こうしてパソコンに向かっている時に、愛猫ゆねがひざの上に乗ってきてお昼寝を始めることがよくあります。
ぽかぽかと温かくてこちらまで眠くなってしまうんですよね。
猫の体温が心地よい理由、それはわたしたちよりも平熱が少し高いからです。
猫も体調によっては熱を出すことがあります。そして反対に、体温が低くなってしまうこともあるんです。
熱があることへの危機感は誰しもが感じることですが、体温が低い状態を警戒することはあまりないのではないでしょうか。
ですが、低い体温は一刻を争うほど深刻な様子を表していることがほとんど。高い時はもちろんのこと、低い時こそ注意が必要なんです。
すぐに気付いてあげるためには、普段から猫の体温に敏感になっておくことがとても大切。
今回は、猫の体温に関する基礎知識だけでなく、高い時や低い時にすぐ対処できるよう、原因や特に危険な症状をお伝えしていきます。
毎日のスキンシップを大切にしながら、愛猫の健康を守っていきましょう。
猫の体温はどのくらい?
成猫の平熱は38~39度前後です。
体温は年齢によって変わります。一般的に子猫は少し高め、高齢の猫は少し低めであることが多いです。
猫の体温調節方法
わたしたちは暑くなると全身に汗をかいたり、寒くなると体を震わせたりして体温を調節しますよね。
【暑い時】
- 体を舐めて、水分が蒸発するときに熱が奪われる「気化熱」のしくみを利用し体温を下げる。
【寒い時】
- 毛を逆立てて空気の層を作り保温をする。
- 体を丸めて外気に触れる面積を減らし、体温が奪われるのを防ぐ。
- 体を震わせて筋肉を動かし、体を温める。
体に何かトラブルがある場合、この体温調整だけでは間に合わずに発熱・低体温として現れます。
では、どのくらいの体温の時が異常事態であるのか、具体的にご紹介しますね。
異常な体温の目安
猫がひざに乗ってきたり抱っこした時に、「少し熱い」「いつもほど温かくない」と感じることがあるかもしれません。
猫って体調不良を隠すのが上手なんです。「見た目ではいつも通りなのに実は熱がある」なんてことも多いんですよ。
猫の体調不良も平熱を基準とし、どのくらい違いがあるかで体調を判断します。
- 平熱より1度以上高い:発熱
- 平熱より1度以上低い:低体温
そうは言っても、普段から猫の体温を測られている方はあまり多くないのではないでしょうか。
わたしたちと同じように平熱は猫それぞれなんです。平熱が低い子にとっては39度では高熱の場合もあります。
おかしいと感じて測った時に危険度を把握するためにも、愛猫の平熱を知っておくと安心ですね。
体温の測り方
猫の体温を測る方法は3つです。
・肛門から測る | 動物病院でも行われ最も正確な体温を知ることができる |
・耳の中に入れて測る | 数回測れば正確性もアップ/簡単にできる |
・脚の付け根に挟む | 低い数字が出がち/どうしても嫌がる時に |
一つずつ詳しく見ていきましょう。
肛門から測る
わたしたちは脇に挟んで体温を測ることがほとんどですよね。
動物病院で経験があるかもしれませんが、猫たちの場合は体温計を肛門に差し込んで測ります。これで測れる体温を、直腸温度と言います。
一般的な平熱としてお伝えした38~39度も、この直腸温度です。
- 体温計にワセリンやオリーブオイルなどを塗って滑りやすくする
- 尻尾を付け根から上に持ち上げ、肛門が良く見えるようにする
- ゆっくりと2~3cmほど体温計を差し込んで測る
不安な気持ちから浅いところで測ると正確に測ることができません。しっかり差し込むことがポイントです。
こちらは水洗いもできるので衛生的。約10秒で測れるので、あっという間に終わり猫の負担も少ないですね。
「手元には体温計がないけれど、今すぐ体温を測りたい」という時には、人間用を使うことも可能です。サランラップを巻いたり、ビニール手袋を使用するなど、衛生面には十分に気を付けましょう。
ただし、動物用ではないので怪我をさせてしまう可能性あるので注意が必要です。どうしてもという場合のみの使用をおすすめします。
耳の中に入れて測る
次にご紹介するのは耳に入れて測る方法です。
尻尾をつかみ肛門から入れるのに比べて、猫にあまり嫌がられずに測ることができるのが嬉しいところ。
測り方は、耳に入れて待つだけです。
猫は耳の中が曲がっていて、測るのには少しコツが必要なんです。上手く測れないと低くでてしまうことがあるので、何回か測るようにすると確実性がアップします。
