わたしがSNSでフォローしている猫好きさんの中に、自分がギターの練習を始めると猫ちゃんがすぐに近くまで寄って来てくれるという人がいます。
ギターの音色が聞こえるとすぐに近寄ってくる姿も可愛いのですが、指定席でもあるギターケースの中に入ってぐっすりと眠る姿もとてもかわいらしいんです。
ある日、同じSNSを見ていた友人からこんな一言が。
よくよく見ると、確かにそんな気がしなくもない。
でも、ギターをうっとり聞いているようにも見える。
猫も音楽を楽しめるのなら、ぜひゆねと一緒に音楽を楽しみたい。
そんな気持ちから、猫の音楽講座を開くくらいの勢いで猫と音楽の関係について調査しました。
調査の結果、猫も人間と同じように好きな音楽があること、そして世の中には猫のための音楽も存在しているということが判明しました。
今回の記事を見て、猫と一緒に楽しいミュージックライフを実現するための第一歩を踏み出しましょう。
猫には猫好みの音楽がある
猫が好きな音楽を知る前に、そもそも猫はどれくらいの音が聞こえているのか、好きな音がどういう音なのか気になりませんか。
そんな音にまで気を使ってしまう心優しい飼い主さんに、まずは猫の聴覚(聞き取る力)についてお話します。
猫の聴覚について
人間の場合は、まだ母親の中にいるときから聴覚はすでにあり、母親の声や心臓の音を聞いて発達していきます。
しかし、猫は生まれてから聴覚が発達するため、生まれてすぐの時はほとんど音が聞こえていません。
大体、生後2~3日目からすでに聞こえ始めていて、生後1か月頃には兄弟猫の鳴き声と人間の声の聞き分けができるようになります。
鳥の鳴き声やお母さんや兄弟のゴロゴロ音、おっぱいを吸う時の音を聞きながら成長し、最終的に、聴覚は猫の五感の中でもっともすぐれた感覚になります。
これは、猫が暗い林や森の中で獲物を待ち伏せすることで生き抜いてきた種族のため、音に対してはかなり敏感に進化してきたためと言われています。
猫の聞き取れる音の周波数は30~65,000ヘルツと言われています。
人間の耳で聞き取れる音の周波数は25~25,000ヘルツと言われているので、猫は人間よりも3倍以上の広範囲の音を聞き取ることができるということになります。
猫の好きな音について
人間にも、聞いて心地の良い音や癒される音というのがあります。
音に敏感な猫にももちろん、好きな音が存在します。
周波数で言うと、8,000ヘルツの倍音である高くて柔らかい音が好きなのだそうです。
ちなみに8,000ヘルツというのがどのくらいの高さの音なのか、気になる方は下の動画を参考にしてください。
聞いてみた方はお分かりかとは思いますが、とても高い音です。
そのせいもあるのか、猫は男性よりも女性に懐きやすいという話もあります。
また、途切れずになめらかに繋がっている音もお好みのようです。子猫の鳴き声なんかは、まさにそうですよね。
猫は人間よりも聴覚がとても優れているので、大きな音は嫌う猫ちゃんが多いです。
花火や雷の音にビックリして隠れてしまう姿を見たことがある飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
他にも低い音(捕食動物を連想させる)や超音波も苦手なようですが、特に要注意なのは金属音。
金属音を聞くと、10歳以上の猫ちゃんの中にはてんかん発作を起こす可能性もあるため、高齢の猫ちゃんには静かな環境で過ごせるようにしましょう。
猫が好きなのはどんな音楽?
好きな音があるということは、好きな音楽も存在するんじゃないかと思った方もいらっしゃると思います。
猫の好きな音楽その①:クラシック
2015年にポルトガルのリスボン大学の研究チームが避妊手術で全身麻酔をしている猫に様々なタイプの音楽を聞かせる実験をしました。
その結果、クラシックを聞いているときに呼吸を落ち着かせていた猫が大半だったようです。
クラシックの中でも特にモーツァルトの曲は高い周波数が出ることも有名で、猫が好む音楽として有名です。
猫の好きな音楽その②:ロック
クラシックとは真逆のタイプであるロックも、猫が好きな音楽と言われています。
もちろん、これにはきちんとした理由があります。
猫の心拍数は150~180回ですが、このテンポがロックとよく似ているんです。
動物は自分の心拍数とよく似ている音を聞くとリラックスすると言われているので、猫がロックを聞いてリラックスするのも納得です。
<猫の好きな楽器>
冒頭の飼い主さんのお話でもありましたが、猫はギターが好きというのはよく聞かれる話だそうです。
この理由には「ギターに開いている穴が気になる」「ギターケースに興味がある」「ギターを弾いている時の飼い主さんの手の動きが好き」など、諸説あります。
色々な説はありますが、「ギターの音自体が好き」というのもかなり有力なようで、特にクラシックギターの少し低めの音が好まれるようです。
ほかにもピアノの音に癒されると感じる猫もいるらしく、ゆったりとした曲ならばそのままぐっすりおやすみタイムに突入、なんてことも。
人間と同じように、すべての猫に言えることではないので、自宅の猫ちゃんの好みの音を探してみるのもいいかもしれませんね。
猫のための音楽CDが存在する!
