とある日、友達と話していたら、飼っている猫についてこんなお悩み相談がありました。
いつもなら、おもちゃで遊ぼうと誘うと元気に遊びまわるはずが、ちょっと遊んだらやめて、すぐに部屋の隅っこに行ってしまうんだとか。
「元気はないし、食欲もあまりない」という話は聞いたことがあるけど、「元気はないけど、食欲はある」ってどういうことだろう、と不思議な気持ちになりました。
同じ愛猫家として、なんだか他人事ではない問題に感じ、そこからいろいろとリサーチしてみることに。調べるうちに、衝撃的な事実が判明してしまいました。
わたしの猫は幸い、今は元気で食欲もあるのですが、これから猫の元気がなくなったときなどに、とっても参考になるなぁと感じることが多々ありました。
今回は、そんな友達の猫を通してわたしが学んだことを、みなさんに共有したいと思います。わたしの友達と同じように、猫に元気がないなぁと悩んでいる人は必見。
食欲があるからといって、猫が健康だと思っていたら大間違いだったんです。
元気がないけど食欲はある
わたしの友達が飼っている猫のように、元気がないけど食欲はあって、ご飯はちゃんと食べるという場合。これって、どうして元気がないのか原因が分かりにくいですよね。
わたし達も、最初はそうやって考えていました。ですが、必ずしもそうではないんです。実は、病気のせいで食欲が増しているだけ、という怖いケースが発覚。
まずは、元気はないのにご飯はちゃんと食べる時に考えられる理由について、ご紹介します。
病気が隠れている
一番最初に確認してほしい事項になりますが、元気がないけど食欲はあるという場合、まずは病気を疑ってください。そのため、一度動物病院で診てもらうことをおすすめします。
【考えられる主な病気】
病名 | 症状 |
甲状腺機能亢進症 |
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糖尿病 |
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どちらにも共通している初期症状は、ご飯をよく食べるため、あまり気が付かない飼い主さんがほとんどだと言います。特に、甲状腺機能亢進症の方は活発に動き回るという症状もあるため、ただ元気なだけなのか、病気のせいなのか判断が難しいのが特徴。
甲状腺ホルモンは体のほとんどの組織のに作用して,代謝を盛んにする働きがあります.これらの効果としてエネルギーが生産され,体温も上がり,心臓の機能も高まり,要するに一見病気とは無縁の健康な方向に体が変化するのです.
出典:一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム、猫の病気(甲状腺機能亢進症)
水を飲む量と尿が増える多飲多尿(たいんたにょう)の症状がみられます。水分は糖に引っ張られる性質を持っています。尿に糖分が混じっていると、通常よりも尿の量が多くなります。そのため、水分が大量に放出されて体内の水分量が減ってしまいます。その分を補うために水を飲む量が増えます。また、糖尿病の場合、糖が吸収されにくくなるため、食欲旺盛にもかかわらず痩せていくことがあります。
特に、老猫に多いとされる二つの病気ですが、もうシニアなのにまだまだ元気だなとのんびり構えていると、後から取り返しのつかないことになりかねません。
ですが、どちらも一日に飲む水の量が明らかに増えることが特徴のため、日ごろから水を飲む量を測ってあげると早期発見に繋がります。
猫が1日に飲む正常な水の量は、体重1kg当たり70mlが目安。
毎日、軽量カップで水用のお皿に水を入れてあげ、飲み残した水をまた軽量カップに入れて、差し引きで飲んだ水を測ると分かりやすいですよ。
わたしの友達も、病気のことを知ってから心配になりすぐに動物病院へ。特に病気ということではなく一安心したものの、やっぱり元気がない原因は解らないままとなりました。
病院の先生いわく、「ストレスが関係しているんじゃないか」とのこと。そこで、病気以外の原因について目を向けてみることに。
精神的にダメージがある
何らかの原因によって、猫にとって精神的に不安な状態が続くと、元気がなくなります。自由なイメージが強い猫ですが、実は神経質でストレスを溜めやすい一面も。
