猫好きの友達からいきなり相談がありました。
「猫を1匹飼っているのだけど、留守番している時寂しくないかしら」「やっぱり遊び相手がいたほうがいいかしら」
これは本当に難しい問題なのです。相性が良く仲良くなれればもちろんOKです。ただ、すべてうまくいくとは限りません。
なぜなら猫は縄張り意識が強く、環境の変化に弱い動物なのです。下手すると大切な先住猫さんが、元気をなくしたり病気になったり。
それを回避するために、保護猫団体さんは先住猫がいるときには長めに(※1)トライアル期間をもうけるほどです。
この記事ではなぜ、先住猫が元気をなくすのか、どんな症状がでると良くないのか、そして仲良くなるための方法を紹介します。
(※1)トライアル期間とは、猫が新しい環境になじめるか先住猫がいたら仲良くやっていけるか見極める期間。無理そうなら保護主さんにお返しします。
先住猫の元気がない!その理由とは
新しい猫がきたら遊び相手もできて喜んでくれると思っていたのに、なんか元気がない。どうしたのだろう。
それには猫の習性が関係しています。猫は自分の縄張りを持つ生き物です。室内飼いの猫の場合は家の中が縄張りになります。
その場所に、いきなり知らないニオイのする猫がきたら、相当なストレスがかかります。自分の安住の場所が、知らない猫によって安心できなくなった。これでは元気がなくなりますよね。
特に、血統書付きのペットショップで購入した猫に多いのです。なぜかというと、ペットショップでは、子猫の方が人気なので親から早く離してオークションにかけ、高額で販売するのです。
早く親や兄弟と離れたことで、兄弟と遊んだり、じゃれあったり、喧嘩をした経験が少なくなります。
なので知らない猫を見た時に、どうやって接したらいいのかわからず困惑し、多大なストレスがかかるのです。どんなに辛いのかは容易に想像ができますよね。
先住猫の元気がない時の危険な5つの症状
よく新入り猫を迎えた時に、相性が悪いのでしょうかと心配される人がいます。
この行動は時間がたてば収まるし、仲良くなれる可能性は高いです。もし、仲良くなれなくても、上手に距離をおいて同居できることがほとんどです。
それよりも先住猫の元気が無くなり、こんな症状がでたら、とても危険です。
- ご飯を食べなくなった
- トイレ以外での排便や、マーキングをする
- 過剰なグルーミング(毛づくろい)自傷行為
- おしっこやうんちが出なくなる
- 夜泣きをしたり走り回ったりする
ご飯を食べなくなった
ストレスが溜まると水を飲まなくなったり、食が細くなりご飯を食べなくなります。
下痢をしたり嘔吐をしたりすることもあります。急な体重減少は危険です。1日以上食べなかったら危険信号です。
粗相をする
猫は、キレイ好きな生き物です。しつけがされていればまずトイレ以外で用をたすことはないです。
しかしストレスが溜まると、トイレ以外のところで排便をしたり、いままでマーキングをしなかった子がすることがあります。
注意してあげましょう。
過剰なグルーミング(毛づくろい)自傷行為
グルーミングには毛並みを整える他に、気持ちを落ちつかせるという役目があります。
ストレスが溜まると、特定の場所ばかり体毛が抜けるほどグルーミングをしたり、自分の毛を引っこ抜くことも。
手足や尻尾を噛むといった自傷行為に発展してしまうことがあります。
おしっこやうんちが出なくなる
ストレスでおしっこやうんちが出なくなることがあります。
ストレスで免疫力が落ちて膀胱炎になる子もいます。猫は2日以上おしっこが出ないと、菌が回って死に至ることがあります。早めに病院につれていきましょう。
夜泣きをしたり走り回ったりする
いつもより激しく鳴く、夜泣きをする、走り回る。こんな行動もストレスが溜まっている可能性があります。
酷くなると何もないところで、いきなりジャンプします。
では新たに猫ちゃんを迎え入れるときは、どのような事に注意したら良いのでしょうか。次の項目で詳しく説明していきます。
