あなたの大切な家族である猫ちゃん。今、何歳なのかわかりますか。
もしあなたの猫が、保健所から引き取った保護猫や、道端で助けた野良猫の場合、小さな赤ちゃんではない限り、何歳なのか判断するのは難しいですよね。
やさしいあなたが愛情をもって飼うことに決めた、その猫ちゃん。元気そうでも「年齢不詳」のままだと、適切な対応ができないことがあります。
例えば、年齢によって餌の種類が違ったり、去勢手術のタイミングが遅くなって体に負担がかかったり。顔つきが幼いから若いと思っていたら、想像以上に老猫さんだった、なんてこともあります。
せっかく家族に迎え入れたのに、「年齢を知らなかった」だけで後悔してしまったら、すごく悲しいですよね。そこで今回は、「保護猫」「野良猫」の年齢を、見た目で判断する方法について、詳しく紹介していきます。
猫は見た目で年齢がわかる!
保護猫などをお世話することに決めた場合、この子はいったい何歳なのかは気になるところ。実は、特別な知識や資格がなくても、簡単に推測することができます。
見た目から判断することができるので是非参考にしてみてください。
見た目による見分け方
猫の年齢は、3つの特徴で推測することができます。
- 歯の状態
- 目の中
- 毛並み
それぞれの調べ方には、メリットやデメリットがあります。
部位 | メリット | デメリット |
歯の状態 | 一番カンタン・子猫の年齢が正確にわかる | 5歳以上からは大雑把な年齢しかわからない |
目の中 | 成猫の年齢が正確にわかる | 準備する物がいる・やや難しい |
毛並み | 老猫なら一目でわかる | 大雑把な年齢しかわからない |
それでは、年齢ごとにどんな変化があるか、詳しく見ていきましょう。
歯の状態
猫の年齢を判断するうえで一番ポピュラーなのは、歯を見ることです。
猫は、顔つきや体の雰囲気に年齢が出にくいのですが、歯には早いうちからわかりやすい変化があります。この変化を、年齢別にまとめました。
生後すぐ~半年 |
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生後半年~1歳 |
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1~2歳 |
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3~5歳 |
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5~10歳 |
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歯の状態から年齢を予想するのは、誰でも簡単にできる反面、大きくなってくると「だいたい5~10歳かな」などと大雑把な年齢しかわからないといった欠点もあります。
より正確に知るためには、次に紹介するほかの方法も試してみてください。
目の中
次に紹介するのは、目の中にある「水晶体」というレンズに光を当て、反射を見て年齢を調べる方法です。
【水晶体の調べ方】
- 医療用ペンライトを用意する
- 暗い部屋に連れていく
- 20センチの距離をとる
- 瞳の横からゆっくりとライトを当てていく
- 目の中の光を調べる
目の中に光が見えたら、その大きさで年齢を予想することができます。光は、三つほどあると思いますが、一番大きく強く反射しているのは角膜で、これは年齢測定とは関係ない光です。
その奥にある、小さな2つの光が、水晶体の反射です。ペンライトを動かすと、同じようにうごくのが「前面光」、逆方向に動くのが「後面光」と呼ばれています。
この2つの直径を計って年齢を割り出していきます。これが大きいほど高齢です。
年齢 | 前面光 | 後面光 |
0~4歳 | 見えないほど小さい | 見えないほど小さい |
5~7歳 | 見えないほど小さい | 1.5mmほど |
7~9歳 | 1mm | 2mm |
9~13歳 | 1.5mm | 2.5mm |
13~15歳 | 2mm | 3mm |
15歳以上 | 3mm | 4mm |
そう思う方も多いかもしれません。わたしも少し前まで思っていました。でも、実は医療用ペンライトは、簡単に安く手に入るのです。こちらは、上の表で紹介した「直径」を計測できる目盛りつきで、便利なのでおすすめです。
毛並み
毛並みは、老化とともにわかりやすく変化がでてきます。ざっくりとした年齢を知りたい方にお勧めです。
年齢 | 特徴 |
---|---|
生後半年~9か月 | ふわふわの綿毛から生え変わり始める |
2~4歳 | なめらかでつやのある、猫らしい毛並み |
7歳以上 | ぼそぼそしている・毛並みが割れている・白髪がある |
年を取るごとに毛並みに変化が出るのは、皮脂の分泌が減ってしまうからです。かなり高齢になってくると、カサカサしたり、フケがでたりします。
また、自分でグルーミングをしなくなるので、毛玉ができやすくなりぼそぼそとした毛並みになります。これは老化すると仕方のないことなので、コミュニケーションを兼ねて、飼い主さんがブラッシングしてあげてください。
