昔飼っていた、初代愛猫みゅうの口臭が気になった時期がありました。
口臭以外は特に気になることがなかったのですが、四六時中臭っていて心配なので動物病院に連れて行くとなんと『歯周病』と診断されました。
今では私は歯科衛生士なので、家族と現在の愛猫ゆねの歯や口の健康にいち早く気が付くことができますが、みゅうの時は病気になるまでケアをしてあげられず、家族で落ち込みました。
人間も猫も、口内環境は健康を左右すると言っても過言ではないくらい大切なもの。
人間は口臭が気になったら、自分で色々ケアできますが、猫はそれができません。
となると、飼い主の出番です。
たかが口臭と甘くみてはいけません。
ひどい口臭は、歯の病気だけでなく重大な病気のサインの場合もあります。放っておくと命に関わる事態にもなりかねません。
気になった今がチャンスです。
すぐに解決できる場合もありますので、まずはひとつ一つ確認していきましょう。
臭いは元から断つ!お口のケアをしっかりしよう
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、猫は人間と違って虫歯になりません。
しかし虫歯にならないからといって歯磨きを怠ると、口の中や歯に歯垢が付きます。
そして放っておくと歯垢が歯石となり、歯周病に発展します。
人間もお口の中が汚れていると臭いますよね。
口臭に関わる猫の病気については後ほど詳しくご紹介します。
臭いの原因はどこかな?色々チェック!
まずはやはり口からチェックしましょう。
口内に異常がないか(歯石、歯の色、歯茎の腫れ、歯茎の変色、歯がグラグラする、口内の怪我、出血、口内炎)、歯だけでなく、頬の内側も良く見てあげて下さい。
歯石は歯磨きでは取れませんし、その他の異常も放っておけば自然に治る軽度のものもありますが、素人判断は危険ですので、注意が必要です。
特に歯茎の腫れや変色がある場合は歯周病が進行している場合がありますので、必ず病院に連れて行って下さい。
どんな時に臭うか、どんな臭いがするか、口臭の他にどんな症状があるか、も合わせて見てみてください。
病気の可能性がある場合は、臭いに特徴がある場合が多く、口臭以外にもサインがあります。
歯槽膿漏(しそうのうろう)など、歯茎が炎症を起こして周辺の歯肉が腫れたり膿(うみ)がたまったりといった状態になり、口からは生ゴミの腐ったような異臭を放ちます。
歯が黄ばんでいたり、歯茎が赤く腫れて炎症を起こします。
歯周病が進行していくと、ドライフードなどの固いものを食べにくくなる、よだれの量が増えるという症状も出てきます。
老猫は免疫力が下がってきて歯周病にもかかりやすいので、注意してみてあげましょう。
口臭の他に、口が痛いので、食欲不振、よだれ、口元を気にする、毛づくろいしなくなるなどの症状が見られます。
歯磨きがきちんと出来ていないと、歯垢や歯石が口内炎の原因となることもあります。
口の中に特に異常が無ければ、元気な猫なら歯磨きをすることで改善できることが多いです。
このあと、歯磨きについて詳しくご紹介します。
とにかく歯磨き!
口臭が気になるとき、あなたは何をしますか。
やはり、歯磨きですよね。
人間と猫は少し違いますが、歯の表面は目には見えない凸凹があり、食事をするとそこに食べかすが付着します。
口をゆすぐと大部分の食べかすは取れますが、取れなかった部分に細菌が繁殖し、歯垢になります。
猫は人間と違って口をゆすぐことはしませんので、歯垢が付きやすいです。
歯垢のうちは歯磨きで取ることができますが、放っておいたり磨き残しがあると歯石となります。
歯石は歯ブラシでは取れないので、厄介です。
まずは歯石になってしまう前に取り除けるように、猫の歯磨きに取り組んでみましょう。
初代愛猫みゅうが歯周病になった時は、全身麻酔で歯垢の除去を動物病院でやってもらい、その後は歯磨きを頑張ってなんとか悪化せずに済みました。
お友達の猫ちゃんは歯周病がかなり進行してしまっていたようで、鼻炎も併発していたので、全身麻酔で抜歯をした上に、投薬治療もしばらくして、何度も通院したそうです。
治療費がなんと10万円近くもかかったそうで、痛い出費だったと言っています。
命が助かったからこそ、今では友人はその出費を笑い話にできていますが、歯磨きをきちんと習慣にしていれば、みゅうもお友達の猫ちゃんも痛い思いをせずに済んだので、今でも悔やまれます。
歯周病・口内炎についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になりますよ。
猫の歯磨きはどのくらいすればいいの?
