先日、友人にこんなことを聞かれました。
何でも、これまであまり回数を意識したことがなく、実際に増えているのかよくわからないけれど愛猫ちゃんのトイレに行く回数が増えたように感じて不安とのこと。
一度はこんな経験あるのではないでしょうか。
排尿・排便の様子がいつもと違うということは、猫の体に何かしらの異変が起きているということ。
内臓に影響が出いる場合もあるので、放っておくのはとても危険なんです。
今回は知っておくと安心できる平均の回数だけでなく、いつもとの違いに気付くためのチェックポイントもご紹介していきます。
手軽に愛猫の体調を把握するための、トイレチェック習慣、一緒に始めてみませんか。
猫がトイレに行く回数の目安
猫がトイレに行く回数の目安は以下の通りです。
- 排尿 2~3回/1日
- 排便 1~2回/1日
そうですね、量の目安も気になるところだと思います。それぞれお伝えしていきますね。
1日あたりの回数と量の目安【排尿】
回数:2~3回
量:体重1㎏につき50ml以下
実はわたしもそうでした。
そこで考えたのが、いつも使っている猫砂に150mlの水をかけるという方法。出来た塊の大体の大きさみてイメージをつかみました。
1日あたりの回数と量の目安【排便】
回数:1~2回
量:人差し指1~2本分くらい
回数・量ともに、食べているフードの種類や体質によってかなり差が出るので、あくまで目安として知っておいてくださいね。
大切なのは愛猫の「いつも」を知ること
猫のトイレ事情の目安をお伝えしましたが、排尿・排便共に個体差が大きいものなんです。
例えば排尿をするのが1日3~4回でも、2日に1回の排便でも、「いつも」そのペースであれば問題なしです。
反対に、ペースが乱れている、いつもと違うと感じた時は要注意だという事。
猫は体調不良を隠そうとすることが多いのですが、トイレの様子をしっかりチェックしていたら、早めに気付いてあげることもできます。
愛猫の「いつものトイレの様子」を把握することが大切
では、具体的にどんなことをチェックすれば良いのかを次の章で解説していきますね。
確認したい5つのポイント
猫の健康を守るための、毎日のトイレのチェックポイントは、実は回数や量だけではありません。
トイレに行く回数
排泄する量
排泄物の色
排泄物の臭い
トイレにいる時の様子
一つずつ詳しくお伝えしていきます。
トイレに行く回数
- 排尿:1日2~3回
- 排便:1日1~2回
愛猫なりのペースを把握することが大切だとお伝えしました。
猫砂であれば塊の個数、ペットシーツであればしみの数を数えることで、おおよその回数を把握することができますね。
正確に知りたいという方には、回数を自動で計測してくれる猫用スマートトイレがおすすめです。
排泄する量
【1日あたりの量】
- 尿:体重1㎏につき50ml以下(例:3㎏の猫の場合150ml以下)
- 便:人差し指1~2本分くらい
それが、大丈夫とは言えないんです。
もちろん暑ければたくさん飲むということはありますが、いつもより水を多く欲するのは病気の心配があります。
病気については、この次の章で詳しく解説します。気がかりなことがある方はちょっとスクロールしてみてくださいね。
排泄物の色
色は含まれている成分が大きく影響するもの。よく観察しましょう。
- 尿:透明な淡い黄色
- 便:茶色
健康な尿は「透明な淡い黄色」
色があまりに濃い、反対にあまりにも薄いのは気になる症状。膀胱炎を起こしていたり、必要以上に水を欲する状態になっているかもしれません。
また、ピンクや赤であれば血尿が出ている可能性があります。
キラキラと光るものが混ざっていないかどうかもチェック事項の1つ。尿の成分が固まって石になってしまう尿石症の発見につながります。
このような異変に気付いたら、できるだけ早く動物病院に連れて行ってあげましょう。
いつもの状態に気を配っていたら、見慣れない色に気付くことができるはずです。
血尿についてもし不安であれば、コーヒーやコーラなどを猫砂に少しかけてみると、血尿がかかったものと近い状態の砂を作り出すことができますよ。
健康な便は「茶色」
多少の濃淡や、黄色っぽい、緑っぽいなどでも心配はいりません。
- 赤
- 黒
- 薄い黄土色
- 黄色
上記のような色の便が何度も続くようであれば、それは胃や腸が出血していたり、肝臓、胆のうなどに異常があるかもしれません。
排泄物の臭い
他の項目と違って明確に示すのは難しいので、正常な状態は飼い主さんのみぞ知るものですね。
いつもの臭いを意識することが大切です
猫の排泄物は、ペットとして暮らしている他の動物に比べてかなり臭いもの。尿は特に、猫特有の成分が原因で強烈な臭いを放ちます。
子猫の頃は薄かった臭いが、成猫になるにつれて強くなっていきます。
とりわけ発情期のマーキングの臭いは衝撃を受けるほどです。強い臭いを放つ秘密や臭いに困ってしまった時の対処法をまとめた記事もご用意しています。
異変として気づきたい尿の臭いは次の通りです。
- 酸っぱい
- 甘い
- 鉄臭い
- 臭いがほとんどしない
尿、便共に、なんとなくいつもと違うと感じたら、動物病院に相談しましょう。飼い主さんの感じ方がとても大切です。
トイレにいる時の様子
トイレに行くのを毎回見ているのは難しいですが、タイミングが合えば様子をそっとのぞいてみましょう。
こんな様子には注意が必要です。
- トイレに何度も行くがほとんど出ていない
- 用を足すときにうめき声をあげるなど痛そうにする
