愛猫との毎日は楽しいけれど、トイレ以外の場所で排泄をされて困っているという方も多いのではないでしょうか。
片づけの手間や臭いに悩まされるだけでなく、教えても粗相を繰り返すことにいら立ちすら感じてしまいますよね。
実は、猫の粗相が治らないのには理由があったんです。
粗相をする原因に気付かずいろいろ試してみても、解決までには長い月日がかかってしまうかもしれません。
反対に、理由がわかればそれに合わせた対策をすれば良いということ。
猫歴30年、3匹の猫と暮らしてきた経験から、粗相を繰り返す猫の気持ちに迫りつつ解決策をお伝えしていきます。
長い間猫の粗相が治らずに悩んでいた方も、きっと解決への糸口を見つけていただけるはずです。
猫が粗相をする4つの理由
具体的に、粗相とはどんなことでしょうか。
状況はそれぞれですね。これは、一口に粗相と言ってもトイレ以外で排泄する理由が違うからなんです。
まずは、考えられる4つの理由を確認していきましょう。
- マーキング行為(スプレー行動)
- トイレに対する不満
- 飼い主への不満
- 病気(膀胱炎など)
おしっこの場合は理由によって量に違いも見られます。
マーキングであれば少量、それ以外は通常の排泄量という特徴があるんです。それを踏まえて、ひとつずつ解説してきますね。
マーキング行為(スプレー行動)
自分のなわばりを示すため、においを付けようとしているのかもしれません。
殺風景な家では落ち着かないから、お気に入りの家具や雑貨を置いて「自分の部屋らしくなったわ」と思ったりしませんか。
猫にとってのお気に入り家具や雑貨は、自分のにおいです。そして、においを付けるために使うのがおしっこ。
ですから、この行動によるおしっこは、排泄ではなく本能に基づく「マーキング行為」のひとつとして排出されるものというわけです。
しっぽをピンと立てて、スプレー上に尿を排泄する行為のこと。
- 高いところにかけるために立ったままする
- においを強くするために凝縮するので量が少ない
という特徴がある。
なわばり意識が強いオスがすることが多いですが、多頭飼いをしている場合はメスでも行う場合があります。
また、引っ越しや模様替え、来客や飼い主の長期不在など、日常とちょっと違う何かが起きると猫はストレスや不安を感じるんです。
- なわばりを守りたい(ペットや家族が増えた、部屋の環境が変わった)
- 精神的に落ち着かない(飼い主が不在、構ってもらえない)
- 他の猫が気になる(発情期、外に猫が見える)
猫のマーキングはにおいも特徴的です。においの秘密などもこちらで公開していますよ。
飼い主への不満
愛情は変わらないけれど、どうしても忙しくて愛猫との時間が取れない時だってありますよね。
でも、猫にはその事情がわかりません。
寂しいな、構って欲しいなという時に、飼い主の注意をひくために粗相をする場合があるんです。
トイレで排泄をしても横目でみるだけだった飼い主が、他の場所でしたら寄ってきてくれたり話しかけてくれると、つい嬉しくなる気持ちはなんとなく想像できますよね。
構ってもらえると思って、その後も繰り返してしまっているのかもしれません。
トイレに対する不満
用意されたトイレに何らかの不満があり、そこで用を足したくないというのが理由かもしれません。
トイレにこだわりがある猫って多いんです。
このようにこだわりポイントは猫によって違いますが、用意されているトイレよりも快適な場所を見つけるとそちらでするようになってしまうんです。
中には、飼い主からすると全く嬉しくないのですがふかふかお布団の感触がお好みの子も。
病気(膀胱炎など)
病気が原因でトイレに間に合わない、または行きたくても行けないという場合もあります。
このような状況になる病気はいくつかあるので紹介しますね。
- 泌尿器系の病気(尿路疾患、膀胱炎、尿石症など)
- 消化器系の病気(下痢、便秘、腸炎など)
- その他(関節炎など痛みを伴う病気や、認知症など)
泌尿器系の病気などで排泄時に痛みがあると、「トイレに行くと痛い思いをする」と思ってしまいトイレを避ける場合もあります。
今まではトイレでしていたのに、急に粗相をするようになった時は、一度動物病院で診てもらうと安心です。
病気に気付くサインなどはこちらでも詳しく紹介していますので、ぜひ読んでみてくださいね。
理由 | 猫の気持ち | 特徴 |
マーキング行為 | においをつけたい | 尻尾をピンとあげ高いところに吹きかける
(少量) |
飼い主への不満 | 注意をひきたい | 通常の排泄
(多量) |
トイレへの不満 | そこで用を足したくない | |
病気 | 間に合わない・行けない |
思い当たる理由はありましたか。
粗相に対する心構え
全ての飼い主さんに知っておいて欲しい心構えがあるんです。
怒ってはいけない!!
