これから愛猫の去勢手術を控えている飼い主さんへ。
猫ちゃんの手術ってとっても心配ですよね。
ネットで調べると、「去勢手術後でも変わらず元気いっぱい」「モリモリ食べていつもと変わらない」という話を聞く一方で、「元気がなく寝てばかり」「ご飯を全然食べない」という話を聞きます。
去勢手術は体への負担は少ないと言われていますが、手術後の猫ちゃんの半分は元気がなくなったという話を聞きます。元気がなくなる原因はストレスです。
実はわたしも、去勢手術後に猫ちゃんの元気がなくなった方の経験者。
そこで今回は、これから去勢手術の予定がある猫ちゃんが、手術後に元気がなくなっても慌てず、適切な対応ができるよう猫ちゃんの様子別にご紹介。
そして何かあった時に頼れるのは、やはり動物病院。愛猫を安心して任せられるよう、信頼できる動物病院の選び方もご紹介します。
去勢手術後の猫はどんな様子?
去勢手術後の、元気がなくなってしまう猫の様子はこちら。
- 食べない、食べても少量
- ずっと寝ていて動かない
- おう吐
- 下痢
- 傷口をなめる
冒頭でもお伝えしましたが、半数の猫はいつも通り元気です。ただ残りの半数は元気がなくなってしまうのです。
ではなんで元気がなくなる猫がいるのか。
去勢手術は猫にとってストレス
もともとの性格が臆病だったり、甘えん坊だったりすると、想像を絶するようなストレスを猫は抱える事になるのです。
猫にとって縄張りである家から、外に出るということだけでも相当なストレス。いきなり知らない環境に連れてかれ、家族とも離されてしまう。
そして全身麻酔から目がさめると、フラフラするしなんだか体が痛い。
猫にとってこんな状況は、恐怖でしかありません。
去勢手術は10分~15分ほどで終了します。麻酔の時間も含めると60分ほどでしょう。この短い時間であっても、猫にとっては縄張り外で家族がいない中、何をされているか分からない。
そんな恐怖からのストレスで、去勢手術後に元気がなくなりぐったりとしてしまうんですね。
そして全身麻酔での疲れと、切ったことによる痛みは数日続くでしょう。以前飼っていた我が家の猫は、ご飯は少し食べてくれてましたが、元気がない状態は3日ほどありました。
猫の心情を汲み取ると、去勢手術後に元気がなくるのは、ある意味しょうがないことかもしれません。
では手術を頑張ってくれた愛猫に対して、飼い主はどのように接するのが良いのでしょうか。詳しく説明していきます。
去勢手術後に元気がない猫への接し方
去勢手術後、愛猫の元気がなくなってしまった時はどうしたらよいのでしょうか。一番の方法は、優しく見守りつつ変化を見逃さないようにする事です。
元気がなくなった時によく聞く様子が、こちらの5つ。
- 食べない、食べても少量
- ずっと寝ていて動かない
- おう吐
- 下痢
- 傷口をなめる
それぞれ説明していきます。
食欲がない
まずもっとも多いのが、食欲がなくなってしまうこと。
ご飯を食べない子は、手術の疲れとストレスで、食べる気力がなくなっているのかもしれません。食べたい素振りを見せたら、すぐに用意できるよう様子を見ておきましょう。
ご飯を与えるときは、手術の前日から絶食しているので、胃に負担がかからないように少しずつ与えてみて下さい。
以前飼っていた猫は、術後ご飯を食べたがらなかったのですが、ドライフードをふやっふやに柔らかくしたら食べてくれました。柔らかい物なら食べてくれることもあります。
【術後ご飯を食べない時】
- ドライフードをウェットフードにしてみる。
- ペーストタイプのご飯を口の周りに付け、舐めて栄養補給させる。
形を変えたら食べてくれることもあります。無理をさせないよう意識しつつ、いくつか試してみてくださいね。
ご飯を食べない子はストレス以外にも、
- 術後の傷の痛みに耐えている
- 麻酔がまだ効いている
という場合があります。
痛みが落ち着いたり、麻酔が切れると自然に食欲が戻るので安心してくださいね。
ずっと寝ている
ずっと寝ている子は、知らない環境へ連れて行かれたことのストレスのほか、手術の疲れも残っています。無理に触ったりせず、優しく話しかけながら見守るのが一番です。
家でゆっくり寝ているということは、安心している証拠。友人の甘えん坊猫ちゃんは、飼い主さんの腕の中が一番安心するようで、抱っこされたまま半日寝ていました。
おう吐
去勢手術は、おう吐に関連する臓器にふれる手術ではないので、手術が失敗したのではありません。ストレスによってお家に帰ってから、吐いてしまうのです。
また「手術の前日から絶食させるように」、と病院から指示を受ける事が多いです。絶食後いきなりいつものようにご飯を与えてしまうと、胃に負担がかかるため吐くなんてことも。
まずは水を与えてみて、むせたり飲みにくそうにしていないか確認してみてください。水を問題なく飲めることを確認してから、ご飯を与えるのが良いでしょう。