歯磨きを嫌がる猫ちゃん相手に苦戦している方もいらっしゃると思います。
噛まれる、引っ掻かれるを繰り返すと、愛猫の歯磨きへのやる気もダウンしますよね。
私も何度も挫折しそうになりました。
でも大丈夫です。
猫のことを思うと、羽交い締めにしてでも毎日しっかり磨かないといけないと思ってしまいますが、最初に書いたとおり虫歯にはならないので、毎日少しずつ場所を決めて歯磨きすればいいのです。
これを知ったら、猫の歯磨きのハードルが下がりますね。
目安としては週に2、3回でも十分な効果があります。
もちろん、嫌がらない猫には毎日やってあげてください。
歯磨きに慣れさせる
嫌がるものの、歯ブラシをお口に入れさせてくれる猫は上で書いたように、週2、3回に分けて磨けばいいのですが、歯磨き自体がダメだという猫は、まず口まわりを触っても大丈夫なように訓練しましょう。
最初はリラックスしている時に口元を触ってみる、大丈夫だったら歯に触れてみるといった感じで少しずつレベルを上げていきましょう。
歯に触れるようになったら、今度は歯磨きペーストを指につけて歯に塗ってみてください。
人間の子ども用歯磨き粉が甘い味なのと同じように、猫用の歯磨きペーストは猫のことを研究して作ってありますので、猫が嫌がらない味に工夫されています。
塗るだけでも入っている成分で歯垢を分解したりするので、出来るところから始めましょう。
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歯ブラシがダメな場合は?
子猫のうちから飼っていたら、少しずつ歯ブラシに慣らして行くことができますが、野良猫・保護猫・大人になってから家族に迎えた猫は何度挑戦してもダメな場合があると思います。
そこで、歯ブラシの代わりに使えるものをいくつかご紹介します。
最終目標はもちろん歯ブラシですが、千里の道も一歩から。
できるものからやっていきましょう。
1.綿棒
磨き方は歯ブラシと同じですが、歯ブラシより小さいので抵抗感が少なく、試す価値あり。
2.ガーゼ
指に巻きつけて歯や歯と歯茎の境目辺りを拭き取るだけでも効果あり。丈夫なコットンシートで代用することもできます。
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3.歯磨きシート
歯磨きのための成分が含ませてあるシートなので、歯の汚れを綺麗に取りやすい。
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4.歯磨き手袋
指を使えるので、よりしっかり綺麗にできます。
歯磨きの仕方
ついつい綺麗にしようと力を入れてしまいがちですが、優しく小刻みに歯ブラシを当ててください。
猫の口は大きく開いていなくても大丈夫なので、歯と歯茎の間に45度位の角度で歯ブラシを当てます。
人間の歯磨きと同じですね。
猫用の歯ブラシでもいいですし、人間の子ども用のブラシでも代用できます。
歯磨き+αのできること
歯磨きが一番効果があるのは何度もお伝えしていますが、きちんと磨けているか心配な猫ちゃん思いの人には心強いアイテムがたくさんあります。
無理なくできそうなものがあったら取り入れてみてもいいですね。
どれも種類が豊富なので選ぶのも楽しいですね。
- 療養食 デンタルケアに有効なキャットフードを与えるだけで毎日楽チン。餌が変わると食べない猫もいますので、少量から試してみましょう。
- おやつ たまにあげるお楽しみで、ケアできたら飼い主も猫ちゃんもhappy。
- サプリメント 餌に振りかけるタイプが多いので試しやすいかもしれません。
- オーラルスプレー 歯垢がつきにくい口内環境を保つ効果があります。直に塗るジェルタイプも。
- 液体歯磨き 飲み水に混ぜるだけのお手軽ケア。
- おもちゃ 噛んで楽しく遊びながらお口のケア。
歯磨きしていても臭うのはなぜ?
