わが家の「ゆね」は保護猫です。
出会ったときは、おびえていて、わたしが近づくと後ずさりをする感じだったことを覚えています。
ケージから出そうと「ゆね」を抱き上げましたが、体をねじって抵抗。今まで飼っていた猫とは違う反応に驚きました。
次の日、少しケージから顔を出して、キャットフードを食べてくれました。「ゆね」の体を拭きたかったので、体を抱きかかえようとすると、再び体をねじって抵抗しました。
わたしは、しばらく、「ゆね」のケージのそばにいることにしました。すると、体を近づけてきたので、撫でられて気持ち良さそうになる場所を探しました。
次の日、「ゆね」は自分でケージから出て、わたしを探しているような目で近づいてきました。
ようやく抱っこすることができ、一安心しました。
「ゆね」が抱っこを嫌がったのは、急に環境が変わったり、わたしへの信頼が薄かったり、抱っこに対するトラウマがあったかもしれません。
譲渡会では、息子におとなしく抱っこされていたのにと思いました。わが家に来てから環境に慣れるまで時間が必要だったのでしょう。
みなさんにも、愛猫と幸せに過ごすために、抱っこを嫌がる原因と対処方法をお伝えしたいなと思います。
抱っこが好きな猫も嫌いな猫もいる
甘え鳴きしたかと思えば、撫でようとすると猫パンチが飛んできたり、行動パターンが読みにくいなと思ったことがありませんか。
猫の魅力にはまる要因のひとつにツンデレな猫の性格があげられるでしょう。
抱っこも同じで、あるときは抱っこできても、あるときは嫌がられることがあります。
また、いつどんなときでも、抱っこを嫌がる猫もいます。
抱っこが好きな猫もいれば、抱っこが苦手な猫もいます。
抱っこが好きな猫は、比較的甘えん坊な猫のようです。性格から抱っこの好き嫌いがあるといわれていますが、抱っこを嫌がる理由はいくつかあります。
猫が抱っこを嫌がる理由は、「猫側の問題」と「飼い主側の問題」の2つにわけられますので紹介しますね。
【猫側の問題】猫が抱っこを嫌がる理由
猫が抱っこを嫌がる理由は6つあります。
- 抱っこの気分でないから
- 嫌な臭いがある
- 痛みや病気の可能性がある
- 環境に問題がある
- 臆病な性格だから
- 抱っこにトラウマがある
6つの理由を知って、愛猫とストレスなく過ごしたいですね。
抱っこの気分でないから
眠たいとき、そっとしておいてほしいときに、急に猫を抱っこしても嫌がるでしょう。
これは人も同じですね。ゆねは今でも眠たそうにしているとき、抱きかかえると嫌がって体をねじることがあります。
こんなときは、猫の気持ちを察して、少し様子をみてから再びチャレンジしてみましょう。
嫌な臭いがある
猫にとって、抱っこする人の臭いが嫌で、嫌がることがあります。
抱っこする人の香水、整髪料、香り付きの柔軟剤を変えたときに、今まで抱っこができていても、急に抱っこを嫌がる場合があります。
猫の嗅覚は、人間の数万倍~数十何倍ともいわれています。わたしたちが心地良い匂いと思っていても、猫にとっては強すぎる場合があります。猫とともに暮らす場合、芳香剤や柔軟剤は香りの弱い物を選びたいですね。
~猫が嫌いな臭い~
柑橘系:オレンジ・ミカン・レモンなどの臭い
メンソール:ガムや湿布などの臭い
香辛料:こしょうなど
洗剤:洗剤に含まれる香料成分が苦手
痛みや病気の可能性がある
今まで抱っこを嫌がっていなかった猫が急に抱っこを嫌がるようになったとき、痛みや病気の可能性も考えられます。
抱っこ以外の痛みや病気のサインはいくつかあります。
- 歩き方がおかしい
- 動くこと自体を嫌がる
- 抱っこを嫌がって逃げたあと痛がるところを舐める
これらの症状がある場合は、病気やけがが潜んでいる場合があるので、獣医師の診察を受けてください。
~病気や痛みで抱っこを嫌がる場合に考えられること~
- 腸閉塞(ちょうへいそく)
- 椎間板ヘルニア
- 骨折・脱臼
- 皮ふの下に何か刺さっている
- 腎臓・尿管の炎症
環境に問題がある
猫は生活のなかでストレスがたまったり、安心して過ごすことができないと、イライラしたり攻撃的になる場合があります。
- 近所の工事の音がうるさい
- 来客が多い
- 引っ越したばかり
- 一緒に暮らす飼い主の生活パターンがバラバラ