1秒で測れるので、数回行ってもあっという間に終わってしまいますよ。
測る場所が違うので、全く同じとはいかない場合もあります。わたしたちも、おでこで測る体温と脇で測る体温は違ったりしますよね。
ですが、いつも耳で測っていれば体温の変化には気づくことができます。肝心なのは平熱とどのくらい違うかですので、耳から測るタイプでも十分に健康管理ができますよ。
脚の付け根に挟む
わたしたちと似た測り方ですね。太ももの付け根に挟んで測ります。
とても簡単ではありますが、直腸温度より0.5~1.0度ほど低く出てしまいますので、その分を考慮しなければなりません。
毛が生えていない肉球や耳の付け根なども、日々の体温を感じることができますよ。毎日のスキンシップタイムに触ってみましょう。
注意!!【猫の体温が高い時】
わたしたちと同様、平熱よりも高い時は発熱している状態です。
特に平熱より1度高い時は要注意。目安は39度~40度です。できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
体温計がない場合は、耳や肉球を触ってみてください。少し冷たいのが正常ですので、暑いと感じた時は熱があるのかもしれません。
発熱時に見られる様子
熱があるかもしれないと感じたら、体温を測る以外に次の様子がないかを確認しましょう。
- 元気がない
- 食欲がない
- よろよろとしている
- 呼んでも来ない
- 心拍数が上がる(正常時:120~180回)
- 口を開けてハァハァと呼吸をする(パンディング)
その通り。ですが、猫がすることはほとんどないんです。
特に口を開けて呼吸をするパンディングをしていたら、かなり体内に熱がこもっている危険な状態です。病院へ急ぎましょう。
体温が高くなる原因
発熱する原因として考えられる主な原因は次の通りです。
- 怪我や腫瘍などによる炎症
- 猫風邪などの感染症
- 熱中症
怪我や腫瘍などによる炎症
先日息子が自転車で転んでひざを擦りむいたのですが、傷からばい菌が入ってしまい熱を出してしまったんです。
それと同様に、猫も膿むほどの怪我をした時に熱がでることがあります。
また、リンパ腫などの腫瘍ができている時にも発熱します。これは病院で細胞を取らなければはっきりとはわかりません。
猫風邪などの感染症
発熱を引き起こす感染症はいくつかあります。代表的なものを紹介しますね。
感染症名 | 発熱以外の症状 |
猫風邪 | 人間の風邪と似た症状 |
猫免疫不全ウイルス感染症 | 下痢やリンパ節の腫れ |
猫白血病ウイルス感染症 | 口内炎や風邪に似た症状 |
猫パルボウイルス感染症 | ひどい嘔吐や下痢 |
これらのウイルス感染から、肺炎や気管支炎を起こしてしまう場合もあります。早めの受診が肝心です。
【危険】熱中症
猫の体温が高い時に考えられる病気の中でも、特に早い処置が必要なのが熱中症です。
気温や湿度が高いところで長時間過ごしたり運動をすることで、体温調節ができなくなってしまう病気のことです。重症の場合、脳や内臓がダメージを受け死に至場合があります。
体温を測ってみて41度以上になっていたら大変危険です。
まずは応急処置として、タオルに巻いた氷や氷枕を猫にあてたり、霧吹きで水をかけるなどしましょう。同時に、動物病院に連絡をしましょう。
あらかじめ電話をしてから向かうと、受け入れ準備を整えてもらえることも多いです。
また、慌てていると休診日や休診時間に気付かないことも。そんな失敗も防ぐことができます。
熱中症の一歩手前、夏バテの状態に気付くことができれば熱中症のリスクも下げることができます。夏に気を付けたいことをまとめていますので、読んでみてくださいね。
要注意!!【猫の体温が低い時】
普段の生活で熱を出したことがあっても、体温が下がった経験がある方はあまりいないのではないでしょうか。それだけ、体温が低いというのは異常な状態なんです。
忘れてはいけないのが、猫の平熱はわたしたちよりかなり高いということ。
平熱が39度の猫が38度になっていれば要注意なのですが、わたしたちの体温よりは十分に高いので冷たいとは感じません。
抱っこするといつもはほんのり温かい猫があまり温かく感じられないという時は、低体温の状態になっている可能性が高いです。
体温が低くなる原因