口臭の原因は口内ケアの不足だと上で書きました。
歯磨きを正しくできれば、大体の口臭はしなくなるはずなのですが、それでも臭う時は、目の前の猫をよく観察してみましょう。
おかしいなと思った時は、早めに獣医さんにみてもらうようにしてください。
子猫と老猫はお口が臭いやすい?
子猫の場合
子猫は歯の生え変わりの時期に口臭がすることがあります。
抜けそうな歯とその下の生え始めている永久歯の間に食べかすがたまりやすいからです。
子猫用の餌は柔らかく、小さいものが多いので食べやすいというメリットがあるのですが、歯の間などに残りやすいというデメリットもあります。
歯磨きを一生懸命しているつもりでも細かい隙間に歯ブラシを当てるのは至難の技なので注意が必要です。
子猫のうちは歯磨きに慣れやすいので頑張りどころでもあります。
愛猫が人生を健康で過ごせるように、子猫のうちから歯磨きは習慣にしてあげたいですね。
意外なところとして、子猫はトイレの時に上手に砂かけができず、足におしっこやうんちが付いてしまうことがあり、それを舐めてしまうとお口が臭うこともあります。
細かくみてあげることで、子猫の口臭は解決できる場合があります。
老描の場合
老猫の場合は顎の力が弱くなり、上手に食べることが出来ない場合や、老化で歯が抜けてしまい、歯肉に食べかすが残ってしまい口臭の原因になることが多いようです。
シニア猫用の餌や、老化の度合いによっては介護食、スープ状にしてあげるなど工夫すると食べかすが残りにくいです。
そして食後は、お口の中の清潔を保ってあげるのを意識してください。
また、老猫は口腔内腫瘍にも注意が必要です。
初期は口内炎と区別しにくいのですが、とても進行が早く、腫瘍のできる場所によっては生存率が10%以下だそうです。
急に口臭が気になるようになった時は口腔内腫瘍を疑って、病院に連れて行ってあげてください。
病気が原因の口臭もある!
上で書いた歯周病、口内炎、口腔内腫瘍の他にも口臭の元になる病気があります。
中でも、よくかかりやすい病気を中心にご紹介しますので、口に異常がない場合は以下の病気を疑い、受診しましょう。
胃炎・食道炎などの消化器系の病気
猫は他の動物に比べてよく吐きます。
毛づくろいで飲み込んでしまった、毛玉を吐くことは猫を飼っている人なら誰でも見たことがあると思います。
しかし、その吐く行為によって胃や食道が傷付き、炎症を起こします。
また、体調が悪い時に下痢や嘔吐の症状が出ることもあります。
消化器系が悪い時には口臭が、うんち・おなら・納豆のようなにおいがします。
(納豆好きの方、すみません。)
猫は体が弱っている時は、じっとして食べないことが多いです。
体の回復に全エネルギーを注いでいるので、無理に食べさせることはせず、脱水にならないように気をつけてあげてください。
「うちの子は、よくかかるから。」と軽く見ず、症状が良くならない場合は受診しましょう。
腎不全
初期段階ではほとんど症状が出ない、高齢の猫(10歳以上)がかかりやすい病気です。
口臭はアンモニアのような臭いがします。
その他の症状として、多飲多尿、嘔吐、体重減少などの症状があります。
気がついた時にはかなり病気が進行してしまっています。
腎機能が失われ、血中の老廃物が排泄できなくなります。
慢性腎臓病になってしまうと腎機能が元に戻ることは無く、病気の進行を防ぐしか治療法がありません。
諸説ありますが、砂漠で元々生きていた猫は貴重な水分を無駄にしないために、尿で排出する水分が他の動物に比べると少ないからとも言われています。
腎不全などで腎臓の機能が弱まると、おしっことして体外に排出されるはずの老廃物が体内に蓄積されて尿毒症になります。
腎不全で口臭がアンモニアの臭いがするのは尿毒症を併発しているからです。
腎不全のように慢性の病気でもなりますが、ユリ科の植物を誤食した時、薬を誤飲してしまったなど、急性の腎障害でもなります。
また、尿結石でも尿毒症になるので、猫はとにかく腎臓の病気に注意です。
糖尿病
口臭とおしっこが甘酸っぱい臭いになります。
口臭だけでなくおしっこの臭いもおかしいと思ったら糖尿病の可能性が高いです。
例えるなら人間の二日酔いのような、柿が腐ったような臭いです。
糖尿病になるとケトン体という有害物質が作られるのですが、それが原因で口臭やおしっこの臭いが変化します。
口臭の他に、多飲多尿、食欲増進、悪化すると食欲不振、体重減少などがあります。
また、糖尿病になると口内炎や歯周病にもなりやすいので大変です。
原因は人間と同じで肥満、食生活、病気による炎症、ストレスなど様々です。
意外な口臭の原因
餌を変えてみよう!
