まだ首も座らない赤ちゃんのお世話をしながら、合間を見計らって連絡をくれました。
慣れない育児に精一杯で、猫ちゃんとの関係性もなかなか修復できないようです。
皆さんも久しぶりに帰省したら、実家の猫ちゃんに忘れられちゃったのかもと感じたことがあるのではないでしょうか。
ここでちょっと疑問が生まれます。
猫ってどれくらい離れ離れになると、飼い主の事を忘れてしまうのでしょうか。
犬とは違ってあまり芸を覚えることに積極的ではない猫。記憶力がいいというイメージはあまりないかもしれません。
しかし調べてみると、ちょっと意外な真実に辿りつきました。
皆さんも、わたしと同じように思う事間違いなしですよ。
今回はそんな、猫の記憶力についてのお話をしていきますね。
そもそも『猫がどうやって人を判別しているか』や、『忘れられないための対策』についてもお話ししているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
猫は記憶力が良い!
一言に記憶力と言っても、猫だけでなくわたしたち人間も得意不得意があったりしますよね。
まずは「飼い主を忘れてしまうのか」という話の前に、猫の記憶力そのもののお話をしていきますね。
「覚える」のは得意
猫の記憶力はとても優れています。
みなさんのおうちの猫ちゃんたちも、たった一度の経験で何かを覚えてしまいませんか。
猫のご先祖様は犬のように群れをつくることなく、単独で行動していました。
そのため、安全な食べ物・安全な寝床・身の安全を脅かすものなど、自分の身を守るためには他の猫に頼ることなく自分自身で様々なことを覚えておく必要がありました。
つまり猫にとって記憶力は、生きていくうえで必要な能力だったのです。
この覚えるということには、短期記憶と長期記憶の2種類があります。
瞬時に何かを覚える際に発揮される記憶力。
特に猫は短期記憶が優れており、約10分覚えていられる。(人間の平均は30秒)
《人間の短期記憶の例》
料理をする際に、調味料をどれくらい入れるかを見て、その量を入れる。
レシピを覚えようと頭の中で意識しない限り、調味料をどれくらい入れたか忘れてしまいますよね。このような一時的な記憶の事を短期記憶と言います。
短期記憶を繰り返すことで、長期的に覚えていられるようになる記憶力。
猫にとっての「嬉しい」や「怖い」などの感情と結びつきにくい経験や、興味のないことは長期記憶になりにくい。
《人間の長期記憶の例》
同じ料理を作っているうちに、レシピを参考にしなくても調味料の量がわかる。
特に短期記憶に優れている猫ですが、興味のない事には発揮されないというところは、なんとも猫らしいと思ってしまいますよね。(笑)
興味のないことは覚える気がない
猫の生活に関わらないようなことは、あまり記憶に残りません。
猫はわたし達人間のように、「覚えておかなくちゃ!」と反芻(はんすう)※したりはしませんよね。(※反芻…繰り返し考える)
そのため多くのことは短期記憶にとどまってしまいます。
猫に何かを覚えておいてほしい場合は、いかに興味をひけるか、関心を持ってもらえるかが重要になります。
飼い主の事を忘れるのは何日?何カ月?
何か特別な理由があって猫と離れ離れにならないといけない飼い主さんにとって、どれくらいの期間なら覚えていてくれるかは知っておきたい情報ですよね。
猫の記憶力が良い事がわかったところで、肝心の「猫がどれくらいで飼い主の事を忘れてしまうか」を解き明かしていきますね。
猫は飼い主をいつまで覚えている?
