夫していました。だんだんと食事の量やペースに猫も慣れるので、餌を欲しがって鳴くということはなくなりましたよ。
餌のふやかし方については、こちらの記事に詳しく載っているので要チェック。
まとめ
【猫が去勢後に受けるショック2つ】
- 身体的なショック
- 精神的なショック
【去勢後のショックを癒す方法2つ】
- とにかく寝かせてあげる
- 猫から近づいてきたら優しく撫でる
猫から近づいてきたということは、飼い主さんに甘えたい証拠。傷口に注意しながら優しくいつも通りナデナデしてあげましょう。猫のマッサージ方法についても、本文で紹介していますので、ぜひ試してみてくださいね。
また、「去勢直後」と「去勢後」にもそれぞれ注意すべき点があります。特に、去勢直後は猫もデリケートな状態のため、飼い主であるわたし達がしっかりとケアしてあげたいところ。
この記事を参考に、去勢手術後の愛猫ちゃんとの生活を考えてもらえると嬉しいです。