子猫を飼っている方の抱える困った問題行動の一つにあげられるのが、『噛む』なんです。
遊んでいるときに手にじゃれてるなと思ったら、そのままガブっとされたことがあるという方も多いですよね。
この噛み癖を放っておくと、痛みだけでなく飼い主さんが通院や入院が必要になるケースも。
家に小さい子どもがいると、猫の噛み癖は特に心配ですよね。
子猫の噛み癖はきちんとしつけることで、やめさせることが出来るんです。
噛むことをやめられれば、子猫も飼い主も安心した毎日をすごせるようになれますよ。
飼い主さんを困らせている噛み癖について、今回は噛む理由と、理由にあった適切な対処法をご紹介していきたいと思います。
『噛む』をやめさせる3つのコツ
まずお伝えしたいのは子猫の噛む癖をやめさせるための成功への近道のコツは、この3つ。
- 噛む理由を知って適切な対策をとること
- 子猫のうちにしつけをすること
- 辛抱強く続けること
子猫のうちは成猫よりも順応性が高いので、しつけをする場合覚えるのも早いんです。
そして、子猫が噛む理由をしっかり把握することが大切です。
なぜなら理由によって対策が違うから。
そしてなにより大切なのが、辛抱強く続けること。
子猫は本来自然にやめることを覚える
人間の子供と一緒で、子猫もはじめはやって良いことと悪いことの区別が付きません。
これを母猫や兄弟猫との関わりの中で身につけて学習していくのが、『社会化期』という時期。
【子猫の社会化期とは】
生後3週から生後2ヶ月の子猫の成長過程にある。
噛んでいいもの、悪いものの判断や力加減などを学んでいく時期。
他にも自分以外の生き物の存在を知ったり、共存することを学んだりしていきます。
この時期に接触しなかったもの、経験のないものには不安や恐怖を抱きやすく、受け入れるまでに時間を要するようになるなどの影響も。
一生に一度の猫にとって大切な時期。
この社会化期で学んでおくと、1歳を過ぎる頃には噛む癖も自然に減ってくるようになります。
社会化期を母猫や兄弟たちと過ごせていない場合だけでなく、一緒に過ごせていたとしても、噛む癖がやめられない子もいます。
そこには噛む理由が存在しているはず。
子猫が噛む5つの理由
ではなぜ子猫は噛むのでしょう。
じゃれていて噛む、それも理由の一つです。
でも遊んでいるうちに噛むといっても、遊ばせ方や子猫の興奮状態によっても噛む理由が違うんですよ。
細かく理由を一緒に見ていきましょう。
ではひとつひとつ解説しますね。
1,手をおもちゃだと思っている
先ほど飼い主さんから『じゃれていて噛む』とお話がありましたが、もしかしてそれって手で遊んであげていませんか。
手で遊んであげていると、子猫は手は面白いもの、手=おもちゃだと認識してしまうんです。
子猫を抱っこしたまま撫でたりくすぐったりしているうちに、ついそのまま手で遊ばせてしまう。この行動は、誰にでもありますよね。
しかし、子猫は手が差し出されるたびに遊んでもらえる。よし、おもちゃにカミカミしちゃおうとなってしまうんです。
これに気付かず手で遊んでしまっていると、噛み癖がついたまま成猫になってしまう原因に。
2,歯がムズムズしてかゆい
子猫は生後2週で乳歯が生え始め、6週頃には生えそろいます。
そして生後3ヶ月頃から7~8ヶ月頃にはすべて永久歯に生え替わるんですよ。
この生え替わりの時期は下から生えてくる歯の刺激で歯茎がムズムズしてかゆくなってしまいます。
この歯のムズムズしたかゆみを解消させるために噛むという行動になるんです。
これは人の赤ちゃんでも一緒ですよね。
猫の歯の生え替わりについてはこちらでも説明しているので、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:猫の歯の本数は30本!気になる役割や構造について学んでみよう!
3,力の加減がわからない
先ほど、子猫には生後3週~生後2ヶ月ほどの間に『社会化期』という時期があることお話しました。
この時期は母猫や兄弟たちと過ごし、噛む力加減や噛んで良いもの、悪いものの区別を覚えたりと大切な時期。
しかし、ペットショップなどで売られている子猫たちは、生まれてから早い時期に母猫や兄弟から引き離されてしまうケースも多く、社会化期を一緒に過ごせないことも。
そのため、噛んではいけないことも力加減もわからないままとなってしまう場合があります。
わたしのプロフィールやゆねを飼うきっかけ、このねこぎふを立ち上げるに至った経緯などをこちらに載せていますので、もし良かったら読んでみてくださいね。
関連記事:プロフィール&ブログの想い
プロフィール & ブログの想い|【ねこ専門お悩み解決ブログ♪】 (shiawasegift.com)
4,不満を抱えている
動物は自分の感情をわたしたち人に言葉で伝えることが出来ません。
なので不満を抱いていても、文句を言うことが出来ないんです。
猫が感じている不満、例えば『お腹が空いた』や『行きたいところがあるのに行けない』、『もっと遊びたい』、『飼い主と離れていて寂しかった』等々。
また、遊んで欲しいとは逆に『構って欲しくないのにしつこい』とイライラしてしまうことも。
その不満やイライラを噛むという形で伝えているんです。
猫が不満に感じている時は、しっぽの動きで判断出来るんですよ。
こちらの記事でご紹介しているのでぜひチェックしてみてくださいね。
関連記事:【猫は気持ちをしっぽで伝える】しっかり見てもっと仲良くなろう!
