大切な猫ちゃんが突然下痢をした。そんな時どう行動したらよいのでしょう。
「これってよくあることなの?」「原因は何なの?」「動物病院にはすぐに連れて行っていったほうがいいの?」など、わからないことがたくさんありますよね。
なんて思ってしまうことも、もしかしたらあるかもしれません。
しかし動物病院を受診するかしないか、迷っている間に猫ちゃんが重症化してしまうケースもあります。
飼い主が思っている以上に深刻な病気にかかっていたということもあるかもしれません。今回はそんなときに後から後悔しない大事なポイントをお伝えしたいと思います。
その大事なポイントとは2つ。
- 迷ったら動物病院に相談・受診をする
- 猫ちゃんの普段を知っておく
年間の猫の医療費平均は、ケガや病気の治療費は平均23,919円となっていますが、これはあくまで平均。
ただの下痢と症状を軽視して、病院を先延ばしにした結果、手術をしたり重い病気になったりして何倍も医療費がかかってしまうこともあります。
今回は数ある猫の病気のうち、下痢についてお話をします。
この知識があるだけで、愛猫に何かあった時にも適切な対処ができるようになるでしょう。では詳しく解説していきます。
猫の下痢の種類は?
猫が突然下痢になったら困惑しますよね。
最近猫を飼い始めた方や子猫を飼っている方は特に不安になると思います。下痢といっても1つではありません。
色や形、柔らかさなど普段から猫ちゃんの便をよく観察しましょう。
ちなみに正常な猫の便は適度に水分があるので、表面はツヤがあり、トイレの砂がつきやすい便になります。
軟便 | 正常な便に比べ水分を多く含んでおり形が保たれていないか、保たれていても簡単に崩れてしまう便の状態です。 |
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水様便 | 軟便以上に水分が多く、液体状の便になります。 |
血便・血様便 | 赤い血や血の塊が混ざった便のみでなく、黒い便(タール便)や血生臭さがある便は注意です。 (大腸で出血すると赤い血が混じり、胃や小腸で出血すると黒い便となります) |
急性の下痢・慢性の下痢 | 急性の場合は1週間ほどで改善がみられますが、慢性の場合は数週間にわたって続くので、栄養状態が悪くなり体重減少が見られるようになります。 水分も失われてしまうので、便の性状以外に全身状態も見てあげましょう。 |
小腸性の下痢 | 小腸での食べたものの消化・吸収が悪くなったために便の中に未消化のものが混ざった状態です。 |
大腸性の下痢 | 大腸での水分吸収が悪くなっているために起こり、便中に大腸からの粘液が多く含まれる状態です。 |
猫の下痢の原因ってなにがあるの?
猫の下痢に種類があることがわかりましたね。
原因は病気によるものだけではないんですよ。
まさかの飼い主に原因があることもあるんです。
食事に関連するもの
人間の食べ物で猫ちゃんが食べれない物って、意外とたくさんあるんです。
- 人間の食べ物を食べてしまった、与えてしまった
- キャットフードを突然変えた
- 食べてはいけないもの(ネギ類、チョコレート、レーズン、アボカド、牛乳、お酒等)の摂取
いくら可愛くスリスリおねだりしてきてもちょっと待って。
気軽にあげるのはNGです。
人間の食べ物によっては消化不良を起こしたり、猫ちゃんにとっては過剰な塩分、糖分の摂取になってしまうこともあります。
中には中毒を起こしてしまうものもあるので注意しましょう。
誤飲・誤嚥・拾い食い
猫が誤って食べしまう物は、わたし達が生活でよく使う物です。
- 洗剤
- 植物(ユリ、サトイモ、多肉植物、ドラセナ等観葉植物にも注意が必要です)
- おもちゃ
- ビニール袋
- 人間の薬 等
これはペットのみならず、小さいお子さんがいるお家でも同様の注意が必要になるものですね。
特に人間の薬は、下痢になるだけではすまない危険もあるので絶対に注意です。拾い食いは外に出る機会の多い猫の方が可能性が高いでしょう。
感染によるもの
猫はキレイ好きだから、普段から掃除は良くしてます。
掃除していても感染する可能性はあります。
- ウイルス:感染した猫との接触
- 細菌:菌に汚染されたものを摂取
- 寄生虫:感染した猫の便を摂取。感染したネズミを補食。
では具体的にどんなものがあるのか、詳しく解説します。
ウイルス
代表的なのはこの2つのウイルス。
- パルボウイルス・・感染力がとても強く、感染した猫の嘔吐物や排泄物に触る以外にも、おもちゃや毛布などの接触でも感染をしてしまいます。子猫が感染すると致死率の高いウイルスになります。
