猫ちゃんを飼っているとドライフードを噛まないで飲み込んでいる姿を良く見ますよね。我が家の猫ちゃんも急いで食べている時は飲み込んでます。
わたしたち人間はよく噛んで食事をするし、YouTubeで「カリカリを噛む音」みたいな動画も見かけますよね。そもそもドライフードを「カリカリ」って呼ぶくらいなので、「やっぱ噛まなきゃだめかな」と飼い主としては不安になりますよね。
でも実は、猫ちゃんは本来、咀嚼(そしゃく)をしない生き物なんです。
この記事で猫ちゃんの体の構造を知れば、猫ちゃんが噛まないで飲み込む理由と最も心配な消化不良を起こす場合の原因を理解して頂けると思います。
なぜ猫は噛まないで飲み込むか
猫の本来の食性が肉食性だという事、ご存じでしたか。日頃は温厚で、ゆったりした動きの多い猫ですが、実は、小獣や小鳥などを捕まえて狩りをする肉食動物なんです。
猫と一緒に遊んでいると、たまに早い動きをしますよね。飼い主さんも心当たりがあると思います。
そんな肉食動物の猫は警戒心が強く、獲物を捕らえた際は安全な場所まで運んでから食べる、という習性があるんです。特に母猫は子猫に餌をあげる為に自分のテリトリーに持ち帰ったりします。
では、なぜ肉食動物の猫はドライフードを噛まないで飲み込むのでしょうか。それは、猫の体の仕組みを知る事で、少しずつ理解が出来ていきます。
猫の体(歯や胃腸)の仕組みを解説
肉食動物の特徴は歯が鋭いといったイメージがありますよね。正にその通りで、獲物を捕らえる為の鋭い牙が必要なため、歯が発達しています。他にも胃腸など目には見えない体の部分にも特徴があるので、解説をしていきます。
因みに、わたしたち人間は雑食なので、猫たち肉食動物と草食動物の間といった感じです。
猫の歯は切り裂きやすい尖った歯が特徴
猫の歯は、30本で構成されています。人間が32本なので、本数にあまり差はありませんね。でも、発達している歯の種類が全然違うんです。猫の歯は大きく3つの種類「切歯」「犬歯」「臼歯」に分類されます。それぞれの特徴は以下の通りです。
切歯 |
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犬歯 |
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臼歯 |
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猫の歯はすべて、獲物を捕らえて切り裂いたり、噛み千切ったりする事を目的に尖って発達しているのがわかりますね。
イラストや漫画だと可愛いイメージが満載の猫ちゃんですが、まじまじと見ると歯は鋭いんですよ。ちょっとたくましさを感じられる一面ですね。
侮れない猫の噛む力
実は、猫の噛む力は約100Kgにもなります。猫は、犬歯を突き刺して獲物に止めを刺すため、噛む力がとても強いんです。
ちなみに人間は約60Kgといわれていますので、猫の噛む力もなかなかのものですよね。
猫の胃腸は消化能力が人間よりも高い
猫は肉食動物の為、胃が比較的大きく、消化管は短い構造になっています。因みに、猫の消化管は体長の3~4倍しかありません。人間は体長の10倍ほどなので、その短さが判って頂けると思います。
ただ、猫の胃の消化液はとても酸性度が高く、小腸もとても発達していて大きな粘膜の壁をもっています。
この事から、猫はドライフードを噛まずに丸呑みしても喉を通れば、基本的に消化できるようになっています。
そんな猫は穀物の消化が苦手
肉食動物の猫は、体を作る大事な栄養素のたんぱく質を消化酵素で分解する能力にたけているのですが、その反面、穀物や植物の消化は得意ではありません。
キャットフードでグレインフリーなど肉がメインになっているフードが売れているのは、このような理由もあるんですね。
穀物や野菜の苦手な猫に、人間の食べ物をあげるのもやめましょう。
あげたい気持ちはすごく判ります。近くによって来てくれると可愛いですしね。ただ、癖になると辞めさせるのが大変ですし、体調に悪影響となってしまいます。
餌を飲み込んで消化できない場合に考える事
基本的に猫が飲みこんで問題ないキャットフードですが、下痢が続いたり、しばしば嘔吐している場合は、消化不良の可能性があります。
その場合、以下の事が考えられますので対策を考えていきましょう。
- 食物アレルギー
- 栄養バランスの悪い食事
- 毛球症(もうきゅうしょう)
食物アレルギー
猫にも食物アレルギーがある事をご存じでしたか。人間社会はアレルギーがあふれて、皆さん気にしていると思いますが、猫にもあるんです。
一般的なアレルゲンは以下5つです。
- 牛肉
- 乳製品
- 穀物(小麦、大豆など)
- 鶏肉
- 卵
食物のアレルギーでの症状は、「掻く」「なめる」「噛む」といった動作です。症状がきつい場合は消化器系疾患などになってしまう事もあるので、気をつけましょう。
特に穀物は猫の苦手分野になりますので、食事後の猫の動作が気になったら、穀物不使用(グレインフリー)のキャットフードを選ぶなど、猫ちゃんにあった食事に変えてみてください。
栄養バランスの悪い食事
食物アレルギーに近い内容ですが、栄養バランスの悪い食事も、上手く消化できない原因になる事があります。
例えば、猫の大好きな青魚。マグロやサバなどの青魚には不飽和脂肪酸が多く含まれており、たくさん食べすぎると消化不良を起こしたり、イエローファット(黄色脂肪症)になったりします。
穀物などの炭水化物の取りすぎも下痢や便秘などに繋がりますし、他にも摂りすぎては身体によくない栄養素は数多く存在します。
毎日の食事なので、キャットフードは栄養バランスがいい総合栄養食を選び、バランスの良い食事を心がけましょう。安全基準も確認するとより良い食事がとれますよ。
毛球症(もうきゅうしょう)
餌以外にも原因がある場合ばあります。長毛種などにありがちな、毛球病(もうきゅうしょう)という病気が考えられます。
毛球症とは、毛づくろいした際に猫が毛玉を飲み込んでしまい、胃の中に毛玉がたまっていく事により、キャットフードを食べた時に苦しくなって吐いてしまう病気です。飲みこんだ毛は体内では消化されないんです。
胃の中で胃液と猫の毛がもつれる事で、毛球が大きくなっていき腸に詰まった時に、症状が悪化して見つかる事が多いです。
毛が長い猫はこまめなブラッシングとストレスを与えない事で毛球症を予防する事が出来ます。高繊維の食事を与えたり、猫草を与えたりすると対策にもなりますよ。
まとめ
今回は、猫が餌をかまないで飲み込む事が気になる方へ、猫が餌を噛まないで飲み込む理由と、猫が餌を飲み込んで消化不良を起こす場合の原因について、解説をさせて頂きました。
前半では猫の体の仕組みについて大きく2点の解説を致しました。
「切歯」「犬歯」「臼歯」の3つに分類され、尖った形状の歯が多く、噛み切るに特化していて、噛む機能は少ない
胃の消化液の酸度が高く、小腸も発達しているので、ドライフードを飲み込んでも、基本的に消化できる
後半は餌を飲み込んでいる猫が、上手く餌を消化出来ていない場合に考える事について解説しました。理由は大きく3つでしたね。
- 食物アレルギー
- 栄養バランスの悪い食事
- 毛球症
猫の体の仕組みを理解すると、噛まない事への不安が解消されたと思います。わたしも最初は噛まない事に不安がありましたが、今は餌を噛まないで飲み込んでいる猫を、心配せず温かく見守っています。