食べてないのに胃液を吐くなら、動物病院に相談しましょう。
下痢
ストレスによって下痢になっちゃう子もいるんです。でも家に帰り安心できる生活に戻れば、落ち着くでしょう。
下痢は脱水症状をおこすこともあるので、水分摂取がとっても大事。
飲みたい時にすぐ飲めるように、水を近くに置いたり、水分の多いウェットフードを与えるようにしてくださいね。
傷口を舐める
傷口を舐めるほど元気があるので、他の症状よりはまだ安心でしょう。
ただ猫の舌は毛づくろいができるようザラザラしています。そんな舌で傷口を舐めると、傷口が広がったり、ただれて化膿してしまうことも。
わたし達も怪我をしたら治るまで、何をするにも気になりますよね。まだ傷口がふさがってないのに、痛いのを承知で指でツンツンしてみたり。
そこは猫も同じ、気になってしょうが無いのです。
どうしても気になって傷口を舐めてしまう場合は、手で舐めないようガードしたり、遊びで気を紛らわせると良いでしょう。
エリザベスカラーを装着して、舐めるのを防ぐ方法もありますが、エリザベスカラーで視界が狭くなることによって、ストレスを募らせてしまう可能性もあります。
エリザベスカラーは、あくまでも傷口を舐めないようにするため。ご飯や遊んでいるとき、舐める素振りが無ければ外しても良いでしょう。
また、知らない内に舐めてしまうこともあるので、傷口がただれてないか定期的にチェックすることもお忘れなく。
わたしは着古した、生地が少し厚めのタートルネックの首の部分を切って、エリザベスカラーのように装着してました。
これだと視界が狭くならず、壁にぶつかる事はなかったです。
去勢手術のストレスだとしても、体調が優れない状態が続くと、猫の体力消耗に繋がります。少しでも異常を感じたり、3日以上元気がない場合はためらわず獣医さんに相談しましょう。
去勢手術は猫にとってメリットあり?
去勢手術による、猫が受けるストレスをお分かりいただけたと思います。ではなんでこんな思いをさせて去勢手術が必要なのでしょうか。
実は去勢手術は猫にとってメリットが多く、デメリットは太りやすくなるくらいしかないのです。
去勢手術は「望まない妊娠の為」ではありますが、それ以外のメリットとは一体何でしょう。
- 発散されない発情だけを繰り返すストレスの防止
- 攻撃性が落ちつき、他の猫とのケンカが少なくなる
- 精巣腫瘍(せいそうしゅよう)など生殖器系の病気の予防
オス猫にとって発情はすれど、「メス猫に出会えない」「交尾ができない」、これはとってもストレスなんです。
去勢手術は、精神的なストレスを与えてしまいますが、猫にとってそれ以上のメリットがあるんですね。
飼い主さんが苦労するマーキング行動の1つ、「尿スプレー」などの問題行動も少なくなりますよ。もし今マーキング行為で大変な思いをされていたら、解決策はこちらの記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
猫の「病気の予防」「ストレス防止」のため、やはり去勢手術を受けさせようと決意を固めた飼い主さん、よく決意されました。
ではここから、愛猫の大事な去勢手術を安心して任せられる、また何かあった時に頼れる動物病院の選び方をご紹介していきます。
いい動物病院の見分け方
去勢手術以外でも、何かあった時に相談できる、親身になってくれる、そんな動物病院をみつけておくと安心ですよね。
動物病院を選ぶ際は、まず家から一番近いところにすると思います。
何かあった時、すぐに頼るにはそれも大事なポイントになりますが、もし家から近い病院で少しでも不安を感じたら、これから紹介する病院選びのポイント4つを参考にしてみて下さい。
それぞれ詳しく説明していきます。
いい動物病院を見分ける4つのポイント
1.キレイであるか
院内がキレイかどうか、これはかなり重要な点です。
わたし達も病院を利用することになった時、掃除が行き届いてなかったり、何かのニオイがする病院なんて行きたくない。ましてそこでメスを使った手術をすることになったら、即刻別の病院に駆け込みますよね。
不衛生な環境での手術。感染してしまってから病院を変えても、手遅れなのです。
キレイかどうかは見てすぐに判断できるので、飼い主さんがこの病院に任せられるかしっかり判断しましょう。
わたしの友人で人気な病院を選びましたが、いろんな種類の動物を対応してるため賑やかで、様々な動物のニオイがしたそうです。
猫にとって家の外に出る事だけでもストレスと考えると、「賑やかで色んな動物のニオイがする」。これはさらに追い打ちをかけるストレスの元になってしまったようです。
2.土日の日中は混んでいるか
やはり飼い主としては、愛する我が猫は評判の先生に診てもらいたいですよね。
みんな考える事は同じなので、人気の病院には人が集中します。一番混む時間帯は土日の午前中。にも関わらずお客さんの出入りがあまりない・・・となると、何か原因が潜んでいるのかも。