ストレスが溜まる要因は様々ですが、次のような例が挙げられます。
新しく猫や犬を飼い始めた
新しく、違う猫や犬を飼い始めると、もともといた猫ちゃんには大きなストレスになることがあります。
これは、わたしも思い当たる経験があります。というのも、数日間だけ知り合いの子猫を預かる機会があり、ある日突然、子猫を家に連れて帰ったのですが、わたしの猫はささっと逃げて知らんぷり。
ご飯の時間になると、餌皿にそろりと寄ってきて、ご飯だけ食べてまたささっと逃げてしまう。子猫がいないリビングではいつも通りおもちゃで遊ぶのに、子猫が入って来た途端、遊ぶのをやめて、わたしのベッドで丸まって出てこない。
これは、猫の”警戒”と”嫉妬”の感情が大きく関わっているんだとか。こういったストレスがひどくなると、食欲まで落ちる猫もいるというから、猫って本当にデリケート。
拗ねている(気を引きたい)
こんな時は、猫があなたの気を引きたいと思っているサインかも。
- 部屋の隅からジッと見つめる
- 無視をする
- ふて寝する
なんとも人間らしいなと思ってしまう行動ですよね。ふて寝ってもう人間じゃんとツッコミたくなります。
猫も、あんまりかまってくれない日が続いてしまうと、拗ねてしまいます。分かりやすいのが、一つ上の項目のように、最近他に猫や犬などを飼い始た場合も、もっと自分にかまってほしいという”飼い主さんの気を引きたい”思いから、ふてくされてしまうんだとか。
- 猫と遊ぶ時間があまり取れていない
- 別の猫ばかり可愛がっている
- 猫を叱った
ちなみにわたしの友達は、「そういや最近忙しくて、スキンシップの時間が減ってたかも」と言っており、もしかしたら拗ねちゃってたのかもしれないなという結論に至っていました。
拗ねてしまった場合の解決法は、言葉でごめんねと伝えられない分、態度で示すしかありません。
友達のしていた方法は、おもちゃで積極的に遊んであげたり、たっぷり体をナデナデしてあげたり、適度に好きなおやつをあげてみたりと、とにかく根気よく猫サービスを続ける方法。
続けていくうちに、徐々にですが、遊ぶときも前のようにノリノリで遊んでくれるようになったみたいです。
本当に拗ねているかどうかは、猫に直接聞けないので真相は定かではないですが、おもちゃで遊ぶことでストレス解消に繋がったのは確かだと言えます。
ここで、猫のストレス解消にピッタリのおもちゃをおすすめ。
特にストレス発散には、この「けりぐるみ」が効果的。後ろ足でガンガン蹴ってもらって、ストレス解消してもらいましょう。
ではここまでで、「元気がないけど食欲はある場合」の原因をおさらい。
- 病気が隠れている
- 精神的にダメージがある
元気がない猫の特徴
その他に、あなたの猫がこんな状態の時は、元気がないサイン。原因を早く見つけてあげてください。
- 同じ場所でじっと動かない
- 食欲がない
- 鳴きすぎる・全く鳴かない
- 体温が低い
食欲が明らかになかったりすると、どこか具合が悪いのかなと考えやすいけど、その他は日ごろから気を付けて見てあげていないと、意外と見落としがち。
同じ場所でじっと動かない
長時間同じ場所でじっとしている場合は、体調が悪くてぐったりしているのかも。特に、普段いる場所とは違う場所で寝ている場合は要注意。
あえて誰も来ない場所に移動することで、周りから身を守ろうとしているのです。
食欲がない
食欲がないのは、分かりやすい大きな特徴ですよね。上の項目でご紹介したように、食欲があっても病気が潜んでいたりするため必ずしもとはいえませんが、元気と食欲は比例するケースが多いです。
特に、24時間丸一日なにも食べたがらない場合は、体に不調が出ている大きなサイン。早急に動物病院へ連れて行ってあげてください。
時間の目安については、猫の成長度別で変わってきます。後ほど、詳しく説明しますね。
鳴きすぎる・全く鳴かない
鳴きすぎたり、反対に全く鳴かないなどは注意しましょう。普段とは違って明らかに大きな声で鳴くときは、鳴き声で何かを訴えている場合があります。
また、全く鳴かずにぐったりしている時は、病気の可能性が。どちらにしても、普段聞いている鳴き声と様子が違う場合は、不調を訴えているサインです。しっかりと猫が出すサインをキャッチしてあげましょう。