5,遊びに夢中になりすぎて興奮してしまう
猫は本来狩りをする生き物なので、何か獲物を追ったり、捕まえたりという遊びが大好きです。
遊んでいるうちに夢中になりすぎて興奮状態の時にガブリと噛んでしまうことがあります。
この遊んでいる時の興奮は子猫に限らず、成猫でも見られる行動なのですが、子猫の方がより夢中になりやすく、興奮しやすい傾向にあります。
噛むといっても理由は様々でしたよね。
【子猫が噛む5つの理由】
- 手をおもちゃだと思っている
- 歯がムズムズしてかゆい
- 力の加減がわからない
- 不満を抱えている
- 遊びに夢中になりすぎて興奮してしまう
なんで噛むのか、その時の状況や子猫の普段の様子をよく観察して理由を判断していくことが必要ですよ。
噛むことをやめさせるための4つの対策
噛む理由について、読んでいただきましたね。
次はそれぞれの理由に合わせた対処法をお話ししていきたいと思います。
対策1,遊ぶときはおもちゃを使う
手=おもちゃだと思っている場合
対策:遊ぶときには手ではなくおもちゃで遊ばせるようにする。
手はおもちゃではないことを子猫に知ってもらいましょう。
ちなみに子猫と遊ぶのは子猫の体力を考えて、1回10分、1日に多くても3回までとするのが良いですよ。
猫じゃらしや、ヒモがついているようなおもちゃだと、子猫との距離もとりながら、遊んであげられるのでおすすめ。
歯がムズムズしてかゆがっている場合にも、噛んでいいおもちゃを与えるようにしましょう。
猫用のデンタルトイという歯磨き効果のあるおもちゃもありますよ。
こちらのおもちゃ、ゆねにも実際使って見ましたが、キャットニップ(別名:西洋マタタビ)という猫の大好きなハーブが使われているので、本当に夢中になって遊びます。
マタタビは与え方によっては危険もあり、使うのに少し抵抗があるという方も多いかもしれません。
キャットニップはマタタビとは異なる植物です。マタタビに比べ効果はやや劣りますが、その分安全性も高く、安心して猫に使うことが出来ます。
対策2,不満を解消する
不満を抱えている場合
対策:不満やストレスを解消してあげることが最善策
まず何を不満に感じているのかを考えてあげましょう。
飼い主さんに構って貰えないことで不満を抱えている場合は一人で遊ぶことを覚えると、飼い主が仕事で日中留守がちだったり、構ってあげる時間が無いときでも、ストレスを溜めることなく過ごすことが出来ますよ。
でも一人で遊ばせるって何を与えれば良いのか迷いますよね。
そんな方にこんなおもちゃがおすすめ。
このおもちゃ、実は電動の猫じゃらしなんです。
このプレイマットみたいな布の下を猫じゃらしが回転したり、逆回転したり、小刻みに動いたりと猫の遊び心をがっちりつかんでしまう優れもの。
対策3,噛まれたら『痛い!』と言う
力加減が分からない場合
対策:噛まれたら『痛い!』ということをはっきり伝える
力加減がわからない子猫には自分が母猫になったつもりで根気強く教えていく必要があります。
【噛まれたときの対処法】
- 噛まれたら子猫にハッキリと『痛い!!』といいましょう。飼い主は子猫が痛いの言葉に気をそらしたら、その場から離れます。
- 噛まれたときはそのまま引っ込めず、逆にグッと口の中に入れます。口の中にグッと指を入れられることで、子猫は不快感を覚えます。
これらを続けることで、噛んでも面白くないということを学習していきます。
噛まれた指をパッと引っ込めるのはケガをする危険があるのでやめましょう。
対策4,噛んだらその場で遊ぶのをやめる
遊んでいるうちに大興奮して噛む場合
対策:大騒ぎせず、その場で遊ぶことをやめて無視をする。
興奮している間は別の部屋に子猫を入れておくなど、子猫の気持ちを十分に落ち着かせるようにしましょう。
子猫に限らず、しつけといって体罰を与えるのは絶対に駄目です。
猫からの信頼関係を築けなくなるため、逆に攻撃的になってしまうこともあります。
以上が子猫の噛むことをやめさせるときの対策になります。
噛む理由を把握し、理由にあった対策を行うことが必要になります。
【子猫の噛み癖対策】
- 遊ぶときはおもちゃで遊ぶようにする
- 不満を解消する
- 噛まれたときは『痛い!』という
- 噛んだらその場で遊ぶのをやめる
では次に噛む癖を持ったまま成猫になってしまったという場合の、噛まれないようにするコツについてもご紹介していきたいと思います。