心構えとは、猫を怒らないこと。
トイレ以外、ましてや布団やソファに排泄されたら悲しいですし、「もうーーーーー」と怒りたくなってしまいますよね。
ですが、なぜ怒られているかを猫がわかってくれるとは限りません。
場所が悪かったから怒っているのに、「おしっこをしたから怒られたんだ」と思ってしまうこともあるんです。
そうなると、その後排泄を我慢してしまい病気になる可能性もあります。
また、先ほどもお伝えしましたが、構って欲しくて粗相をしていた場合は、過剰な反応が猫を喜ばせてしまうかもしれません。
すると、粗相を誘発することになりかねません。
いよいよ次は、それぞれの理由に合わせた粗相を治すための対策をお伝えしていきます。
粗相をなくすための対策
お待たせしました。それでは対策を見ていきましょう。
対策その1:去勢手術を受ける
- マーキング行為
去勢手術を受けていないオス猫の場合、マーキング行為による粗相であれば手術によって解決する場合が多いです。
わたしも、昔飼っていた「しゅり」の粗相にはだいぶ悩まされましたが、去勢手術を受けた後はすっかり治りました。
去勢手術には、マーキングだけでなく、性格が穏やかになったり将来生殖器の病気にかかるリスクも減らせるメリットがあるんですよ。
詳しくはこちらにまとめましたので、検討中の方は一度読んでみてくださいね。
対策その2:不安・寂しさを解消する
- マーキング行為
- 飼い主への不満
猫はささいなことで不安になるもの。
身の回りで何か変わったものはないか、よく考えてみましょう。それを元に戻す、またはその環境に慣れるように気を配ることで猫の不安が解消されます。
ペットや家族が増えた、引っ越しをした、家具を買い換えたなど、状況が変えられない時もありますよね。
そういうものが原因と考えられるときは、猫を安心させるために一緒に過ごす時間を長くするように心がけてあげましょう。
少し時間がかかるかもしれませんが、あたたかく見守ってあげたいですね。
マーキングをしなくても猫が安心できるニオイを付けるスプレーがあるんですよ。
それがフェリウェイというこのスプレー。なんと85%近くの猫のマーキング行為が治ったと言われているんです。
対策その3:使いたくなるトイレにする
- トイレへの不満
猫の不満を取り除いて、快適なトイレを用意してあげましょう。
では、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。
- 好みの形のトイレに替える
- トイレの場所を移動する
- トイレの数を見直す
- こまめに掃除をする
ひとつずつ解説していきますね。
愛猫好みのトイレに替える
猫がトイレ自体に不満を持っている時、こんな様子が見られます。
- トイレに入らず、ふちに足をかけたまま排泄する
- 猫砂ではなく空中をかく
- 排泄後、砂をかかずに急いでトイレから出る
それは猫砂や肉球が足に付く感覚や、広さに不満を持っているからなんです。
- サイズは方向転換しやすいように体長の1.5倍が理想
- 砂をかきやすいように深め
- 屋根なしの方がにおいがこもりにくく背中もあたらず快適
- 入口は低めが入りやすい
- 猫砂は粒が小さくぎゅっと固まる鉱物系が人気
トイレの場所を移動する
落ち着いて排泄するためにはトイレの場所も重要です。
- 急に人が来て慌てないよう、人通りの少ない場所
- 見られていては落ち着けないので、人目につきにくい場所
- においがこもらないよう、風通しも大切
- 食事をする場所からは離れたところ
我が家では、今は人間のトイレにゆねのトイレも置いています。
以前洗面所に置いていたこともあったのですが、洗濯機の音に驚いてしまったので移動しました。今のところゆねも気に入ってくれているみたいです。
おうちの間取りや生活環境によってもそれぞれですが、なるべく猫が落ち着ける場所を見つけてあげたいですね。
トイレの数を見直す
猫のトイレの数の理想は「猫の数+1」です。
なぜかというと、一つが汚れているときに使うからです。
何度かお話しているように猫はとても綺麗好き。一度使ったトイレは、掃除が済むまで使いたくないという子も多くいます。