体温が低い
猫はわたし達人間よりも平熱が高く、だいたい38度~39度ぐらいと言われています。
そんな猫が、触ったときに冷たく感じたらどこかに不調が出ているサイン。猫の体温に普段から敏感になっておく必要があります。できれば、家でも猫の体温が測れると良いですよね。
動物病院では、肛門に動物用の体温計を差し込んで直腸温(腸の温度)を測りますが、家ではちょっと難しそう。そこで、簡単にできる熱の測り方をご紹介。
- 猫がリラックスしている時に、背後から抱き上げる
- 猫の背中と飼い主さんのお腹をひっつける
- 手でお腹を支えながら、猫の体温を感じる
お腹の毛は薄いため、温度が感じやすいのでこの方法がおすすめです。平熱時の猫の体温を覚えておき、定期的にチェックしてあげるようにしたいですね。
病気も主な原因の一つですが、そうではない場合も。猫の神経質な性格から、不調に繋がることもあるんです。
飼っている猫が、「元気がない猫の特徴に当てはまるな」と感じたら、まずはその原因を見つけてあげなくてはいけません。
次の項目では、元気がなくなる原因と、その対処法についてお伝えしていきます。
猫に元気がなくなる原因・対処法
猫に元気がないと、「どうしたんだろう。」と心配になりますよね。
元気がなくなってしまう原因は様々ですが、よくある理由は次の通りです。
- 病気・怪我をしている
- 気温が合わない
- ストレス
1.病気・怪我をしている
わたし達が気が付かないうちに、病気にかかっていたり怪我をしてしまっていて、猫の元気がない可能性があります。
猫が病気にかかっている場合、最初の項目でご紹介したような、特定の病気を除いてはだいたい食欲がなくなっていくもの。
また、毛の長い猫の場合は皮膚病などにかかっていても、なかなか飼い主が気が付かない場合があります。
わたしも昔経験があるんですが、猫が手で頬をこするような仕草を、何回もしている時期がありました。普段から毛づくろいなどでそういう仕草はすることから、特に気に留めていなかったのですが、ちょっと頻度がおかしい気がする。
ちょうど、ノミ除けのお薬をもらいに動物病院へ行く機会があったので、先生に聞いてみたところ、なんと頬っぺたに軽い皮膚病がありますと言われてしまいました。
どんなに気をつけていても、なる時はなりますと言われましたが、毛づくろいじゃなくて痒かったとは予想していなかったのでビックリ。日ごろから、行動や仕草をよく観察することが大切だなと感じました。
また、猫の健康を守るために、必ず知っておいてほしい大切なバロメーターがあるんです。
それは、猫のオシッコ。
猫のオシッコには健康情報がたっぷり含まれています。毎日のトイレ管理は、掃除だけでなく、貴重な健康チェックのチャンス!普段の状態を知っていればこそ、異変にも早く気づいてあげられるもの。最低でも月に1度は、オシッコ(液体)そのものをチェックする習慣をつけましょう。
意識しないと、よくよく見ないと思いますが、定期的にでもスケジュールを決めてチェックしてあげると猫ちゃんもあなたも安心できるでしょう。
【対処法】定期的に健康診断をする
人間みたいに、猫にも健康診断があるのはご存知でしょうか。動物病院によると思いますが、価格は大体5,000円~10,000円ほどで受診が可能。
1歳未満の子猫…毎月受診
1歳~6歳の成猫…一年に1回
7歳~…一年に2~3回
猫の年齢によっても、検査項目は変わってきますので、それによって価格も変わります。かかりつけの病院で一度問い合わせてみてください。
特に猫は、ガマン強い性格のため、体に不調があっても隠そうとします。
猫のオシッコチェックや、日ごろから猫の仕草に変化がないか気を付けてみてあげることはもちろんですが、やはり病気・怪我はお医者さんにきちんと診てもらうと安心ですよね。
2.気温が合わない
猫は、生活している室内の気温が暑すぎたり、寒すぎたりすると不快に感じ、元気がなくなってしまう場合があります。
これはわたし達人間でも、同じですよね。暑すぎたり寒すぎたりするのは誰だって不快になると思います。猫は、寒さにあまり強くないことから、風邪を引く原因にもなってしまうため、冬の室内温度は特に気を付けてあげたいところ。