猫が全く会わない飼い主の事を覚えていられる期間は、2~3年ではないかと言われています。
これは猫の記憶力と言うよりも、どれだけ一緒に過ごした時間があったか、どれだけ積極的に関わりを持っていたかに左右されるため、一概に言い切るのは難しいです。
言葉にしてしまうと難しく捉えてしまいがちですが、記憶力の良い猫にとって心に強く残った思い出は色あせないんですね。
先ほどお話ししたように、猫は短期記憶に優れ、生きていくためには長期的に何かを覚えておくこともできる動物です。
そのため、猫だからといって飼い主を覚えておくことができない、すぐに忘れられてしまうという心配はありません。
ただ、わたし達人間も「すごくお世話になった恩師は覚えていられるけれど、隣のクラスの担任の先生の顔は思い出せない」なんてこと、ありませんか。
猫はこんな風に『他人と思い出を振り返る』ことはできないので、全く会えない状況が続いてしまうと記憶の奥底に埋もれてしまい、まるで忘れ去ってしまったような状況になってしまうんです。
飼い主を覚えていられる期間は約2~3年。
これは人間と同じで、忘れているというよりも、他の記憶に埋もれてしまい思い出せなくなってしまう期間の目安である。
猫と会話をすることはできませんが、別のアプローチ方法でわたし達のことを覚えておいてもらう方法をご紹介しますね。
覚えていてもらう方法
離れた距離にいる猫に少しでも自分のことを覚えていてもらうためには、時々思い出してもらう工夫をする必要があります。
まず1番効果があるのは、会えない期間を短くすることです。
3~6か月に1回のペースで会いに行くと、猫に忘れられてしまうことはないでしょう。
それが難しいようであれば、ビデオ通話をしてみたり、昔よく来ていた洋服を飾ってもらうなど聴覚・嗅覚・視覚で思い出してもらえる工夫をしてあげるといいですよ。
猫との距離を感じたら…
意外にも猫は記憶力が良いということがわかりましたね。
ではなぜ、冒頭でお伝えしたわたしの友人のように、久しぶりに会った猫にそっけない態度をとられてしまうのでしょうか。
これは忘れられてしまっているのではなく、同一人物であるとピンと来ていない可能性が高いです。
猫が人をどう判別しているのかをご紹介しますね。
- 話し方・歩き方など音の変化
- ニオイの変化
- 見た目の変化
1、話し方・歩き方など音の変化
わたし達は何かを判別する際に視覚に頼っていますよね。
猫は視覚よりも聴覚が優れているため、音で様々な物を判別しています。
その昔、身を隠しながら狩りをしていた猫にとって音による情報はとても重要で、そのぶん聴覚はとても優れています。
そのためまず真っ先に比べてほしいのは、猫と一緒に暮らしていた時と比べて話し方や声のトーンに変化がなかったかということ。
風邪をひいて鼻声になっていないか、話し方のイントネーションや雰囲気が変わっていないかなど気にかけてみるといいですよ。
また話し方や声のトーンと合わせて、帰宅方法も確認してみましょう。
猫の聴覚は人間や犬よりもはるかに優れているため、わたし達が玄関を開けるその前から、音により誰が帰ってきたかを感じ取っています。
いつもは自転車で帰宅していたのに今日は車で帰宅した、普段は履かないけれどヒールがある靴を履いているなど、普段とは異なる音ではなかったか振り返ってみるといいですよ。
ちなみに皆さん、猫の耳の毛に名前があるって知っていましたか。
耳にこんな特徴的な毛が生えていると、猫にとって聴覚がどれほど大切なものかがわかりますよね。
2、ニオイの変化
聴覚による情報の次に重要視されるのが、嗅覚による情報です。
嗅覚がいい動物と聞くと犬のほうがイメージが強いかもしれません。
しかし猫も他の猫とニオイの交換であいさつをするくらい、嗅覚に頼った生活をしています。「人」の判別においても、ニオイは重要な意味を持ちます。
家を離れ別の生活を始めた場合、慣れ親しんだニオイが消えてしまっているため別人だと思われているのかもしれません。
その他にも洗濯洗剤を変えた、タバコを吸うようになったなど、ニオイの変化がなかったチェックしてみましょう。
3、見た目の変化
猫の視力は0.1~0.2程度ではないかと言われています。
人間で言う視力0.1は、視力検査で出てくる″C”の一番上が見えるくらいです。
そのため、小さな変化には気づかないことが多いようです。
しかし久しぶりに会った飼い主さんが、髪の毛をバッサリと切った、メガネからコンタクトレンズに変えたなどの、大きな変化がある場合は戸惑ってしまうかもしれません。
まとめ
「猫は三年の恩を三日で忘れる」「犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」なんてことわざもありますが、意外にも猫は記憶力が良いということがわかりましたね。
猫の記憶力の良さについて、短期記憶と長期記憶に分けてご紹介しました。
瞬時に何かを覚える際に発揮される記憶力。
特に猫は短期記憶が優れており、約10分覚えていられる。(人間の平均は30秒)
短期記憶を繰り返すことで、長期的に覚えていられるようになる記憶力。
猫にとっての「嬉しい」や「怖い」などの感情と結びつきにくい経験や、興味のないことは長期記憶になりにくい。
また、猫が全く会わない飼い主の事を覚えていられる期間は、2~3年ではないかと言われていることもご紹介しました。
「猫に忘れられちゃうかな」と心配する必要はなく、長期間覚えていてくれるというのは意外だったのではないでしょうか。
2~3年経っていないにも関わらず、猫に「忘れられちゃった?」と思われる態度をされてしまう場合、それは同一人物だと気づいていないかもしれません。
そんな時は次の3つのポイントに変化がないかをチェックしてみましょう。
- 話し方・歩き方など音の変化
- ニオイの変化
- 見た目の変化
再び一緒に過ごす時間を過ごす中で、この3つの中の違和感がなくなればきっと思い出してもらえるはずですよ。