皆さん猫ちゃんを抱っこした時に『あれ、ちょっと体の匂いが気になるなぁ』とか『外に出してたら体が真っ黒になって帰ってきた~ 』などという経験はありませんか。
汚れたままの猫ちゃんを放っておいたら家の中も汚くなっちゃうし、せっかくのお気に入りのじゅうたんやカーペット、ソファーにも匂いがついちゃいます。
猫が原因の汚れを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、できることなら避けたいところです。
そんな時にたまにはお風呂に入れて体を洗ってあげたい、奇麗にして猫ちゃんをリフレッシュさせてあげたいと思うのは飼い主さんの愛情ですよね。
でもここで問題があります。皆さんもほとんどの方がイメージがつくのではないでしょうか。それはズバリ、猫は濡れるのが苦手で濡れることを極端に嫌がるということ。
この猫の特徴は猫好きの方でなくても知っている方は多いと思います。そんな猫ちゃんをお風呂に入れて奇麗にしてあげるにはどうすればいいのでしょうか。
今回のは『猫ちゃんの特徴を知り猫ちゃんが喜ぶお風呂の入れ方を一緒に学ぼう!』というテーマでお届けをしたいと思います。
そもそも本当に猫は水が嫌いなのか
猫のご先祖様をず~とさかのぼるとアフリカヤマネコやリビアヤマネコがいます。これらの猫の祖先は砂漠地帯に主に生息をしていました。砂漠地帯は一日の寒暖の温度変化がとても激しい地帯です。
急激な温度の変化に対応することや、体の体温を一定に保つことが生きていく上でとても重要なポイントになりました。
猫の毛皮は気温の変化から自分の体を守るために熱い時には熱を遮断することができて、寒い時には保温効果を高めることができる、かなり優れた機能を持った毛皮なのです。
さらに、猫の毛は上下2層に分かれていて、その2層ともがとてもふわふわで肌触りも最高ときたものです。
ただその高性能の機能とは裏腹に大きな欠点もあります。体から出てくる脂分が体に行き渡りにくいということ。その結果、水をはじきにくくして毛が濡れやすいのです。
さらに柔らかい毛が綿密に密生をしていて、一度濡れるととても乾きにくくなります。
なので体が濡れると急激に冷えて体力低下を招く原因になります。猫は本能的にそのことを知っています。だから、体が濡れることで生命が危険にさらされると感じてしまうのです。猫ちゃんが水やお風呂、敷いてはシャンプーを嫌う原因がこれらが理由だと言われています。
- 猫の毛皮は水をはじきにくいため濡れやすく、乾きにくい
- 本能的に、濡れる=生命が危険にさらされると感じてしまう
猫をお風呂に入れてあげないといけない状況も出てくる
人間にとってお風呂やシャワーシャンプーはとても気持ちいいものですし、必ず一日1回は入らないと気になって落ち着かないという人も多いと思います。お風呂が入ることが苦手な猫ちゃん、果たして風呂に入れる必要性は本当にあるのでしょうか。
猫ちゃんは自分で一日何度も毛づくろいを行うほどキレイ好きな動物です。舌のざらざらしたところでキレイに毛並みを整えることができます。その為に、正直にお伝えすると、お風呂に入れる必要性はあまり感じられません。
水に濡れてしまうことで毛並みがそろわなくなり必要以上に何度も毛づくろいをしてしまいます。それにより毛玉を多く呑み込んでしまう恐れも出てきます。
外にほとんど出さないで室内で飼われている猫ちゃんならなお更、ブラッシングなどのお手入れやハンドタオルで体を拭いてあげればお風呂に入れなくてもシャンプーをしなくても大丈夫です。
特にお風呂に入るのを嫌がる猫ちゃんを無理やり入れようとすることで、それがトラウマになり、せっかく良好な関係を気づけていたのが人間を恐れるようになることもあります。これは最も気をつけなければいけなところです。強いストレスを感じて体調を壊すこともしばしば。
そんなことはありません。
猫をお風呂入れなければいけない状況は家庭ごとに様々ですが、よくあるケースを4つご紹介しますね。
排泄時に汚れてしまう
