突然の質問なのですが、皆さんは便秘になったことがあるでしょうか。
便秘ってすごいストレスですよね。
この便秘、人間だけのものではないんですよ。
実は猫も便秘になるんです。
寿命をまっとうしてくれた先代『しゅり』も晩年は便秘になることがありました。
しゅりの場合は獣医さんからの指導や猫友さんからの情報のおかげで、便秘を解消することが出来ましたが、猫の便秘は放っておくと命を脅かす危険なもの。
動物病院につれて行ったときには時すでに遅しということも珍しくないんですよ。
わたしは周りの方のおかげで、しゅりに元気で過ごせる時間を増やしてあげることが出来ました。
猫を飼っている皆さんへ、愛猫がいつまでも健康で過ごせるよう、わたしが持っている便秘の解消方法と予防策の知識をすべてお話ししたいと思います。
中には誰でも出来ちゃう簡単マッサージもあるんですが、これの効果が本当にすごいので必見ですよ。
はじめに排便のメカニズムを知ろう
便秘の話を始める前に、まずは正常がわからないと異常がわかりませんよね。
興味がある方はこのままお読みください。
【食べ物が便になるまでに通る消化管】
口→食道→胃→小腸→大腸→肛門
簡単に説明すると、『口』から食べたものは『食道』を通り、『胃』に入ります。
胃で強酸性である胃酸と、タンパク質の分解酵素によりドロドロに溶かされた食べ物は次に『小腸』へと運ばれていきます。
小腸ではさらに食べ物が消化されます。体が取り入れやすい状態まで分解されるんですよ。
例えば、タンパク質だったらアミノ酸、炭水化物だったらブドウ糖という形です。
小腸では消化だけではなく、必要な栄養素を吸収する場所でもあるんです。
栄養が取り除かれ、残った不要なものはまだドロドロの状態でいよいよ最後のステージ『大腸』へ。
大腸では水分を吸収し、便を形作ります。そうして便は最終関門である『肛門』へと運ばれていくようになります。
猫の便秘とは?
食べ物が体の中どんな風に通って便になるかが分かりましたよね。
ではまずは便秘とはなんなのか、ご説明していきますね。
便秘ってどんな状態のこと?
便秘とは、何らかの原因により便が正常に出すことが出来なくなった状態のことです。
ただ、次々とたまっていってしまうことだけでなく、一度吸収された水分が再度吸収されてしまい、便がどんどん硬くなってしまう事態に。
猫が便秘になる6つの原因
そんな負のループに陥ってしまうにはどんな原因があるのでしょう。
猫が便秘になる原因はこちらの6つです。
- 水分が足りていない
- 結腸が狭くなっている
- 加齢によるもの
- 毛玉を飲み込むせい
- トイレにストレスを抱えている
- 内服薬の影響
ではそれぞれについてご説明しますね。
原因1、水分が足りていない
元々猫は水をあまり飲まない動物で、便も硬くなりやすいんです。
人と同じように猫も冬はあまり水を飲みませんし、夏は夏で、体温が上昇することで体の中の水分は減りやすくなります。
また水の設置場所や多頭飼いの場合のストレスからますます水を飲みたがらなくなることも。
体の中の水分が足りなくなることが便秘を引き起こす原因になりますよ。
原因2、結腸が狭くなっている
結腸に腫瘍やポリープなどができてしまい、通り道がせまくなることで、便が通りにくくなって便秘になることも。
結腸とは・・大腸の一部で、直腸につながる部分です。
大腸は盲腸→結腸→直腸の順になっています。
原因3、加齢によるもの
加齢により、活動性が減ることで腸の動きは悪くなります。
また筋力が衰えることで、十分に力むことが出来ず、便が出にくくなってしまうんです。
そのため、高齢の猫たちは便秘になりやすいんですね。
原因4、毛玉を飲み込むせい
猫は自分で毛づくろいをしますよね。
その際に毛を飲み込んでしまうことも多く、それが便秘の原因もなってしまうことがあるですよ。
腸に毛が溜まってしまうことで便の通り道が塞がれてしまい便秘になってしまうんです。
特に猫の毛が生えかわる時期である換毛期は要注意。
こちらで猫が毛を飲み込んでしまうことの危険性を詳しく紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
原因5、トイレにストレスを抱えている
猫はとっても綺麗好きな生き物。またストレスに弱い生き物でもあります。
トイレが汚れていたりするとストレスに感じてしまうのです。
また他にもトイレの位置を変えた、トイレの砂を変えた、はたまたトイレ自体を変えたなど、トイレに関する変化にもとっても敏感。
気に入らない場合はトイレに行きたがらなくなり我慢してしまうように。
この我慢が便秘を引き起こしてしまう原因になります。
猫のトイレについてはこちらで詳しく説明しているのでご覧ください。
原因6、内服薬の影響
体のために必要なお薬も、場合によっては思わぬデメリットを伴うことも。
利尿剤(おしっこを良く出るようにする薬)や痛み止めによっては、便秘を引き起こす原因になるものもあります。
猫の便秘時の症状
次に便秘の時の症状について、ご紹介します。
【便秘時の症状】
- 何度もトイレに行く
- トイレに行くのに便が出ていないまたは、硬くてコロコロしている
- 排便時に鳴く(痛がる)
- 便に血液が付いている
大腸で水分を吸収され過ぎて硬くなった便を出すのは一苦労。
便が出そうで出ないので、何度もトイレに向かう様子が見られます。
場合によっては肛門が切れて出血してしまったり、痛くて鳴いてしまうことも。
動物病院に行くタイミングは?