ストレスがたまった状態の猫を抱き上げても、嫌がってしまうでしょう。「ゆね」も、わが家に来たばかりの頃は、落ち着きがなかったことを覚えています。
猫は生まれながらにして性格が決まっているといわれています。臆病で人見知りの猫は、人が近づいてくること自体も恐怖に感じる場合があります。
また、しつけのときに、たたいて叱ると、猫は恐怖感を感じてしまいます。
こんなときは、猫専用の安心できる場所をつくったり、できる限り飼い主の生活パターンを一定にするとよいでしょう。
臆病な性格だから
猫は生まれながらにして性格が決まっています。甘えんぼさんもいれば、極端に臆病な猫も。
特に臆病な性格の猫は、見知らぬ人が近づくだけで威嚇したり逃げ出すでしょう。特に猫を家に迎えたばかりの頃は、環境もに人にも慣れるのに時間がかかります。
猫が飼い主と触れ合うことに慣れるまで、抱っこは様子をみることが得策です。
抱っこに対してトラウマがある
嫌がっているのに抱っこを強制されたり、抱っこされた状態でたたかれた経験がある猫は、抱っこ自体がトラウマになってしまうケースがあります。
~ゆねの場合~
わが家に来て2日ぐらいは警戒が強かったでしょう。なかなかケージから出てくれませんでした。譲渡会では、保護シェルターのスタッフが近くにいてくれたので、安心して息子に抱っこされたんだと思います。
ゆねに対して、わたしは少しずつ距離を縮めました。ゆねも心を開いたようで、ケージから出てくれました。わたしをみつけても、ケージに戻らず近づいてきたので、このタイミングで抱っこすると成功しました。
◆ゆねが抱っこを嫌がった理由
- 環境の変化
- 臆病な性格
【飼い主側の問題】猫が嫌がる抱っこの仕方
猫が抱っこを嫌がる理由は、猫側だけの問題ではありません。時には、猫にとって抱っこの方法が合わずに嫌がることがあるでしょう。
いつ落とされるかわからないような抱き方
上半身だけつかんで持ち上げたり、片手でお腹だけを支えるように抱きかかえると、下半身は宙ぶらりんとなり、猫にとって不安定な姿勢です。
猫は不安定な姿勢になると、自分の身を守ろうと思い、抱えられている体勢から逃れようとします。
わが家に猫を扱い慣れいない友人がきて、ゆねのお腹を急に抱っこしたことがあります。ゆねはかなり嫌がりましたね。
お腹を天井に向けるような抱き方
猫のお腹を天井に向けるような抱き方は、猫にとってがんじがらめに拘束されたような気持ちになってしまいます。
急に高い位置に抱きかかえられる
床の位置から急に高い位置に抱きかかえると、猫の視界が急に高くなり、怖い思いを抱かせてしまいます。
猫が喜ぶ抱っこの3つのステップ
猫が抱っこを嫌がらず、不安を与えないような方法をご紹介します。
① 両手で猫を持ち上げる
猫の前足の付け根を両手で抱きかかえるように持ち上げます。片手で持ち上げたり、お腹を抱えることは避けましょう。
② 持ち上げている時間を短くする
猫の体が床から離れたら、飼い主の膝の上に横向きに載せましょう。できるだけ空中に浮いている時間を短くして、猫が不安に思わないように心がけましょう。
③ お尻を抱えて、猫と自分の体を密着させる
猫のお尻を片方の手のひらで包みます。猫の体と飼い主の体を密着させるように引き寄せます。猫の顔や上半身にはゆとりを持つ抱き方をすることで、猫は拘束させず自由に動かせる部分が残るので安心するでしょう。
まとめ
猫が抱っこを嫌がる理由と、猫が嫌がる抱っこの方法について解説しました。
- 抱っこの気分でないから
- 嫌な臭いがある
- 痛みや病気の可能性がある
- 環境に問題がある
- 臆病な性格だから
- 抱っこにトラウマがある
- いつ落とされるかわからないような抱き方
- お腹を天井に向けるような抱き方
- 急に高い位置に抱きかかえられる
また、猫が喜ぶ抱っこの3つのステップもご紹介しました。
① 両手で猫を持ち上げる
② 持ち上げている時間を短くする
③ お尻を抱えて、猫と自分の体を密着させる
全ての猫が抱っこが好きとは限りません。性格や経験によって、抱っこに対する猫の気持ちもさまざまでしょう。
愛猫の行動から抱っこに対する気持ちを推測して、寄り添うように抱っこができればいいですね。