猫は肉球以外からは汗をかきません。だから体から出てくる体臭というのがほとんどありません。
これにはちゃんとした理由があって、単独でハンティングをする猫は獲物に自分の存在を気づかれるわけにはいきません。匂いが強いと獲物に存在がばれる恐れがあるため、匂いが極力出ない体質になっています。また、猫自身も匂いを発しないための努力をされています。
猫が頻繁に体をぬぐっているのも、匂いを消して敵に気づかれないようにするための演出行動でもあるのです。とは言ったものの、手足におしっこがつくことできつい匂いを発したり、それらの匂いが体に染みついてしまうことも時には起こります。
外出時に汚れてしまう
外に出していたら真っ黒になって帰ってきて、とてもそのままでは家の中に入れられない場合もあります。
以前テレビ番組でタレントで歌手活動もしている、猫ちゃん大好きNSさんが猫の校門の匂いを嗅ぐことにハマっているというお話をされていて、集まっていたゲストの人たちも猫の肛門の匂いを嗅いでいました。
わたしが一番最初に飼っていた猫のみゅうはできる限り外に出さないように心掛けてはいましたが時々、窓を開けた一瞬とか玄関の出入りの一瞬に飛び出しちゃうことがあります。
そんな時のみゅうの隠れ場所が車の下やベランダの下のわずかな隙間で潜る度に汚れて帰ってくることも結構あります。そういう時は洗わざるを得なくなります。
室内で汚れてしまう
また仮に一切外に出さないで完全に家の中だけで飼われている猫ちゃんでも、例えば小さい子供がいる家庭なんかではジュースをこぼしたとか、ご飯のおかずをひっくり返したなどのハプニングで、猫ちゃんに被さって汚れてしまうこともあります。
猫の品種によっては必要
それ以外にもねこちゃんの品種や状態によってはお風呂に入れてあげないといけない場合もあります。猫の種類の中には品種改良の結果、毛の長さが長くなっている猫がいます。ノルウェージャン・フォレストキャット・メインクイーンなどがあたります。
毛が長いために毛根に舌が届かないので、自分だけで体をきれいに保つことができなくなります。その場合、様子を見ながら数か月に一度は洗ってあげてもいいでしょう。
猫ちゃんをお風呂に入れて洗ってあげる必要性はあまり感じられないように思われますが、上記のような理由で洗わざるを得なくなるケースは大なり小なり出てくると思います。
その為にも猫ちゃんをお風呂の入れ方、洗い方を知っておくことは、いざっという時のために必要になってきます。
- 排泄時に汚してしまう
- 外出時に汚してしまう
- 室内で汚れてしまう可能性がある
- 長毛種など、品種によって必要がある
猫ちゃんをお風呂に入れる前に注意をしておくこと
ここからいよいよお風呂に入れていく工程になります。ただその前にいくつかの注意点があります。それを確認していきましょう。
爪の長さに注意
濡れるのを極端に嫌がる猫ちゃんの中にはお風呂場に近づけただけで、もの凄く暴れだす猫もいます。その時に飼い主さんの手が傷だらけになってしまいます。
わたしにもそういうことがありました。とても痛いです。ケガをしないように短く爪を切ってから入れてあげることをおススメします。
最初にブラッシング
猫の毛は濡れるとフェルト状に固まりやすくなります。シャンプー前にはブラッシングをすることが必要です。さらに、猫の警戒心を和らげてあげる効果もあります。
耳の中の状態にも気を配ろう
耳の中の細菌の増殖や寄生虫の感染による炎症、中耳内の腫瘍が起きている症状を外耳炎という呼び方をしますが、少しでも怪しいなと思われる症状がみられる場合は病院で診察を受けてからお風呂に入れてあげましょう。
体調の確認
熱がある時や妊娠中、手術直後、ワクチン接種後などの状態の時は避けましょう。
このような状況でどうしてもお風呂に入れないといけない場合は、一度かかりつけの獣医さんにお風呂に入れても大丈夫か確認してからにしましょう。
猫のお風呂の入れ方
大変お待たせ致しました、メインイベントになります。これから猫ちゃんの体を順序良く洗っていきます。