この時、老猫の毛は強く引っ張るとごっそり抜けてしまうことがるので、ゆっくり優しくがコツ。でもわたしは、丁寧にやるあまりブラッシングに時間がかかりすぎて、後半は嫌がられてしまったことがあります。毎日少しずつやってあげるのが、一番いいみたいです。
老化か病気か判断しよう
これまでに紹介した「歯」「目」「毛並み」に現れる変化が、単なる老化ではなく病気のサインという可能性もあります。たとえば、先ほど紹介した、老化によるカサカサやフケが実は皮膚病によるものだった、というケースもあります。
歯石の付きすぎは病気の危険性大
猫は、早いペースで歯が黄色くなっていきます。着色だけなら問題ないですが、大きな歯石や茶色く固まった歯石があった場合、歯周病になる危険が高いので要注意です。
歯垢がたまるのは、小さいころからの歯磨き習慣で防ぐこともできますが、もうすでにこびりついてしまっている、という猫は病院で除去してもらう必要があります。
他にも、歯肉が赤い、口内炎があるなど、口の中をチェックすることで気づく病気はたくさんあります。口内トラブルに関する詳しい内容は、こちらの記事で紹介しています。
白内障の早期発見につながる
「白内障」という目の病気は、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。白内障は、予防するのが困難なのに、発見が遅れると治療ができず失明してしまうという、とても厄介な病気です。
症状として目の色が変わるので、一見わかりやすそうですが、一般的な飼い主さんは、目のほとんどが白くなるまで(かなり進行するまで)気づかないそうです。
大切な愛猫の目を守りたいのに、為す術もないのか…と思われた優しい飼い主さん、大丈夫です。「予防」は難しくても、「早期発見」はできます。
しかも、年齢を調べるのより、簡単です。
- 正面から見たとき、目が白っぽい
- 瞳孔がずっと開いている
- 物にぶつかる(つまずく)
などの症状が見られたら、白内障のサイン。すぐに獣医さんに相談しましょう。早いうちに気づくことができれば、目薬で症状の進行を遅らせたり、手術でまた見えるようになったりします。
白内障以外にも、目やに、充血などから様々な病気のサインを受け取ることができます。愛猫の目の中をチェックしよう、と思っている方は、そういったチェックで「セルフ健康診断」として見てあげるのがおすすめです。
皮膚の乾燥やフケは、カビのせいかも!?
老猫になると皮膚が乾燥したり、フケがでてくると紹介しましたが、単に老化のせいだけでなく「カビ」や「アレルギー反応」の可能性もあります。
わたしの友人は、保護猫をもらった際に「目の中をチェック」をして、年齢を調べたそうです。その時4歳だと思ったけど、毛並みでいうとかなり年を取って見えるなぁと感じ、皮膚病を疑って病院に連れて行ったところ、まさに毛に「カビ」が生えていたそうです。
このときのカビは、薬と部屋の掃除ですぐに治まり、今では健康に暮らしているそう。その友人は、「早く病院に連れていけてよかった。年齢を調べる方法を知っていたおかげ」と嬉しそうに話していました。
このように、毛並み以外の見分け方では若いと思ったのに、皮膚がかなりおばあちゃんっぽい…かゆそう…などと思われた飼い主さんは、皮膚病を疑って早めに獣医さんに相談するのが鍵です。
年の取り具合は生活環境や品種で違う
猫の年の取り方は、かなり個体差が出てきます。
もちろん人間でもひとそれぞれ「若く見える」「老けて見える」などありますが、猫の場合「屋外」「室内」で大きな差があるため、人間とは比べ物にならないほど、年の取り方に個体差が生まれます。
野生での生活
野良猫は、室内飼いの猫の2倍のスピードで年を取るといわれています
過酷な環境下で狩りをしているので、キャットフードしか食べていない室内猫に比べて歯の摩耗が早く、雨風にさらされるため、毛並みも早いうちからぼろぼろになります。
野良猫を保護した場合は、そういった点も考慮して年齢をはかる必要があります。毛並みの見た目だけでは若いのか年を取っているのかわかりづらい場合でも、先ほど紹介した3点をうまく組み合わせると、野良猫でも正確に年齢を割り出すことができます。
品種による違い
品種や性別などによる違いはあるのか、見ていきましょう。
- 血統…混血種と純血種
- 大きさ…大型種と小型種
- 性別…オス猫とメス猫
この3点で、どちらの方がどれほど長く生きるのか、調べました。
血統 | 混血のほうが長生き |
大きさ | 小型のほうが長生き |
性別 | メスのほうが長生き |
一般的には、このように年齢(寿命)に差があります。といっても、この差はわずかなものなので、年齢を見分けるときは、ほとんど気にする必要はないのです。
まとめ
今回は、野良猫や保護猫の年齢を、見た目で調べる方法について解説しました。
- 歯の状態・・・黄ばみや摩耗、歯石を見る
- 目の中・・・・水晶体に医療用ペンライトをあてる
- 毛並み・・・・毛玉や毛の割れを見る
特別な知識がなくても、簡単に年齢を推測することができます。すべての保護猫の飼い主さんが、猫の本当の年齢を知って、ずっと幸せに暮らしてもらえたら幸いです。