ここで動物病院に連れて行くタイミングについて説明しますね。
飼い主が愛猫の便秘を判断する場合には、毎日のトイレチェックが大切。
タイミング1、3日以上便が出ていない
1日1回排便をするのが理想ではありますが、猫にはそれぞれ個性があるように、排便回数もそれぞれです。
1日3回も便をするという猫もいますし、1~2日出ないけど、柔らかい便が出ているし、猫も苦痛に感じていなさそうという猫もいます。
その子の排便サイクルが出来ていればそれでOKなんです。
ですが、3日以上便がないときには便秘と判断しましょう。
タイミング2、うんちの硬さで判断
先ほど、3日以上排便がないときには便秘だとお話しましたが、毎日出ていても便秘と言える場合があります。
それは便がコロコロと硬い状態になっている場合。
出てきたばかりなのに乾燥していることもあります。
こんな便の時には便秘と判断し獣医さんに相談してみましょう。
便の水分が足りずに、乾燥していたり、硬くなっていれば何らかの原因で正常な状態の便が排出できていない、つまり便秘の状態であると判断できるんです。
【正常な便の特徴も知っておこう】
柔らかすぎず硬すぎず、軽く押すだけで変形する位の柔らかさ
表面はツヤツヤ
猫砂がよくくっつく
猫のトイレの回数についてはこちらで詳しくお話ししていますよ。ぜひチェックしてみてくださいね。
便秘の治療
便秘かなと思ったら、まずは動物病院を受診しましょう。
動物病院ではレントゲンやお腹を触って便がたまっているかどうかの検査を行います。
どれくらいの便がたまっているか、消化管に異常はあるかどうかが分かりますよ。
- 便秘の原因を取り除く
- 緩下剤(便を軟らかくする薬)の投与
- 整腸剤の投与
- 浣腸
- 摘便(指で直接便を掻き出す方法)
- 手術
ただ便を出してあげることだけでなく、便が出にくくなった原因を調べることが必要ですよね。
普段の様子がいつも違ったなど、思い当たることがあったときにはメモをしていくと良いですよ。
内服薬の使用や浣腸、摘便でも対処出来ないという場合には手術になることも。
【便秘の治療費】
浣腸や摘便などの処置・・1回2000円程
手術・・50000~75000円程
+この他の検査代や薬代。
便秘を放っておくとどうなるの?