これができれば、あなたも猫ちゃんをお風呂に入れてあげるマイスターです。それではいってみましょう。
猫のお風呂の入れ方
ペット用バスタブや大きめの桶、ベビーバスなどの容器を用意します。手をつけた時にちょっとぬるく感じる温度で、大体38度未満のお湯を入れます。それ以上、温度が高くなると猫には熱すぎます。温度には十分に注意をしてあげて下さいね。
- いきなりお湯をかけるとびっくりするので、猫を桶に入れてから少しづつ足先、足首とお湯を足しながら濡らしていきましょう。その際にあらかじめ猫用のシャンプー・リンスを入れておきます。
- 前足から徐々に首のあたりまでお湯を増やしながら洗っていきます。首まで洗い終わったら背中の方に移っていきます。尻尾、お尻と順番に泡立てながら洗っていきましょう。
- 猫は顔が濡れるのを凄く嫌がります。顔は濡らさないようにして、小さめのタオルで軽くふいてあげるだけで大丈夫。
- すすぎはシャワーで首回り、背中、尻尾、お尻と上記とは逆の手順で流していきます。耳や目に水が入らないように気を付けましょう。
- バスタオルで軽く押し当てるようにしながら水分を取っていきます。絶対にこすらないようにしてあげて、やさしく行ってください。
- ある程度の水気がとれたら、ドライヤーのスイッチをLOWにしてから温風にし、猫の肌に近くなり過ぎない位置で、手ぐしをしながら十分に乾かします。仕上げはブラシで。毛並みを整えて完成です。
猫ちゃんを頻繁に洗いすぎると皮膚病の原因になります。なるべくなら、年に体を洗ってあげるのは年に一、二回にとどめてあげてハンドタオルで拭いてあげるなどの工夫をしてあげましょう。
濡れるのを怖がらない猫もいる?
大人の猫になるまで水に濡れさせたことがないとか、お風呂に入れてあげたことがない猫ちゃんにとって、お風呂を好きになってもらうことは難しいかもしれません。
できる限り、子猫のうちから少しずつ水に慣れさせておく必要があります。特に、生後2~9週目までに水に慣らしていると水が怖いと感じることがほとんどなくなるそうです。
水にぬらす練習をしたのちに、お風呂に入れてあげることを覚えさせてあげましょう。大体3か月から半年間くらい経ったらお風呂で洗ってあげても大丈夫です。
すでに成猫になっている猫ちゃんの場合には、濡れたタオルで身体を拭いてあげることから始めてみて、お尻や後ろ足から少しずつ濡らして、どの程度だと猫ちゃんが怖がり出すかなどを把握しながら水に慣れさせてあげましょう。
ところで皆さん、『ターキッシュバン』という品種の猫がいるのはご存じですか。この品種の猫は他の猫に比べると水を怖がらないという風説があります。
1963年に『ターキッシュバン』の作出者の『ローラ・ラッシントン』という女性がいました。ラッシントン女史はマスコミの取材に『トルコからイギリスに帰国をする途中に、あまりにも暑かったので車を止めて川に足を浸していると、後ろの座席に乗せていた猫が近づいてきて喜んで水遊びをした。
というエピソードを語っています。さらに数日後に『熱のあった8か月の子猫がお皿の水で水浴びを始めて熱が下がった。』のようなことを語っており『ターキッシュバン』は水を怖がらない猫として広まったそうです。
まとめ
最後に一つだけ注意点を話させていただきます。猫ちゃんはとても敏感な肌になります。必要以上に体を洗いすぎると皮膚病の原因になりかねません。
幼少期の内に水に慣れさせてあげることができたら、年に1回から2回程度のお風呂で十分です。それ以外は濡れたタオルで体を拭いてブラッシングをしてあげることで、猫ちゃんは自分で舐めてキレイにしてくれます。
猫ちゃんは自由気ままな動物になります。わたしたちの都合で猫ちゃんに対して無理やり何かをやろうとするのは間違いになります。
今回のテーマーは『お風呂の入れ方』についてでしたが、どうしても嫌がるようでしたら、無理にお風呂に入れようとはしないで猫ちゃんの気持ちを第一に考えてあげて下さい。