昔家の近くの動物病院に連れて行ったとき、「こんないい場所にあるのになんで空いてるんだろう」と思いました。先生にお会いして原因が判明。
おじいちゃん先生だったからか、コントをしているかのように手がプルプル震えている。予防注射だけだったけど、待っている間は心臓が止まりそうになりました。
3.獣医師は話を聞き説明をしてくれるか
猫は弱みを見せない生き物なので、見ただけでは症状を判断できない事があります。そこで大事になるのが、普段の様子。
この普段の様子をきちんとくまなく聞いて、猫の状態を飼い主が分かるように説明してくれる。
猫の体に関する大事なことなので、飼い主さんもちゃんと理解をしたうえで手術を進める必要があります。あとからこんなはずじゃなかったと思っても遅いのです。
飼い主さんの不安を払拭できるよう、丁寧な説明を心がけてくれる、こんな先生が素晴らしいと思います。
4.必要な検査のみで負担を減らしてくれる
先程、「猫は弱みを見せないので、普段の生活を飼い主から聞く必要がある」とお伝えしました。だけどやっぱりある程度の予測をたてて、なんでこのような症状が出ているか見極める事ができるのがベテラン先生です。
念のため検査をするはモチロン大事。
だけども、不必要な検査までして高額な医療費を請求されるのは、防ぎたいですよね。
動物病院は自由診療のため、この治療なら金額はいくらという基準がありません。同じ治療をしたとしても請求される金額は変わってきます。
病院に行くたび、高額な医療費を払うのは大変です。
猫と飼い主さんのことを考え、負担にならないよう今までの経験をふまえ、必要最低限の検査で負担が減るよう努める。長くお付き合いするには、やっぱりお金の事って大事です。
去勢手術は安い病院だと5000円、高いと10万円をこえる病院もあるのです。揃えている医療機器や、治療内容により金額の差はあるので、一概に高いからぼったくりとは言えません。
他と比べて高い場合、「なぜその金額なのか」。ここをちゃんと丁寧に説明してくれる病院、先生が良いでしょう。
【診療費の相場】
初診料 | 平均1386円 全体の70%以上が1000円~2000円未満 |
去勢手術 | 平均15000円 |
入院料 | 平均2619円/1日 全体の70%以上が1日3000円未満 |
- キレイであるか
- 土日の日中は混んでいるか
- 獣医師は話を聞き説明してくれるか
- 必要な検査のみで負担が減るよう努めるか
この4つのポイントをふまえ動物病院を探すと良いでしょう。
そんな時は周りの人に聞き込み調査。
周りの人の意見を聞く
周りの人とはこちらの方々です。
- 近所で猫を飼っている人
- ブリーダーやペットショップの店員さん
- ネット上の口コミ
聞くポイントは「なんでその病院を選んだのか」です。
とくにブリーダーさんは経験豊富で、たくさんの情報を持っています。「ここの病院は説明が丁寧だけど、対応が業務的」「ここは個人でやってて、相談しやすい」など、わたしも家の近くの病院探しについて、助けてもらいました。
動物病院は1度で判断しない
数ある動物病院から、何となくここにしようかと絞れましたか。
院内はキレイで周りの評判も良し、となると安心して愛猫をお任せできそうですね。ですが実際に病院に連れて行く前にお伝えします。
決して1度の判断で決めないでください。できることなら健康診断や予防注射などで、少なくても2~3回通って判断することをオススメします。
わたしの体験談ですが、周りの評判が良いので行ってみたけど、ちゃんと説明してくれなかった経験があります。
ですが2度目に行ったときに、前回よりももう少し深く、丁寧に説明してくれたんです。
先生は飼い主さんを思って、1度であれもこれも説明をしては大変。この説明は次回にしようと考えてくれてたかもしれません。
そしてわたし達、飼い主ができることはちゃんと質問する事です。
迷惑になるかもと、分からない不安を抱えたままにするのではなく、納得できるまできちんと説明してもらいましょう。
ちゃんと責任をもって対応してくれる先生であれば、飼い主さんの疑問にはちゃんと答えてくれるはず。
まとめ
去勢手術後、半分の猫は何事もなかったかのように、元気に過ごしています。元気がなくなってしまう猫は、ストレスによって「食べない」「寝てばかり」「下痢やおう吐」などを引き起こします。
対処法は優しく見守りつつ、3日たっても改善されない時は動物病院に連れて行きましょう。
- 食べない、食べても少量
- ずっと寝ていて動かない
- おう吐や下痢
- 傷口をなめる
また安心して愛猫を任せられる病院を見極めるポイントは4つ。
- キレイであるか
- 土日の日中は混んでいるか
- 獣医師は話を聞き説明してくれるか
- 必要最低限の検査で負担が減るよう努めるか
こちらを参考に、猫を飼っている友人やブリーダーさん、口コミを参考に長く付き合える病院を探してみて下さい。