便秘に気付かず進行すると、腸の中に溜まった便は徐々に水分が抜けてカッチカチになってしまうと先ほどご説明しました。
それが大腸の結腸というところに溜まり巨大化すると『巨大結腸症』(きょだいけっちょうしょう)という病気になってしまうんです。
このときには食欲がなくなったり、吐いてしまったり、痩せたりと体調の悪さが目立つようになります。場合によっては脱水症に陥り命の危険も。
この巨大結腸症になってしまうと、もはや飼い主さんの力でどうにかすることは出来ないのです。
動物病院で便を出す処置または外科的に手術を受ける必要があります。
家で出来る!簡単便秘解消マッサージ
では便秘を解消するために、どんな人にも簡単にできるマッサージをご紹介します。
便秘のときの腸ってこんな感じです。
図を見ると分かるように、大腸内で便は時計回りに運ばれ肛門に進んでいきます。
便秘の時には腸を動かしてあげるお手伝いをするとこで便が出しやすくなるんです。
そこで、腸の動きをよくするため『のの字マッサージ』が効果的。
方法は名前の通り、ひらがなで『の』を書くようにマッサージします。
こちらの動画をご覧ください。
これをするのは猫が横たわっているときや膝に乗ってきたり、お腹を見せてくれる時などがチャンスですよ。
合わせて試したい4つの便秘解消法と予防策
次は、便秘で苦痛を味わわせないために出来る解消法と予防法についてご紹介したいと思います。
便秘は便が大腸に留まることで水分をたくさん吸収されてしまい、硬くなることでさらに出にくくなる、なんとも恐ろしい負のループがありましたよね。
便秘の予防は便を出やすい状態にすることがポイントです。
- 水分摂取量を増やしてあげる
- オリーブオイルを与える
- お腹の調子を整えるサプリメントを与える
- 定期的にブラッシングを行う
方法1、水分摂取量をふやしてあげる
猫を便秘にさせない予防策として、水分接種量を増やすことは絶対に外せないポイントです。
まずは猫が水を飲まない原因がないかどうか確認してみましょう。
水飲み場の位置が変わったり気に入らない、水を替えてもらっていないなどが猫にとってはストレスとなり、水を飲まなくなるということもあるんです。
水分摂取量が増えないという場合、無理矢理じゃなくても水を飲ませる方法があるんですよ。
それはゴハンで水分を摂れるようにしてあげること。
ドライフードをあげる直前に数滴垂らすようにしてあげる方法もありますし、ウェットフードを使ってみる、または猫用のスープをあげるなど工夫することで水分の摂取量は増やせます。
普段ドライフードをあげている場合なら、トッピングとして使ってみるのもおすすめ。
猫によっては飲み方にもこだわりがあったりすることも。
水を飲まないことで悩まれている飼い主さんはぜひこちらもチェックしてみてください。
方法2、オリーブオイルを与える
オリーブオイルは小腸でも大腸でも吸収されにくいので、便が出やすくなるための潤滑油になってくれるんですよ。
与え方はとっても簡単。
いつものゴハンにオリーブオイルを混ぜるだけなんです。
慣れてきたら朝・夕のゴハンにスプーン1杯のオリーブオイルをかけると良いのですが、はじめてあげるときには、スプーン1/2杯からはじめましょう。
あげすぎることで逆に下痢になってしまったり、膵臓に負担をかけてしまうことがあるので、便の状態や猫の体調をよく観察することが大切です。
方法3、お腹の調子を整えるサプリメントを与える
以前先代しゅりの便秘予防のために、なにか体の中から調子を整えてあげられるものってあるのかなと探したのがきっかけなのですが、猫の便秘にも効く乳酸菌サプリメントというものも多く販売されているんですよ。
まさにわたしもこう思っていた人間です。
効果があるのかなと思っていたところもあったのですが、動物病院の看護師さんがサプリメントもおすすめだといってくださったので、試してみることにしたんです。
わたし達だって、乳酸菌を飲んだからってすぐに体調がよくなったと感じる人もいればそうではない人もいますよね。
しゅりの場合もこれだけで劇的に良くなったとは言い切れないのですが、他の予防策と合わせて利用することでしゅりの便秘はよくなりました。
こちらはかつお節風味なのですが、味や匂いが付いていないタイプもありますよ。
匂いの変化に敏感な子にはそちらのタイプもおすすめです。
猫の便秘を解消したいからといって、人間用の便秘薬は絶対に与えないこと。
これはやめてくださいね!!
方法4、定期的にブラッシングを行う
毛を飲み込んでしまうことが便秘になる原因でもあったので、定期的にブラッシングをして飲み込みを予防してあげましょう。
猫には換毛期という毛の生え替わりの時期があるほか、年齢によっても抜け毛が多くなる時期があるんですよ。
こちらで詳しく説明していましたので、ご覧ください。
まとめ
猫の便秘について説明してきました。
猫の便秘が侮ってはいけない危険なものであることがわかりましたね。
便秘についてまとめたものがこちらです。
原因 |
|
症状 |
|
治療 |
|
便秘かなと思ったら動物病院を受診して獣医さんの相談しましょう。
便秘がひどくなってしまう前に、『のの字マッサージ』が効果的。
簡単でおすすめの解消法ですのでぜひお試しください。
飼い主自身で便秘を予防する方法もご紹介しましたね。
- 水分摂取量を増やしてあげる
- オリーブオイルを与える
- お腹の調子を整えるサプリメントを与える
- 定期的にブラッシングを行う
便秘になっているかどうか、毎日のチェックが大切です。トイレの回数や便の性状など、普段からの観察を心がけていると変化にも気付きやすくなります。
手遅れになる前に猫の変化に気付いてあげられる飼い主でありたいですね。