成猫に噛まれないコツ
小さいうちから噛み癖を直そうとやってきたけど、やめさせることが出来なかったという方も諦めずにこちらをお読みください。
まずは先ほど説明した対策を試して頂きたいのですが、それでも駄目だという場合、噛まれないようにするコツは、ずばり『噛まれないように回避する』です。
機嫌が悪そうだな~というときには近づかない
猫が興奮し出すサインを見極める
- 黒目がちになり目がランランとしている
- しっぽが左右に大きく振れる
- ヒゲが前を向く
- 低姿勢になり飛びつく準備をしている 等
普段から猫の行動をよく観察しておくと、猫の感情も分かりやすくなりますよ。
猫に噛まれることでの人への影響
最後に猫に噛まれることが人にどんな影響をもたらすのかご説明していきたいと思います。
猫に噛まれるというのは、飼い主が痛みに耐えれば良いだけの話ではありません。
記事のはじめにもお話しましたが、猫に噛まれることで入院することもあるんですよ。
想像以上の痛み
子猫の歯って細くて思っている以上に痛いです。
力加減がわからない子猫ならば、なおさらのこと。
猫は本来狩りをする動物です。
獲物を仕留める際は逃げられないようにしっかり首筋に噛みつき窒息させたり、首の骨を損傷させたりします。
そのため噛む力がとっても強いです。
そう。あんなに顔が小さくかわいらしいのに、実は成猫の噛む力は人の約2倍です。
《噛む力の違い》
人・・・60kg
成猫・・・100kg
ライオン・・・300kg
深い傷ができる
先ほど、猫の噛む力は人の約2倍であることをお伝えしました。
この力で噛まれたりしたら人の体は簡単に傷ついてしまいますよね。
ちょっと噛まれただけでも深い傷になることがあります。
まだ噛む力が弱い子猫のうちに噛むことをやめさせるのは、とても大切ですね。
猫に噛まれることでかかる感染症
猫に噛まれて傷が出来た際、病院に行くかどうか悩んでしまいますよね。
『仕事から帰って夜に遊ぶことが多く、病院を探すのが面倒』、『ちょっとの傷だから数日で治るでしょう』とそのまま放置という方も多くいるのではないでしょうか。
愛らしい家族の一員だとしても、猫の口の中には人の健康を害する菌がたくさん存在しています。
猫に噛まれることでかかる感染症がこちら。
感染症名 | 原因 | 症状 |
破傷風 | 破傷風菌 | 筋肉のこわばり、痙攣、発熱。重症化すると死に至る。 |
パスツレラ症 | パスツレラ菌 | 傷のかゆみ、強い痛み、腫れ、化膿。重症化すると死に至る。 |
バルトネラ症(猫ひっかき病) | バルトネラ菌 | 傷が化膿し、傷周囲に腫れ、発疹が出る。重症化すると視力障害や肝機能障害を起こす。 |
バルトネラ症は通称:猫ひっかき病といわれており、猫にひっかかれた際にこのバルトネラ菌に感染する病気のことです。
噛まれることでも感染が起こります。ノミやダニが原因であることが多いので、定期的に駆除を行うこと、また爪も定期的にチェックをして短くしておきましょう。
噛まれたらまずは皮膚科か外科を受診するようにしましょう。
病院では傷の処置、抗生物質の薬の処方、破傷風のワクチンを打つなどの処置を行います。
重症化した場合はもちろんですが、傷がひどい場合や、自宅に帰ってもまたすぐ猫に噛まれてしまうという場合は傷が治るまで入院することもありますよ。
特に免疫力が落ちている方は重症化しやすいので早めの受診を心がけましょう。
まとめ
子猫のうちに噛み癖をやめさせることの大切さについて説明してきました。
噛み癖をやめさせるコツは次の3つ。
【噛み癖をやめさせる3つのコツ】
- 噛む理由を知って適切に対策をとること
- 子猫のうちにしつけをすること
- 辛抱強く続けること
【子猫が噛む5つの理由】
- 手をおもちゃだと思っている
- 歯がムズムズしてかゆい
- 力の加減がわからない
- 不満を抱えている
- 遊びに夢中になりすぎて興奮してしまう
そして噛む理由を理解することで対策が決まってきました。
【噛むことをやめさせるための4つの対策】
- 遊ぶときはおもちゃで遊ぶようにする
- 不満を解消する
- 噛まれたときは『痛い!』という
- 噛んだらその場で遊ぶのをやめる
猫も飼い主も安心して笑顔で過ごせるように、しっかり噛み癖をなおしていきましょう。