猫にも人間と同じように、好きな音や音楽があります。
けれども、世間にあるほとんどの音楽は、人間が楽しむために作っているもの。
しかしそんななか、猫のために作曲された音楽というのが動画サイトで更新されたり、CDが発売されたりもしています。
「ねこのための音楽~Music For Cats~」
このCDは、猫が好きな音楽を科学的に研究・実証して作曲された楽曲が集められているものです。
日本では2017年2月20日に発売されましたが、一足先に発売されたイギリスでは全英チャートで33位になりました。これは非人間向き音楽としては史上最高位になっています。
またitunesクラシックチャートでは1位を記録していて、その勢いがどれほどすごいものなのかはお分かりいただけるかと思います。
レコード会社は「UNIVERSAL MUSIC」で、日本では福山雅治さんやスピッツさん、perfumeさんなど大物アーティストがたくさん所属しています。
そんな大手メジャーのレコード会社が人間向きではない音楽が発売されたのも、そもそも初めてのことだったのとか。
作曲者について
この作品を制作したのは、20年以上にわたってワシントン・ナショナル交響楽団でチェロ奏者を務めた作曲家のデヴィッド・タイさんです。
「なぜ音楽は人間の脳に影響を与えるのか?」といったテーマを研究している音楽研究者でもあり、心理学の教授や動物学者とともに猫のための音楽を制作したものがこのCDです。
最初は猿の好きな音楽の研究から始まり、その次に猫の研究を始めました。
このCDでは猫が興味をもちそうな音(鳥の鳴き声やゴロゴロ音など)を、猫同士がコミュニケーションに使うピッチとテンポで再現し、それが猫のための音楽となりました。
効果とCDの評価
効果についてはとても気になるところだと思いますが、実際にこのCDを聞いた猫の77%が好意的な反応を示していたそうです。
また、Amazonでのレビューも高評価(日本では平均☆3.8)が多く、効果は高いと言えそうです。
飼い主さんと同じ音楽を好きになることも!
音楽好きな飼い主さんにとっては、普段自分の聞く音楽を猫にも好きになってもらいたいと思う人は多いはず。
好きな音楽が一緒であれば、リラックスタイムを猫と一緒に過ごすことができ、お互いに癒されるようになり、一石二鳥です。
そんな人に朗報です。
なんと、猫が飼い主さんと同じ音楽を好きになってもらう方法があるんです。
これからその方法についてお話します。
嬉しい時に流れている曲を好きになる
自分にとってとても嬉しいことがあった時、もしくはとても悲しいことがあった時に流れていた音楽をよく覚えているのではないでしょうか。
猫も似たところがあり、自分にとって嬉しいことと音を結び付けて覚えるのだそうです。
飼い主さんがエサをあげたり、一緒に遊んだりおやつをあげるときに流れる音楽を同じにすると、その音楽が流れるといいことがあると思い、その音楽を好きになるのです。
まとめ
今回の記事では、ひたすら猫の好きな音や音楽についてお話しました。
最後に内容をひとまとめします。
- 猫の聴覚は五感の中で最も優れており、人間の3倍以上の高さの音を聞くことができる。
- 猫の好きな音は周波数8,000ヘルツの倍音の高くて柔らかく、滑らかな変化のある音。
- 嫌いな音もあり、特に高齢の猫が金属音を聞くとてんかん発作を起こす可能性がある。
- 猫の好きな音楽はクラシックとロックが科学的にも証明されている。
- 「ねこのための音楽」というCDが発売され、世界的に大ヒット。
- 嬉しい時に聞いた音を好きになりやすい。
猫にも人間と同じように、好きな音楽があって、音楽を聞いてリラックスをする効果があります。
しかし、すべての猫に同じことが言えるわけではなく、クラシックやロックが苦手な猫もいますし、中には音楽そのものにストレスを感じてしまう猫もいます。
愛猫が音楽を好きになってくれるのかどうか、様子を見て、好きな音楽を見つけた時は一緒にミュージックライフを送ってみてはいかがでしょうか。