先住猫と新入り猫の上手な対面の仕方
新しく猫ちゃんを迎え入れるときは、とってもドキドキ。「先住猫ちゃんと仲良くなれるかな?」なんて考えながら、はやる気持ちを抑えられないですよね。
- 先住猫を新入り猫にすぐには会わせない
- 先住猫が新入り猫の存在に気付き始めたら、少しだけ顔合わせ
- いよいよゲージから出して先住猫と新入り猫を対面させる
①先住猫と新入り猫をすぐには会わせない
新入り猫がきても、すぐには先住猫には見せないでください。
なぜなら自分のテリトリーに急に入ってきた侵入者と、心の準備もできてない先住猫が、いきなり対面すれば警戒心をいだいてしまいます。第一印象が最悪だと仲良くなるのは難しいもの。
第一印象が悪いと、人間もそのあと仲良くなるのは難しいですよね。それと同じです。
最初は新入り猫をゲージに入れ布を被せて姿を隠したり、部屋を別にしましょう。そうすれば新入り猫にはその家のニオイがつき対面させる頃には違和感が減ります。
②先住猫が新入り猫に気付いたら少しだけ顔合わせ
鼻や耳のいい猫。布などで隠しても気配を感じてそわそわしだします。
先住猫と新入り猫がお互いの存在を気にし始めたら、ゲージ越しに少しの時間会わせてみます。最初は―「シャー」とか「ウー」とかいうと思いますが、そこはあまり気にすることはありません。
何日か会わせてみて威嚇が減ってきたら、少しずつ会わせる時間を増やしていきます。
③いよいよゲージから出して対面させる
何日か経過すれば威嚇は減り、ゲージ越しにちょっかいを出したり遊びたそうにします。そうなればゲージから出して対面させましょう。
最初からうまくいかないかもしれませんが、ものすごい威嚇や取っ組み合いの喧嘩をしなければ大丈夫。
どうしてもダメなら、もう1度ゲージからやり直してみてください。
保護猫団体から猫を譲り受けた場合は、先住猫と新入り猫がなじめるか、また環境になじめるかのトライアル期間があります。
もしこの期間中に先住猫が、食欲不振など体に異常をきたしたときは、保護主さんに相談してください。
先住猫の体の異常があまりにもひどいようでしたら、残念ですが譲渡はあきらめて保護主さんにお返しすることになります。
なによりも、先住猫が優先と考えているからです。そこは理解してくださいね。
ペットショップで購入された時は、購入されたペットショップ、もしくは獣医さんに相談するとよいでしょう。
たまたま今回の子は相性が悪かっただけで、違う子を迎えたら仲良しになることは多々ありますので、安心してください。
多頭飼いを考えている人にアドバイス
これは私の知り合いの保護猫ボランティアさんから聞いた話です。
ほとんどの人が、最初は猫を飼うことに自信がないから、1匹で飼うことを望みます。しかし、お世話に慣れてくると、友達を作ってあげたい、かわいいからもう1匹迎えたいと言います。
割合的には10人に7人の人は、もう1匹飼いたいと考えるんです。
そこで、ここは思い切って最初に猫を飼うと決めた時に、兄弟2匹でもらってあげてください。兄弟なら相性が悪いこともまずありませんし、お互い刺激を受けながら成長していきます。
飼い主さんも、猫ちゃんもストレスがかからない1番の方法です。
まとめ
先住猫が新入り猫を迎えて元気が無くなる原因、症状、上手な合わせ方について紹介しました。
こんな行動は要注意。
- ご飯を食べなくなった
- トイレ以外で排便する、マーキングをする
- 過剰なグルーミング(毛づくろい)自傷行為
- おしっこやうんちが出なくなる
- 夜泣きをしたり走り回ったりする
先住猫と新入り猫の上手な対面方法。
- 先住猫と新入りさんをすぐには会わせない
- 先住猫が新入り猫に気付いたら少しだけ顔合わせ
- 威嚇が少なくなってきたらゲージから出して対面させる
猫の家族が増えると、ごはん代や医療費がその分かさみます。
でも幸福度や癒され度は。その何十倍にもなります。