では、どうして体温が低くなるのでしょう。主な原因は次の通りです。
- 体温調節機能が弱っている(子猫/高齢猫)
- 精神的な大きいショック
- 怪我をしている
- 体が冷えている
- 病気(尿毒症や腎不全など)
体温調節機能が弱っている(子猫/高齢猫)
生まれたばかりの子猫は、上手に体温を調節することができません。自由に動けるようになる1カ月半頃までは、飼い主さんによる管理が必要です。
また、高齢になるにつれても体温調整ができなくなってくるもの。先代の愛猫「しゅり」は18歳と大往生でしたが、やはり晩年は寒そうにすることが増えました。
子猫も高齢猫も、成猫に比べて体力がないために体温が低くなることは命取りです。
寒さを感じることなく一定の温度で生活させてあげられるように、エアコンやペット用ホットカーペットなどで調整しましょう。
このカーペットは温度調節が7段階もできるので、その日の気温や愛猫の様子を見ながら調節してあげられます。コードのカバーも二重なので安心です。
精神的な大きいショック
同居ペットの死や、大きな喧嘩、耐えきれないほどのストレスなどが原因で、体温が低くなることがあります。
優しく声をかけながら原因を取り除き、落ち着かせてあげましょう。安心させてあげることで改善されることが多いですよ。
怪我をしている
怪我をしていると熱が出るとお伝えしましたが、反対に体温が下がる場合もあります。
大量出血をしていたり、内臓が損傷しているという時です。
熱が出る怪我よりも危険な状態です。病院へ急いでください。
体が冷えている
猫の祖先は砂漠の住人。寒さにはあまり強くありません。
長時間寒いところにいたり、雨に濡れたりすると、体温が下がってしまうことがあります。
家の中でそんなに寒い場所はないと思いますが、冬の朝はかなり冷えますよね。
わたしも寝る時や外出時も、エアコンのタイマーを使ってゆねが寒い思いをしないように気を付けています。
また、猫の毛は水に濡れると簡単には乾きません。これが水を苦手とする理由の一つ。
ですから、一度濡れるとしばらく濡れたままになってしまいます。すると体が冷えてしまうのです。
完全室内飼いでは雨に濡れるという心配はありませんが、お風呂に落ちてしまって濡れるということもあるので、お風呂のドアとふたは必ず閉めるようにしましょう。
病気(尿毒症や腎不全など)
尿毒症や急性腎不全、心疾患などの病気が原因で体温が下がっている場合、命の危険が差し迫っている場合が多いです。
毒素が体に回っていたり痛みを感じて、震えていることもあります。
体を温めながら、動物病院へ急ぎましょう。
体を温める方法
慌てて熱いお風呂に入れたりすると、急激に血流がアップしてしまい危険です。ゆっくり温めることを意識しましょう。
体が濡れていたら、タオルでよく拭いて乾かします。それから毛布などで全身をくるみましょう。
ホッカイロや湯たんぽを使う時は、直接猫に触れないようにタオルなどで包むことを忘れずに。
【特に危険】低体温
体温が低い時、特に一刻を争う状態があります。それは37度以下の「低体温」です。
次の様子が見られたら、とにかく病院へ急いでください。
- 元気がない
- ブルブルと震えている
- 心拍数が下がる(正常時:120~180回)
- 呼吸が荒くなる
- 痙攣している
- 意識障害が起こる
体温を少しでも保つために、キャリーバッグや段ボールなどに入れ風が当たるのを防ぎましょう。毛布やタオルもかけてあげると良いですよ。
まとめ
猫の体温はわたしたちより少し高い38~39度。抱っこした時に温かくて気持ちが良いのはそのためです。
もしも、「いつもより少し熱い」「あまり温かくない」と感じた時は体に異常が起きていることがほとんどです。
平熱より高い時や低い時は、猫の体に異常があると考えましょう。
- 怪我や腫瘍などによる炎症
- 猫風邪などの感染症
- 熱中症
- 体温調節機能が弱っている(子猫/高齢猫)
- 精神的な大きいショック
- 怪我をしている
- 体が冷えている
- 病気(尿毒症や腎不全など)
どちらの場合も、なるべく早く動物病院で一度診察を受けるようにしましょう。
特に気を付けたい状態は次の2つ。
愛猫を抱っこした時に感じている体温が、実は毎日の健康管理にしっかり役立ってくれます。
2週間に1回の検温と毎日の抱っこで、体調の異変にすぐに気付ける飼い主でいたいですね。