普段はこまめに掃除をしている飼い主さんでも、仕事や買い物などの外出中に猫がトイレに複数回行く事ももちろんあります。
また、多頭飼いのおうちであれば「猫の数+1」は強くおすすめしたいところ。
その頃のわたしはあまり知識がなく、トイレは2つしか用意していませんでした。そしてある時、事件が起きたんです。
「みゅう」にトイレのタイミングが2回やってきて、両方のトイレを使ってしまったんです。すると、そこへやってきた「しゅり」。
「空いているトイレはありませんでした。」とばかりに、思い切り粗相をお見舞いされました。
今では懐かしい思い出の1つですが、これを防ぐための「猫の数+1」。ぜひ参考にしてくださいね。
こまめに掃除をする
いつもトイレを綺麗な状態に保ちましょう。
排泄物や砂の除去だけでなく、定期的に容器全体を掃除するのも大切です。こまめに取り除いていても、意外とにおいがしみついてしまっているんですよね。
このこびりついた汚れも次の方法で取ることができますよ。
- まずは水洗い
- クエン酸水で30分~1時間つけ置き
- 水で良く流す
- しっかり拭き取る(時間があれば天日干しがオススメ)
クエン酸は日常生活でも使えるので1つ持っていると便利です。水筒の茶渋を取ったり、水垢の除去にも使えますよ。
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そんな時に便利なお手入れグッズを見つけました。拭き取った後は猫が舐めても大丈夫というのが嬉しいポイント。
便利グッズと丸洗いを併用しながら、いつも清潔なトイレを保ちましょう。
対策その4:改めてトイレのしつけをする
トイレを覚えたはずなのに粗相をすると思っていたら、実はまだトイレを覚えていなかった、なんてこともあります。
改めてトイレのしつけ直しを考えてみるのも一つです。
こちらでトイレトレーニングについて解説しています。子猫向けではありますが、成猫だとしても同じです。
一度読んでみてくださいね。
対策その1:去勢手術を受ける
対策その2:不安・寂しさを解消する
対策その3:使いたくなるトイレにする
対策その4:改めてトイレのしつけをする
どうしても治らない粗相の予防策
どんなに対策をしても上手くいかないこともあるかもしれません。病気が原因であれば、治るまでの間は粗相が続いてしまいますよね。
そんな時は、粗相をされないように予防をしましょう。
- いつも粗相をされる部屋に入れないようにする
- 布団やベッドをビニール製のカバーで覆う
- トゲトゲの猫よけを置く
- トイレをその場所に置く
布団にされて困っていた友人は、ビニール製のカバーをかけたら粗相自体がなくなったそう。
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また、猫よけを愛猫に対して使うことに抵抗を感じてしまうかもしれません。
ですが、どうしても粗相をされては困るという場所には、猫よけというだけあって効果は抜群です。
最終手段はトイレの移動です。
まとめ
猫の粗相が続くと、精神的にも肉体的にもかなりの負担ですよね。
粗相が治らないのには理由があり、まずは猫の気持ちや状況を知ってあげることが大切とお伝えしました。
猫が粗相をする理由とその時の猫の気持ちは次の通りです。
理由 | 猫の気持ち |
---|---|
マーキング行為 | においを付けたい |
飼い主への不満 | 注意をひきたい |
トイレへの不満 | そこで用を足したくない |
病気 | 間に合わない・行けない |
粗相の原因が病気でなければ、次の対策をしていきましょう。
対策その1:去勢手術を受ける
対策その2:不安・寂しさを解消する
対策その3:使いたくなるトイレにする
対策その4:改めてトイレのしつけをする
いろいろな対策を講じても粗相が治らない時は、予防策を試してみてくださいね。
- いつも粗相をされる部屋に入れないようにする
- 布団やベッドをビニール製のカバーで覆う
- トゲトゲの猫よけを置く
- トイレをその場所に置く
猫の粗相は決して嫌がらせではないんです。
上手く伝えられない気持ちをわかってあげることが、粗相問題を解決するための第一歩。
猫も飼い主も、快適な毎日を送るためのヒントになれば嬉しいです。