歯磨きと少し関係がありますが、ウエットフードは歯に汚れがつきやすく、ドライフードは水分量が少ない分、油分が多いのでそれはそれで歯に残りやすく、口臭の原因になります。
半々にしてみる、時々変えるなど工夫してみてもいいかもしれません。
しかし、いつもの餌じゃないと嫌がる猫もいるかもしれませんので、無理はせず知識として頭の片隅に置いておいてください。
また、人間の都合なのですが、品質を長く保つために保存料が入っている餌、猫ウケを良くするために人工調味料・香料などの添加物が含まれた餌やおやつが最近は多く売られています。
中には歯に沈着しやすい添加物もあります。
口臭が気になる猫は、病気である可能性も捨てきれません。
人工添加物や愛猫の健康に悪影響な場合もありますので、餌を買う時は表示をよくみて選んであげてください。
いつも、大切にしてくれてありがとうにゃ。
人間の食べ物は人間のもの
飼い主が何か食べていると、寄ってきて物欲しそうにしているのでついつい食べさせてしまった。
そんなことはありませんか。
もちろん、食べさせるものを選べば問題ありません。
でも、猫ちゃんに「今日だけね。」は通用しません。
その時は飼い主も猫も楽しい時間が共有できても、長い目で見ると、猫に悪影響を及ぼすことがあります。
一瞬の楽しい時間を取るか、愛猫との長い愛に溢れた時間を取るか、よく考えてみてください。
水、飲んでいますか?
今では大丈夫ですが、娘や息子が幼いときは水分補給せずに、遊びに夢中になって遊び終わった時に、ちょっと口が臭うことがありました。
猫も同じで、口の中が乾くと臭います。
人間は1日2リットルとよく言われていますが、猫は当然そんなに必要ありませんが、目安としては猫の体の大きさにもよりますが、コップ半分から1杯分だと言われています。
お水を飲んでいるかどうか、気にかけてあげてください。
まとめ
猫の口臭の原因は歯磨きで、ほとんどが解決できます。
歯磨きが苦手な猫ちゃんには綿棒、ガーゼ、歯磨きシートなどで代用して歯磨きの訓練をする、水や餌に混ぜるだけの便利なものや、噛んで遊びながら歯のケアができるおもちゃなどもあるので、色々組み合わせて使ってみると効果的です。
餌や食べさせているものを見直す、水を少し多めに飲ませてみるなど手軽にできることから、深刻な病気が原因になっている口臭もあります。
- 口の中をよく見る。
- どんな時に臭うか。
- どんな臭いがするか。
- 口臭の他に、どんな症状があるか。
この4点を中心に猫ちゃんの様子を見て、少しでもおかしいなと思ったら早めに受診しましょう。
口臭は簡単に治るものかと思いがちですが、放っておくと危険な場合もあるということがよく分かりましたね。
今回紹介したことは人間にも当てはまる部分も多くあります。
愛猫はもちろんですが、飼い主であるわたしたちも健康には気をつけて楽しく過ごしたいですね。
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