- コロナウイルス・・猫にも感染するというニュースを、皆さんも耳にしていたかと思います。コロナウイルスは型に分けられ、中には猫伝染性腹膜炎ウイルスという致死性の高い、猫伝染性腹膜炎を引き起こすウイルスがあります
2018年都内の猫カフェでパルボウイルスに感染したため複数の猫が死亡するというニュースもありました。
細菌
代表的なのはこの2つのウイルス。
- サルモネラ菌・・動物から人へ感染。成猫は症状が出ない事が多い。細菌増殖をさせないために、エサのボウルを定期的に洗うなど対策をしましょう。
- カンピロバクター菌・・成猫は症状が出ないことが多い。子猫では人間の食中毒と同様の症状が出る。
細菌については人間と一緒で食べ物や食べるための容器を清潔に保つなど、食中毒にならないよう気をつけることで予防することができます。
寄生虫
- 回虫・・感染しているほかの猫の便を口にしたり、幼虫を体内に持っているネズミなどを捕食することにより感染するとされています。
寄生虫って聞くだけでぞわっとしてしまいますね。
ウイルスや菌は目に見えないので、症状が出ない限り感染の有無がわかいらないというのが恐いですよね。
多頭飼いの方、他の猫たちの体調は大丈夫ですか?しっかり観察をする様にしましょう。
- 感染症による下痢の場合、重篤になるケースが多いので思い当たるときは早めに受診。
- 動物から人への感染の可能性もあるので、飼い主は十分な手洗いを心がけて。
病気によるもの
食べ物によるものや、他に原因が思い当たらないときには、やはり病気の原因もあるかもしれません。
猫ちゃんが下痢になる病気として、肝臓や膵臓、内分泌系といった内臓疾患、胃腸炎や大腸炎、また腫瘍によるものが考えられます。
特に腸炎や腫瘍は血便の原因としてあげられるものになります。
ストレスによるもの
猫はストレスに弱い動物のため、急な引っ越しなどによる生活環境の変化で体調を崩すこともあります。
飼い主が、猫ちゃんとしっかりとスキンシップをとることが大事ですね。
また気温の低下でお腹が冷えてしまい、消化管の動きが悪くなることも下痢の原因になります。
『ねこはこたつで~』と歌もあるくらいです。
気温差には十分注意してあげましょう。
動物病院を受診する目安が知りたい
では猫ちゃんが、どのくらいの状態になったら病院に連れて行ったらよいのか。その判断ポイントはこちらの5つです。
- 血便が出ている
- 下痢が何日も続いている
- 食欲がなくぐったりしている
- 下痢以外に嘔吐といった消化器症状もみられる
- 生後12ヶ月以内の子猫
動物病院を受診する際には、可能であれば便を持って行くようにしましょう。
また、迷ったときには動物病院へ相談・受診することをお勧めします。
下痢を防ぐための予防法ってなにがあるの?
- 人間の食べ物を欲しがっても、いくら可愛くても与えない
- キャットフードを変えるときには今までのフードに少量ずつ混ぜていき、徐々に割合を増やしていく
- 異物や猫にとって有害となるものを近くに置かない
- ワクチンの接種
- 定期的な動物病院の受診
- 室内で飼う、外で生活している猫との接触を避ける
これらのポイントを気を付けるだけで、下痢になってしまうのを防げる可能性があります。飼い主が予防できるものはぜひ積極的に実行していきたいですね。
猫は犬とは違って法律で定められた予防接種はありませんし、室内で飼っているから予防接種は受けたことがないという話もよく耳にします。
しかし、来訪者や飼い主がほかの動物と接触していたり、排泄物を踏んだ靴で帰ってくるなど感染経路は少し考えるだけでもいくつもでてきます。
安心のための予防接種ですので受けることをお勧めします。
まとめ
猫ちゃんの下痢には様々ありましたが、主な原因は5つ。
- 食事に関連するもの
- 誤飲・誤嚥・拾い食い
- 感染によるもの
- 病気によるもの
- ストレスによるもの
今回の話を読んでも実際体調を崩した猫ちゃん見たら、あたふたしてしまうかもしれません。そのときのために2つのポイント。
動物病院の受診は迷ったらまずは動物病院に相談・受診をすることが大事です。
そして『なんかいつもと違うな』と気がつけるように猫ちゃんの普段を知っておくを覚えていてください。きっと猫ちゃんのためにも飼い主の安心のためにもなります。
そして飼い主が防いであげられるものは防ぐ。
- 人間の食べ物を欲しがっても与えない
- キャットフードを変える時は今までのフードに少量ずつ混ぜ、徐々に割合を増やしていく
- 異物や猫にとって有害となるものを近くに置かない
- ワクチンの接種
- 定期的な動物病院の受診
- 室内で飼う、外で生活している猫との接触を避ける
ペットに長生きしてもらいたいのは、みんな同じです。参考になれば幸いです。