- トイレを使えていた子が急にトイレ以外でしてしまう
正常 | 項目 | 要注意 |
排尿:2~3回
排便:1回 |
回数 | いつもに比べて多すぎる・少なすぎる |
【1日あたり】
尿:体重1㎏につき50ml 便:人差し指1~2本分くらい |
量 | いつもに比べて多すぎる・少なすぎる |
尿:透明な淡い黄色
便:茶色 |
色 | 尿:薄すぎる、濃すぎる・ピンクや赤い色・キラキラしたものが混ざる
便:赤、黒、薄い黄土色、黄色 |
いつもの臭い | 臭い | 酸っぱい、甘い、鉄臭い、臭いが薄い |
用を足して帰ってくる | トイレにいる時の様子 |
|
ゆねを心配するあまりトイレに張り付いてしまっていた時期もありますが、それでは疲れてしまいます。
気を付けたいポイントを意識しながら、無理のない範囲で愛猫のトイレ事情をチェックしてあげたいですね。
病気の可能性
さて、ここまでは「いつものトイレの様子」を確認するチェックポイントをお伝えしてきました。
いつもと様子が違う時、どんな病気が疑われるのか心配ですよね。
猫は泌尿器系の病気が多い
まず知っておきたいのが、猫は泌尿器系(腎臓、尿管、膀胱、尿道の尿を作り排出する器官)の病気にかかりやすいということです。
そうなんです。
排尿については、犬は3~5回、ウサギは2~8回が平均と言われているので、猫は少なめですよね。
元々猫はあまり水を飲まず尿を溜めて出すという習性があります。これはご先祖様から受け継がれてきたものなんです。
猫の祖先とされるリビアヤマネコは砂漠に住んでいました。砂漠ではすぐに水を飲むことができません。
そのため、少ない水を効率よく使い、濃くて少ない量の尿を出すようになったと言われています。
ただでさえ濃い尿をだしているので、水分のバランスが崩れてしまうと腎臓や尿道などに負担がかかり、泌尿器系の病気になりやすいんです。
心配な状態は4パターンあります。
- トイレの回数が増えるが尿は出ていない
- トイレの回数が増え少しずつする(頻尿)
- たくさん水を飲み、たくさんの尿を出す(多飲多尿)
- トイレに行く回数が減る
トイレの回数が増えるが尿は出ていない
全く尿が出ない状態が続くと、腎臓に大きな負担がかかり急性腎不全を起こす心配があります。
急性腎不全は数時間~数日で急速に悪化するとても怖い病気。尿毒症という状態に陥ると命にかかわるので、一刻も早く病院に連れて行くことが大切です。
トイレの回数が増え少しずつする(頻尿)
頻尿になる病気はいくつもあります。
- 膀胱炎
- 尿路結石(尿の成分が結晶化すること)
- 尿道閉塞(結石や腫瘍によって尿道がつまること)
- 膀胱腫瘍
血尿が出る・痛がってなくなどの症状も同時に見られることが多いです。
尿道が太くて短いメスは細菌が入りやすいので膀胱炎を起こしやすく、反対に尿道が狭く曲がっているオスは詰まりやすいので尿路結石や尿道閉塞に注意が必要です。
たくさん水を飲み、たくさんの尿を出す(多飲多尿)
次の病気にかかっていると、それまでよりもたくさんの水を飲み色の薄い尿をするようになります。回数でいえば1日5回以上トイレに行くようであれば多いと考えましょう。
- 慢性腎臓病(腎不全)
- 腎臓腫瘍
慢性腎臓病は、高齢猫の死因第1位です。
一度壊れた腎臓の組織は元に戻りません。そのため、動物病院で定期的に診察を受けながら進行を遅らせて付き合っていくことになります。
慢性腎不全では他に、体重が減る、毛ヅヤが悪くなる、アンモニアのような口臭がするなどの症状もでてきます。
このような目に見えてわかる症状が出るころにはかなり進行している場合も。
やたらと水を飲んでいて尿量が増えていると感じた時は、一度診察を受けましょう。
トイレに行く回数が減る
単に水を飲む量が減ってしまいトイレに行かないという場合もありますが、トイレが嫌なのかもしれません。
トイレが汚れていたり快適に使えない状態では、綺麗好きな猫は使いたがらず我慢してしまうことがあります。その結果膀胱炎を引き起こすことも。
冬場、水飲み場が寒いと行きたがらない猫もいます。
水を飲まないでいると、脱水症状を引き起こしてしまったり、尿の濃度が濃くなりすぎてしまいます。
すると、結果的にこれまで解説してきたような病気にかかる原因になってしまうことだってあるんです。
便秘に注意
体質や食べているフードによって、排便のリズムはそれぞれ違います。
1日に1回でも2日に1回でも、定期的にでていて元気であれば問題ありませんが、こんな時は便秘の心配があります。
- 3日以上でていない
- 排便が減り元気がない
猫って便秘になりやすいんです。
以前ゆねが便秘気味になって困ったことがあり、水分をしっかりとれるようにウエットフードを取り入れるようになりました。
その時の経験をつづっていますので、良かったら読んでみてくださいね。
まとめ
まずは猫がトイレに行く回数の目安を確認しましょう。
排尿:2~3回
排便:1~2回
そして、量の目安は次の通りでした。
尿:体重1㎏につき50ml以下
便:人差し指1~2本分くらい
異変に気づくためには、いつもの状態をしっかりチェックしておくこと。ポイントをまとめます。
トイレに行く回数
排泄する量
排泄物の色
排泄物の臭い
トイレにいる時の様子
特別に用意するものはありません。猫ちゃんがトイレに行ったときにそっと様子を観察し、五感で感じてあげること。
それだけで愛猫の状態を知ることができます。
異変に気づいたら病院へ。単純なことですが、すぐに始められる健康管理法です。