夏場も、あまりにも暑い状態が続くとわたし達と一緒で、熱中症になってしまいます。そのため、わたし達がきちんと室内温度を管理してあげなくちゃいけません。
【対処法】室内温度の管理を徹底
猫が快適に感じる気温は、25℃~28度ぐらいと言われています。室内で猫を飼っている人は、エアコンで温度を管理してあげてくださいね。家を留守にする時も、エアコンはつけたままが良いでしょう。
電気代が気になるという人は、長時間家を空ける際は狭めの部屋に猫を移して、一部屋だけエアコンをつけていくなど、工夫してみるのもおすすめ。
夏に猫が熱中症になる多くの原因は、密室状態の家の温度にあります。これを機に、室内温度を見直してみてくださいね。
3.ストレス
猫は環境の変化に強いストレスを感じる動物。赤ちゃんが生まれるなど、家族が増えたり家を引っ越したり、餌を食べる場所が変わったりなど理由は様々。
【猫が感じるストレスの例】
- 引っ越しによる環境の変化
- 餌皿を新しくした
- 食べる場所が変わった
- 一番なついている飼い主さんが留守
ストレスが過度にかかりすぎると、それが原因で食欲がなくなってしまう猫も少なくありません。
【対処法】ストレスを原因別に解消する
ストレスの原因さえ分かれば、それに合う解消法を見つけてあげましょう。例えばですが、原因別の対処法を一覧にしました。
ストレスの原因 | 対処法 |
引っ越しによる環境の変化 | できるだけ新しい家に早く馴染めるよう、お気に入りのマットやおもちゃで安心させてあげる |
餌皿を新しくした | 新しい餌皿が食べにくそうであれば、いったん使い慣れた餌皿に戻す |
食べる場所が変わった | 極端に食欲がなくなっている場合は、元の場所に戻してあげる |
一番なついている飼い主さんが留守 | 飼い主さんの匂いがついたおもちゃを置いて、匂いで安心させてあげる |
上記の表について、さらに詳しい対処法については以下の記事にまとめて載っていますので、こちらも続けてぜひチェックしてくださいね。
食欲がない状態が続くと危険
猫の元気がない時の特徴でもお伝えしましたが、食欲がなく、ご飯を全く食べない状態が24時間以上続く場合は、動物病院を受診してください。
もちろん、これまでにご紹介した特別な病気を除いた場合ですが、食欲があってきちんとご飯を食べるということは、健康に生きることに直結します。
猫がご飯を食べなくても大丈夫な時間の目安は、次の通りです。
生後三か月ほどの子猫 | 12時間 |
生後半年頃 | 16時間 |
1歳以上 | 24時間 |
この時間を超えてご飯を食べない状態が続くと、猫の肝臓機能に問題が発生すると言われており、猫の長時間の絶食はとっても危険です。
人間なら、数日間ご飯を食べなくてもすぐに生死に関わることはありませんが、猫の場合は命の危険があります。
まとめ
今回は、猫の元気がないのに食欲はある場合をはじめとした、「元気」と「食欲」をテーマにご紹介していきました。
猫に元気がないけど、食欲はある場合に考えられる原因
- 病気が隠れている
- 精神的にダメージがある
食欲が増す原因となる病気は、甲状腺機能亢進症(こうじょうせん きのう こうしんしょう)と糖尿病が主な病気として考えられます。本文中に、各病気の症状についても合わせて記載していますので、チェックしてみてくださいね。
また、病気が疑われる場合は、早期発見が大切。一刻も早く動物病院で診てもらいましょう。
その他、精神的にダメージを感じている時も、元気がない原因の一つ。いつもよりシュンとした様子であれば、最近猫の周りに変わったことはなかったか、猫とのスキンシップは十分足りているか振り返ってみてください。
そして、そもそも食欲がなくご飯を食べないという場合は、猫の様子をじっくり観察しましょう。この時間を超えて、ご飯を食べない状態が続くときは、病院で診てもらってください。
生後三か月ほどの子猫 | 12時間 |
生後半年頃 | 16時間 |
1歳以上 | 24時間 |
猫の不調にいち早く気が付くことができるのも、飼い主さんの役目。猫の健康や食欲が気になったら、この記事を参考に対処法を見つけてもらえればと思います。
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